怪盗レッドのオリジナル小説書いてみます!(7)

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277:神出鬼没◆A.:2016/10/15(土) 14:40 ID:IS2

>>276の続き

・・・

ケイ目線

ーだるまさんがころんだ

また背後からナイフが飛んでくる
残酷なことに満とみーみに怪我を負わせた
なぜか、太陽が少し傾いていた気がする

ー早くしないと鬼が連れて行っちまうよ

1人の少女の声が聞こえた
わかっている
けれでも僕の足じゃ進むのが遅くて

ーだるまさんがころんだ

同じようにがナイフが前にいるエスポワールさんや響を傷つけて強制的に転ばせる
そして名前が呼ばれる

ー早くしないと、鬼が指切ってしまうぜ

また少女の声
目の前にいる鬼は面白そうに笑顔を浮かべている
今までぼんやりしていたから、よく見えなかったけど
どうやら、目の前にいる鬼は白い布をたくさん羽織っていて
露出している肌の色は黒かった
まるで燃やされた灰みたいに

ーだるまさんがころんだ

今残っているのは、見える範囲だけど
僕とアスカ、蒼太と春川さんとアーテルだったけど
飛んできたナイフを春川さんから守るために蒼太は動いてしまったのだ
無事に春川さんは怪我しなかったけど、同じように動いた扱いになってしまった

ー早くしないと、取り戻せなくなってしまうぞ

どうやら少女は僕達に警告してくれているらしい
でもとっくの昔にわかっている
背後にいる者は、どうやら僕に目をつけたらしい
たぶん、僕を飛ばしたナイフで転ばす気だ

でも、別にそんなことは気にしない
僕には、アスカがいる
途中からだけれども、僕はなるべく背後の存在からアスカが見え無いように死角を作っていたんだ
アスカが狙われないように気を配りながら
鬼は、また僕達に背を向けた

ーだるまさんが…

その時、アスカが僕の方に向かって走ってきた
アスカ、なぜ来るんだ?
まさか、かばう気なのか?
あぁアスカ、やめてくれ
頼むからやめてくれ!!
俺はアスカを傷つけたくはないのに

ー…ころんだ

僕は転ばなかった
転んだのはアスカだ
そんな光景を見ながら鬼は言う

ーアスカちゃん

一方、振り返るような仕草で動きを止めていたアーテルは何かを察したかのような顔になっている
そして、アーテルも転んだ
いやアーテルの場合はワザとの可能性が高いけど
鬼もそんな事を、分かっているのか
つまらなそうな声音で言った

ー■■■くん……わざと動いたよね?

・・・

ケイは、また目が覚めた
脳裏には夏の暑さと蝉の音がまだ残っている
すぐさまにベットから出て、アスカの様子をうかがう

やはり、アスカは眠ったまま起きなかった

最近、こんな事件が増えている
眠ったまま起きない事件
それは突如として広まり恐れられている事
しかしどうすれば起きるのか分からない事件だ

その日ケイは、学校の帰りにある人物に会った
いや、会ってしまった

「ケイ、せっかく会ったんだから一杯なんか奢るよ」

トレードマークのような存在になりつつあるウサミミパーカーをきたユナルに出会ってしまったのである
まぁ、ケイもユナルに聞きたいことがあったのだが…特に今は会いたくなかったので困っていた

「それに、なにか悩んでいるみたいだし」

どうやらケイの表情はお見通しらしい
ユナルは、紅茶とコーヒーを注文しながらこう言うことを言った

「本当は、あの鬼を確実に殺すために彼を残したかったんだけどね…どうやら彼もこちらの事に気がついてしまったし」

「…やはり、ユナルさんがナイフで無理矢理転ばせていたんですね」

注文されてきた飲み物を受け取り、コーヒーを飲み込む
ほろ苦い味が口に広がる
ケイは、途中からわかっていた
ユナルがナイフを使って無理矢理転ばせていたことを
考えなくても、普通に自分より後ろにいるのはユナルだけなのだ


神出鬼没◆A.:2016/10/15(土) 14:45 ID:IS2 [返信]

>>277続き

・・・

「そうだよ、でも恨めしく言わないで欲しいな。あのまま放置したら、鬼が無理矢理転ばせに来るよ」

「例えば?」

「無人のトラックがいきなり突っ込んで来たり、鉄骨が上から落ちてきたりだね」

そう言ってユナルも紅茶を飲んだ
現在のユナルの声音は、普段の暖かな声音とは違い恐ろしく冷気を帯びている
ケイやアーテル以外の人なら驚きを隠せないだろう
しかし、ケイはこう考えていた
たぶん、これがこの人の本来の姿なのだろうと
自分の作戦を実行するが為に、本当に信頼できる者以外を慈悲もなく捨てる
結構、冷酷なのかもしれない

「そういえば、ユナルさんに聞きたいことがありますが」

「ん?なんだい?」

「鬼について何か知っていますよね?絶対に」

この時、ユナルはケイの瞳を見た
怪盗レッドの仕事モードの時と瞳だ
力強くも独特の冷たさを持つ声音
なんとなくユナルは親近感が湧いた
彼も自分と同じように二面性があるんだと

「うーん、そうだね…あの鬼は…幽霊と言ったほうがわかりやすいかな?」

少し悲しそうな顔をしながら言葉を続けた

・・・

ケイがいう鬼は、黒い肌を持った人間のことだよね?
何度もいうけど、アイツは幽霊だよ
先に僕とアイツの関係だけいうね

因縁関係、以上

この関係について、詳しくとか受けつけないから

なんとなくケイは勘づいていると思うけど僕と同類の生き物
つまり、【カミサマ】
いや、アイツの場合はある意味【神様】のほうが正しいかもしれないんだけどさ

アイツは、昔に大切な存在があった
確かケイも夢の中で男口調な少女の声が聞こえたよね?
その少女がアイツにとっての大切な存在であり
アイツがこの世にさまよう原因を作った子だよ
ちなみに、その子は火事で親と一緒に死んじゃったんだ
ちょうど目の前にいたアイツは、助けることなんて出来なくて
悔しくて辛くて悲しくて、それをぶつける場所なんてないから苦しかったんだろう

でも本当のあの子は、親に愛されなかった子
そして貪欲に愛に飢えた子
あの火事は、親を自分のものにするためだった
幼い子供だからこそ、純粋な気持ちで残酷なことをしたんだろうね

もちろんアイツは、そんなことに気がつくはずがなく
あの子を別の形で生き返らせようとしている
そして、完全な"舞台"を作る気でいる

かつて皆が望んだ飽きることのない"日常"とその続きをね

でも、そんな過去に囚われるなんて馬鹿馬鹿しいと思わないかい?
今、戻ったて意味がないのに

いや、本当に意味なんてないんだよ

あ、ごめん熱弁したね

まぁ、そんな感じだと思って
今回の事もだけど、アイツは悪気なんてない
いや、わかってないんだよ
アイツは、過去に止まったまま成長してしまったんだから

じゃぁ、僕はもうそろそろ帰るよ
ケイ、後は頼んだよ

・・・

ケイ目線

嫌というほど見慣れた場所
もう日が傾いてオレンジの日射しが差し込んでいる
目の前にいるのは鬼と転んでしまった人達
ユナルさんの姿を探したけどいなかった

なんとなくわかる
これが、最後なんだって
どうにかこの直線距離を縮めないと

ーだるまさんがころんだ

足に鋭い激痛を走る
暫くすると生暖かい液体が流れてくるのを感じた
本当は、念の為見て応急処置を取りたいけど
鬼が見ているから、そんなことは出来ず堪えるのが精一杯だ

ーだるまさんがころんだ

僕は全速力で走り抜けた
痛みなんて感じている暇なんてない
ただ、目の前にいる皆を助けたかった
それに、これ以上続ける訳にはいかない
だからといって、呼ばれたら即ゲームオーバーに決まっている

ーだるまさんが…

ついに鬼の背中に触れた
皆が目を覚ましす
一斉に折り返せ!
アスカが俺の足を労って肩を貸してくれたけど断った
アスカが捕まってしまうと困るんだ

ー止まれ!!

ピタリと止まった
体はいうことを聞かずに、動いてはくれない
鬼は、数字を数えながらまっすぐと僕に近づいてくる
あ、そういえば前も思った
この人は誰かと顔が似ている
その事がやっとわかった

この人は……

僕の目の前でピタリと止まった鬼はそんな事を塞ぐかのように言った

ー日が暮れるからもう帰ろう


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