【リレー小説】学園女王【企画?】

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121:ABN:2017/03/29(水) 22:46

(続き)



◆ ◆ ◆



「だから、私たちはデマなんて流してませんって!」

「そ、そうですよ……! 片原先輩って人のことだって、今知ったばかりですし」

「そんなこと言われても、確かに聞いたんだよねえ。『一年の文芸部員が片原クンに濡れ衣を着せて、悪質なデマを広めようとした』って!」


 遠くから見てもはっきりと分かる髪色の主、璃々愛が通行の邪魔をしているのは、一年生の恵里と亜依。二人は身に覚えのない言い掛かりで、糾弾を受けている真っ最中だった。
 亜依ははっきりとした物言いで、恵里はやや弱々しくではあるが、それでも物怖じせずに自分たちの無罪を主張する。しかし当の璃々愛は暖簾に腕押しといったように、二人の言い分を受け流すことしかしなかった。


「大体、私たちがデマを流したっていう証拠はあるんですか!?」

「じゃあ逆に聞くけど、アンタたちが『デマを流してない』って証拠はあんの?」

「はあ? そんなの……」

「証拠が出せないなら、デマを流したって大人しく認めれば? かいちょーは優しいから、早めに観念すれば情状酌量は考えてくれるかもよ」

「ふざけないで! 誰が冤罪なんか認めるもんですか!」

「あっそう。飽くまでしらを切るってなら、アンタたちの文芸部が広報部の二の舞になっちゃっても文句は言えないよね?」

「そんな……!」


 璃々愛は得意の減らず口で反論の余地を奪い、「デマを流した」と繰り返し口にすることで周囲の注目を集める。その作戦は上手く働き、集まってきたギャラリーは既に恵里と麻衣をデマの首謀者だと見なし始めていた。
 このままでは自分たちが濡れ衣を着せられるか、文芸部が強制廃部となってしまう。どちらにせよそれらが実現してしまえば、以降の学園生活は周囲から苦汁を強いられ、革命に参加するどころではなくなってしまうだろう。
 璃々愛からの糾弾は終わることがなく、ギャラリーからの目線は冷たくなっていく。恵里と亜依のみではにっちもさっちも行かなくなった、そのときだった。


「異端審問が悪魔の証明を振りかざしては本末転倒でしょう。結城役員」

「なに? 邪魔しないで……って、うわっ!」


 不機嫌な顔をして後方を振り向いた璃々愛は、そのしかめっ面を直ちに伸ばして驚愕する。恵里と亜依、そしてギャラリーの生徒たちも同じく、目を丸くして彼女と同じ方向を見た。
 璃々愛の背後にあったのは、痣とガーゼが痛々しいほど目立つ、椎哉の変わり果てたの顔だった。



(今回はやや勢いに任せて書いたので、展開が無理矢理だったり滅茶苦茶だったりするかもしれません。また、璃々愛さんの言動がチンピラみたいになってしまいすみません;)
(この後の椎哉や翼の動きで質問がありましたらお気兼ねなくお聞きください)


かおり:2017/03/30(木) 13:01 [返信]

(>>121と同じくらいの時間です)

「ちょっと美紀!説明してもらおうか!」
3−Aの教室に響き渡る大声。生徒達は何事かと目を向けたが、聞こえてくる声から内容を理解し、それぞれ雑談や予習に励むことにしたようだった。
言い争っているのは生徒会副会長と会計。下手に仲裁したりのぞき込んだりすると後が大変になるに違いない。
「説明と言われても、私は会長の決定をそのまま真帆に伝えただけ。一年生には結城さんが、二年生には月乃宮さんが、そして三年生には私が伝えることになったから」
「違う!廃部の理由よ!」
「会長の判断」
「あ、り、え、な、いって言ってるでしょ!恵里ちゃん達がそんなことをするわけがないの‼」
「私はなにも白野さんや戸塚さんだと言っている訳じゃない」
「全員含めて、ありえない!」
ここまで聞いているとほとんどの事情がわかってくる。
要約すれば……文芸部員の一年が何か会長に背くことをやらかし、文芸部は廃部になった。それを美紀が部長である真帆に伝えたところ真帆がきれた、という感じだろう。
それにしても珍しい。真帆が感情的になっている。それ程文芸部を守りたいということだ。
「真帆、今あなたが何をしても変わらない。わかっているでしょう?」
「……そういえばさ、どうして廃部にしたの?そこまで大事ではなかったよね」
「何が言いたいの」
「いや。生徒会と文芸部、どちらも納得できそうな案を思いついただけ♪」
(でたぞ、屁理屈上手の笹川だ)
(真帆ちゃんの正論は言い返せないもんね)
(会計がどこまで反論できるか……)
(無理よ、賭けにすらならない)
生徒たちの意見は満場一致。何かしらのペナルティーは下されるだろうが、廃部にはならない。それだけ、真帆との口喧嘩は無謀なものなのだ。
「美紀、あなたはどうして会計になったんだっけ?」
「……そういうことね。でも、私一人の判断じゃ無理。会長に許可をもらわないと」
真帆は小さくガッツポーズをつくった。
こめかみを抑えながら百合香のもとへ向かう美紀のあとを意気揚々とついてゆく。

「神狩のやつ、相当ストレス溜まったな。俺生徒会入らなくて正解だったわー」
能天気な男子生徒の発言に、クラスメイト達は激しく同意したのだった。

「それで、私のところへ来たというのかしら」
「そ。簡潔にいうと―――文芸部を存続させてほしいんだ」
生徒会室では、会長と副会長の争いが繰り広げられていた。勿論話題は、文芸部の今後について。
自身の要望をきっぱり言い張った真帆に対し、
「駄目よ。あんなことが起こった以上、生徒会は対応しなければならないわ」
百合香は即刻要望を拒否する。
しかし、真帆には真帆なりの案がある。真帆は、勝利を確信したような笑顔でこう言った。
「その代わりとしてね、こちらから提案があるのさ。聞いてもらっていいい?」
自信をもつその表情に疑問を感じた百合香。提案を聞くくらいならいいだろうと思った。
「……その提案とは、どんなもの?」
「簡単だよ。百合香が許可して、美紀が書類をつくればいいだけ。生徒会と学園のメリットもある」
「参考までに、それをお聞かせ願えるかしら」
それに答える真帆の返答は、とんでもないものだった。
「……そうね。それならいいかもしれません。でも、あなた達文芸部はそれで大丈夫なの?」
「大丈夫に決まってるでしょ。あたしたちをなめないでよね。ほかの学校の文芸部とは格が違うんだから」
「そう。ならいいわ。美紀、私は真帆の提案をとろうと思うの」
「……問題ないよ。まだ一学期だから、つくった書類は少ないの。あとは百合香と真帆の署名、ここの二ヶ所」
風花百合香、笹川真帆と、二人はそれに署名した。

文芸部存続と、真帆の勝利が確定した瞬間だった。

「璃々愛ちゃんたちに知らせてくるわ。あとは美紀に頼みます」
「わかった。書類は提出しちゃうよ」
女王が進むところには、きっと大勢の生徒が並んでいることだろう。

「安心した?美紀」
「……別に」
「そう?」
女王が去った後の部屋では、美紀をからかう真帆の姿が見られたという。


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