〜日向side〜
町内会チームのメガネの人のサーブを、縁下さんがレシーブで影山へ返す。
(ブロック…でっかい)
ボールは俺に飛んでくる。止められんのか、俺のスパイクは。
なんて少し、諦めていた。
「躱せ!!」
でも、影山の声にハッとした。
「それ以外にできることあんのか、ボゲェ!!」
急いで走り出す。
(打ち抜けないなら…)
「躱す」
飛ぶフリをして、一気に影山のトスが飛ぶ方へ走った。
(ブロック嫌だ。止められんの嫌だ…!!)
そして、スパイクを打つために誰よりも高く、速く、跳んだ。
(目の前にブロックが居たら、今の俺に勝ち目なんかない。
エースみたいな戦い方、できない。でも…)
“俺が居れば、お前は最強だ!”
そう言われたのが嬉しかったんだ。
俺は誰もいない、1番高い場所で、1番いいトスを受けて、スパイクを打った。
そのスパイクは、メガネの人のフォローを弾き飛ばしてコートに落ちた。
「お前は、エースじゃないけど!!
そのスピードと、バネと、俺のトスがあれば、どんなブロックとだって、勝負できる!!!
エースが打ち抜いた1点も、お前が躱して決めた1点も、同じ1点だ。
“エース”って冠がついてなくても、お前は誰よりも沢山の得点を叩き出して!だからこそ敵はお前をマークして!
他のスパイカーはお前の囮のお陰で自由になる!
エースもだ!!」
影山の言葉が、胸に響いた。
「ね!?」
「はっ、おうっ!?
おうおう、そうだぞ!お前の囮があるのとないのじゃ、俺たちの決定率が全然違うんだぞ!」
田中さんの言葉が、嬉しかった。
「それでもお前は今の自分の役割が、カッコ悪いと思うのか!!!」
影山はゼーゼーと息を吐いた。もしかしたら、こんなに大声を出した影山を見るのは、初めてかもしれない。
手が、ジンジンと痛んだ。
「…………思わない」
「あ?」
俺はその痛む手を、グッと握りしめた。
「思わない!!」
「よし!!」
すると旭さんに、
「今の一発、凄かった」
と言われた。
「あざす!」
「練習中断さしてスミマセンでした!!」
「あっうんっ、いやっ」
影山が大地さんへ頭を下げる。
「試合の続きーー…」
「「お願いします!!!」」
ああ、影山。
俺、お前が好きっぽい。
とうとう、明日だよォォォォ!!!
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>>70
ウオォォォォ!!!
日向ァァァ!