>>979
氷華
「……………。」
氷華は構わずに議事堂前の階段を登って行く。
そして去って行く氷華の背中も周囲に吹き込む吹雪によって薄れ始めてしまっている。
かつて二人は別々に別れ、それぞれ過酷な環境で生きることになったのだが、その時と同じ……いや、その時以上に、この場で氷華の姿が見えなくなった場合、二度と会うことが出来ない……例え桜空が生き延びたとしても二度と氷華と邂逅することは無い。
そんな予感が感じられる。
《・・・・・待てよ・・・・・行くな・・・・・》
(桜空は、最後の力を出せる限りだそうとする・・・・・
が、体を覆い尽くす氷は、もうすぐ完全に桜空の全身を包み込もうとしており、じわじわと対応と体の自由を奪うと同時に、桜空の意識が朦朧とし始める・・・・・)
ジャリ・・・・・
(国会議事堂へと歩いてゆく氷華の足元、何かを踏んだような感覚が伝わる・・・・・)
>>980