半分既出ごめんなさ、、、い
__ガタンゴトン、ガタン、ゴトン。規則的な電車の音も、俺にとっては毎日を無気力に生きる大人の一部にしか聞こえない。もしかしたら、隣の後輩も思っているかも知れないが、聞いたりはしない。
…愛されたかった。ふとそんな呟きを聞いた気がして、ちらと隣を見た。疲れたのだろうか、目を閉じゆったりとした呼吸をしていた彼女。眠ったのだろうか、とすればあれは寝言か。愛されたかった。寝言にしては、余りにも。彼女の気持ちを勝手に想像してみれば、結局何も言えずにそっと彼女の手を包む。俺だって同じだ。誰かに愛されたことなどないし、これから生きて行っても無いだろう。そんな嫌気の差す共通点が、俺らを繋いでいるのだ。この握った手なんかより、ずっと強く。こんなもので繋がっていて、信じて良いのか。ただ、俺に分かるのは一つだけ。……始め恐ろしく震えていた彼女の手は、俺の手の中で静かに握り返していた。
…、また電車が揺れた。二人で座っているとはいえ、成す術もなくもたれ掛かるコイツ。少しくらい嫌がったり、しないのだろうか。このままでは居たたまれないので、ちょっと視線を上げて電工掲示板を見る。次の駅で乗り換えれば、海に出られるらしい。 海。 神秘と闇に包まれたその場所は、もしかしたら。視線を戻せば、ばっちりと後輩と目が合った。お互いに少しそのままでいたが、やがて後輩…レイが口を開く。
「 旅の最終点は、やっぱり海ですかねぇ… 」
「 ……ここで降りるなら、もう立つぞ 」
頷いたレイの手を珍しく俺が引き、駅のホームに出た。
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