〜第一話〜
春が舞い降りる少し前、私(仁志田 美夜)は新しく住むアパート「草花荘」にやってきた。
部屋にはもう引越し屋さんが荷物を運んできてくれたから、必要最低限の物しかバッグに入っていない。
どうやら大家さんによれば「訳あり物件」だそうだ。
大家さんにあいさつを済ませ、鍵を受け取った。
錆びついた部屋のドアノブの鍵穴に入れ、回す。重く、錆びついた音がした。
大家さんがきれいにしてくれたようで、フローリングや窓は綺麗だった。
小さなリビングに入ると、乱雑に置かれた段ボールが目の前にあった。
こんなにたくさんの段ボールを開封しなければならないのか、と引越し早々気が重い。
その前にトイレに行こう。それから荷物の整理をしよう…そう思った時だった。
…何か、いる。私の直感だけれど。
背後のリビングから、段ボールを開封する音がする。
警戒しながら振り返る。ここからはよく見えないので、少しずつ進む。
何か、いた。黒いゴスロリの服を着ている、ウェーブのかかった長い黒髪の女の子が。しかも私と同じくらいの。
なぜ、ここに?いったい、誰だ?あの子は、何者なんだ??
段ボールから、何か取り出した。…私の制服だ。
「〜〜〜、〜〜〜。〜〜〜〜〜」
声が小さくて、何を言っているのかは聞き取れない。
ポケットの中を手探りで探している。きっと生徒手帳かなんかを探しているのだろう。
家に入り込んで、さらに人の物を勝手にあけて、どれだけ非常識なやつなんだ。
…ここでもたもたしててもらちが明かない。出て行ってもらおう。いや、無理やり叩いてでも追い出そう。
背負っているリュックを手に持った。後ろを向いている相手の頭めがけて振り下ろした。
「_っと。ごめんごめん、勝手にあけたのは謝るけどさあ、いくらなんでも初対面で暴力はないでしょうよー」
何かがリュックを止めた。気配は消していたはずだ。なのに、なぜ――。
「あ、ごめん。気配はわかってたけどさ、面白いからつい。
でもまさか暴力振るってくるとはなあー。素手じゃなくて鎌で受け止めちゃったじゃん」
…え?え?え?
わけが分からない。いま、こいつはなんて言ったんだ?鎌?
この人は一体誰なんだ?―――いや、人ではない「何か」がここにいる。
「いいから、ここに座って座ってー」
「いやここ私の家なんですけど」
「いやいや、元からここは私の家だよ〜。
キミが来るずっと前から住んでたんだから」
>>5の状況の描写がよく伝わってきて、その場面が目に浮かぶようでびっくりしました!
本当に初めて小説を書かれたとは思えません((((;゚Д゚)))))))
>>10のやりとりも面白いので、2人の会話の間にその時の人物の仕草などの描写を入れたら更に良くなるのでは、と思いますd(^_^o)
(↑なんだか上から目線ですみません)