「早苗って、よくわからない」
何度そう言われただろう?
よくわからないって何だろう?
今日もまた、友達が減った。
「あぁ、ムシャクシャする〜!!」
枕を壁に投げつけた。そしたらほら、((だめじゃないの!!))という声が聞こえてくる。
「何よ何よ〜っ!!ああ、最悪最悪!!何度友達作ろうが減る一方じゃないのよ〜っ!!」
((叫んじゃダメ!!ご両親に怪しまれるわよ!!))
「で、でも……!!」
((でもじゃないの!!))
どこからともなく聞こえてくるこの声の主は理恵。
いつの間にか私の中に住んでいた住人の一人だ。
私が辛くなったときや大変なとき、いつも理恵が助けてくれる。私と交代して、体を動かしてくれる。
その間、私は寝ているだけでOK。気がついたら全て終わっていて、理恵がため息まじりに言うのだ。
((今回だけだから))って。いつもやってくれるくせに!!
((でも、どうしてあんなに言われるんだろうね〜))
いきなり、のんびりとした声が聞こえてきた。
この声の主は萌。いつの間にか私の中に住んでいた住人の一人。
ちなみに、あともう一人いるのだけど……あいつ、面倒臭がり屋だから滅多に声をかけてこないんだよね。
((ちょ、萌!?))
((きっと早苗は理恵に頼り過ぎなんだろうな〜))
「え、そうなの!?」
((も、萌!?アナタ……!!))
((他の人からしたら、理恵と早苗がぐるぐる変わって変な風に見えるんだと思う。だから、分からないって言われるんだよ))
……つまり、理恵に甘え過ぎたと!?
確かに、理恵に代わってもらったら寝ているだけだからって最近は特に代わってもらってたけど……。
やっぱりそれかああぁ……。それがいけなかったのかああぁ……。
「萌、教えてくれてありがとう」
((いえいえ〜))
きっと萌は今微笑みながら手を振っているんだろうなぁ。
なんて想像をしていると、クソ生意気な声が聞こえてきた。
((理恵に甘えてばっかだとダメだと思うな。早苗、これは君のためだ))
((あら順太郎。珍しい))
((丁度早苗に教える機会だと思ったからね。わざわざ来てあげたのさ))
((順太郎〜そんな上から目線言っちゃダメだよ〜))
最後の住人。それは順太郎。生意気で面倒臭がり屋の男だ。
私は「何?」と聞いた。順太郎はこれまた上から目線で言ってくる。
((君は可笑しいんだよ))
「うっさいわね!!」
知ってる。体の中に三人も人が住んでるんだし、しかもその中の一人に甘えてるし。可笑しい以外の何者でもないだろう。
((……で、だ。早苗に言っておくことがある))
「何?」
どんなムカつくことが言われるんだか。
「……はやく言って」
((……。……君は、山田早苗は、多重人格なんだ))
は、はぁ?これまた珍妙な言葉が出てきたな。多重人格?え、それって二重人格みたいな?
そう色々と考えていると、理恵に交代してもらったときのような、独特のあの体の怠さと眠気が襲ってきた。
そこで、山田早苗の意識は途切れる。
((目を開けるといいよ))
声だ。順太郎の声だ。
「ん……?あ、あら?どうしていきなり交代して……」
((今日から君が早苗だ。理恵はもういない))
「……なるほど。こうやって前いた夕日も鈴音も消えたのね」
((そう。君の考えていることであってる。人格を交代し、長い時間を経て、人格だったことを忘れさせる。君もいつかこのことを忘れ、僕らを「住人」と思い込む。そして、君もいつか消える。次は萌。萌の次は僕。僕が消えたときはその体の死を意味する))
「そう。まぁ、この人生を楽しんでみるわ。早苗が消えたのは、理恵に甘え過ぎたから。で、私は誰にも甘えなければ消えないのね?」
((そうかな?僕にもまだわからない。ただ、君に多重人格者だということを教えたときが君の消えるときだ))
萌の声が聞こえない。眠ってしまったのだろうか?
まぁ、そんなことはどうでもいい。
私は持っていた枕を壁に投げつけた。
私はもう理恵ではない。早苗だ。
確か、「前代の早苗」の昔の名前は……まぁ、いっか。
いつか私も理恵であることを忘れるんだろうか。
うえ、>>13が可笑しくなった、うえ。
>>13のような失敗がないように、文才向上目指して頑張るぞー!!
……>>12も結構酷いなぁ。