晃視点
結局何も見つけられなかったな・・・っつーか、なーんか嫌な予感すんなー。よし、ドアキッチリ閉めとくか。と、俺はドアの鍵をチェーンごとかけて、そのままなるべく奥の部屋まで行った。
「晃くん、いきなりどうしたの?こんな風に奥まで行って布団被るなんて・・・」
「嫌な予感がする。俺は勘がいいからな。」
「でもパソコン置いてきちゃったじゃん!」
「大丈夫。パスいれねえと掲示板の管理人権限使えねえし、仮に壊されようがデータ消されようがバックアップは取ってるからスマホでも管理人権限使えるし、元々データは消すのにパスワードいるしな」
俺は不安な麻衣に説明をしておく。用意周到なんだぜ?俺。と強がっておくが、多分ヤクザの方は見破られただろう。タクは今頃吊るし上げ・・・もしくはこっちに来てるな。
「松葉 こおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!出て来い!」
うわうるせえええっ!どういう声出してんだよ!ってか誰だよ!しかたねえ。麻衣だけでも守るためにどうにか出るか。と、俺は窓を開けて、家の前で思いっきり睨んでる不良数人と案の定いたタクへ。
「はぁ〜い〜なんのようですか〜?」
「テメエ!よくもぬけぬけと出てこれたなぁ!俺を破滅寸前まで追い込みやがって!」
「なんのことやらさっぱりわかりませんなおとっつぁん」
「お前が反逆者になったからこっちまで避難されてよ!それだけじゃなく冤罪で殺されかけたんだぜ!?」
「あっははぁ、そりゃわかりませんなぁ。えっへっへ。」
俺はなるべ〜く向こうに悪い気をさせないように言う。ちなみに向こうは明らかにヤバいもん持ってるし投げつけられたりしたら大変なもんばっかしだ。
「このっ・・・とぼけんじゃねええええッ!」
タクはそのまま石をこっちに投げてきた。予め用意した盾・・・・こと学生鞄で防ぐ。
「あぶねえだろ!なんてことすんだよ!」
「うるせえ!今すぐそっち向ってやらぁ!」
タクたちはそのまま、玄関のドアへ直行して、ドカドカと体当たりや、持っているもので殴ったりしてくる。
「oh・・・・・」
「畜生っ、中々開かねえなこの野郎!」
ガンガンドアが叩かれるところに、俺は、こ〜っそりと部屋に戻って、俺が小学生の頃に作ったこけしを用意して・・・・
「せーのっ!」
ヒュッ
ゴンッ!
「いでええええええええええええええええええええええええええええええッ!」
こけしは不良の一人に当たって、落ちる。不良は頭を押さえて痛がる。
さてさて、こっからどーしましょ。
続く(タクがボコられるのは自由ですが・・・俺だとつなげるのが難しいので、他の方にお願いしますね)
(>>42 注文に応えていただき本当にありがとうございます…!)
(また長くなってしまったので二回投稿させていただきます。その上自分が作ったキャラがかなりでしゃばってます。重ね重ねすみません;)
「な、なんだこれ!? こけし!?」
「『こけ』しだけに俺らのことを『コケ』にしてるってか! ふざけんなゴラア!!」
「ふざけてるのはお前の駄洒落だ!!」
頭上に硬いこけしを落とされ、(若干の自己解釈込みで)更に憤慨した不良たちは、各々の得物を振るうペースを怒りに任せて加速させる。滑らかな表面だった玄関の扉は今や無残にも傷だらけで、所々ガタも来はじめているようだ。この弁償代が学生の小遣い程度で済まないことは想像に難くないが、目の前が真っ赤になっている不良たちは考えなしに扉を壊し続ける。
そんな不良たちの中でも、率先して破壊活動に勤しんでいるのは片原拓也。血眼になり、脂汗をも浮かべながら、固く握った石でドアノブを何度も叩きつけていた。あまりの必死さに周囲の不良さえ若干戦いているが、本人は彼らの様子に目もくれない。
「お、おい……。拓也、もうやめとけって」
「うっせえ! まだ一発も殴ってねえのに引き下がってたまるかよ!」
「そ、そうじゃなくて……ひっ!?」
とん、と不良の悲鳴とほぼ同時に、拓也の肩に手が置かれた。その手を振り払うようにして振り向き――瞬間、拓也の顔が凍りつく。
「これは一体なんの騒ぎでしょうか? 片原役員」
「あ……安部野、さん」
生徒会書記、安部野椎哉の変わらない笑顔が、拓也のすぐ後ろにあった。
予想だにしなかった人物の登場で思わず手から滑り落とした石は、静まったその場に無機質な音を響かせながらコンクリートの地面に落ちる。
「あの、違うんです! これは松葉晃を処刑するために……!」
「ええ、仰りたいことは分かりますよ。学園の風紀向上のため、処刑対象を罰するというのは立派なことです。しかし……」
一旦言葉を区切ると、拓也と不良たちの視線を促すように街道の方向を揃えた指で示す。そこにはこの辺りの近隣住民だろうか、遠巻きに彼らを見ながら、ひそひそと小声で会話する人々の姿があった。今更第三者の目線に気づいた拓也たちは、自分たちの行いを省みると一斉に戦々恐々とした。
「生憎ここは白羽学園ではなく、白羽町の住宅街。処刑という言い分が、果たして学園の外でも通用するでしょうか?」
「で、でも! 処刑対象が学園に来ないんじゃ意味ないじゃないですか! 俺たちは……そう、無断欠席の松葉を登校させようと!」
「なるほど。だとしても、他人の家を破壊してもいい理由にはならないでしょう。しかもこんな講習の面前で……」
まだ何人か残っている周囲の人目を改めて見やり、安部野はくつりと笑った。いつもと同じ顔の筈なのに、漏れ出た笑い声には若干の狂気が含まれているようにも聞こえる。
拓也がかいていた脂汗はいつしか冷や汗に代わり、その体をぞくぞくと冷やす。膝小僧はガクガクと笑い続け、体を上手く支えることができない。そして――。
「あなたたち。そんなに白羽学園と生徒会長の顔に、泥を塗りたいのですか?」
「う……うわああああああああ!!」
自分がしでかしたことの重大さに、それによって墜落するであろう生徒会長の信頼に、そして目の前の男子生徒の底知れない凄みに耐え兼ね、拓也は一目散にその場から逃げ出した。
「ちょっ!? おい、待てよ拓也!」
「一人だけ先に逃げるとか卑怯だぞ!」
街道に飛び出していった彼を、不良たちが次々と追いかけていく。そうして安部野意外の男子生徒がいなくなると、松葉邸の前はようやく静寂を取り戻したのだった。
(続く)
(ところで、本来なら前もって聞くべき質問だったのですが、今回のような演出の注文はやっても大丈夫なのでしょうか?)