>>2の続き
「茉依?」
私が目を覚ますと、そこには心配そうな顔をした女性が立っていた。
私が入っている児童保護支援所の園長さんだ。
その横には私担当の佐賀見 美澪[さがみ みれい]さんも立っている。
私は体を起こすと、疑問を口にした。
「私、は……?なんでこんなところに?」
そういえば、夢を見ていたような気がする。
確か、車に退かれそうになってそのあと……
ダメだ、思い出せない。
その時、隣で寝ている男の子に目が行った。体中に包帯を巻き、呼吸器をつけている。
初めて見るのに、まるで今までずっと側にいたような感覚だ。
「彼は?」
美澪さんに聞くと、彼女はすごくびっくりした顔をした。そして、こう言った。
「茉依、彼は海斗くんよ?櫻井海斗くん。あちこち包帯巻いているから分からなかった?」
「海、斗……?誰、それ…」
海斗という人物は、私の人生を大きく変えた人だった。
>>14の続き
4月10日、今日は私が通い始めた青空小学校の始業式。
転校初日であり、小6初日でもある大切な日。
私は、窪田茉依[くぼたまい]、小学六年生。
実は、私には秘密が2つあるの。
1つ目は、私は児童保護支援所『ひまわり』に住んでいること。
私は、母親からの虐待にあい、ひまわりの人に相談して家を出ることになった。
そして、私はひまわりに入る上で、とある目標を作った。
それは、自分で稼いでいくこと。
私は、自分で稼ぐために、芸能活動を始めることを決意し、この春から収録が始まる新ドラマのオーディションを見事勝ち取ったんだ。
それが、2つ目の秘密ね。
私がひまわりに入ることや、芸能活動を始めることを決意したのは、大切な人のおかげなの。
覚えていないけれど、とても大切な彼のおかげ___