「ビックリするわよね。和騎君と彩黄ちゃん。ブラジルのいろいろを回る時は一緒するのよ。」
美樹さんは会釈して、小塚和彦さんの後ろに下がった。
すると、黒木さんと若武選手が来た。
「アーヤ、上杉、久しぶりだな。和騎もいるじゃん!久しぶり。俺とまたプレーしような。」
若武選手目の前!
サッカーの若武選手。
トップ下と呼ばれるポジションの、お兄ちゃんの憧れの選手。
ママとパパと仲良しなのは、私も知っているけど。
実際会うのは初めて!
それより、
「黒木さんっ!久しぶりです!会えて嬉しい♪」
私が会いたかったのは黒木さん!
優しくて、かっこよくて、笑顔が素敵で、理想の王子様っ!
「俺も彩黄ちゃんと会えて嬉しいよ。久しぶりだね、彩黄ちゃん。」
黒木さんとバッチリ手を繋いでっ!
こんな年齢なのに普通にいける!
「黒木君、ごめんね。彩黄が。」
ムッ!
ママなんてこと言うの!
黒木さんに悪いことしてないのに!
フンだ。
「アーヤ。そんなこと言っちゃ駄目だよ。彩黄ちゃんが会いたいって言ってくれたんだ。久しぶりなんだから、いいだろ。」
ママの負けー!
ママにはパパがいるでしょー!
続く
>>658の続き
ブラジルのホテルに着くと、私はママと部屋に向かう。
後ろから、小塚さんと若武さんも着いてくる。
「彩黄。今日、ホテルはみんなで2部屋分けるから…その…。」
2部屋!?みんな!?
ってことは、後ろの小塚さんと若武さんも…黒木さんもっ?
「彩黄も中学生だし…ママたちと同い年の36歳の男の人と寝るのは嫌でしょ。ママも嫌だし。」
大人の男の人とねぇ。
もちろん、嫌。
女の子だし、そんなことしたいとも思わない。
「もしかして彩黄、一緒がいいの?まあ、それならいいけど。」
「嫌嫌嫌嫌!絶対嫌ー!!!」
ママは鼻で笑って、301の部屋に入った。
私も301室に入る。
「ママはこっちに泊まるわ。彩黄もこっちに泊まる?」
私は、大きくうなずいた。
ママはまたにっこり笑って、荷物を整えていた。
私も、自分の荷物を整える。
「入ってもいいか?」
パパだ!
荷物をほったらかしてドアを開ける。
「彩黄。こっちの部屋に泊まっていいか?若武達と一緒だと狭い。若武達の誰かと同じ部屋だったら、パパの方がいいだろ?」
「ん。もちろん!」
パパは鼻で笑って、荷物を持って部屋に入ってきた。
後ろに、お兄ちゃんも続く。
お兄ちゃんも一緒なの〜?
まあ、いいや。