初回>>98 前回>>426
+青い海原は知っている+
どんどん近付いてくる2人に息を飲む。
這いずるようにして竹林の奥へ引っ込む。
「嘘...バレてる?」
呟く彩の口を信乃が手で塞ぐ。
「しぃっ!」
毛野達はどんどん進んで...竹林の前で止まった。
「おまたせ。」
竹林の前で立つ『誰か』に、毛野が声をかける。
彩たちに気付いた訳では無いらしい。
とりあえずそれに安堵する。
「いえ、よく来てくれたわね。」
澄んだ女性の声が聞こえた。
ひゅっと、隣で息を呑む音が聞こえた。
「まさか...!?ほんとに、かあさんだ...」
切れ切れに、聞こえる抑えた声は、
細く、弱く、糸のようだった。
_____________
「毛野、そちらのお兄さんは?」
信乃と毛野の"かあさん"が聞く。
「表の計画にきょうりょくしてくれた人だよ。」
毛野が答える。
翼は混乱しているようだった。
「どういう事?表と裏って何?この人って誰だよ。」
「巻き込んでしまってすみません。こちらの話ですわ。」
完璧な、淑女の笑顔。
しかし、目には狂気と欺瞞が渦巻いている。
翼は居心地悪そうに息を詰める。
そして、微笑んだきり毛野とかあさんは会話を続けた。
「ここにいるのは、信乃には知られていないのですね?」
「...しられてない。」
かあさんは平然と問うた。
その質問のあいだじゅう、ずっと隣で黙ってる信乃。
小刻みに震えていて、いまにも消えてしまいそうだった。
彩が信乃をぎゅっと抱きよせる。
「本当に、貴方は私の子供に戻るのですね。」
信乃は弾かれたように顔を上げた。
その目は開かれ。目一杯に恐怖が塗りたくられていた。
毛野はこの世で最も残酷な言葉を吐いた。
「うん。」
_____________
信乃くん、裏切られます。あと3話(ぐらい)で完結!!
また来ました。葵子ですw
*白猫*
感想あざす( ´ ▽ ` )ノ
転入生ってやっぱフラグですねえ。
というか彩と日向達がいるクラスって最強そうw
続き楽しみにしてるね(*^ ^*)
でわ、小説更新。このシーン書くの難しすぎて、
テンション壊れてます。かなり荒いけどごめんね。
初回>>98 前回 +青い海原は知っている+
彩の腕の中から信乃が消えた。
正確には少年はまだ彩の腕の中にいるけど、
それはもう信乃じゃ無かった。
理不尽に傷つけられた心には、もう何かを思う隙間が無い。
全ては終わった事だった。
彩の手の中から信乃は消えてしまった。
手の中の空虚に、彩は何も与える事ができない。
「だって、そうしたら信乃の耳はもとに戻るんでしょう?」
毛野の問い。
双子の片割れの声は、空虚に一瞬だけ人格を与えた。
一瞬の人格は、決定に抗い。
一度だけ手を伸ばした。
突如竹藪から立ち上がり、
信乃は文字通りの傷だらけで片割れに飛びかかった。
「毛野!!」
毛野はびっくりした。死ぬほどびっくりした。
いない筈の片割れが傍にいる。
自分の、裏切りを、聞いていた?
さーっと、文字通り青ざめ。
首元に飛びかかった信乃を、毛野は恐怖の目で見つめた。
思考停止状態。
永遠に続きそうな沈黙は、信乃によって破られた。
「おれの、耳はなおらない!」
大声で叫んだ信乃に、毛野は一瞬裏切りを忘れて言い返した。
「でも...しゅじゅつすれば!」
信乃は大声で言い返す。
「さいしょのの一ヶ月で、
ちりょうしなかったらもう駄目!いまさらおそいの!」
「でも..かあさんは治るって!」
大声の言い合いに、義母が気付いたらしい、駆けつける。
かあさんはばつが悪そうな顔をする。
「うそだ...」
毛野がかあさんの表情の意味を読み取り青ざめる。
「それじゃあ...おれは...おれは...」
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以上、毛野くんの絶望でした。
でわでわ!