〜航side〜
朝は2人で登校する。徒歩圏内にあるといっても慣れないと道に迷いやすい。
慣れるまではかなと登校するようにしようと思う。
校舎の中へ入る。
昨日は、かなが校舎の中で迷っているところにたまたま通りかかり、教室まで連れて行ってやったが今日はどうだろ?
「昨日みたいに校舎で迷わないよな?」
いたずらっぽく聞いてみると睨まれた。
「大丈夫!お兄ちゃんこそ教室までついてこないでね!」
「そこまでしないし。」
「じゃーねー」
かなと別れた後、すぐにやすに絡まれた。
「朝からイチャイチャと。」
「なんだ。やすか。別にいちゃついてねーし。妹だし。」
「ふーん」
否定したものの彼はそこまで興味がないようだ。
「そういや、今日からヒロ来るぞ。」
「なんで今日から?入学式にも来てなかったっけ?」
「あいつ、髪色いじって学年主任に見つかって停学くらいよった。」
「…マジか。」
笑いをこらえきれず少し肩を震わせながら答える。
「わたるんの妹、かなちゃんだっけ?クラス一緒っぽいよ。」
「へ〜。」
興味を示さなかったのを意外に感じられたようで、少し驚いたように
「気にならんの?」
とニヤニヤしながら聞いてくる。
「べつにシスコンじゃないし。」
と昇降口で喋っていると後ろから
「ごめん。そこ邪魔。」
とよけるように言われた。
「あ、ごめんね?」
>>8続き
謝ったもののすぐさまイヤホンを耳にさし教室へ入ってしまった。
「…本谷か。相も変わらず冷たいな。」
やすがポツリと呟く。
「?どした?」
そのつぶやきは聞こえてなかったようで聞き返すが何でもないと首を振るだけだった。
とりあえず昇降口でこのまま話を続けると、また注意を受けるからと教室に入った。