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カルマくんが早速、僕らに指示をだした。
「なるべくなら、相手に気付かれないうちに茅野ちゃんを助けておきたいんだけど」
「それなら任せなさいって」
「何をするつもり?」
海はにやにやしながらウェストバッグを漁っていた。
「まさかとは思うけど、本物を使うわけじゃないよね?」
「いやいや、そんなのじゃ面白くないって。使うのは、これだよ」
そこからでてきたのは、缶だった。
海はそれを慎重に振りつつ、前へ前へと進んでいく。僕らは顔を見合わせながら、とりあえず彼女の後ろをついていった。
「あ!」
僕は小さく声を上げた。
暗視ゴーグルのおかげで、わかる。
茅野と、その傍にいるのはおそらく犯人のグループだ。
「よし、準備完了!」
海はそう言って、缶を放り投げた。
足に装備していたらしい拳銃をとりだし、缶に向けて弾丸を5発ほど放った!
瞬間、周囲に炭酸がまき散らされた。
「うぉっ、何だ⁉」
犯人たちは驚き、慌てふためいている。
「本物の爆弾がないのなら、こういうのもあるんだよねぇ。名付けて、炭酸爆弾!」
すごい……。
「じゃ、あとは指示通り」
カルマくんの言葉に、僕らはうなずきあった。
「了解」
暗視ゴーグルのおかげで僕はすぐに茅野のもとへとたどり着けた。
「な、渚」
「よかった、茅野」
僕はほっとして彼女の手首や足首についた縄を解いた。自由になった茅野は、僕に抱き着いてきた。
「渚ぁ……」
ぽろぽろと涙を流しながら茅野は僕にしがみついていた。
え、えーっとどうすれば……。
みんなは周囲にいた犯人たちをあっという間に倒していった。
「くっそ、このままで済むと思うな!」
「⁉」
海が近くで反応した。犯人グループのリーダーと思われる男が何かを取りだしたのだ。
「まずいっ!」
手にされていたのは、爆弾だった。