暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part4♪

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665:凪海:2016/04/14(木) 21:46 ID:ySs

>>660

 私は慌ててドアを閉めた。

「速水?」

 千葉がドアをどんどん叩く音が聞こえる……。
 というか、なんで来てるの⁉ 
 いきなり来るから何をどうすればいいのかわからない。服はパジャマだしっ。

「な、何か用⁉」

 思わず声が上ずった。

「……中村たちに頼まれたんだ。今日、学校で配られた手紙とか、色々」

 なんだ、お使いか。
 私はゆっくりとドアを開けた。

「いらっしゃい」
「え、入っていいのか?」
「平気だよ。今、親いないから」

 私は千葉を家に招いた。

「そこに座ってて」

 千葉に席に着いてもらって、私は冷蔵庫を開いてお茶を取りだし、自分用と千葉用にお茶を用意した。

「はい」
「ああ、ありがとう」

 席で向かい合ってから気づいた。
 や、やっぱり気まずいっ‼
 昨日、あんなこと言っちゃったし。何しろ、今、パジャマだしっ‼
 もうちょっと普通の私服で出迎えればよかった。

「じゃあ、俺はこれで」
「え、もうちょっとゆっくりして……あ、いや。なんでもない……」

 なんでそんな言葉を口に出そうとするのよ。
 千葉はお使いで私の家に来ただけなんだから。

「明日、来られるといいな」
「大、丈夫……。ちょっと今日は体調悪かっただけだから」
「そうか」

 不意に千葉の手がのびてきて、私の頭の上に乗った。

「待ってるから」

 私は視界がぼやけた。
 ううん、ぼやけたんじゃない。涙が……。
 
「うっ……」
「え、速水⁉」

 私、色々考えて。きっと煮詰まりすぎたんだ……。
 だから、こんなに……。

「おい、大丈夫か?」

 千葉が心配してる……。
 答えたいのに、何か言っておきたいのに、何を言えばいいかわからない。

「私、千葉に……嫌われたくないっ」
「え?」

 言ってから気づいた。
 そうか、嫌われたくないってことは。

「私、千葉のことが好きっ……」

 言葉に、なっていた。

「昨日、ひどいこと言っちゃってごめん……。私、怖かったの。千葉に、嫌われるんじゃないかって……。今日、会うの気まずくて。だから……」

 だから……。
 体が不意に温かくなった。

「俺さ、昨日。速水が渚と歩いてるとき、ちょっと心の中がモヤッとしたんだ。なんでかはよくわからなかったし、結果的に速水を傷つけてたことに気づいたんだ」

 千葉が、私を抱きしめていた。

「今日、中村たちに頼まれたってあれ。嘘なんだ」

 私は驚いた。
 う、そ……?

「速水が来なかったから心配して、それで渚に思わず聞いたんだ。昨日、何を話してたんだって。そしたら、『僕からは何も言えないよ。本人に会いに行ったらいいと思う』って。そう言われて、俺も気づいたんだ」

 不意に、唇がふさがれた。


凪海:2016/04/14(木) 23:44 ID:ySs [返信]


 何が起きたのか理解できず、私はしばらくの間茫然としていた。

「速水?」

 声をかけられて初めて、私は気づいた。 
 今もしかして、キスされた⁉

「あ、えっと、あの……」

 涙、とまっちゃった。
 私たちは顔を見合わせて、互いに赤面。

「それじゃ、俺はこれで」

 私が何か言う前に千葉は玄関へと走っていった。
 玄関のドアが閉じる音が確かに耳に届いた。

「あ、ま、待ってっ‼」

 私は思わず声にだしていた。そして、走った。

「待って、待って、千葉っ‼」

 外に飛び出して、千葉を追いかけた。
 彼はすぐに気づいて、立ち止まってくれた。

「速水、ごめん」
「そ、そんなことないっ! 謝る必要なんてないよ……」
「それと、1ついいか?」
「う、うん」
「どうして裸足なんだ?」

 言われて気づいた。
 お、思わずっ。

「い、急いでて。その、じゃないと千葉。帰って行っちゃうかと思って……っ!」

 息をきらしながら必死になって弁明して、さらに息をきらしてしまった。
 すると千葉はクスクス笑い始めた。

「わ、笑うことないじゃないっ!」
「クスクス。ごめんごめん」

 千葉が座った、道路の真ん中で。
 私はその仕草を見て、ぽかんと口を開けた。
 何してるの?

「裸足で道歩いたら怪我するだろ。送ってやる」
「いいよ、そんなことしなくても!」

 そんなことしたら、近所で噂される。

「いいから」

 千葉がこっちの目をのぞきこむようにして顔を向けてきたから、私は恥ずかしさと照れで顔を真っ赤にしながら千葉の背中に乗った。
 は、恥ずかしい……。

「お、重くない?」
「平気」

 少し目線が高くなって、私は違う世界が見られたような気になった。
 ああ、この高さがいつも千葉が見ている景色なんだな。

「私、千葉のこと好き」
「……知ってる」
「だから、これからも、その……よろしくね。絶対、暗殺。成功させようね」
「クスクス。そこに戻るあたり、速水らしいな」
「そ、そうかな……」

 玄関前で千葉におろしてもらった。

「それじゃあな、また明日」
「うん、バイバイ」

 空が夕焼け色に染まる頃、私たちは別れた。
 この幸せな空が、いつまでもいつまでも続けばいいと思った。


 幸せな空の下、その恋人たちが互いに下の名前で呼び合うのは
 
 まだもう少し先の話。

〜END〜

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 最後の2行いらなかったかなぁ。うまくできてるといいんだけど……。
 何気にだんだん少女漫画的展開になってしまうのは、許してください_(._.)_
 
魔女)どうかな? 気にいってくれると嬉しい!

A)それじゃあリクに答えるねっ! 今日は無理かもだけど、そのうちっ! えーっと、「渚カエで渚女装デート」というリクでしたっけ??


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