前回は>>155でーす
* * * * * * * * * * * * * * *
【ルーシィside】
電車が揺れる。
窓の景色は街から山へ、山から海へとめまぐるしく回る。
内(なか)の人はせわしなく動いていく。
「ルーシィさん、もう退院できてよかったですね」
「ええ、家に帰れるのはとても楽しみです」
向かい合わせのシートには、私の横に、ウェンディさん。
前の席にはグレイさんと、エルザさんが座っている。
「そういえば、ナツさんは?」
「ナツさんならいつものあれですよ?」
あれ、とは何だろう。
記憶を失った私にはわからない。
「あ、そっか知らないんですよね」
「ごめんね」
「いえ、なんかやっぱりいつものルーシィさんとの調子で話しちゃうな」
それはいいことなのだろうか?
私をちゃんとルーシィだと思ってくれることはとてもありがたいことだ。
でも、私にはそのルーシィではなくて今のルーシィとして接してほしい。
もちろん、そんなことは言わないが。
「ナツは、乗り物酔いだ。確か、そばにハッピーがついていたはずだが」
「ハッピー?」
「おいエルザ、今ハッピー見ると混乱するからギルドまで隠しておこうって言ってたじゃねーか」
「すまんすまん。まぁ言ってしまったからしょうがないだろう」
私を置いてどんどん話が進んでしまっている。
ちょっとついていけないが、簡単に整理すると…。
ハッピーは得体のしれない"何か"、ということでいいのか?
「おいほら見ろエルザ。中途半端な説明で何も見ていないのにもう混乱してやがるぜ」
「なら、エルザさん一緒にハッピーを見つけに行きましょう。見せた方が早いと思います」
「そうだな」と言ってエルザが立ち、次の車両に行きはじめた。
それに、ウェンディもついて行く。
そして今度は、話自体を聞いておらず置いてけぼりになってしまった。
「あいつらは、ハッピーをさがしに行くんだとよ」
「わかった」
そして私は視線を窓の方へとやる。
気づかないうちに、のどかな町を走っていた。
心を落ち着けていた時、視線に気づく。
「なんですか?」
「いや、なんでも」
そういって、グレイさんは、通路を超え、反対席の窓を見た。
「やっぱ嘘だ。聞きたいことがある」
「…聞きたいこと?私は何も覚えていないのに?」
「ああ、そうだ」と言って、足を組む。
「実は、ナツが…この状態になったのは自分のせいだと言ってた。俺には意味が分からん。引っかかることはあるか?」
「ごめんなさい、ナツさんは一度も病室に来なかったのでわかんないです」
「そうか、いや無理は承知だった。ありがとう」
その言葉で会話は終わった。
私はまためまぐるしく変わる景色を見て、グレイさんは目をずっと瞑っていた。
to be continued
私的の解釈としては、
街→都会な方
町→田舎な方
と、とってほしいです(笑)
いつのまにかめちゃくちゃ書かれてる!
前回は>>161です
* * * * * * * * * * * * * * *
この生物はなんだろう。
青い…猫?
「あい!おいらはハッピーです!」
私とグレイさんは電車であの話以降は会話を続けないで、私は窓の外の景色を眺め、グレイさんは肘を立てて寝ていた。
エルザさんとウェンディさんはまだ帰ってこなかった。
でも、時間が経ち気づいた時にはトンネルに入っていた。
どうやら寝ていたみたいだ。
グレイさんに視線を向けるとやはりまだ寝ていた。
まぁ、寝たふりか何かはわからないが、まだ二人は戻っていないようだ。
何も変わっていない…。
…変わって、いない?
一瞬視界の下ぐらいに青い何かが見えた。
ゆっくりと視線を向けると、グレイさんの隣に青い生物がこちらをじっと見ながら座っていた。
「…なんですか?」
「あい!おいらはハッピーです!」
ハッピー…聞いたことがある。
というより、さっき耳にした気がする…。
あ!確かナツさんのそばにいたって言ってた…。
「あなた、ナツさんの…?」
「あい!エクシードです。
おいらエルザに遣いに行かされてギルドまでルーシィのことを伝えに言ってたんだ。
だから、一度もお見舞いに行けませんでした」
「エルザさんに?優しそうなのに?」
「記憶がなくなると、そこまで忘れちゃうんだね。
エルザには誰も逆らえないんだ。だってエルザはね…」
「あ、後ろ」と教える前にハッピーも後ろの気配を察知したようだった。
恐る恐る振り返る、そこには仁王立ちしたエルザさんがたっていた。
「ハッピーこんなところにいたのか。探したぞ」
「ナツのそばにいても意味がなかったので」
「ほう、だがそれよりも気になることがあってな」
何故か、ゴゴゴゴゴという効果音が聞こえた気がした。
「だってのあとは、なんだ?」
その後のことは、はっきりいって伝えられない。
だが、エルザさんに誰も逆らえない理由だけは明確にわかった。
「こいつがハッピーだ」
さっきと同じ席に座り、エルザは自分の膝にハッピーを置いた。
ハッピーはボロボロなのは言うまでもないだろう。
「で、マスターはなんと?」
「あ、あい…。一応このあとチームでの仕事は考えるように、だって」
「そうか…。まぁそれもしょうがないだろう」
私のせいで、仕事に行けなくなったのだろうか?
そしたら、私はなんのためにいるのだろう。
多分私はどう何やっても役に立たない存在なのかもしれない。
だから、今こんな状況になったのかもしれない。
「おいルーシィ。暗い顔すんなよ」
「そうですよルーシィさん!ポジティブに行きましょう!」
私の雰囲気を察したのか、二人が声をかけてくれた。
ほら、やっぱりまた迷惑をかけた…。
「でも…」
「ルーシィ、窓を見ろ」
エルザさんに言われて窓を見る。
そういえば、何故か窓の外の景色を見てなかったことに気づく。
そこには、さっきまでの穏やかな場所とは違い、打って変わって賑やかで明るい騒がしい町中だった。
「ここが私たちの街、マグノリアだ」