総督の苦難

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66:総督:2018/07/12(木) 19:43

「海軍の支援を望むしかないか・・・だが成功するだろうか・・・陸軍と彼らだけではあまりにも無力だ」
「総司令、何を泣いておられるのですか?」
そう言って突然男は少尉を押しのけ陸上大将の肩を叩いた。男の軍服はボロボロであったが士官のような印をつけていた。
「その声は・・・ピエトロ少佐!生きていたのか・・・」
驚くのも無理はない。この男、命令を無視して突貫し、死亡報告が出ていたのだ。大将は驚きのあまり矢継ぎ早に質問をした。
「なぜ生きている?」
「なぜここに来た?」
「なぜ・・・」
「総司令、貴方が仰りたいことはだいたいわかります。なぜ生きているかといいますと、自分は敵の射撃を腹と太ももと顎に受けたのですが、突然意識が回復して逃げてきたわけでございます。さっき弾丸を摘出したら痛みも消えましたよ」
彼はつづけた
「私がここに来た理由は、先ほど命令違反を犯したその咎を受けに参ったのです」
「では、君に頼みたいことがある」
ピエトロ少佐は任務と聞くと身を乗り出して嬉々として
「何ですか?何ですか?」
と大慌てで尋ねた。そんな彼を見て大将は微笑ましそうに
「君の部隊と橋立砲兵連隊と合同で今日の夜、東湾の付近に布陣してほしい。政府艦隊から開戦の入電があったらすぐに砲撃を開始せよ。ただし元気な者しか連れて行っちゃいかんぞ」
「御意。早速部下に伝えてまいります」
「うむ・・・すまんな」
大将の目は沈んでいた。これはそこらの咎よりも厳しいのだから。


猫又◆j.:2018/07/13(金) 00:34 [返信]

こんにちは、猫又です。
早速ここまで読ませていただきました。

読んでみての感想ですが、
ハードボイルドな作品だなー感じました。

兵器や展開が本当に精巧に描かれていて、
リアリティのある戦場、戦争が書き綴られている。
なかなかこのレベルの描写、表現ができている作品は無いと思います。

ただ、小説としてどうかと聞かれれば、
正直、首を傾げる作品でした。
冒頭でも書きましたがすさまじくハードボイルド。
……悪く言えば無味乾燥とも言いますが、
戦争を行う人々の葛藤。独自の世界観といった
読者を引きつける要素が薄い作品という印象が強いです。

たしかに武器の戦争の采配といった設定は、
度肝を抜くような個性がありますが、
本文が『誰が』『どうした』『何が』『どうした』という文だけでは、
報告書のような面白みの無い文章しか生まれません。

読者は世界観から物語に入り、
個々の人物やモノの設定に意味を与えて、
作品に共感、共鳴を起こします。

『いつ、どこで』という舞台設定を常にはっきりさせた上で、
『だれが、なにを、どのように、どうしたのか』を描きましょう。
そこに『なぜ』という登場人物たちの心情や展開の理由をからめる、
もしくは想像できるような描き方をすれば物語性や情緒といった味は、
自然と出て来ます。
(例を上げると >>66 の大将の目は沈んでいた。という描写。
この戦争、世界観に対するキャラクターの心情が現れていると思います)

よく少年漫画では様々なピンチや葛藤があると読者を引きつけるといいます。
ピンチでは多くの人の心が揺れ動き、それに読者が共鳴するからです。
せっかく、すばらしい武器のアイデア、
高い説明能力、文章構成能力があるのでしたら、
その設定に色を塗るように人の心を含めた描写力を高めてはどうでしょうか。

あくまで私の意見ですが
何かのきっかけになってくれると嬉しいです。
それでは〜


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