星空が聴こえる . 

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1: ちあ . ◆yo ぼくのすうがくのせんせい。:2015/10/08(木) 18:36 ID:woU



  " 音 " という単語には
 何かしら縁があったのかも知れない 。

 思えば名前も「 音村 」な訳だし 、
 昔から音楽は得意教科だった 。
 成績は常にオ−ル5をキープしていた 。

 付いたあだ名は「 ベ−ト−ヴェン 」.
 最近はたまに「 ゴ−ストライタ− 」と
 呼ばれることもあるが 、耳は聞こえる 。
 
 まぁ それほど音楽が好きであり 、
 音楽の分野に関しては他人からの評価も
 篦棒に高かった 。


        ♡.✡*。・


 >>2 .、 / 色々 。

 

24:  / 茅光 / ◆yo &:2015/11/09(月) 18:42 ID:woU



  / >>23 / 匿名様


 うわぁ、ほんとですね.
 ごめんなさい (。´-ω-);
 ご指摘ありがとうございます!、

25:  / 茅光 / ◆yo &:2015/11/09(月) 20:17 ID:woU



『 え−..、 』

「 ダメかな? 」

『 私そんなに人様の歌うたえるほど自信ないし. 』

「 一生のお願い 」

『 それ何回でも使えるよね 』 

「 うん 」


会話は終わった。
ああ、もうなんなんだ。

このあとも粘ってみたものの、
" そんなにうまくない " の一点張り。

小澤葉月は意外に頑固だった。



数十分経過した。

粘って甲斐があった、
小澤葉月は漸く頷いてくれた。

彼女は" しょうがないなぁ " と一言溢した。

26:  / 茅光 / ◆yo &:2015/11/09(月) 20:18 ID:woU



>>25

 下から4行目、

 粘って×
 粘った○

27:  / 茅光 / ◆yo &:2015/11/10(火) 19:18 ID:woU




とりあえず僕の家に集合することになった。

歌詞とメロディ−はできていたので、
あとは小澤葉月が歌を覚えてくれれば
完成に近づく。
 

僕と葉月は家に向かった。

「 どうぞ、あがって 」

『 おじゃましま−す、 』

葉月はちょっと緊張したように言った。

「 親仕事だから別にそんな
 堅苦しくしなくていいよ。」

小澤葉月はほっとしたような表情になった。

「 でさ、これなんだけど 」
 
『 お、聴いてみるね 』


小澤葉月はそういうと
僕がつくった音楽を聴いた。

途中、表情が少し綻んだ。

28:  / 茅光 / ◆yo:2015/11/10(火) 21:49 ID:woU



『 いい曲だった、 』


全部聴き終わったあと、
小澤葉月は一言だけそういった。
てか小並感ハンパないな。


「 でさ、これを明日までに覚えてくれない? 」



『 ん? 』


美声を発するとは思えない声で
葉月は聞き返した。

『 なんで? 』

「 見てこれ。 」

僕が見せたパソコンの画面。

『 なに..?


 [ あの ようたん こと " ようげつ " が明日、夜8:00から ねこねこ動画で生配信! ]


『 ...え? 』

「 ネット上にこう書き込まれてるけど。だから、この曲覚えて。 」

『 ..なんで知ってるの?ていうか配信ってなに?..なんで!? 』

小澤葉月は慌てていた、
というかこんな状況なら慌てるだろう。

29:  / 茅光 / ◆yo:2015/11/10(火) 22:10 ID:woU




「 昨日聴いたんだ、ようげつの " 歌みた " 。 葉月にそっくりだった。 あと"葉月"って"よくげつ"って読めるでしょ? 」

『 うん。ようげつは私だけど...
  でもそれとこれは別っていうか.. 』


「 僕が、歌ってほしくて。 」

30:  / ちあき / ◆yo &:2015/11/11(水) 20:08 ID:woU




『 はぁ? 』
 
「 だから、僕が書き込んだの。 」

『 は?なにそれ、いつ? 』

「 今さっき。 」

『 なんでそんなことしたのよ!.. 』


小澤葉月は大きな声を出して僕に詰め寄った。

「 君が、誰かの歌うたいたいって言ってた。 」

『 ... 』

「 葉月の動画の中に、一つだけ歌みたじゃないのがあって、見たら自己紹介動画みたいな感じで、最後に

" 次は誰かの歌をうたってみたい "  

って言ってたから。 」

『 でもだからって.. 』

「 悪かったとは思ってるけど、
  僕も歌ってほしいと思ってる。 」


『 分かったよ!私も歌いたいし!覚えますよ! 』

31:  茅光 ◆iI:2015/11/15(日) 16:14 ID:woU




翌日。


「 よし、覚えた? 」


『 う、うん!頑張ってみる! 』


PM 7:59 。

" ようげつ " こと小澤葉月の
生配信予定時間まで残り1分。

画面には " 音の手品【ようげつが歌ってみた】(オリジナル) " とある。

『 うああぁ、緊張する。私がコピ−以外をみんなの前で歌うのはじめて... 』

「 似たようなもんじゃん.. ちなみに閲覧数8396人だよ。 」


『 えええ!?多くない!?そんな人の前で歌うの!? 』

「 ちょっと人数の少ない武道館で歌ってくれてると思えば... 」


『 はぁ... 』


「 じゃあいくよ 」


『 うん... 』


8:00。
画面には葉月の姿と沢山のコメント。

[ようたんキターーーーーー!]
[何歌うの??]
[あくしろよーー]
[楽しみ!!]
[ようげつ可愛い]
[早く早くー]

32:  ちあき 。 ◆iI:2015/11/29(日) 15:36 ID:woU




『 みなさんっ、こんばんは!ようたん こと ようげつです!今日はオリジナル曲、"音の手品" を歌わせて頂きます! 』


そこから曲紹介、ようげつのちょっとした雑談が入った。

『 では、"音の手品"です. 』

画面には先程同様、たくさんのコメント。

[キターーーー]
[ようたんかわいい!!!]
[楽しみ!!ついに歌う!]
[頑張れーーーーー(`・ω・´)]

僕は " 音の手品 " を流した。


静かで僕ら二人しかいない部屋に、
音楽が響きわたる。


『 音の手品 君に聴かせるよ 〜.. 』

相変わらずの美声に、
僕と画面の前の人々は驚く。

[ うまっ!!! ]
[ 安定の美声☆ ]
[ がんばれー ]
[ 歌詞もいいね!! ]
[ 最高!! ]
[ 声きれいすぎ!!うらやましい ]

33:    茅光.、     ◆iI:2015/12/02(水) 17:17 ID:woU




( やっぱり、葉月凄いなあ。 )

僕は改めて想う。

才能が違うよね...
なんか自分が小さく想えるよ。

僕は想わず聞き入ってしまう。

『 音の手品、君に届け 〜.. 』

[ ようたんいいぞーー!!!!! ]
[ 神ーー ]
[ めっちゃ盛り上がる!うまい! ]
[ ようたん最高すぎる!! ]


『 ..ここまでご視聴ありがとうございましたっ!! 』


こうして葉月の生配信は終わった。

終わるなり、葉月は床に膝を付くように落ちた。
まあ無理もない、
人数的には武道館でライブやったんだから。

『 うああぁぁぁぁ...緊張した 』

葉月は息をふーっ、と吐いた。

「 お疲れ様、 」

34:    茅光.、     ◆iI  すき。:2015/12/02(水) 20:10 ID:woU




 登場人物整理。


  音村一希   _( おとむら かずき. )

  高校1年。男。
  基本的に人とは接しないが、
  趣味があう人とはすぐに打ち解ける。
  少し強引なところがあったり、
  人と違うところがある。

  
  小沢葉月   _( おざわ はづき. )

  高校一年。女。
  普通に友達も多く、元気。
  初対面の人には多少、人見知りすることも。
  とても歌がうまく、
  小学生の頃は合唱団に入っていた。
  歌みたは中学二年生のころからやっていて、
  徐々に人気を博す。
  

35:  茅光  ◆iI:2015/12/19(土) 13:52 ID:woU




『 ん、こっちこそありがと。意外と楽しかった。 』


ぺこり、と軽くお辞儀をされる僕。
反射的に"僕こそ"とお辞儀を返してしまう。

なんか自分の曲を世にこういう形で披露出来たのもそうだけど、小澤葉月が歌ってくれて嬉しかった。
【 音の手品 】は僕の中でかけがえのないものになっていた。


青春ってこれか。みたいな。
よくわかんないけどそういう感じだ。

『 まあもう遅いし、とりあえず帰るね。
  今日はありがと。 』

「 送ってこうか? 」

『 んーん。大丈夫。 』

玄関で一言 おじゃましました と言って
葉月は自宅に帰った。
 

36:  茅光  ◆iI:2015/12/19(土) 14:02 ID:woU



それから1時間ほど経った。
ネット上では " ようげつ " の生配信について
Twitterなどで盛り上がっていた。

改めて人気だなと思い知らされる。
そんな人気な同級生に曲を提供出来たこと
奇跡に想う。

なんてことを考えていると、
僕の携帯が振動した。

【 差出人:小澤葉月

  今日はありがとう。
  意外に楽しくて、良い日になりました✌
  前まではほんとはすごい嫌で、
  お前が生配信って書き込んだって知ったとき
  割りとガチで3発殴ろうかなって思った。👎💢
  けどまぁ、悪くないね。
  また、良かったら曲ください🎼    
  生配信も君が良いなら、またやろう。】

小澤葉月は意外に丁寧なやつだなって想う。
きっとこれも人気の理由なんだろう。
リアルに女子とのメールはしたことなかったので
すごい緊張するが、
僕はお礼のメールを返した。

37:  茅光  ◆iI:2016/01/02(土) 13:23 ID:woU





 『 おはよう 』


朝の昇降口で話しかけられた僕は、
家族以外からめったに言われないその挨拶に
とてもびっくりする。 
話しかけた人物は、1年6組小澤葉月。
昨日生配信を共にした仲間(?)だ。

「 お、おはよう.. 」

『 なにビクビクしてんの? 』

朝から強気な彼女。
朝からちょっと気弱な僕。
家だと葉月に対しても普通なのに。
学校というものはなんて不思議なんだろう。
普段、僕が学校でぼっちなせいかな。

朝の挨拶を交わすと、小澤葉月は
さっさと階段を上っていった。
僕も後に続くように
階段を駆けていく。

38:  茅光  ◆iI:2016/02/21(日) 14:09 ID:woU




教室につくと、僕はいつものように席につき、
本を読み始める。

まわりの女子はスマホ片手にきゃあきゃあと
騒いでいるが、僕は
友達やらなんやらと喋る必要もないし、
そもそも喋る意味も見出だせない。

初夏の風が心地よく、
指で紙を押さえてないと
すぐにページが捲られてしまう。
窓際の席はなんていいものなのだろうか。

  

「 席につけーーーー!授業始めるぞー! 」



理科の教師の声で生徒は慌てて席につく。

一時間目からの理科はとても面白味のないもの。
寝ろと言ってるようなもんだ。

初夏の風に揺られながら、
僕は眠りについた。

39:ミニ ミニ:2016/02/21(日) 14:48 ID:4WQ

とっても面白いです!

40:  茅光  ◆iI  :2016/02/21(日) 17:19 ID:woU




>>0039

ありがとうございます!
そういって貰えて嬉しいです(*´`)、

41:ミニ ミニ:2016/02/22(月) 19:10 ID:4WQ

続き楽しみに待ってます!

42:  茅光  ◆iI  :2016/02/23(火) 22:17 ID:woU




>>0041.

ありがとうございます!!、
ゆっくり更新ですが、
よろしくお願いします(*´-`)、

43:  ちあき  ◆iI:2016/02/28(日) 17:29 ID:woU





「 だから、大地の変動によって地面が・・・ 」


この眠気はいったいどこから来るのだろうか。

授業開始10分。
・・僕にとっては睡魔との格闘時間だ。


正直理科とかどうでもいい。
音楽やりたい。音楽やりたい。


そんなことを考えてたら、
僕のかばんから音がした。
周りには聞こえないくらいの、小さな音。


発信源がスマホだと気づき、
僕はポケットから、本来、授業中に触るはずがないそれを取り出した。



メールが来ている。
  
家族以外とほぼやりとりしたりしない僕だ。
家族は今、仕事だし、妹は学校だし、
と、なると。相手は・・


 " 差出人:小澤葉月  件名:急いで来い "


世界一の美声の持ち主( 僕調べ )、小澤葉月だ。
件名だけからすると、完全に借金取りだな・・。


おそるおそるメールを開く。


『 あなた、今どうせ暇でしょ?
  第二音楽室に集合☺ 10分以内ね!✨
  遅れたら....👎💢 』


暇だけど暇じゃない。
そう言う人の気持ちがよくわかった。
世界にはまだまだ知らないことがあるなあ。
 

彼女は最初こんなんじゃなかった。
もっと可愛いげがあって、ふわふわしていた。

今はこんな緩いヤンキーみたいなメールを寄越すようになった。人間は変わる。


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