>>483
僕だけにしか分からない合図。
殺せんせーはそう言ってくれたけれど、どういうことだろう。
殺「あえてアドバイスをしろと言うのならば、一つ。海さんの動きをよく注意して見ていてください」
渚「よく、注意して?」
機敏に動く海。2人の殺し屋は海の動きを止めようとするけれど、海はその手につかまることなく、ぎりぎりでよけている。
動くナイフ、そしてロープとかのウェストバッグからでてくるもろもろの武器。
上に放たれる、ナイフ。
あれだ!
茅「渚っ⁉」
僕はみんなが止めるのも構わず走りだした。
天井に放たれたナイフの柄を持ち、それをトゥイードルダムと呼ばれていた女性の殺し屋の首をねらうようにして思い切り振った。
ダ「なっ」
すれすれでよけられてしまった、僕の攻撃。
デ「ここに来てコンビネーションをする気かい?」
僕は海の隣に並んだ。
海「ナイス、渚。タイミング完璧」
渚「え、これでよかったの?」
海「うん」
海はにこりと笑った。
海「さて、渚。ここからが本番だ。私の指示に従って動いてほしい」
海が自分の手と手を合わせた。
なんとなくだけど、そのハンドサインが何を示すのかわかった。
おそらく、「任せた」
海が走りだす。僕はその後方を走った。
すると、海が僕の方をいきなり向いてきた。彼女は自分の口もとに人差し指をもっていった。そして、クスッと笑うと、何かを投げ渡してきた。
思わずつかんで気づいた。
お、重いっ‼
でも、ここで迷ってはいられない。
海が次の指示をだす。僕はその通りに走りだした。
あの殺し屋2人は、僕の動きに気づいていない。
その、意識の隙を突くんだ!
ダ「⁉」
デ「もう1人はどこに消えた⁉」
海「ハハッ」
海は笑った。
それが、オッケーサイン。
ダ「がっ」
デ「ぐぉっ」
僕がいたのは、2人の殺し屋のすぐ後ろ。
海が僕に指示したのは、「しゃべるな」と「後ろに回り込め」
そして、海の「笑う」意味は、「準備万端」
僕は2人の殺し屋に向かって、海が投げ渡してきた物、すなわち「夏休みのしおり」を彼らの頭にたたきこんだのだった。
海「渚が修学旅行のときにしおりを持っていたから、それが参考になったよ。しおりも凶器にできるってさ」
海が掲げた手を、僕はたたいた。
僕らの、勝利だ!