高梨斗輝は読んでいた小説を閉じ、机に置いた。
目を瞑り、大きく息を吸い込む。
「全く、ひまりのヤツも下らないものを読ませる」
ため息と共に吐き出す、大きな独り言。
聞く相手もいないはずだった言葉は、
いつの間にか部屋の扉の前にいた少女に咎められた。
「下らないとは何よ!それ今1番流行りの小説なんだよ!」
「ひっひまり!?いつからそこに?」
驚く斗輝をよそに、ひまりと呼ばれた少女は、
部屋に入ってきて机の上の小説を手に取った。
「いつからでもいいでしょ。
この本、お気に召さなかったみたいね」
憎まれ口を叩くひまりに、斗輝も応戦する。
「あぁ、そうだな。
そんなコッテコテで、キッラキラで、
ちゃっちいファンタジーなんか気に食うか」
それを聞き、たちまち憮然とした表情になるひまり。
険悪な空気を感じ取ったのか、
斗輝は咄嗟に臨戦態勢に入った。
「そこまで言わなくたって良いじゃない!
もういい、帰る!」
声を荒らげ、部屋を出ていくひまり。
取り残された斗輝は、
今度こそ誰にも聞かれない独り言を、
「てゆーか勝手に来てなんなんだアイツ……」
ポツリと呟いた。
>>6は>>2の前だと思って下さい。
整合性付けるために表現をいくらか変にしてるのは気にしないで…