>>44
そして一週間。お出かけの日である。
一応、1日前にネアが確認に行ったところ騒ぎは起こらなかった上であった。カルトナの人望が高いこともあっただろう。
だが、それでも消えない視線が一つ。
ネアのパートナーはスミレだ。そこには絶対的な愛がある。······そのせいで、同性愛に対する好奇の視線が発生しているのだ。さすがのカルトナもそこまでの理解を変えることは出来なかった。
一応カルトナが過激な者達を成敗したらしく(おそらく弟子に対する善意で)、何も起きなかったのだが、それでも心配なものは心配であった。
ネアが悩んでいると、スミレが傍にやってきた。
「どうしたの、ネア?」
「うーん······何でもないかもしれないしー······えっと、」
「私との関係のこと?」
「······うん、かいつまむとそうだねー。·····実はね、下調べの時······」
ネアが話し終えたとき、もう出発時刻が迫ってきていた。だが、二人は動かない。
「······えっと、ネアはどう思ってるの?」
「私はスミレ愛してるから、離れたくないなー」
「なら決まり!胸を張って歩こうよ!手を繋いで、二人で!」
「······ありがとうー。なんか吹っ切れた」
「少し恥ずかしいけどね。······あ、私もネア愛してるよ。······じゃあ行こう!」
「······ずるい」不意打ちを食らったネアは、そこで数秒悶えていた。
[ちょっとあとがき]
次回は本当にお出かけ回です。
遥架さん!感想ありがとうございます!
頑張ります!
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>>47
大陸へはスミレとアヤメの希望で舟で行くことにした。────そう、舟。
勇者パーティーが最期に島に来たときの舟である。縁起は知らない。感傷旅行である。
顔を赤くしながらいち早く乗ったスミレは改めてその舟を観察する。
────特に工夫もない、至って普通の舟であった。少し違うとすれば、やや頑丈に見えることぐらいか。
そこでネアが隣にやってきた。なのでスミレは少し聞いてみることにした。
「あ、ネア。これって何か魔法かかってる?」
「んー?えーと、耐久強化、撥水、安全地帯の魔法だねー。前者は結構あるよー。安全地帯の魔法は私が掛けたー」
「結界を張らないのは何で?」
「んー、それだと速度が遅くなっちゃうからー······」言下にスミレと会いたい皆の心の現れだよーと説明したネアだった。
「それは······ありがとう」今度はスミレが照れる。
「お待たせしました。······うん、やっぱりこの舟ですよね」
何か準備があったのか、申し訳なさそうなアヤメが最後に来た。だがあまり待っていないので笑って迎える二人だった。
「準備はいいー?いっくよー!」
ややテンションが上がっているネアの掛け声と共に、魔法により舟が進み始める。
「大体大陸まで小一時間かなー。······何する?」
「何って······姐さん、道中の計画は無いんですか」
「ごめん楽しみ過ぎて忘れてたー」
「もう······」スミレはネアの髪を軽く撫でて、そして持ってきた小箱からあるものを取り出す。
「じゃじゃーん。トランプだよ!」
「あ、確かスミレが色んな遊び方教えてくれたやつー」
「確かにそれなら道中暇しませんね。えっと、ババ抜きですか?」
「私戦争がいいー」
「ダウトは······教えてないや。ダウトやる?」
「「どんなのー」ですか?」
その後、あっという間に時間は過ぎて。
大陸に到着した。