暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part4♪

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660:凪海:2016/04/14(木) 02:02 ID:ySs

>>659

 私は一晩、色々と考えてみた。
 私が千葉に対して抱いている罪悪感とか、そういうものを。
 でも、考えれば考えるほど、ますますわけがわからなくなっていった。気づいたときには、朝になっていた。
 どれだけ考えすぎたのだろうか、私は。
 それに、寝不足に等しいから気分も悪い……。

「凛香、入るわよ」
「うん」

 母さんが部屋に入ってきた。

「顔色悪そうね。大丈夫?」
「平気」

 すると母さんはため息をついた。

「あなたはそうやって、いつも本心を隠そうとするのよね……」

 え?
 いきなりそんなことを言われるとは思っていなかったから、ぽかんとした。

「今日は休みなさい。母さんは午後からちょっとでていかなきゃいけないから、とりあえずお昼はコンビニでなんか買っておいてあげるから」

 母さんはそう言って私の部屋からでていった。
 私はすぐにLINEで矢田に連絡した。

「体調が悪いから学校を休むことにします」

 すると、すぐに返信がやってきた。

「平気なの? 昨日からずっと変だったけど……」
「別に行ってもいいんだけど、母さんに『休め』って言われたから」
「そうなんだ。それじゃ、体に気をつけてね」
「ありがとう」

 会話を終えると、私は急に襲ってきた睡魔に勝てず、ゆっくりと目を閉じた。


 家じゅうに鳴り響くドアフォンの音で目が覚めた。
 うん。さっきより冴え冴え(さえざえ)としてる。どうやら寝不足だったみたい。 
 私は午後になったら母さんが家にいないことを思いだし、慌てて玄関へ行ってドアを開けた。

「すみません、待たせました……」
「よっ」
「千葉……」

 学校から帰ってきたばかりという出で立ちの千葉が、そこには立っていた。


凪海:2016/04/14(木) 21:46 ID:ySs [返信]


 私は慌ててドアを閉めた。

「速水?」

 千葉がドアをどんどん叩く音が聞こえる……。
 というか、なんで来てるの⁉ 
 いきなり来るから何をどうすればいいのかわからない。服はパジャマだしっ。

「な、何か用⁉」

 思わず声が上ずった。

「……中村たちに頼まれたんだ。今日、学校で配られた手紙とか、色々」

 なんだ、お使いか。
 私はゆっくりとドアを開けた。

「いらっしゃい」
「え、入っていいのか?」
「平気だよ。今、親いないから」

 私は千葉を家に招いた。

「そこに座ってて」

 千葉に席に着いてもらって、私は冷蔵庫を開いてお茶を取りだし、自分用と千葉用にお茶を用意した。

「はい」
「ああ、ありがとう」

 席で向かい合ってから気づいた。
 や、やっぱり気まずいっ‼
 昨日、あんなこと言っちゃったし。何しろ、今、パジャマだしっ‼
 もうちょっと普通の私服で出迎えればよかった。

「じゃあ、俺はこれで」
「え、もうちょっとゆっくりして……あ、いや。なんでもない……」

 なんでそんな言葉を口に出そうとするのよ。
 千葉はお使いで私の家に来ただけなんだから。

「明日、来られるといいな」
「大、丈夫……。ちょっと今日は体調悪かっただけだから」
「そうか」

 不意に千葉の手がのびてきて、私の頭の上に乗った。

「待ってるから」

 私は視界がぼやけた。
 ううん、ぼやけたんじゃない。涙が……。
 
「うっ……」
「え、速水⁉」

 私、色々考えて。きっと煮詰まりすぎたんだ……。
 だから、こんなに……。

「おい、大丈夫か?」

 千葉が心配してる……。
 答えたいのに、何か言っておきたいのに、何を言えばいいかわからない。

「私、千葉に……嫌われたくないっ」
「え?」

 言ってから気づいた。
 そうか、嫌われたくないってことは。

「私、千葉のことが好きっ……」

 言葉に、なっていた。

「昨日、ひどいこと言っちゃってごめん……。私、怖かったの。千葉に、嫌われるんじゃないかって……。今日、会うの気まずくて。だから……」

 だから……。
 体が不意に温かくなった。

「俺さ、昨日。速水が渚と歩いてるとき、ちょっと心の中がモヤッとしたんだ。なんでかはよくわからなかったし、結果的に速水を傷つけてたことに気づいたんだ」

 千葉が、私を抱きしめていた。

「今日、中村たちに頼まれたってあれ。嘘なんだ」

 私は驚いた。
 う、そ……?

「速水が来なかったから心配して、それで渚に思わず聞いたんだ。昨日、何を話してたんだって。そしたら、『僕からは何も言えないよ。本人に会いに行ったらいいと思う』って。そう言われて、俺も気づいたんだ」

 不意に、唇がふさがれた。


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