「なんで……奏は、黒瀬君じゃなかったの?」
私の口から出たのは、それだった。怒りでもなく、純粋な疑問。
「そうだよ。……ううん、そうだと思ってた。でも、夢乃と悠馬君の惚気話を聞くたびに心が締め付けられるように痛かった」
奏は、その時を思い出したかのように顔を顰め、私に告げる。
「夢乃……私は、悠馬君を譲ってほしいわけじゃない。でも、私が勝てる見込みなんて全くないとわかってるけど、私は。あなたに、───悠馬君の彼女であるあなたに言う。私は、全力で悠馬君を堕とす。だから……身勝手だってわかってるけど、私は、貴方のライバル。私にとられないように頑張ってね?」
妖艶に微笑んだ奏は、そのまま踵を返し、校舎へ入っていった。それを茫然と身を繰りながら私は……
「か、彼女って言われた……。あ、そう言えば私が黒瀬君に襲われてる時に悠馬も『彼女』って言ってくれたなぁ。……あぁ、思い出しただけで身震いするくらいカッコイイ……」
まぁ、イロイロ残念だろう表情で身をよじらせていた。
「だから、奏に悠馬を取られるわけには……これってNTRだよね?そういう展開もありっちゃあり、かな?あーあ、異世界に飛ばされないかなー」
私の頭もすでに手遅れらしい。自分で気付くほどには。
奏編
>>40「私、思ったんだ。あの時。夢乃を…助けたいって。
私が一番大事なのは、夢乃なんだって…」
>>220「夢乃……私は、悠馬君を譲ってほしいわけじゃない。でも、私が勝てる見込みなんて全くないとわかってるけど、私は。あなたに、───悠馬君の彼女であるあなたに言う。私は、全力で悠馬君を堕とす。だから……身勝手だってわかってるけど、私は、貴方のライバル。私にとられないように頑張ってね?」
>>425「はら、夢乃って大体相手の考えないじゃん。相手のために考えてる! とか言っても本人からしたら迷惑、ってことは夢乃の場合よくあるよ? ソースは私」
「でも、それでも夢乃はいつも頑張ってた。それに私は負けた。でも今回はどう? たった数回悠馬君に拒否られたくらいで何へこたれてんの!? そんな暇があるなら自分のエゴを貫き通しなよ!」