>>414の続きです。
その部屋はオフィスなのかな?
机や椅子、パソコンがずらーっと並んでいる。
タンッ
私は殆ど音を立てずに着地する。
『ドアから見て一番向こうに社長席があるだろ?』
ケイに言われて見てみると、普通の机より大きな机に、ふかふかそうな大きな椅子、さらには、ほかの席には無い、高そうな万年筆が置いてあった。
やっぱり社長って特別なんだなー。
私は社長席に向かってどんどん歩いていく。
すると、さっきまでたくさんの机や椅子に囲まれていて死角になっていたところから、金庫らしきものが姿を現していた。
『今から言う番号にダイヤルを合わせろ。』
うーん。今までは番号を打ち込むだけだったから、私でも簡単だったんだけど、ダイヤルはやったことないんだよねー。
上手く出来るかな?
ケイの指示を聞きながら、番号を間違えないよう、慎重にクルクルとダイヤルを回していく。
カチッ
何かが外れたような音が、小さくオフィス内に響いた。
金庫の中をそーっと開いてみた。
何これ?
金庫の中って、普通大事なものを入れておくものだよね?
中から出てきたのは、海賊の船とかで出てくるような、突起がいくつか出ているハンドルみたいなもの。
え、これに何か隠されてるとか?
『違う。とにかく、それを持って17階に行くぞ。部屋を出て左に廊下を真っ直ぐ進むんだ。突き当たりを右に曲がればすぐにエレベーターが見える。エレベーター前とエレベーター内のカメラは、映像を差し替えておいた。』
まあ、ケイのことだから、どこかで必要になる物なんだろうな。
そのハンドル(?)を持ったけど、結構重い。
でも10kgくらいだし、私の走るスピードに支障は出ないけどね。
左腕でハンドルを抱え、部屋を出て、また走る。
途中で何人か警備員にあったけど、指弾で眠ってもらった。
<続く>
>>422の続きです。
ケイに言われた通りに廊下を進んでいくと、ケイの言った通り、すぐにエレベーターがあった。
レッドの一番最初の仕事では、ゴム製の玉を使ってボタンを押したけど、今回は監視カメラを気にする必要はないしね。
堂々と立ち止まって、エレベーターの上行きのボタンを押す。
そして、エレベーターを使って、最上階の17階までたどり着いた。
廊下はT字を逆にした形みたいになっていて、ついた瞬間、私はすぐに壁側に身を寄せていた。
『あとは、その廊下を真っ直ぐ進むだけだ。一番奥の部屋が金庫室になっている。』
確かに、一番奥に部屋のドアがある。
そのドアは、今までの部屋とは少し違っていた。
ドアというより扉と言うべきかな。
両開きになってるし、ドアノブの部分が取っ手になっている。
何より、取っ手の色やデザインからして、他の部屋よりお金をかけていることは、誰が見ても分かる。
「おい、エレベーターが開いたぞ」
「でも、誰も降りて来なかったぞ」
「少し様子を見てくる。」
金庫室の扉の方で、そんな会話が聞こえてくる。
どうやら扉の前に警備員が2人いるみたい。
私は右手に睡眠薬入りの玉を握る。
コツコツと警備員の足音が近づいてくる。
そして、私の目の前を通りかかった瞬間―
パンッ
玉が弾ける音がして、ドサッと警備員が倒れた。
「おい!何があったんだ!!」
もう一人の警備員は、状況が読めていないようで、慌てた様子で駆け寄ってきた。
おっ、好都合。
私はもう一度、睡眠薬入りの玉を握る。
パンッ
もう一人の警備員にも続けて眠ってもらった。
にしても……
「今回、警備薄い?」
『ああ。ここのビルの社長は、盗品売買を行っている証拠は掴めないという、相当の自身があったんだろうな。でなきゃ、犯罪絡みの17階建てビルの警備体制をこんなにも甘くするなど、有り得たもんじゃない。』
ケイの少し苛立ったような声が聞こえた。
そうだよね。心配だったらもっと警備員とか監視カメラとか増やしても良いはずだもん。
それに、いざ忍び込んでみたらこの警備体制。
まるで、絶対に証拠なんか掴める訳が無い、捕まえることなんかできるもんか、ってバカにして挑発してるみたい。
だからケイの声は苛立っていたんだろう。
何度もレッドの仕事を一緒にこなしてきたしね。
声とかから気持ちも大分、分かるようになった。
私達は二人で一つの怪盗レッドだもんね。
それにケイは、『自身があったんだろう』って過去形になっていた。
つまりこれは、捕まえてやるっていう、ケイの意思表示的なものだったりする。
私の気持ちも全く同じ!
絶対に捕まえてやるんだから!
<続く>