暗殺教室〜もうひとつの物語〜Part5♪

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806:凪海◆L6:2016/05/25(水) 00:15 ID:ySs

>>767

LINEをしようとしたところで、千葉からいきなり通知が来た。
え、ちょっと待って!

「大丈夫か⁉」

何が?

「海から連絡があって、速水に何かあったって……」

う、海……。
まぁ、きっと彼女なりの配慮なのだろう。

「大丈夫、なんでもなかった」

そう送ると、即座に

「そうか」

………。

「ねぇ、電話してもいい?」
「いきなり⁉」

私の言葉に千葉が驚いた返事をした。けれど……。

「いいよ」

と即座に返事が来た時、私はその返事が欲しかったにもかかわらず、緊張してきた。

「じゃ、電話するね」

私はLINEで通話しようと思ったけど、普通に電話しようと思った。
しばらく、向こうから受話器が降りる音が聞こえなかった。
やがて……。

「もしもし」

という、千葉の声が聞こえた。


凪海◆L6 (;`・ω・)つdice3:2016/05/26(木) 20:50 ID:ySs [返信]


 私は緊張して、声がでなかった。何か言わなきゃと思うたびに、何を言えばいいのかわからなくなる……。

「……速水、聞こえてるか?」
「あぅ、うん、聞こえてる、よ……」

 親がいなくてよかった。いたら絶対怪しまれるもの。

「なんで急に電話なんだ?」
「………」

 どう答えればいいんだろう。
 声が聞きたかったから、なんて言えない。恥ずかしいし。

「速水?」

 名前を呼ばれるけど、返事ができない。
 息が、苦しくて。

「大丈夫か?」
「う、ん。大丈夫……」

 大丈夫なのかな、私。
 千葉の声が聞こえなくなった。ちょっと、不安になる。
 私は壁によりかかった。冷たい壁は熱くなっている頬に心地よかった。
 
「今日は、悪かったな」
「どうして、謝るの?」
「……女子ってさ、いきなり男子に手を握られたら嫌だろ?」

 どう答えればいいのかわからなかった。
 嫌とかそういうのではなく、でも、さっき握られたとき。すごく心臓がドキドキして、息が、今みたいに苦しくなって。どうしようもなくなって。千葉の声も、遠い遠い世界にいるみたいに感じて……。
 
「嫌とか、そういうのじゃなくて。なんか、その……恥ずかしかったっていうか。ドキドキしたっていうか……」
「⁉」

 電話の向こうでガタガタと激しい音が聞こえた。

「だ、大丈夫⁉」
「あ、ああ。平気だ……」

 そ、そう……。
 私はほっとした。

「私さ、今まで男子と付き合ってなんて、来なかったから……。何をどうすればいいのかとか、そういうの。よく、わからなくて……」

 千葉は黙っている。
 不安になるけど、心臓もドキドキして、電話の向こうに聞こえやしないかと、ひやひやしてるけど……。
 千葉が私の手をとって、銃を一緒に持ってくれたとき。そのまま体を預けてしまいたいような衝動にかられた。でも、きっとそんなのは気のせいじゃないかとか。そんなことも、チラッと考えた。
 私は結局、何を言いたいんだろう。
 何か言わなきゃと思えば思うほど、何を言えばいいのかわからなくなる……。


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