>>424
海が烏間たちがいるところにたどり着くと、そこはすでに天井が落下していて道らしい道がなかった。
海(やっぱりな……)
爆発音が通信機から聞こえる前に、なんとなく死神ならそこまでやりかねないだろうという気はしていた。
海(そういう奴だ、死神は。目的のためなら仲間だろうとなんだろうと、平気で捨て駒にする)
「烏間先生!」
海が声をあげると、烏間がすぐに姿を見せた。
烏「海さん……」
海「死神は?」
烏「操作室へ向かった」
海「先輩は無事?」
ビ「……ここよ」
声のした方を見ると、そこにはイリーナがいた。海はほっとしてそちらへ向かった。
海「見た感じ、死神に裏切られたんだね」
ビ「あんたはわかってたみたいね」
海「当たり前だよ。あいつのことなら、この私が誰よりも知ってる……」
海が歯ぎしりをしながら答えているのに、烏間は不思議に思ったが今はそれどころではない。
死神がこちらに向かっているのだろうか、足音が聞こえる。
烏「生徒たちの言う通りになったな。イリーナ、お前のいた世界がどんな世界かは知らないが、俺たちがいる世界にお前は必要だ」
ビ「………」
海はとっさに違う場所へ隠れた。
死神が戻ってきた。
死「イリーナ、烏間は?」
ビ「どっかへ行ったわ。ひどいじゃない、死神。私をおいていくなんて」
死「……僕らの世界はだましだまされの世界だろう?」
ビ「……そうね。私も、すぐ別の男に乗り換える、ビッチだから」
死「え?」
瞬間、烏間が死神の背後にやってきて彼を拘束すると、地下へバンジージャンプのように飛び降りた。
海(さすがというか、死神も脅威だけど烏間先生が互角に戦っているなんてな)
海は烏間の動きに注意しながらウェストバッグから長方形の箱を取りだした。そこにあるボタンを押す。
ビュンッ
それに気づいた死神は顔をあげつつ、烏間の攻撃を避け続けている。
死「海かっ!」
海「ふん、なめるなよ。死神。仲間を殺そうとした罰受けてもらう!」
飛ばしたそれは、ワイヤーだった。ワイヤーは下の床にささった。海はそれに飛び乗り、下まで急降下するようにくだっていく。
海「3、2、1……」
バァンッ
死(なっ……、クラップ、スタナー……)
海「今だよ、烏間先生!」
死「待、て。僕、以外に誰が奴を、殺れると…」
烏「スキルなら、うちに全てそろってる!」
烏間は死神を思い切り殴って気絶させた。
殺「ヌルフフフ、全生徒、全先生でつかんだ勝利ですねぇ」
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ここから話はさらに飛び、進路相談になりまぁす。
渚side
進路相談の日になった。
海「うーん……」
海が唸っている声が近くで聞こえた。窓のサッシを椅子にして、海は遠くの景色を見ていた。
海「……よし、行こう」
渚「決まったの?」
海「まぁ、それなりには」
海は困ったように笑うと、歩きだした。
カラン
渚「あ、海。なんか落としたよ」
僕はそれを拾った。その瞬間、何かが飛びだしてきた。
前「うわっ!」
茅「渚っ⁉」
渚「え、どうなってんの、これ!」
僕が拾ったそれは、海が愛用している日本刀だった。
ま、前原くんに危うく刃があたるところだった……。
海「……何やってんのさ」
渚「ごめん、これどうやって戻すの……?」
海「そこにあるボタン押せば、戻るよ」
渚「あ、これか」
ボタンを押すと、一瞬で戻った。
あれ?
海「ありがと、渚。拾ってくれて」
渚「あ、うん……」
僕は長方形の箱になったそれを、海に渡した。
渚「ねぇ、海」
海「うん?」
渚「海のイニシャルって、U.Hじゃないの?」
海が首をかしげたのを見て、僕は箱を指さした。正確には、刀の頭(かしら)と言われる部分を。
そこに、イニシャルが彫ってあるのだ。
渚「そこ、U.Kって書いてあるからさ」
海「あ……、これはまぁ、もらい物なんだ」
海が悲しそうな表情をしながら、僕にもう一度お礼を言うと、教室をでていった。
☆
海が職員室に入っていくと、殺せんせーがいつもの顔で待っていた。
殺「海さんですか。君の進路を聞かせてください」
海は進路の紙をそっと殺せんせーの机の前に置いた。
紙は、名前の欄以外、白紙だった。