こばとは、肩をすくめて、
「どうなんだろ。私自身、分かんない。暇つぶしなだけ、かもしれない。でもまぁ、楽しいし」
と、答えた。
へぇ。
好き、とかじゃないんだ。
意外。
こばとは、話を変えるように、
「それより、今日アンタんち────そういやアンタ、誰?」
「私は、玉井七瀬!六年間、一緒にならなかったよね?」
うん、そうだ。
私は、こばとと一緒になった記憶がない。
「じゃ、七瀬ね。今日、七瀬の家行っていい?」
「んー?美矢子さんに聞かなきゃ。多分、だいじょーぶ」
こばとは、不思議そうに、
「美矢子さんって?」
と、聞く。
まぁ、そりゃそうだよね。
「私のお母さん」
「何で、美矢子さん呼びなの?」
私は、気にしてないように笑って答える。
「私、小さい頃、お母さんが病気で死んじゃって、お母さんの親戚は居なかったから、養母を探してたらしくて。で、美矢子さんが私を引き取ってくれたの」
「あ・・・・・・ごめん、そんな事聞いて」
「良いよ、別に。気にしてないし」
ホントは、気にしてるけど。
こばとは、すまなさそうに私の顔をのぞき込む。
まあコレも、私の過去を知った人達のフツーの反応。
私が、友達連れてくるって知ったら、美矢子さん喜ぶかな?
今まで、家に友達連れて帰ってきたことも、家で遊んだことも、一度もない。
私自身、コンプレックスだったし、バレて何か言われたくなかったから、連れてきてない。
なのに、こばとは家に招きたいって、思ったんだろう?
不思議。
>>14 ありがとう!!!!!
「七瀬、どの話がおもしろかった?」
と、緊張した面もちで、こばとが聞く。
どれって・・・・。
どれもおもしろいから、決めれないような。
「えっとね、『窓越しの冬恋』かな」
こばとは、ホッとした顔になって、
「良かったぁ。私にとっても、ソレ自信作なんだよね」
と、ノートを開く。
鉛筆を出して、こばとは一文に斜線を引く。
「ええっ!?」
驚く私をよそに、こばとはなにかを書き込む。
そして、笑った。
「誤字があったから、直したの」
へぇぇぇ・・・・!!
でもでも、一瞬で分かるって、スゴイ!
こばとの才能だね!
こばとと話していたら。
キーンコーンカーンコーン
掃除の時間を教える、チャイムが鳴った。
「じゃあ、放課後ね!」
こばとと約束して、掃除場へ向かった。