【先行投稿】帝國戦史(仮名)

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13:アーリア:2017/08/08(火) 00:18

【前レスの続き】

 その後も、相変わらずアッシュ以外の守備兵と出くわすことは無かった。だが、守備兵ではないのであれば、目の前に1人の女性が立っている。先ほどの謎の女性だ。
 女性は口を開き、

「仕事は終わりよ。ご苦労様」

 と、女性は言った。「仕事」と言えば、伯爵の暗殺を支援するために屋敷内を走り回ることなのだが、果たしてその「仕事」のことを言っているのであろうか? もし、違うのであれば大変なことになる。

「し、仕事って屋敷内を走り回ることですよね? 」

 私は、「暗殺の支援」と言う部分は省いて女性に質問をしてみた。

「そうよ。貴方の仕事は屋敷内で走り回ること。それが何のためなのかは知っているのかしら? 」
「一応、仕事を引受ける時に聞きましたが・・・・・・」

 互いに「暗殺」と言う言葉は口にしなかった。恐らく、女性も警戒しているのであろう。そして私は言う。

「とりあえず、私はどこから帰れば良いのでしょうかね? 」
「来た時と同じく、玄関から庭に出て、橋を渡って門を出なさい。貴方の通行を妨害する者は少なくても、この屋敷の者には居ないはずよ」
「分かりました。信用しますよ」

 そう言って、私はこの場を後にしようとした。そして、私が今にも立ち去ろうとした瞬間に女性が口にした言葉に私は凍りついた。

「けれども、ボリスとか言う騎士には気をつけなさい」

 ボリス。
 そう。彼は私に仕事を振ってきた者の名前だ。


 ボリスは今、伯爵側の守備隊長を前にしていた。

「伯爵閣下がキミたちの手の者によって殺されたとの報告がある。この反乱に暗殺は本来許されることでは無いが、マーシャ伯爵代理より、キミたちの所業は不問とするお達しがあったものでな」
「うむ。では我々は自己の所領に帰るとしよう」

 このボリスの素っ気ない態度に、守備隊長は感情を抑えるのに必死であった。守備隊長からすれば、反乱は起こされ守るべき者は殺され、その元凶(真の黒幕は別にして)のこの態度を目の前で見せ付けられ、殺意が頭を支配していた。

「なるべく早く帰ってくださいね」

 守備隊長はそう言い残し、門の中へ入っていった。

「さて、彼の始末はどうしたものか」

 ボリスが小さな声で呟いた。当然、その「彼」と言うのはアルフレドのことである。伯爵の暗殺に成功した今、アルフレドはボリスにとって邪魔な存在となっていた。5億マネーもの大金を支払う気はないからだ。既に前金として支払った1億マネーですら大きな出費であり、さらに、ただの手駒如きにこれ以上の大金を支払うのもボリスからすれば癪に障るのである。
 アルフレドからすれば、無事に危険な仕事を終えたと思えば、今度はボリスに始末されると言う危険が迫っていたのであった。


第2話 終わり


アーリア◆Xo:2017/08/08(火) 00:26 [返信]

そういえば、>>13の冒頭に※の印を入れるのを忘れた。


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