【リレー小説】学園女王【企画?】

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132:ABN:2017/04/15(土) 19:20

(続き)



 文芸部の強制廃部が最も理想的な処分であることは、美紀にもよく分かっていた。しかし生徒会の一因ではなく個人として、幼馴染の百合香にも打ち明けていない妥協の理由が彼女にはあったのである。そんな複雑な心境も露知らず、理想論を口だけで言ってのける良を美紀は睨みつけた。容赦ない彼女のきつい目線に良は僅かにおののくも、確かにそれは仕方ないという風に肩を竦めてみせる。


「まあ、部費ゼロが最善手っちゅうんなら、是非ともその方向で頑張ってほしいわ。俺がこうして作品作れんのも、一重に百合香ちゃんのおかげみたいなもんやし!」

「会長を応援してくれるのは構わないけど、絵ばかり描いてないで少しは自分の心配もしたら?」

「俺、実は『一日十枚は絵描かんと画力とセンスが衰える病』を患っとってな……」

「話はそれだけ? じゃあ私、これから校長室に行かなきゃいけないから」

「あー待って! ごめんて! もうちょいだけ聞いて!」


 つまらない良のジョークをばっさり切り捨て、美紀はその場を後にしようとする。無慈悲にもその場に置き去りにされそうになった良は、慌てて彼女を引き留めた。彼の無様な呼びかけに、あからさまにうんざりしたような顔を向けながら、それでも美紀は立ち止まった。


「百合香ちゃんに伝えてくれへん? 『俺の絵のモデルになってくれんか』って! 構図ラフができ次第になるから、実際に見て描かせてもらうんがいつになるかは分からんけどな」

「伝えるだけなら別に構わないわ。でも、どうして会長の絵を?」

「さっきも言うたけど、百合香ちゃんのおかげで俺は絵が描けるねんて。せやから、そのお礼みたいなもんとしてな? それに……」


 ――女王なら、肖像画の一つくらい描いてもらうんが嗜みやろ?
 そう言って良は、垂れ目の目尻をさらに下げてにっと笑う。彼の笑顔は、女王の繁栄を願う者のそれであった。


かおり:2017/04/15(土) 22:11 [返信]

(>>132のその後)

「失礼します、学校長」
そう言って、校長室の扉を閉める。その思考は様々な愚痴のオンパレード。

 ……ほんと笑えるわ、なんなの、あの校長の表情。表面上とはいえ大切な生徒っだっていうのに。しかも、この書類。まとめにくいったらありゃしない。普通箇条書きなんてないでしょ。今度百合香に頼んで改訂してもらおうかしら。

文芸部は廃部、と百合香に聞いた時。危うく百合香に反論しそうになった。
いくら百合香の決定とはいえ、文芸部だけは譲れない。真帆の奇想天外な提案は、美紀にとって渡りに船だった。

『美紀、あなたはどうして会計になったんだっけ?』
真帆の質問が蘇る。
『ねえねえ、美紀ってさあ、どうして会計になったの?百合香の傍にいたいなら副会長の方が良くない?』
これは、美紀が会計になった直後に言われたことだった。

「私が会計になった理由、ね……」
人通りのない廊下で一人、つぶやいた。
「そういうことが得意なのもあったけど、それよりも……会計になれば学園の資金はほぼ私―――ひいては百合香のものになるから、かな……」


美紀が文芸部を守りたいと思っていることは誰も知らない。
幼馴染の百合香でさえも。


幼馴染。
たしかに美紀と百合香は、まだ言葉を知らない頃から知り合いではあった。でも友人ではなかった。百合香は風花家の令嬢で、美紀は―――。

(中途半端でごめんなさい!本日の美紀はこれでしゅうりょーです)


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