そして待ちに待った研修日当日。恋敵であるあの二人を圧倒的な戦力差(現実)によって完膚なきまでにぶちのめすために私は心を躍らせた。
大阪に着き、班行動が始まった。最初は私たちの間にバチバチ火花がとんでいるのを察しているのかどこかぎこちない様子だった悠馬。でも私にはそんな事関係ない。
「えいっ!」
私は目にも止まらぬ速さで悠馬の腕に自分の腕を絡ませた。どうよこの手を繋ぐのすらまだしてないのにいきなり腕を絡ませるという高等技術(笑)は!
二人をドヤ顔で見つめる。この時の表所は過去最高に素晴らしいと思う。相手をイラつかせるという意味で。
「えっと、夢乃? 離れてくれない? 歩きずらいんだけど……」
「我慢」
「え、でも……」
「我慢」
「……何かあった?」
「……」
何も無かったら腕を組んでないよ!これ恥ずかしいんだからね!?
「えっと、周囲からの目が気になるんだけど……」
「じゃあその二人を追い払ったら?」
「……夢乃怒ってるよね?」
そりゃ怒りますとも! なんたってもう片方の腕には奏が、腰には芽依ちゃんが抱き着いてるもんね。てか離れろ。歩けない。特に芽依。貴様はライバルとして認めてない。失せろ。
そして悠馬よ。何鼻の下延ばしてんだ。去勢するぞ。……あ、それはダメだ私が困る。
「歩けないからどいて欲しいなー、とか思ってるんだけど?」
「何故それを私に言うの?」
「いや、夢乃だけじゃなくて皆……」
「「「我慢」」」
「それじゃあ歩けないんだけど……」
「「「頑張って」」」
「無理だよ!?」
まったく、力がないなぁ。
と、私が悠馬に呆れていると、急に悠馬の顔が歪んだ。それを私が確認したと同時に悠馬が屈みこんでしまった。
「悠馬!? どうしたの!?」
「悠馬君!?」
私と奏は大いに慌て、悠馬の隣に膝を突いた。私達に解放された手を使って悠馬は、自分の胸元を力の限り握りしめていた。
……芽依ちゃんは立ったまま茫然と悠馬と悠馬を心配する私たちを見下ろしていた。芽依許すまじ。絶対ミンチにする。
>>294主人公怖えなww
>>294腰に巻きついてるww何してんの芽依さんww