いえいえ!本当に面白いです!
>>32照れますねー(*´∀`)
そのあと、オレたちはファミレスへと移動した。
軽く飲み物でも……と、思ったが、女子組が早めの昼食と言って、飲み物の他にもたのんだ。
「えーと。改めて……。今回はよろしくお願いします」
タニシが飲み物を持って、そう言った。
お願いします、と頭を下げて、皆飲み物を少し飲む。
オレもそれにならって、飲み物を飲む。
「そして、また改めまして、僕はタニシ。名字が谷吉で、タニシって、昔からこのたーくんから呼ばれてたんだ」
「改めて、武志です。タルパー志望です。性格や容姿をどうすればいいか悩んでる最中です。よろしくお願いします」
たーくん、たーくんと夢夢さんが笑いながら言った。恥ずかしい。
「僕のタルパの名前はアラン。男さ」
そこで、初めてタニシのタルパの名前を知った。
容姿の特徴は教えてもらったが、一番大切な名前を教えてもらっていなかった。
なんでだろう?あとで聞いてみようか。いや、めんどくさいからいいや。
どうせ、忘れてたとかなんとかだろう。
「んじゃ次オレな。オレは正義。正義って書いて正義。タルパは女で、名前はリンカ」
女タルパ、か。そういえば、タルパと恋愛関係になったって話をよく聞くけど、どうなんだろう。
飲み物をまた飲んでから、雪国、もとい由紀子さんが改めて自己紹介をした。
「私は由紀子。タルパは情けない男なの。名前はユウマ。よろしくね」
情けないとは……可哀想なタルパだ。
きっと尻にしかれてんだろうなぁ……。
って、どこの夫婦なんだか。
「私は夢乃。ちなみに今年受験生だよ。タルパは幼女で、マリカっていうの」
ぺこり、と頭を下げ、よろしくお願いしまーすと、のんびりとした口調で言った。
これで全員、自己紹介を終えた。
これからは皆、本名で呼びあうことになる。タニシは別っぽいけど。まぁ、もともとあだ名がタニシだしな。
「ちなみに、みんなのタルパはどこにいるの?」
由紀子さんが聞いてきた。
ここ、とタルパーたちが各自、隣や後ろを指差した。
「視覚化済みよね、やっぱり」
「ちなみに、オレは視覚聴覚嗅覚触覚化済みで、存在がリアル過ぎて大変なことになったんだぜ」
「あぁ、そういえば、その相談にのってあげたっけ。そこからだよね、よく話すようになったの」
「そーそー。一日だけ、アドバイス通り別々に過ごしたら凄い寂しくてさ。現実をちゃんと直視することはできたけど、やっぱりタルパいてこそ、あの生活があったんだなーって思うとこう……」
オレの現実があったんだなーって。
その言葉に、タルパーたちは賛同した。
特に由紀子さん。
彼女は「そうなのよ!」と鼻息を荒くして言った。
「うちのタルパ、九ヶ月くらい旅に出ちゃってね、凄い寂しかったの。一人ってこんな感じだっけ?って思ってね。再会できたとき、涙が出てさー」
その言葉に、次はタルパーたちが驚き、質問攻めにする。
やれ「聞いてないよ」だの、やれ「詳しく聞かせて」だの、やれ「どうして旅に」だの。
そこから由紀子さんは、涙の九ヶ月を語った。
由紀子さんが勉強に集中するように、タルパは苦渋の決断で旅に出るという名目で由紀子さんのそばを離れたらしい。
タルパ、すげぇと思った。
タルパーのために、ここまでやるとは。
「だからね、泣き喚いてやったのよ。ユウマったら本当に最低よー、みたいに」
笑って話す彼女。
その顔からは、「いい思い出だよ」と思っていることが見てとれた。
「私、実は勉強全然出来なかったんだけど、今じゃあ学年の順位二桁なんだから」
「もとは?」
オレが聞くと、ふふんと鼻を鳴らした。
「最下位を争ってたわ」
こりゃひどい。
オレは反応に困って、周りの人同様、苦笑することにした。
「私は中間くらいかなー。最近、マリカが注意してくれるおかげで、少しずつ順位上がってきたけど」
「あ、これはオレからの忠告な。今のうちから頑張って勉強しないと、ダメだぞ。まだ五月だからって安心しておくと、地獄を見るぜ?」
「……はぁーい」
痛い言葉だ。オレは来年受験生だし、頑張って勉強しないと。この時点でつまづいたら大変だろうし。
「僕は余裕だね。一桁代だし」
そうタニシが言うと、皆からブーイングを喰らったのは言うまでもないだろう。