『茉依、危ね…』
その声と共に、私の体に固い物体があたり、歩道へと突き飛ばされた。
『海斗!海斗___!』
私は一生懸命叫んだ。でも、そんな声が届くはずもなく……
気が付くと、病院のベッドに横たわっていたんだ。
>>2の続き
「茉依?」
私が目を覚ますと、そこには心配そうな顔をした女性が立っていた。
私が入っている児童保護支援所の園長さんだ。
その横には私担当の佐賀見 美澪[さがみ みれい]さんも立っている。
私は体を起こすと、疑問を口にした。
「私、は……?なんでこんなところに?」
そういえば、夢を見ていたような気がする。
確か、車に退かれそうになってそのあと……
ダメだ、思い出せない。
その時、隣で寝ている男の子に目が行った。体中に包帯を巻き、呼吸器をつけている。
初めて見るのに、まるで今までずっと側にいたような感覚だ。
「彼は?」
美澪さんに聞くと、彼女はすごくびっくりした顔をした。そして、こう言った。
「茉依、彼は海斗くんよ?櫻井海斗くん。あちこち包帯巻いているから分からなかった?」
「海、斗……?誰、それ…」
海斗という人物は、私の人生を大きく変えた人だった。