「あの時…トド松は天界で大きな罪を犯して、地下牢に閉じ込められて、それで…」
ブツブツと天使サンは狂ったように思い出したことを話し出す。
「大罪の森に行かなくちゃ…」
小さく呟くと羽を拡げて飛ぼうとする。
俺はそれを遮る。
「勝手に行くなよ。
大罪の森の場所分からないのに」
少し低めのトーンで言うと天使サンはハッと我に還る。
「ご、ごめんなさい
でも早く行かないとトド松が…」
「んーん、あの子ならもう落ち着いたみたいだから大丈夫だよ。」
死神サマは、水晶玉の中を覗きながら言う。
天使サンはそれを聞くとヘナへナと座り込む。
「良かった…」
「でも、まだ安心は出来ませんね。
何かの計画を練っている可能性も有り得ます。」
女神サマがそう言うと神父サンもうんうんと頷く。
「トド松は感情的になりやすいし、傷つきやすい子だからな。
復讐でも考えているかもしれない。」
その話を聞きながら天使サンが何かに気付いた様に「あ」、と声を漏らす。
「トド松は女神の泉に寄らなかった…?」
「えぇ、見てませんよ。最後に見たのは2週間ほど前です。」
天使サンの答えに、女神サマは手でピースを作って答える。
「2週間前は…えっと、えっと…
トド松がカラ松さんにお届け物があって行ったんだよね。」
そう言うと、神父サンの方をちらりと見やる。
「あぁ、トド松のマーマレードを貰ったな。
その後は、教会の奥の森を散歩していた。」
「ねぇ、教会の奥の森って魔界に繋がってるよね?」
俺がポツリとそう言うと全員はそれだ!と声を揃える。
「無断魔界侵入!
一番厳しく扱われる大罪だ!」
天使サンがそう叫ぶと死神サマは軽く手を上げる。
「つまりトド松ってのは一昨日のあの子?」
>>145の続き
「昨日のあの子って…?」
「死神様、トド松を見たの!?」
天使さんは飛び付くように死神様を見る。
「う、うん…道に迷ったって泣きながらこの
屋敷に来て…」
死神様は起こったことを全て話してくれた。
天界への帰り道を教えて、帰したらしい。
「その時刻は…13:47。」
正確すぎる…
彼の記憶力にここにいる全員が圧倒される。
「トド松が追放されたのが14:17。
47分からこの屋敷を出て、天界に戻って即追放されたってこと…?」
天使さんも負けずと記憶力が良い。
「ここから天界はそこまで遠くないですよ。」
女神様はそう言うと地図を出してくれる。
「本当だ。この森、天界まで行けるゲートがあるんだ…」
「そこを教えたんですか?」
「うん、ほら、早く帰さないとって思って…」
この人は凄く優しい。
とても怖いけど。
「でも、結局犯罪にかわりなく追放された、と言うことですね…」
屋敷内は沈黙に包まれた。