暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part4♪

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757:凪海◆3A:2016/04/16(土) 18:05 ID:ySs

>>716

 校舎に茅野が持ってきた荷物を置くと、カルマくんが言った。

「でさ、渚くんと茅野ちゃん。下まで行って、お使い頼まれてくれない?」
「お使い?」

 茅野が首をかしげた。

「そうそう。あ、私服で行ってね。制服で行って本校舎の先生に寄り道してるとか言われたら、色々面倒だから」
「オッケー」

 え⁉

「ち、ちょっと待ってよ、カルマくん。私服って何? そんなの聞いてな……」

 あ!
 つまり、これが狙いだった⁉

「あっれー、渚くんには連絡回ってなかったんだ。私服持って来いって」

 僕は何かまずい予感がして、慌てて茅野の手をつかんだ。

「い、今すぐ行ってくるよ。大事な作戦会議をするんだから、着がえなんて時間のロスだし! ね、茅野‼」
「え、あ……」

 茅野の言葉を聞き終える前に、僕は茅野と一緒に走りだした。

「チェッ、つまんねぇの」
「あれ、カルマ。失敗したの?」
「あー、中村か。感づかれちゃったよ」
「なぁんだ。残念だなー」

 山を駆け下りていると、

「ス、ストップ渚っ!」
「あ、ごめん……」

 僕は茅野に声をかけられるまで走りつづけていた。
 茅野はいきなり走ったせいで汗をかいたのか、それとも別の理由か。顔を真っ赤にしていた。

「そ、それと手……」
「あ、ご、ごめんっ‼」

 つかんでいた手を、僕は慌てて離した。しばらくの間、気まずい空気が僕らの間を流れた。

「ねぇ、茅野……」
「何?」
「顔、真っ赤だけど……熱でもあるの?」
「え⁉ え、あ、そ、そんなに真っ赤かな?」

 そう言って、さらに真っ赤になっていく。
 そのとき、僕の携帯が鳴った。

「もしもし」
「渚くん。カルマくんにお使い頼まれたんだって?」

 電話の主は原さんだった。

「うん、そうだけど。あ、何を買っていけばいいのか聞くの忘れてた」
「実は今日、みんなでバーベキューをやらないかって話になってるのよ」

 バ、バーベキュー⁉
 そういうのって最終日にやる方が盛り上がるんじゃ……。というか、そもそも今回の合宿は殺せんせー暗殺のために集まったわけで遊ぶためでは……。

「これから言う材料を買ってきて。えーっと」

 僕は茅野に頼んで、材料をメモしてもらった。

「それじゃ、お願いね」
「うん、わかった」

 僕は電話を切ると、茅野と一緒に歩きだした。

「ど、どこのお店に行けばいいかな?」
「えーっと、安いお店は一通り知ってるから……そこに行こうかな」

 僕は茅野に手をだした。

「え?」
「早く行こう」
「あ、うん……」

 茅野が僕の手をギュッと握ってくれた。茅野の顔は、相変わらず真っ赤だった。


凪海◆3A:2016/04/17(日) 02:18 ID:ySs [返信]


カエデside

 やっぱり、渚は天然だよ……。普通に手とかつないでくるし。
 買い物が済んだ私たちは、学校に戻るとみんなと合流して暗殺計画を立て始めた。

「で、ここでさ……」
「それいい考え!」
「だとしたらさ……」

 暗殺計画はスムーズに進んでいき、そして、あっという間に1日は過ぎていった。
 で、もちろん夕飯はバーベキュー‼
 私は家庭科室でみんなにお茶を用意する係だった。

「あれ、足りなくなっちゃった」

 コップは最後なのに。

「まだ残ってたかなぁ」

 冷蔵庫を開けると、お茶の入った入れ物が置いてあった。

「よかったぁ」

 私はそれを手にして、最後のコップにお茶を注いだ。

「茅野さん、平気?」
「あ、神崎さん! 今、終わったところだよ」
「じゃあ運ぶの手伝うわ」
「ありがとー」

 私たちは協力してトレーの上に全員分のお茶の入ったコップを運んだ。
 みんなは今、外にいる。

「お待たせー」
「お、サンキュな。茅野も神崎も!」
「では、かんぱーい」

 みんなで乾杯をして、それぞれに食べ始めた。

「どうだ。順調に進みそうか」

 烏間先生が聞いてきた。

「はい。きっと大丈夫です」
「今回の暗殺計画で、今度こそ殺せんせーを殺れるわ!」

 中村さんの言葉に、私たちは「そうだね」とうなずきあった。

「ん? 渚くん、どうかしたの?」
「……ごめん。僕、もう休む……」

 ?
 どうしたんだろう、渚。なんだか顔色が悪そう。

「大丈夫? 渚」
「平気だよ」

 渚は私に笑いかけてくれると、学校の中へと戻っていった。
 心配だな……。
 でも、そんな必要はなかったみたいで。急に渚はふらっと戻ってきた。

「ねぇ、誰か服を貸してほしいんだけど」
「どうかしたの?」
「ほら、私服。忘れちゃったから……」

 あー、そういえばそうだったっけ。
 でも、なんで私服?

「大丈夫。俺持ってるから」

 カルマくんがにやりと笑いながら言った。中村さんも、にやにやしてる……。
 まさかとは思うけど。
 カルマくんは足元に置いておいたバッグの中から袋をだして、それを渚に投げた。

「それ、着なよ」
「ありがと……」

 そしてまた、ふら〜っと戻っていった。

「ねぇ、カルマくん。まさかとは思うけど……」
「さぁねー。果たして着るかどうかは別問題だけど」

 そう言ってカルマくんはお肉にかぶりついていた。
 やがて戻ってきた渚に、みんなはあぜんとした。でもやっぱりみんな、おおかた予想はついてたみたい。だって、カルマくんが渚に渡す服なんて1つしか考えられないから。

 渚が着ていた服は女の子用の服だった。


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