>>909
渚side
うーっ、頭痛い……。
そう思いながら目を覚ますと、そこは自分の部屋じゃなかった。
あ、そっか。今、殺せんせー暗殺のためにクラスで合宿の最中だったんだった。そう思いながら辺りを見回すと……。
「え、もう朝っ⁉」
慌てて起きて外へと急いだ。部屋の中はたたまれた布団だらけで、すでにみんな起きていることがうかがえたからだ。
「ごめん‼ 寝坊し……あれ?」
なんでみんな、外で寝てるの? しかも、超体育着を着て。
新しい訓練……ってわけでもなさそうだし、まさか朝練してたのかな?
それにしても、昨日の夕飯のまんまなんだけど。バーベキュー用のコンロとかだしっぱなしだし……。
カタッ
後ろ――校舎の中で音がしたから振り返って見ると、
「あ、茅野。おはよう」
そこには茅野がいた。茅野は眠たそうにまぶたをこすって、それから僕の顔をまじまじと見つめてきた。
え、何かついてるかな?
「な、なななななな、なぎ、なぎ、さ……」
?
茅野はかなり動揺しているようで、僕の顔をしっかり認識するなり、顔を真っ赤にしてどこかへ走っていってしまった。
「え、茅野⁉ おーい」
僕は声をかけたけど、止まってくれそうになかった。
いったい何が……。
「……ん? って、渚っ!」
「うわっ! 杉野か……。おはよう」
「おい、みんな。渚が起きたぞっ!」
杉野の声にみんなが次々と起きだした。
「渚っ!」
「よかったー」
「心配したんだぞ」
「もう体調は平気なの?」
え、え、え、え⁉
僕は何が起こっているのか理解できず、みんなの質問責めに慌てるしかない。
いったい何があったの?
「って、おい。渚、フツーすぎないか?」
フ、フツーって何!
「あれ、ホントだ」
「ねぇねぇ、渚くん」
カルマくんがにやにやしながら聞いてきた。
い、いつものいたずらを考えているときの顔だ……。
「何があったのか、自分の姿見て分からない?」
「すが、た……?」
僕は首を傾げて、なんとなく自分の格好を見返した。
え……。
「何これーーーーーーーーーーーーっっ‼」
な、なんで女装してんのさ、僕‼
挙句、髪の毛もヘアゴムないしっ‼
「ど、どうして⁉」
「それはー、渚くんが自分の意志で着たんだよー」
中村さんが笑いながら言ってきた。
「ウソでしょ! それ、絶対ウソでしょっっ‼」
「ホントだってば。ねぇ、みんな」
中村さんの声に、みんながうなずいた。1人も残らず、本当に全員うなずいていた。
「え、え、え、え、え??」
頭が混乱してきた……。ただでさえ頭痛がするのに、なんで? 意味がわからないっっ‼
「さらに、さらに。とんでもない証拠写真もあるけ……」
「やめてーーーーーーーーーーーっっ‼」
カルマくんが言い終える前に、茅野がどこからかすっ飛んできた。そして、カルマくんが手にしていたスマホを手から奪い取って、それを死守し始めた。
「ぜーーーーーったい、やめて! お願いだから、やめてっっ!」
な、なんでそんなに必死そうな顔をしているんだ、茅野は……。
その日、ずっと僕は茅野に避けられていた。
例えば。
「ねぇ、茅野。ここなんだけど……」
「あ、奥田さん。ちょっとさ」
とか。
歩いているときに肩がぶつかって。
「あ、ごめん」
と言うと、顔を真っ赤にして一目散に逃げちゃうんだ。何故か。
というより、どうして逃げるんだ?
「ねぇ、カルマくん」
「うーん?」
「今日、すっごい茅野に避けられてるんだけど。僕、なんかしたかな?」
すると、カルマくんはにやにや笑って。
「自分の胸に聞いてみな」
と謎の答え。
みんなも、あきれてたり、にやにやしてたり。
い、意味がわからない……。
その日の夕飯はカレーだった。
明日で合宿も終わりだ。でも、計画はスムーズに進んだから、あとは今後の予定とか綿密に立ててっと。
それから僕らは山の下にあるお風呂屋さんに行った。
ふー、さっぱりした。思えば昨日、お風呂に入っていなかったような……。まぁ、いっか。
「あれ、茅野」
「な、渚……」
ちょうどお風呂あがりの茅野と、お風呂屋さんの玄関ででくわした。彼女はフルーツ牛乳の瓶を持っていた。
お風呂あがりのせいか、顔が真っ赤だった。でも、なんかますます赤くなってるような……。
気のせいかな。
「ね、ねぇ。渚」
いきなり向こうから話しかけられた。
僕は思わずほっとした。
「あー、よかった」
「え?」
「あ、ごめん。今日、なんだか一日じゅうずっと避けられてたような気がしたからさ、てっきり嫌われたんじゃないかって思っちゃって」
「そ、そんなことないっ! むしろ……えぁっ、な、なんでもないよっ‼」
??
「で、何?」
「あ。えーっとさ、渚。もう頭痛くないの?」
「うん。全然平気。朝、ちょっと痛かったんだけど、もう治った」
「そ、そう……」
沈黙……。
うーん、この沈黙どうにかならないかなぁ……。
あ、ところで。
「昨日も思ったんだけどさ、茅野って髪を下ろしてた方が似合うよね」
「え⁉」
え、何その反応。
あれ、そういえば。昨日、茅野って髪下ろしてたっけ? いつも通り、髪を2つに結わいてた気がするんだけど。
うーん……、記憶に混乱が。
「渚?」
「ごめん、茅野。変なこと言ったね」
「う、ううん! き、気にしてないからっ‼」
そう言って茅野はいきなりフルーツ牛乳の瓶を僕に差し出してきた。
「これ、飲んでっ!」
「って、それ。茅野が自分で買ったやつじゃ」
「だ、だだだ、大丈夫! 私、ポケットにもう1本あるから。ほらっ」
たしかに、茅野のポケットは瓶の形のふくらみがあった。
「そ、それとさ、渚」
「うん?」
「人にぺ、ペットボトルとか買うときは、その……。自分の分と相手の分を、買っておいた方がいいよっ!」
「わ、わかった……」
なんだかよくわからないけど、とりあえず。
「アドバイスありがと、茅野」
「ううんっ! ど、どういたしまして。それじゃ、おやすみっ!」
そう言って、1人で帰っていった。
「うん、おやすみっ!」
僕はその背中に声をかけた。
それにしても、1人で帰らせるのはまずかったかなぁ。
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一応、ここで終了ってことにさせていただきます。きったない終わり方だけど、てか後味悪っ! でも文才ないから終わらせ方がよくわからなくて泣ける……( ノД`)シクシク…
ここで決をとりたいです。
個人的に満足できないので、続きを書こうと思うのだが。続きが気になる人、いる?
それと、専スレのほうで今回の話のウラバナシをしようと思ってまぁす。