わたしって結構可愛いらしい。
親は四回も変わっているけれどみんないい人たちだったし。
だからわたしは幸せらしい。友だちも沢山いるし大切な人も隣にいるし。
だから、__コツン、。わたしの足元にボールペンが転がってきた。
わたしはそれを拾いあげて自然とあの子の方へ歩み寄っていく。
「落としたよ」
「…あぁ、ありがとー!最近ペン回ししてるんだ。出来るようになってきたから」
「ふーん。…わたしにもそれ教えてよ」
「もちろんだよ!」
まるで初めて知ったような驚き方をする。嘘なんだけどね。
ずっときみのことを見ていたしきみが出来たこともハマってることも知ってる。
そんなこと言わないけれど幸せそうなきみの笑顔が大好き。
「こうやって、と!…ほら出来た!」
見た目以上に難しいペン回しをする。親指の上で、くるんと回した。
「それってかなりムズイやつだ。やっぱり諦める」
「こら、いのり!諦めが早すぎるぞ!」
また自分の席へ帰ろうとするわたしに袖を引っ張って止まらせる。
うん、やっぱりかわいいんだよな。顔に出づらいわたしは内心そう思いつつえー、と口を尖らせる。
しょうがないなあと態勢を整えるとクラスメイトの子がきみに呼びかける。
分かったー、と大きな声でクラスメイトに言うとまたね、とわたしに手を振った。