話し言葉にしか見えない前レス>>862
語彙力上げなければ……てかこれ前と同じなんだよな……。
♧.┈┈┈┈┈┈┈.♧.┈┈┈┈┈┈┈.♧
アーヤside
サクッサクッ
霜柱をふむ音って、なんとなく嫌い。
雪を踏んでギュッて言う音も、なんとなく嫌い。
もし自分が靴だったらすごい寒いんだろうな。こんなにギュッて押されたら雪は痛いんだろうな、と思っちゃうから。
まあ、雪が降ってない所はないくらい雪が積もっちゃったからどうしようもないよね。
いつも遠い道が、もっともっと遠く感じるのはきっと歩いているから。
やっと着いた時にはもうヘトヘトで……。もうちょっとだから、と力を込めて足を動かし、チャイムを押そうとした時だった。
「あ、アーヤ! こっちこっち!」
声がした方を見ると、雪、雪、雪……。
かまくらに雪だるま、雪のアーチなんてもう今にも崩れそう……。
「和浩! ちょっと人手足りないから手伝って! こっち!」
「まってってば! 俺はその高いとこに手ぇ届かないし、自力でやろって!」
俺は兄ちゃんと一緒でチビなんだからさ! とむくれたように言うこの子は……誰?
どことなく、若武に似てる気もするけど……。
「おい! 遠回しに俺の事チビっていうのやめろよ!」
あ、やっぱり若武がお兄ちゃんなんだ。
「アーヤは何作る? 夜にライトとか付けて、かまくらでなんか食べる予定なんだけど。」
気を利かせて話しかけてくれたのは翼。でもその両手も、視線も雪のアーチに向かっていて。
「うーんと……夜にライトアップするなら、それに関係するものを作ろうかな。」
結局ピンポンを押して、山崎さんにお目当てのもの、バケツを貰うことにした。
バケツに雪を詰めて、水を入れて、雪の中に埋めて、しばらく待った。
待っている間にアーチの先と前に道を作って、その脇の雪を平にした。
「あ、出来た! 一晩置かないと出来ないのかと思ってたけど、意外と出来る!」
「なになに、何を作ったの?」
楽しそうに覗いてくるのは、あの男の子。
えっとたしか名前は……和浩君?
「氷のかまくらだよ。何に使うかは内緒ー。」
ふふって笑いながら次の作業に移ろうとしたら、足を何かに踏まれた。
「なに、バカにしてんの?」
踏んだのはどうやら……和浩君のようで。
「俺の事バカにしてる奴多いけどさ、俺そういうのあんまり好きじゃないから。じゃ。」
私のしたことが大層気に入らなかったみたいで、散々言ったあとに違うところに行った。
なんでだろ、楽しみにしてもらいたかっただけなんだけどな。
少し気づ付いた心を抱えながら、そのかまくらに細工を施していく。
「あ、そうだ! 絵とか書いたら綺麗かも!」
竹串を貰って絵を描き始めて、その間に新しいかまくらが出来て……のエンドレス。
アーチも完成して、かまくらがお城みたいになって。
若武の家の庭が、まるでお城の周りの環境みたいになっていた。
>>881. そうです16日!
http://aoitori.kodansha.co.jp/series/KZ/
>>882
いや霜柱踏むの嫌いな理由がかわいすぎる…
私ザクザク踏むけどね←
>>883
もちろんですー!
前
ハイスピードで終わらせていきます。連レスなったらごめんよ。
♧.┈┈┈┈┈┈┈.♧.┈┈┈┈┈┈┈.♧
アーヤside
「ねえ、空見て、空!」
嬉しそうな声が聞こえて、空を見上げる。
綺麗。
そう思う空模様と、周りの情景。
「綺麗の上の表現ってないの?」
私は少し考えてから、1番しっくり来た答えを返した。
「綺麗と類語、言い換えの言葉は沢山あるんだけど、この場合は風光明媚、だと思おうよ。意味は、山や川などの自然の景色が清らかで美しく、すばらしく眺めが良いこと。 風光は、自然の景色、風景。明媚は、景色が清らかで美しいことを指しているんだ。」
言葉は、私の担当だから、毎日少しずつ調べてる。
少し前に調べたことで、調べておいて良かったな、と思えた。
「すごいピッタリだね。」
改めて辺りを見渡すと、まるで宝石のようにキラキラと輝いた木々の表情が目に映る。
日の光を浴びて、木々に建物に、雪までもが輝いて見える。空と雲は何だか、赤く染まっているみたいだった。
「夕焼けは時間帯で言葉が変わってくるって知ってる?」
小塚君が嬉しそうに話しかけてきたから、私は首を横に振って、小塚君が次に言う言葉を待った。
「辺りが薄暗くなってくるくらいは黄昏。少し赤が残ってる頃ぐらいのことを指すんだって。時間的に言うと、次は薄明、太陽が沈んでから、しばらくは暗くならないでしょ? その状態のこと。今の状態は、夕映えと茜かな。夕映えは太陽の赤を反射して、周りのものが綺麗に見える現象。茜は空とか雲が、赤く染まること。もともとは植物の茜、少しくすんだ赤の染料として使われていたものの色と似ているからその例えはするようになったんだって。」
嬉しそうに小塚君が話しているのを聞いているだけで、なんだか私まで嬉しくなってくるし、わかりやすく説明してくれるから聞いていて苦しくない。
空を見上げるっていいな、と改めて思った瞬間だった。
「なあ皆、今日帰り遅くなっても大丈夫か?」
唐突に若武が皆に向けて発言した。10時までに帰れるなら、という条件で、私はお母さんにOKを貰えた。
「じゃあ、島崎さんに晩御飯作ってもらうから待ってて。」
そう言って駆け出す若武も、夕日に染まって何だか綺麗。
周りの皆も綺麗なのかな? と思って皆を見てみると、皆も同じく見渡していて。
視線がぱっと皆とあった瞬間に声を上げて笑って、気づいた頃には夕日は沈んでしまっていた。
「綺麗だったね。」
赤く染めあげたあの夕日を、仲間たちと見上げたこの空を、笑いあったこの冬を、絶対に忘れないようにと胸に深く刻んだ。
「さあて……ライトアップの準備始めるか。」
黒木君がそういったのを皮切りに、みんなが続々と動き始めて、それぞれの仕事をこなして行った。
それからご飯を食べて、外に出た時にもう一度空を見上げると、今度は星が綺麗だった。
「さて、ライトアップするぞー!」
ご機嫌若武がそう言って、だんっと一気に電気がついた。
「うわあ……綺麗だね!」
「なんかもう1回クリスマスが来たみたいだな」
「待って、若武の誕生日の七鬼の珍事件しか思い浮かばなくなったんだけど」
翼がお腹を抱えて笑いはじめ、私も思い出して笑っちゃったら、またまた皆で笑いほうけることになってしまった。
笑いにキリがついてから、島崎さんに借りたライターを使って、私のかまくらを完成させていった。
♧.┈┈┈┈┈┈┈.♧.┈┈┈┈┈┈┈.♧
入らなかったら怖いからここで1回切るね。