>>91
今日は拳銃ではなくライフル銃。
実を言うと、私はライフルより手持ちの銃の方が得意だ。ライフルはちょっと重いし照準を定めるのが難しい。
的を設置して、ライフルを構えた。
パン、パン、パンッ
「うーん……」
3発中2発しか中央にヒットしなかった。残りの1発は中央からやや外側に当たった。
「どうした?」
「なんか上手く固定できないっていうか、的に当たらないっていうか」
「速水の場合さ」
そう言いながら千葉は自分が持っていたライフル銃を地面に置き、私に近づいてきた。
えっ!
「こうやってさ」
千葉が……、私の手に自分の手、そえて……。
⁉
「……てやればいい。って、速水。聞いてた?」
「え、あ、え……」
き、聞いてなかった。
というか、手、手、手っ‼
それに近い、近いってば!
「大丈夫か?」
「あわ、わわわわわ……」
こ、この状況。どうすればいいの……。
千葉はさっきから平然としている。ぜ、全然気づいていない。
ど、どうしよう。心臓の音、バクバクいってる……。
聞こえてないよ、ね?
「おーい」
「だ、だだだだ大丈夫よ!」
私は慌てて千葉に背を向けた。
な、な、なんなんだろう。千葉はただ私に教えようとしているだけで、別に他意はないはずなのに! なんか、私ばかり意識しちゃってバカみたいというか、千葉にも申し訳ないし……。
「速水? おーい」
「ごめん、千葉。なんでもないわ!」
私はおそらく顔を真っ赤にしていたと思う。顔が熱いっっ!
「顔赤いけど、熱あるのか? まさか、この前の風邪がぶりかえしたとか?」
「ち、違うの。ただ、ちょっと……」
この先が続かない。あぁ、なんで私は言葉をうまく紡ぎだすのが苦手なんだろう。これじゃ、何も伝わらないし、千葉もきっと嫌な思いする……。
私がいつまでも黙っていると、千葉が困った顔をした。
「なんか、悪かったな」
「え!?」
今、どうして謝られたの?
うまく言えないけど、ショックだった。
「それじゃな、バイバイ」
「ち、ば……」
私は彼に手を伸ばそうとしたけれど、彼は荷物をまとめて帰ってしまった。
ど、どうしよう……。
千葉に嫌な思いさせちゃった。