私は、朝倉 陽愛、今日で11歳。
今日は、私の誕生日。
「おめでと!」
「ありがとー」
朝、教室に入ると、友達がどんどん集まってきて、私を囲んだ。
それにつられ、男子達もそれぞれおめでとう、と言っている。
でも私は、少しがっかりした。
だって、幼なじみで片想いの悠哉がいない。
遅刻常習犯だから仕方ないけど。
悠哉は、優しくて、勉強もスポーツも出来る。
何より身長といい、顔といい、私のタイプそのもの。
幼稚園の頃からよく遊んでたけど、恋心に気づいたのは今年の始業式。
そう、春休みの間に顔が変わってた‼
何故か分からないけど、大人になったな、って言う感じで、私は初めて恋を実感した。
その時だ。
「おはよ!」
私はこの声に、心臓がビクッと跳ねるのがわかった。
「ゆ、悠哉!今日早いね!」
そう、遅刻常習犯の悠哉がやって来た。
満面の笑みで。
「おう。今日誕生日なんだろ」
「覚えててくれたんだ…」
私にとって、何もなくても覚えててくれただけがすごく嬉しい。
「そりゃ嫌でも覚えるだろ。毎年誕生日って騒ぎまくって」
「もー!別にいいじゃん!」