随にフラグメント

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17:∵:2015/12/29(火) 01:30 ID:QLI

>>13続き



 ____結局、グレースも僕もビャクヤを殺さなかった。
 ビャクヤは死んでしまいたい思いを抱えながら、自分の部屋に戻って行く。
 その後ろ姿をぼうっと眺めて、僕は自嘲ぎみに微笑んだ。
 僕は、いつから人間ごっこをするようになったのか。父の教えにただ従うだけで良いのに。アサシンとして育った以上、淡々と仕事をこなす殺人機であれば良いのに。
 嗚呼、なんて不甲斐ない。
 僕は細剣を片手に、ビャクヤの部屋の戸を開けた。表情は携えず、自分の意思を殺し、機械の如く。
 虚ろな眼のビャクヤは、僕を見据えて呆けていた。彼はそこにいるのに、意識だけが切り離されている様に思えた。

「さっきは悪かったな、弱気な言い訳ばかりして」

 ビャクヤの猫眼の瞳孔が、一瞬だけ開いた。驚いているのだ。しかし、それは確かに一瞬で、今は困った様に微笑んで、立ち尽くしていた。


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