……一体いつまでこんなことを?
『✕✕✕』
『愛してる』
『こっちにおいで』
『危なくないよ』
……いつから?
──鳴りやまない通知の音を耳に、ベッドに体を埋める。短いサテンのドレスを着ているせいで足がすーすーする。
「……」
ふいに手を足に伸ばした。ふくらはぎが線に引っかかるみたいに、ザラザラした。赤い傷跡。ここでも、あの世界でも、誰も気付かない。気づいても、なにも言わない。私の商品価値は顔だから。
そんな生活を10年くらい続けてきた。フォロワーから貢がれた金はあいつへ。一度送られた服は投稿だけして売りつける。愛もなにもない。
……
…………
「お母さん……」
今どこで何をしてるの。
帰りたい。帰りたいの。もう一度ぎゅっと抱きしめて、「愛してる」って、ただ一言。それだけでいいのに──
──ピコン
またいつもの通知。でも違った。
『DM』