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な、な、なんなんだろう。千葉はただ私に教えようとしているだけで、別に他意はないはずなのに! なんか、私ばかり意識しちゃってバカみたいというか、千葉にも申し訳ないし……。
「速水? おーい」
「ごめん、千葉。なんでもないわ!」
私はおそらく顔を真っ赤にしていたと思う。顔が熱いっっ!
「顔赤いけど、熱あるのか? まさか、この前の風邪がぶりかえしたとか?」
「ち、違うの。ただ、ちょっと……」
この先が続かない。あぁ、なんで私は言葉をうまく紡ぎだすのが苦手なんだろう。これじゃ、何も伝わらないし、千葉もきっと嫌な思いする……。
私がいつまでも黙っていると、千葉が困った顔をした。
「なんか、悪かったな」
「え!?」
今、どうして謝られたの?
うまく言えないけど、ショックだった。
「それじゃな、バイバイ」
「ち、ば……」
私は彼に手を伸ばそうとしたけれど、彼は荷物をまとめて帰ってしまった。
ど、どうしよう……。
千葉に嫌な思いさせちゃった。
海がいる設定にするんでよろしく!
あ、ちなみに千速の続きです。だいぶ前のだけどww
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私のLINEのグループには「E組図書委員」というグループがある。E組女子の一部で読書同盟みたいなものを海が勝手に作り始めて、参加しているのは私と海と神崎と狭間。私が千葉について話すことになったきっかけは、海の一言だった。
「久しぶりに読んだけど、やっぱり『嵐が丘』はいいね!」
「え、海ちゃん。そんな怖そうな本を読んでるの?」
「復讐小説にしては邪道すぎるわ」
「相変わらず綺羅々は辛口コメントだなぁ」
「嵐が丘」っていうのはイギリス人作家、エミリー・ブロンテが書いた小説の名前だ。人付き合いの苦手な老紳士が「嵐が丘」という屋敷を訪れるところから物語は始まる。そこで老紳士はその屋敷で働いている家政婦を語り手として、「嵐が丘」にまつわる話を聞くことになる。
物語開始以前、キャサリンとヒンドリー兄妹が住んでいた「嵐が丘」にヒースクリフという孤児が兄妹の父親によってつれてこられた。キャサリンはヒースクリフと仲良く過ごしていたが、反対にヒンドリーはヒースクリフが嫌いだった。父親が死に、ヒンドリーが「嵐が丘」の後継ぎになると彼はヒースクリフを召使い同然のように扱うようになった。それからしばらくして、キャサリンは「スラッシュクロス」という屋敷に住む息子、エドガーに求婚されて結婚してしまう。そのことにショックを受けたヒースクリフは彼女の前から姿を消した。やがて戻ってきた彼は復讐を開始するのだった。
というのが、海がかつて話していた「嵐が丘」の内容。一応、恋愛小説でもあるそうだ。私は読んだことないけど。というか、本が分厚いのはさておくとしても表紙が怖かった。暗くて、まるで絵に呑みこまれてしまいそうな感じがした。
「ちょっと、相談があるんだけど」
そう送ると、すぐに海から返信が来た。
「おや? 凛香から相談なんて珍しいね」
本当は矢田に送りたかったんだけど、今日はピアノのレッスンの日だから送れなかった。
「もしかして千葉となんかあったの?」
………。
海はすごく勘が鋭い。それとも私が分かりやすすぎるんだろうか……。
「人に素直に気持ちを伝えるにはどうすればいいのかなぁって、思ったの」
「そんなの。好きな人には『好きです』って言えばいいだけの話じゃん」
………。
相談する相手、間違えたかも。
「海ちゃん。そんな簡単なものじゃないわ」
神崎がすぐにフォローに入ってくれた。
「そういう海はどうなの? 渚に告白したの?」
狭間が珍しく、恋愛話に食いついてきた。
「いや、ま……。というか、『互いに抜け駆けは無しね』って言われたばかりなんだけど……」
と、海は言葉を濁した。
「でもさ、きっと言わないと伝わらないよ。って、綺麗ごとを並べてみる」
海はすぐに話題を変えたものの、言い方はなんだか変だった。海はもしかして、恋愛に関しては色々と疎いというか。苦手なところがあるみたいだった。こういうところは女の子らしいというか……。
そのとき、神崎が言った。
「私は直接、面と向かって言うことは苦手だから、LINEとかメール、あるいは手紙とかで本当の気持ちを綴(つづ)るかな」
「そうね。面と向かって言えないことは文にするといいわね」
神崎ならわかるけど、狭間にも面と向かって言えないことがあるのか……。
「うん。わかった。ありがと、3人とも」
そうお礼を言うと、
「ファイト(^O^)」
「頑張ってね」
「とりあえず、応援はするわ」
と返ってきた。
さて、早速だけど……千葉に連絡するか。緊張するけど。