『ともだち』
「君はきっと、僕を呑み込みたいんだろうね」
「─は?」
目の前の男に告げられたそれは、微笑みながら告げるなどありえないはずの、自分の目的だった
「俗に言う『ヴィラン』というものなのかな、いや、悪と決めつける訳では無いけれど、正義だというにはいささか問題があるんじゃないかな、どうだい?ベテリー」
「─なぜ、知っている」
「なぜというと、やはり目的は間違っていないのかな?それは残念、僕はまだこの体を捨てるつもりは無いんだけどなぁ」
「っー!何故知っていると聞いている!!応えろディユ!!」
問いかけてもはぐらかすように微笑むそれに、苛立ちを覚え、叫ぶように問う
「─怒らないでおくれ、ベテリー、綺麗な顔が歪んでしまっているよ」
それでもなお、目の前のこいつは私に微笑む
「…そうだね、なぜしっているのか、というと、なんとなく、だとしか言えないね」
「は─?」
なにを、なにをいっている?目の前のこいつはなにをいっている
「だってきみ、僕にはじめて声をかけてきた時、すごい顔をしていたじゃないか」
そんなはずは無い、ポーカーフェイスは完璧だった、バレる要素などひとつも
「瞳、捕食者の瞳だった、笑っていた、僕を見て
次の獲物を見て、わらっていたんだろう?」
恐怖を覚えた、
目的がバレたことに?違う
その事実を知っていて、私と過ごす日々に一切のそれを悟らせなかった、そしてなおも、微笑み、その事実を世間話のように告げるこの男の異常性に、だ
生かしておくべきではないと、本能でそう思った
気がついた時にはそいつに向けて手を向け、異能を放っていた
伸ばしていない方の手で頭を抑える、息が荒い、動揺するな、と下を向きながら己に命令する
どうしようも無いこの感情は、やはり己が三次元の人間だと悟らされる
それに歯を食いしばり、やはり壊さねばと己の石を再確認する
「─べテリー?」
ひゅ、と息を飲む
「どうしたんだい、ベテリー、気分が悪いのかな」
─なぜ
なぜ、この男は平然としている
なぜこの男は負の波動に呑まれていない
なぜ、なぜ、なぜ
「ベテリー?」
男がわたしにてをのばす
なんでもない、脅威などなにもないはずのそれが、あまりにも恐ろしく、力強く払いのける
「っ─化け物め─!」
吐き捨てるように告、気に食わないが、逃げるようにその場から立ち去る
『初めまして、ディユ・パライバトルマリン、─ベテリゲーイゼという、仲良くして貰えるかな?』
『─あぁ、もちろんだよ、よろしくベテリゲーイゼ、…ベテリーとよんでも?』
───ディユ・パライバトルマリン
私に笑みを向けたもの、私に優しさを向けたもの
私に恐怖を与えた、五次元の人間
「っ─!」
あいつの微笑みが、脳裏に焼き付いて、離れない
ベテリゲーイゼ:新しい五次元の人間発見、次の器にするか…油断させて乗ってるために友人になろうと持ちかける
ディユ:なんか完全に捕食者の瞳してる人が友人になろうって言ってきたな〜、まぁそれはそれとしてよろしくベテリー!
ベテリゲーイゼ:まだ異常性に気がついていない、もしかしてこいつ今まで会った五次元の人間の中で一番気が合う…?ちょっと絆され気味
ディユ:ベテリーは頑張り屋さんだしかっこいいし優しいね、ヴィランみたいだけどそれはそれとして仲良くしようね
─ディユ、ベテリゲーイゼの目的認知済み事件発生後─
>>705と>>723->>724参照
ベテリゲーイゼ:は?は?は?なぜ知っているしかもなんでそれを知っていた上で笑っている化け物め意味がわからないわらうな、は?なんで負の波動を浴びて何にもなっていないんだなんなんだこいつは、異常者め、もう器とかどうでもいい、こいつが居ないところに行こうああくそ頭からあいつの微笑みが消えてなくならない!
ディユ:ベテリー?大丈夫かい?うーんそれにしても体の奥がぐちゃぐちゃしてきたな…まぁそれはおいておいてベテリーがどこかへ行ってしまった…しんぱいだなぁ、妹と親友が巻き込まれないといいけど…というかベテリーもこれ以上闇に飲まれないでほしいなぁ