「か”わ”い”い”な”ぁ”ア”ス”カ”ち”ゃ”ん”」
三年前……まだケイがアスカたちと住んでいなかった頃のお話。
当時小学五年生だったアスカは、学校を終えてスタスタと帰り道に付いていた時。
後ろから不穏な影が付いてきていることに気づいていなかった。
「はぁ……」
アスカは学校でやや理不尽な理由で教師に叱られ、落ち込んで公園のベンチに座った。
そしてその不穏な影……不審者はアスカの後を付けて、ベンチの真後ろに気配を消して立った。
「……」
「……」
暫くの沈黙が流れたところで。
「アスカちゃんこんにちは。」
不審者から挨拶に入った。
「お兄さんだあれ?」
アスカは当然その男のことを知らないため、首を傾げた。
「僕は、アスカちゃんのお母さんの、お友達だよ。何してるの?こんなところで。早く帰らないとお母さん心配しちゃうよ。」
勿論真っ赤な嘘である。と言うか、アスカにお母さんはもういない。
「え、お母さん……もういないんだよね……お父さんもお仕事だし……家に帰っても私一人だけなんだ……」
「そうなんだ、じゃあお父さんが帰って来るまで、お兄ちゃんの家で遊ぼうか。
「え、お兄さんのお家?」
「お菓子もジュースも玩具も何から何まであるよ。」
不審者は早速アスカを誘う。のだがアスカはまたもや首をかしげるが、不審者は魅惑のアイテムを用意する。
アスカにとってはお菓子もジュースも誘惑になる。アスカはどうなるか。
「えー……でも知らない人だし、お父さんは知らない人について行くなって言ってるんだけど……」
アスカは父からの教えを堅実に守り、それを断るのだが……
「そっかぁ、アスカちゃんは、お利口だね。じゃあ、ちゃんと……ご挨拶しなきゃね。じゃあ僕は、アスカちゃんのお母さんのお友達の、下野。君は、アスカちゃん。よろしくね。
ほら、これで知らない人じゃなくなったよ。じゃあお兄さんのお家、行こっか。」
とっさに機転を利かせた不審者こと下野。アスカは頭の中でこう浮かんだのだ。
知らない人の家はダメ→今の人は名を名乗って知らない人じゃない→OK!
「うん!」
アスカはまんまと不審者下野の罠に引っ掛かり、そのまま家について行くことに……
ちょっとしたギャップってやつかな?(笑)
>>981>>982
下野って…!この時にアスカにあってたんだ……!!!