すると、私は予想外の展開に目を丸くしてしまう。
なんと彼は───私が持っていたはずのキャリーバッグを手にしていたのだ。
「…なんで………っ」
怒りが沸き起こってくると耐えきれず私は彼の方に近づいて行く。
抑えきれずに気付けば行動してしまっている私が居たのだ。
「ねえ、どうして持ってるのよ……それりいりのだから。返して!」
「じゃあついて来いよ」
相手は真面目な顔で言って退けているものの私は本気だった。私のことを馬鹿にしているのだろうか?
「どういう事……?」
彼は私の独り言を無視して公園から出て行こうとしている、しかし落ち込んでいてもしょうがない。
下を向いてでもついて行くしかないのだ。