魔咲美「・・・・・人間に限らず、生き物の感情なんてどれもバラつきのあるもんさ、自分よりも力の強い奴、未知の力を使う奴、人間ではない者・・・・・恐怖心を抱くなんてのは当たり前なんだ、実際私も例え優しいとしても鬼や妖怪はやっぱり怖いしな・・・・・さっき、差別に耐え切れなくて集落を飛び出したと言ったが、集落の奴らの言い分も気持ちも私は十分わかってるんだ、差別されるのが嫌だったが、実際はもうアイツらに迷惑かけたり怖がらせたくないってのもあって今に至るな・・・・・だから、こうなったのは当たり前のこととして受け止めている、人間にも、この世界にも、嫌悪感は抱いていないよ・・・・・」
(魔咲美は自分の感情を一言では表しづらかったのか、長々と説明する・・・・・
何に恐怖心を抱くかはそれぞれの自由だし、未知に対しての恐怖は誰にだってある、魔女という存在の自分はその未知の存在に該当した、だから恐れられた、ただそれだけのことだと・・・・・
自分だって例え優しい性格をしていたとしても、それを知らなければ鬼や妖怪は怖く感じる、それと同じく集落の人間に自分は恐れられた、もう迷惑をかけたくない、怖がらせたくない、差別されるのが嫌ではあったが、実際はその他の気持ちもあり、そしてその気持ちの方が強かったのかもしれないと、今になって思う・・・・・
だからこそ、自分が受け止めるにも突き放していただけであり、これは当たり前のことだから、人間及びこの世界に対する嫌悪感はないと答える・・・・・)
>>110
初代巫女
「恐怖…差別……」
魔咲美の言葉の内、特に強い負の感情が込められている二つの単語を繰り返し自分に言い聞かせるように呟く。
初代巫女
「そう……アンタも色々と苦悩していたみたいね……
少し経緯が違うけど……集落の人達から距離を置いたと言うのは私も同じ。」
再び魔咲美の方へ振り向くと、集落から距離を置いたと言う自分と似た境遇である事を口にする。その顔には、悲しみや憎しみは勿論、自分を追い出した集落の人々に対する怒りでさえも感じられなかった。
初代巫女
「だけどね?集落から出て……世捨て人同然の暮らしをしてわかった。
この世界は美しい、朝に輝く太陽、夜を照らす月、移り変わる雲、木々のざわめきに、小鳥達の囀ずり…人々の賑やかな様子、日々を生きる妖、獣達の遠吠えに地を駆けるその姿……」
初代巫女は魔咲美から目線を外し、周囲を静かに見渡し、この世界の美しさについて話す……これまで人と話した事など殆ど無かったからか、ますます上機嫌になって語っている。
初代巫女
「さっきの質問の私の応えを教えるとね?
私はこの世界が大好き、この美しい世界に生まれることが出来ただけでも幸せだと思っている。」
まるで太陽のように清みきった優しい笑顔をして、自分はこの世界が心の底から大好きであると言う。
自分を追い出し集落の人々や、自分に襲い掛かる凶悪な妖怪達でさえも大好きな存在の一つであると言う辺り、彼女の底無しの優しさを備えている。