ある日、僕はいつものようにネットサーフィンをしていた。
昔から使っていたサイトいくつかを巡回するという簡単なものであったが、久しぶりに出戻った某小中学生向け夢小説サイトにそれはあった。
「ボクと一緒に活動してくれる人募集!10/28まで!」
そこには、黄色一色をバックにこういった趣旨のことが書かれていた。
「ボクはツイキャスというところで配信をしている、むあ@感染系チキンという者です」
「ボクはいつもぼっちで配信しているので、誰か一緒に配信できるグループが欲しいので募集します。なんでここで募集するかって?適当」
「配信できる端末さえあればOK!七人募集します!!どしどし応募下さい!」
チラりとそれを見たとき、忘れていた感覚が脳から全身に伝達されたような気がした。
昔どれだけネット配信者になりたかったか。
断片的な記憶と感情ではあったが、確かにそれを感じた。どこかで時がまた流れ出した。
雪が解けていくようにそれは思い出され、雪解け水のようにさらさらと駆け巡った。
「入りたい」
それだけが僕を突き動かし、気付けば募集要項に沿ってメッセージを送っていたのだ。
その要項には「性別、年齢、声質、意気込み」を書く段取りだった気がする。
ちなみに僕は合ったものがなかったので一応ショタボ枠で応募した。
歌を歌うことは好きだったし、何より声を作っていたので嫌いではなかったからだ。
その前は嫌いだった。
ふと自分の甲高い声が嫌になり、必死で低い声で喋った。だから今は低い声がデフォルトになっている。エセ両声類、というやつか。