時を駆けて、初恋*します。

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1:リリカ@恋歌◆JA:2017/09/03(日) 16:18


*プロローグ*

出逢えたら良かった。
でも。

「私たちは出逢ったらいけなかった。すぐに、もとの世に戻れ」

私たちは逢ったらダメだった。
彼は、そう言った。

692:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/25(土) 17:14

>>691
ありがとう!
やっと落ち着いて更新できます(*^^*)
  

693:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/25(土) 17:28

「・・・なぁ。夏音。ちょっと、来てくれない?」

藤堂さんから呼び出された。
何・・・?
告白?
だったら、断るけど。
ちょっとウキウキしながら、藤堂さんの近くに行くと。

「来て」

それだけ言われて、手を握られた。
あれ?
このシチュエーションは・・・!?
若干のドキドキ感を隠せなかった。
屯所の裏。

「・・・実は。よぉく落ち着いて、聞いてくれ」

えっ・・・?
重苦しい雰囲気。
必死に絞り出そうと言葉を選んでる、藤堂さんの顔を見ていたら。
嫌な予感・・・。

「夏音の言うところの・・・しーちゃん・・・新見さんが、切腹した」

しーちゃん、が、切腹、した・・・。
頭の中が、真っ白になった。
クラリと軽いめまいを感じる。
嘘だ・・・・・・!
でも、藤堂さんの表情が、全てを物語っていた。
嘘じゃなくて・・・。

「ば、かぁぁ・・・・。しーちゃんの・・・」

そこから先は、言葉にならなかった。
あのときの。
あどけなく、澄んだ瞳が意味するのは。

『自分の死』。

嗚咽した。
こみ上げてくる涙を止められなかった。
なんで・・・。
切腹したの・・・!?

「おーい。平助、夏音を泣かせたな〜」

気楽な永倉さんの声。
聞きたくなかった。
藤堂さんは、それを無視して、私に紙を渡す。

「それは、新見さんから預かった文だ。夏音に渡せって」

しーちゃん・・・。
私は、ソッと礼をした。
ホッとした顔の藤堂さんを見てから、私は屯所に戻る。
パサッと広げた紙には、読めない字が。
お梅さんに読んでもらおう。
涙を拭って、空を見上げると。
綺麗な青空が広がっていた。                                                
                          
                  

694:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/25(土) 21:16

お梅さんに読んでもらうと。
内容は、

『もうそばには居られない。少しだけだが、夏音と居られて良かった。俺が行った事は許されない。だが。俺は、夏音とずっと友達でありたかった。
俺は、お前が』

そこで手紙は終わっていた。
そこから後は、何を書きたかったのか。
大方わかっていた。

「旦那様も、大荒れだわ・・・」

お梅さんが、悲しそうにつぶやいた。
芹沢さんが、しーちゃんを失って悲しんでいる。
それは、わかっていた。
酒のなくなりがはやいから。

カラン

えっ・・・?
手紙から、何かが落ちた。
それは・・・。

「まあ。綺麗な真珠のかんざしじゃない」

お梅さんが、驚いたように拾う。
確かにそれは、薄桃色で、綺麗な真珠のついたかんざしだった。

「これって・・・。しーちゃんが・・・」

私に、遺してくれたのだろうか。
また涙が、こみ上げてきた。

「夏音に、似合うわ」

お梅さんの言葉で、私は、そうっとかんざしを受け取った。
光を反射し、真珠は一層美しく見えた。

『さしてあげたかった』

そんな、しーちゃんの言葉まで聞こえた気がして。
頭の中に浮かんだしーちゃんは、強く笑っていた。

「しーちゃん・・・」

何度泣いたのだろうか。
しゃくりあげる私の背を、お梅さんが撫でてくれた。                                                                    
            

695: アーヤ◆TQ:2017/11/25(土) 22:36

悲しい別れだったんだ……

696:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 07:27

>>695
ありがとう!
うん・・・。
切ないと言うか、悲しいんだよね。゚(゚´ω`゚)゚。  

697:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 07:35

「うっ・・・うっ・・・ひっく・・・」

お梅さんには、大丈夫と言って、八木邸を出たけど。
青空が悲しく見えた。
もう二度と、しーちゃんとは空を見ることができない・・・。

「・・・しーちゃん・・・うっ・・・」

ギュッと、かんざしと手紙を持った手に、力を込める。
私と、しーちゃんは永遠に友達なんだ、って。もう会えないだけ・・・。
泣くつもりはないのに、涙が溢れる。

「夏音さん・・・」

沖田さん・・・。
ごめんなさい、今は、誰とも話したくない。
沖田さんの目が、かんざしに視線を向けている。
ん・・・?

「誰からもらったんです?」

「そ、れは・・・」

言えない。
しーちゃんがくれた事。
ゾッとするほど、沖田さんの目は、暗く光っていた。                               
                

698:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 07:49

19,恐怖

「・・・なんで教えないんですか?」

えっと・・・。
これは、ヤキモチなのか・・・?
普段の沖田さんだったら。
私は、喜んでいたけど。
今は・・・。
何だか怖かった。

「・・・良いじゃないですか。・・・関係ないですし」

しーちゃんの想いを、教えたくないから。
私は、フイッと顔をそらす。

「関係ない・・・?」

ヤバい。
そう思ったのは、本能で。
逃げよう。
でも、もう遅かった。

「貸してください」

「ムリ・・・!!」

何となく、今の沖田さんに渡しちゃダメ。
そんな気がした。
ガッと音がして、壁と沖田さんの間に挟まれて。
いわゆる、壁ドン状態。
でも、ぜんぜん嬉しくない。

「やっ・・・!」

ドンッと、私は、沖田さんを突き飛ばした。                                   
 

699:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 11:28

怖かった。
やるせなさそうで、切なく、暗く冷たい瞳が・・・。
私は、必死で逃げた。

ドンッ

誰かにぶつかってしまった。

「夏音・・・?」

斎藤さん・・・!
私は、恐怖と悲しみを交えた涙を流す。

「どうし・・・た!?」

驚く斎藤さんをよそに、私は抱きついた。
今は、誰かの胸にすがりつきたかった。
落ち着きたくて。
この気持ちを、整えたくて。

「大丈夫・・・か?」

戸惑う斎藤さんの顔が、涙でぼやけて見える。
ポンポンと、温かい斎藤さんの手が私の頭を撫でた。
優しい・・・。
嬉しい・・・。

「ありがとうございます・・・」

見上げると、赤くなった斎藤さんの顔が。
ふふふ。
可愛いな・・・。
やっと、私は、笑えた。
しーちゃんが切腹したり、怖い沖田さんを見たりで泣いていたのに。

「で、なんで泣いてたんだ?」

心配そうな顔で、斎藤さんが聞く。
私は、しーちゃんの事から、沖田さんの事まで話す。

「そっか・・・。夏音、泣きたいときは、俺の胸を貸すぞ」

マジですか。
なんだか、笑いがこみ上げてくる。
素直に嬉しかった。
優しさが、沁みる。

「じゃ、今度もよろしくお願いしますね」

私は、涙を拭って笑った。                                                                    

700:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 11:35

20,部屋割り

その夜。
私は、土方さんに呼ばれた。

「失礼しま〜す」

一応、挨拶(?)をして部屋に入ると。
熱心に、文机に向かってる土方さんの後ろ姿が見えた。
はて?

「何、書いてるんですか?」

気になるなぁ。
もしやのラブレター??

「あぁ・・・って!いつ、入りやがった!?」

入りやがったって・・・。
挨拶したんですけどねぇ・・・。

「で、話って何です?」

用件によっちゃあ、すぐ帰りますけど。
土方さんが、真面目な顔で、

「お前は、八木邸じゃなく、こっちに泊まることになった」

ええっ!?
なんで、急に!?

「いや、芹沢さんがいつお前に乱暴するかで、心配だからだ」

ひぇ、乱暴!?
そんなのないハズだけどさぁ・・・。
部屋割りは?

「それを、今から考えるんだ」

なんだ、今か。                                      

701:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 12:39

祝、700!
コメントくださった皆様、ありがとうございます!
これからも頑張ろうと思います!(1000いけたら良いなぁ。1000いっても終わんなかったらどうしよ←)

───────────────────

よって、呼ばれたのは。
斎藤さんに、沖田さん、山南さん、藤堂さん。原田さんと永倉さんがいないのは、私が即却下したから。
誰だって、却下するよ。
あの変態コンビは!

「で、夏音はどこの部屋に・・・」

「俺の部屋に決定!」

土方さんの言葉を遮り、斎藤さんがしゃしゃり出る。
にっこり私を見て、斎藤さんは笑った。

「いつでも、貸せるようにな!」

何を、とまでは言わなかったけど。
さっきのだな。
んー。
でも、私、さっきスゴイ気になる物を見ちゃったしなぁ・・・。

「土方さんの部屋にします!」

ギョッとしたような、顔をしたのが一名。
土方さんだ。

「さっきの、何書いてたのか気になるから!」

それと、安全面でもしっかりしてるだろうし・・・。
今、沖田さんと気まずいのもあるし・・・。

「あっ、私、寝相悪いんで。気をつけてくださいね!」

それを言うと、土方さんの顔が、少しだけ青ざめた。
なんで?
ハテナマークを浮かべながら、その日は終わった。                                                                           

702: アーヤ◆TQ:2017/11/26(日) 19:02

壁ドンは沖田さんだったけど夏音にとっては恐怖の壁ドンだったね、それにしてもある意味で怖いよ沖田さん色んな感情が出ていてだけど斉藤さんに抱き付いた夏音が悲しい感情に恐怖の感情が混じって安心させて頭ポンポンって逆に良いね慰めだから。
それにしても土方さんのアレはなんだったのか気になるから土方さんの部屋に決めたんだね、で変態コンビはね……ちょっとだけれど夏音と土方さん二人っきりってこれって密室じゃあないの!?

二人だけだから何かあるよね部屋中でシチューエションが、あって欲しいキスとか手紙みたいなのを見てみたいって奪い合いをしてハプニングって感じかな?

703:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 19:47

>>702
ありがとう!
今のところ、ちょっと微妙な感じになっちゃったよね。
夏音と沖田さん。
斎藤さんは意外と、慰め役に徹すると言うか・・・(´V`)♪
確かに、密室だね!
いろいろハプニングが起こりそうだよねo(^-^)oワクワク              

704:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 19:56

21,寝言にドキドキ

布団を敷いてっと・・・。
よぅし。
あとは、寝るだけだ〜!
でも、その前に・・・。
そーっと文机に忍び寄る。
どこにあるかな・・・?
ラブレターがでてきたら、どうしよ!
そのときは、そのときで言い訳しよう。
あさり始めたとき。

「何を探してる・・・?」

ギャーッ!
鬼だぁ!
妖怪だぁ!
ぬうっと、土方さんが姿を見せる。
ひゃあぁ・・・。

「何でも!別に、机をあさるつもりは・・・」

「あったんだな」

ひぃぃ!
バレたぁ・・・。
私は、諦めて手紙とかんざしを枕元に置く。
お守り代わりに。

「おやすみなさいっ!」

私は、布団を頭からかぶった。
思えば、密室じゃん!
二人きり・・・。
なんか起こりそうで、スゴイ緊張する・・・。まあ、土方さんの事だし、ヘンな事は考えないだろうけど・・・。
ちょっと、恥ずかしいような、緊張するような。                                               

705: アーヤ◆TQ:2017/11/26(日) 20:40

まあ緊張するからって油断は出来ないからね。
お互いに二人の寝顔が見えたり?
土方が寝言を言っていたり気になるよ

706:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 21:10

>>705
ありがとう!
寝顔チャーンス!だね(笑)
夏音にとって、願ったり叶ったり(?)だよね(*^^*)       

707:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/26(日) 21:20

うう・・・。
私は、そうっと布団から顔を出す。
スースー眠っているであろう、土方さんがいることを意識してしまう。
よって。
わぁぁん。
寝れない・・・!!

「ヤバ・・・目が冴えてきちゃった・・・」

暗い部屋にも慣れてしまい、なぜだかドキドキする。
そうだっ・・・。
寝顔見るチャンスじゃないか。
よぅし。
寝顔を、拝ませてもらおう。

「マヌケな顔だったりして・・・」

若干のニヤニヤを抑えきれず、土方さんの布団に忍び寄る。
端から見れば、変態だよね・・・。
んー!
でも、見たい。

「どんな顔かな・・・」

ソッとのぞき込むと。
スゴイ穏やかな寝顔。
私に、あれこれ言ってるときと、別人みたいな。

「夏音・・・」

ほひゃ!?
バレたのかな!?
でも、目は開いてない。
寝言か・・・。

「離れる、な・・・」

えっ・・・?!
胸が、異様に高鳴る。
キュンとなって、頬が火照る。
照れてしまって、私は、自分の布団に潜り込んだ。
明日、どんな顔をすれば良いの・・・!?                                                       

708: アーヤ◆TQ:2017/11/26(日) 21:49

予想外に土方さんではなくって夏音から、土方さんの布団に忍び込んで来たのは予想外だったけど土方の寝顔を見てからの寝言も聞いてドキドキするかなぁ夏音

709:リリカ@恋歌◆JA 今日は、休みだ〜!イェイ!  :2017/11/27(月) 09:17

>>708
ありがとう!
夏音的にも、スゴイドキドキしてたと思うよ(笑)
夜這いしてるみたいだよね(笑)         

710:リリカ@恋歌◆JA 今日は、休みだ〜!イェイ!  :2017/11/27(月) 09:34

22,歯がゆさと愛しさ ※沖田side

「・・・しーちゃん・・・うっ・・・」

泣きじゃくる夏音さんに、声をかける。
そのかんざしは、誰からもらったのかと。
答えにつまっている。
苛々が溜まり、歯がゆかった。

「・・・良いじゃないですか。・・・関係ないですし」

その言葉に、胸が痛くなった。
拒絶された気がしたから。

「貸してください」

自分でも、ぞっとするほどの冷たい声だった。かんざしを貸してもらって、壊したい衝動に駆られる。

「ムリ・・・!!」

潤んだ瞳が、見上げる。
愛しさを感じる反面、嫌がられて困っていた。
力ずくで取ろう。
壁に押し付ける。

「やっ・・・!」

突き飛ばされたあとの事は、あんまり覚えていない。       
 
                          
          

711:リリカ@恋歌◆JA 今日は、休みだ〜!イェイ!  :2017/11/27(月) 16:46

23,私が男色!?

翌日

ううう・・・。
眠いなぁ・・・。
よぅし。
二度寝をしよーっと!
暖かい布団にくるまり、私はごろりと寝返りをうった。
だけど、寝返りをうったら・・・。

「ギャーッ!」

悲鳴をあげてしまった。
理由??
そんなの簡単。

「はやく起きろ!」

土方さんの顔が、近いから!
・・・って。
ここ、もしやの・・・。

「俺の布団を取るな!」

土方さんの布団!?
私、どんだけ寝相が悪いんだろ。
土方さんが、ギッと私の向こうを睨む。

「てめぇら・・・!!」

へっ!?
てめぇら・・・?
後ろを見ると、咲さんをはじめ、斎藤さんや変態コンビ、沖田さん、隊士たちが部屋をのぞき込んでいた。

「副長が・・・!」

「城里と男色!?」

へっ!?
もしや、ホモかと疑われてるの!?
私、男色しないし!
・・・ってか、私は、女だし。

「城里、副長と恋仲なのか〜?」

咲さん・・・。
絶対、知ってて言ってるよね・・・?                                
   
                   
         

712: アーヤ◆TQ:2017/11/27(月) 17:51

まさか夏音がそんなに寝相が悪いとは思わなかったよ……
でも顔の近さで「ギャっー」て悲鳴をあげたけど、夏音らしくってやり取りが二人らしいよ🎵
起きても夏音が土方さんの寝言を、どう受け止めるか気になるよ《冗談半分》とか思わないで土方さんに覚えているかって言って欲しいよ🎵

なので,土方さんsideを見てみたい

713:リリカ@恋歌◆JA   :2017/11/27(月) 18:06

>>712
ありがとう!
確かに、二人らしいよね(*^^*)
土方さんside、書くよ〜(*´ω`*)     

714:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 18:21

24,アイツの寝顔 ※土方side

「ギャーッ!」

アイツが、悲鳴をあげた。
何だ?
朝っぱらからうるさい。

「はやく起きろ!」

急に、アイツの顔が真っ赤に。
まだ知らないのか。
と言うか、寒い。

「俺の布団を取るな!」

怒鳴れば、やっと気づいたらしい。
ん・・・?
視線を感じ、戸に目をやると。

「てめぇら・・・!!」

咲たちが、覗いている。
勝手に人の部屋を・・・。
変な噂をたてる、隊士を見て、アイツがまた真っ赤になった。
それを見ながら、アイツの寝顔を思い出す。



目を擦りながら、布団から起き上がる。
目が覚めてしまった。

「おい・・・」

思わず、つぶやいてしまう。
なぜなら。

「んにゃぁ〜・・・。いちご大福だぁ〜」

拳を固く握り締める。
アイツが、俺の布団に入り込んでいるからだ。
寝顔は、よだれが出そうなほど口が開いており、マヌケだった。

──────可愛いなどと思ったのは、秘密だ。                                     
                          
 

 

715: アーヤ◆TQ:2017/11/27(月) 18:30

土方さんが夏音の赤面の意味が分からないって、以外に土方は鋭いのにどこか鈍いんだね😃
それに土方さんらしく秘かにツンデレ出しているし、夏音の寝言も可愛いらしく思うよ🎵
やっぱり夏音色気っていうより食い気だね(*≧∀≦*)

716:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 20:01

>>715
ありがとう!
うん、鋭いような鈍いようなだね(笑)
久しぶり(?)のツンデレだよ(笑)
確かに、色気より食い気だよねぇ(*^▽^*)         

717:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 21:17

25,拉致からのタイムスリップ!?

あー。
朝から疲れたよぅ。
みんなの誤解を解くのが、ね。
特に、近藤さんが難しかった。

「そうか!良かったなぁ、歳。晴れて、嫁がもらえるなぁ」

もぅ!
勘違いは、怖いよぉ。
朝ご飯を食べた途端、私に訪問者が。

「きゃっほー☆久しぶり♪夏音。タイムスリップするわよぅ」

そう・・・。
よりによって、お母さんだったのよ!
タイムスリップ!?
そんなのしたくない。
この時代で、過ごしたいのに・・・。

「晋作、よろしくねっ♪」

えっ・・・!?
今、問題発言が・・・。
桂さんが、好きなんじゃ・・・?

「わかったぜ!すまんな、夏音」

高杉さん・・・。
謝られたけど、わからないな・・・。

ゴツッ

あ・・・。
ヤバい・・・。
意識、が・・・。
恐らく鳩尾を殴られた、と思う・・・。
呆気なく、私の視界は真っ暗になった。                       
              
    

718:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 21:25

ん・・・。
ハッと、気がついて目を開ける。

「夏音さん。目、覚めましたか?」

沖田さん!?
そんな、に、顔が近いと・・・。
胸がキュンキュンして、ヤバいですって!!

「此処は・・・?」

私の問いに答えたのは、お母さん。

「タイムスリップマシーン内よ♪」

私を、拉致って?
タイムスリップしようとか、考えてるの!?
絶対反対!

「今まで、私に迷惑を被ったのは、どこの誰よ!?」

張本人は、キョロキョロ。
わざと・・・?
ああっ、腹立つ!

「だから、タイムスリップなんて・・・」

私の言葉は、そこで止まった。
なぜか。
それは、お母さんがタイムスリップマシーンのボタンを押したから。
激しい風圧で、私は、必死に沖田さんにしがみついた。


(Iへ続く)                                               

719:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/27(月) 21:33

あとがき

H完結です!
スゴイ嬉しいです!
回を重ねていくごとに、感慨深さが深くなっていくような・・・(笑)

さて。
今回は、切ない友情をテーマ(?)にしてみました。
夏音と、しーちゃん(新見さん)です!

史実通り、しーちゃんは切腹するのですが・・・。
夏音としーちゃんの絆の回、少なかったですけど、書けて良かったです。

文で、しーちゃんの夏音に対する、想いを描けて楽しかったですね。

恋も、進んだ気が。
ツンデレが書けて楽しかったし、良かったです(笑)

Iの舞台は、1000年前(平安時代)の日本です。楽しく書きたいなぁ〜。

いたらない点もありますが、よろしくお願いいたします。

コメントをくださった皆様、ありがとうございます!
語彙力はないに等しいリリカですが、これからもよろしくお願いいたします。

では。            
                          
             

720:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/28(火) 18:01

『時を駆けて、初恋*します。』I

登場人物

城里 夏音
本作の主人公。
明るく、しっかり者。
沖田さんが好きだけど・・・。

沖田 総司
新撰組隊士。
優しく、温和。
夏音と両想いだけど・・・?

土方 歳三
新撰組副長。
夏音に想いをよせる。
最近、接近してるけど・・・?

近藤 勇
新撰組局長。
大食いで明るい。
夏音と土方さんをくっつけようと、画策中。 

永倉 新八
新撰組隊士。
酒大好き。
夏音には、変態と認識されている。

藤堂 平助
新撰組隊士。
優しく、料理上手。
苦労人。

原田 左之助
新撰組隊士。
大食い。
夏音に変態と認識されている。

山南 敬助
新撰組隊士。
知性派。
みんなのストッパー。

斎藤 一
新撰組隊士。
明るい。
夏音大好きで、一途。

井上 源三郎
新撰組隊士。
穏和。
癒し系で、喧嘩もやんわり止める。

彰子
藤原道長の娘。
一条天皇に嫁ぐ。
夏音と出会って・・・?

紫式部
彰子に付き従う。
源氏物語の作者。
引っ込み思案だけど、夏音と出会い・・・?                                                   
        
    
      

721:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/28(火) 18:06

1,1000年前の日本!?

「着いたみたいですよ」

沖田さんの声。
私は、慌てて背中を掴んでいた手を離す。

「やった〜☆1000年前の日本に来ちゃった〜♪」

1000年前の日本!?
嘘でしょ!?
タイムスリップマシーンを出ると。

「わあぁ・・・」

思わず、溜め息。
うっとりしてしまう。
景色は、あんまし変わってないと思うけど、1000年前の日本だと思うと、感慨深いんだよね。

「場所、変えるわね☆」

へっ!?
私は、慌てて戻る。
また、風圧を感じて・・・。                            

722:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/29(水) 18:26

2,彰子さんと紫式部さん

「彰子さま。女官を呼んできます!」

誰・・・?
彰子さん・・・?

「此処に、突然現れるなんて。怪しいですわ!」

『彰子さん』に注意していた人の声。
わっ!?
私の顔をのぞき込んでる!?

「そぉ?紫、私、この子気に入ったわ」

別の声。
別の人が、私を抱きしめる。
艶やかな黒髪に、おっとりしたような感じの、優しい目。
気に入ったの、私なの!?

「彰子さまが、そこまで言うのなら・・・」

彰子さんと違う、人。
紫さん?
黒髪で、綺麗な目。

「私は、紫式部。あなたがたの名は?」

紫式部さん!?
社会の時間に、習った。
国風文化だっけ・・・。
源氏物語を書いた人なんだよね!

「私、城里夏音です!こっちの人たちは・・・」

全員を紹介。
彰子さんが、私の肩を抱く。

「夏音、可愛いわぁ・・・」

嬉しい。
そんなに、可愛がられるなんて。                       
              
                             

723:リリカ@恋歌◆JA:2017/11/30(木) 18:22

3,女の嫉妬は怖し

ところが・・・。
ちょっと照れてる私を、紫式部さんが睨むんだよぉ・・・。

「彰子さま。やはり、宮中にこんな身なりの者たちを連れ込むのは・・・。道長さまに、怒られますよ」

途端に、彰子さんはむううっ。
ふくれっ面で、

「紫は、いっつも父上父上・・・。父上がよほど好きなのね」

そしたら、紫式部さんが真っ赤になった。
あれ、図星?

「私は、夏音さえいればいいの」

彰子さんがまた、微笑む。
えっ・・・とぅ・・・?
どう対応すればいいの?
間違ったりして、紫式部さんの怒りをかうのはヤダからね。

「夏音〜・・・」

紫式部さん!?
そんなに、睨まないで・・・。
女の嫉妬は怖し!                                              

724:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/02(土) 20:03

4,ナルシスト系道長さん

「彰子〜」

御簾?の向こうから、男の人の声。
そのとたん、彰子さんの顔がげんなり。
対して、紫式部さんの顔が、明るくなった。

「父上・・・」

「開けるぞ!」

って、言いながら勝手に開けたし。
のぞき込んできたのは、ちょっとぽっちゃりだけど、ハンサムな人。
うぬぬ・・・。
土方さんの方が、カッコイいわ!

「なんだ、コヤツらは!」

コヤツら!?
ひどくない?!
彰子さんが、庇うように、

「父上。この者たちは、私の知り合いで・・」

道長さんが、彰子さんを一瞥した。

「なぜ、私以外の美男がいる!?」

指した先には、土方さん&沖田さん、藤堂さんに山南さん。
代わりに、近藤さんや原田さんが、がっくり。

「こいつ、自分以外の美形、認めないの?」

斎藤さんが、引いたように言う。
だよねぇ・・・。
完全な、ナルシスト系だ。                                
                   

725:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/03(日) 13:01

うーーん。
私、ナルシスト系と、変態は嫌いなんだよね。

「変だなぁ」

「キモいですよねっ!」

私は、斎藤さんとひそひそ。
ところが。
紫式部さんが、私たちの前に仁王立ち。

「道長さまに何てこと!」

ほへっ!?
”さま“!?
ギュインッと目を吊り上げた紫式部さんが、

「時の権力者に!」

ええっ!?
そんなに、惚れてるのかい!?

「よいよい。小童の戯れ言じゃ」

むううっ。
紫式部さんをたしなめてるように聞こえるけど、さり気なく私を、けなしてるよね!?
土方さんでさえ、言わなくなった”小童呼び“!?

「ひどいです!小童って!」

私が反論すれば、沖田さんが私をたしなめる。

「夏音さん。落ち着いて」

は、はいいぃ!
沖田さんの顔が、近いぃぃ!
よしっ。
けなした道長さん、許してあげようじゃないか〜!                                               

726:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/03(日) 16:06

5,恋い慕う

紫式部さんが、ポッと頬を染めた。
恋い慕う気持ちが、すごいわかりやすいなぁ。

「源氏物語、できました・・・」

おずおずと差し出したのは、本。
もしや!?
源氏物語!?
道長さんの顔が、パッと明るくなった。

「おお!借りるぞ」

紫式部さんの許可を取る前に、奪い取る。
私たちも、後ろからのぞき込むと。

「何これ!?」

読みにくい!
ってか、字なのかこれは。

「式部、次はどうなるのじゃ!?」

それを聞いたら、ダメでしょ。
紫式部さん、照れたように笑う。
ちょっと、はにかんでる。

「・・・秘密でございます」

道長さんが、大口を開けて笑った。
雰囲気が、近藤さんぽいぞ。

「続きが気になる」

言われた途端に、まぁた紫式部さん、真っ赤に。
恋い慕う気持ちが、だだ漏れだよ〜。
紫式部さんが、私を見る。

「夏音ほどではないわ」

えっ!
私も、だだ漏れなのかい!?       
                                        

727:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/04(月) 19:44

6,恋する乙女同盟

「何なら、伝えて・・・」

「ちょおおっ!」

私は、薄く笑んでいる紫式部さんの、着物の裾を掴む。
ダメでしょう!
そりゃ!

「私が、自分で伝えますから!」

紫式部さんが言ったら、勘違いが起こりそうだもの。
・・・とは言え、いつだったか沖田さんに、告白しそうになったよね、私。

「それよか、道長さんのどこが良いんですか?」

理解不能なんだけど。
紫式部さんが、頬を赤く染めた。
初々しくて、可愛い。
幸せですよオーラが、わいてる。

「優しいし、私なんかを気にかけてくれて・・・」

へぇ。
ナルシスト系なのに、優しいんだ?
ただ単にチャラいのでは?
でもなぁ・・・。
私は、紫式部さんを応援したくなっていた。
恋する乙女として、ね。

「紫式部さん、互いの恋に協力するのは、どうでしょう?」

そしたら、互いにとって、良いよね。
紫式部さんが、こくんとうなずく。
恋する乙女同盟が成立だ〜っ!                  
                                  

728:リリカ@恋歌◆JA 米がないと困るけど、コメントもないと生きてけない>_<病みリリカだぞ☆        :2017/12/04(月) 21:21

7,翳り

わきゃわきゃしてる私と、紫式部さんの背後から(!)彰子さんがぬううっ・・・。

「夏音〜・・・」

わひゃ!?
抱きつかれても、困るんだけど!

「好き〜・・・」

ガチですか?
私、そっち系の趣味ないんだけど・・・。

「って、あっちの男たちが言ってたわ〜」

えっ!?
指した先には、沖田さんたち!?
本当ですかね・・・。
みんな、照れたように目をそらしてる。
怪しいな〜・・・。

「俺は、夏音が好き!」

斎藤さん!?
後ろから、抱きすくめられるとは、予定外だよ。
まぁ。
斎藤さんは可愛いから、許そう。
まっすぐ想いを伝えてくれて、嬉しいしさ。

「斎藤さんは、人斬りにはならないですよね?」

純粋に聞くと、斎藤さんだけでなく、みんな一斉に目を翳りを浮かべた。
私は、あえて見ないふりをした。                                                     

729:リリカ@恋歌◆JA 夢に捕らわれたいの…。永遠の夢に。醒めることない、永遠の夢に。          :2017/12/05(火) 19:50

8,幸せになりたいから・・・

「父上。なぜ、私が帝に嫁がなければならないのですか!?」

急に、彰子さんが声を荒げる。
どうしたの・・・?

「夏音や、紫は幸せになれるのに。何故、私は・・・」

当然の事だった。
普通の女の子なら、誰もが望むこと。
それなのに・・・。
いきなり、妃になるとか、考えられないだろうに。

「仕方ないだろう。藤原家のためなのだからな」

ブチッ

何かが切れる音。
何よ!
家のためだとか!!

「そんな事・・・!!」

反論しかかると。
彰子さんが、私を制す。
きっ、と道長さんを睨み上げて。

「父上のもとになど、帰りませぬ!」

それだけを言って、部屋を飛び出した。                                      

730:リリカ@恋歌◆JA 私は、要らない人…。       :2017/12/05(火) 21:16

私は、スッと立ち上がった。
沖田さんが、立ち上がる。
私は、それを制す。

「女同士の、話ですから」

私は、ひらりと御簾を押し開けて出た。
彰子さんは・・・?
近くの、女官にたずねる。

「彰子さんは・・・?!」

女官は、戸惑ったように、先の廊下を指す。

「あちらに・・・」

「ありがとうございます」

簡単に礼を言って、駆け出す。
この際、廊下を走るな!のルールは、無視ね。                           

731:リリカ@恋歌◆JA    :2017/12/05(火) 21:25

走っていくと、泣きじゃくる彰子さんを発見。
重たそうな着物なのに、案外素速いんだね・・・。
彰子さんが、クルリと振り返る。

「・・・夏音・・・」

そう言って、私の腕の中にダイブ。
私は、恐る恐るその震えている背を、抱きしめるように撫でた。

「幸せに、なりたいのに・・・」

胸が、どっくんと跳ねた。
この人は・・・。

「幸せに、なりたいから・・・」

抱えきれないほどの、悩みや怖さを抱えている・・・。
幸せになる資格なんて。
みんなあるハズなのに・・・。

「そーだっ!入れ替わりますか!?それとも、私が帝に嫁ぎましょうか?」

そうすれば、彰子さんは幸せになるし。
彰子さんが、ふんわり笑った。
そこいらの花より、綺麗で。
淡くて、儚い。

「少しだけ、お願いできる?」

もち!
大丈夫です。
どうか、1日でも彰子さんが救われたら。
私は、にっこり微笑んだ。                                                     

732:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/05(火) 21:30

9,十二単

「重い!」

私は、思わず悲鳴をあげた。
だってさ・・・。
十二単が重いんだよ!
これで、素速いって・・・。
彰子さん、すごいよ!

「夏音、似合うわ〜」

えへへ。
嬉しいな。       

733:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/06(水) 21:19

ふふふーん。
鼻歌を歌いながら、歩いていると。

「彰子さま!」

誰だ?
束帯姿の、貴族と思しき男性が。
ううむ。 
土方さんの足下にも及ばないな!
しいて言うなら、近藤さんあたりかな。

「道長さまに、よろしくと・・・」

はぁ?
媚びるためなの?

「私は、父上の犬ではございません。では」

興味なく言って、立ち去ろうとしたら。

「彰子さま!ずっと恋い慕っておりました!」

別の男性が現れた。
えっ・・・?!
恋い慕って!?
と、思ううちに。                             

734:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/07(木) 16:51

10,私は誰の物!?

ドンッと壁に押し付けられ。
ほへ・・・!?
怖いのに。
声も出せない・・・。

「彰子さま!」

嫌だ・・・。
気持ち、悪い・・・。
と。

「・・・人の物に、手を出しましたか?」

わぎゃあ! 
沖田さん・・・。
大魔王が降臨してます・・・!!

「・・・斬ろうか」

土方さん!?
恐ろしいよ・・・。
二人を怒らせたら、この人の命が吹っ飛ぶよ!

「夏音!無事か!?」

斎藤さんまで・・・。
ってか、私、バラしたっけ・・・?
おわっ・・・。
大魔王が一気に、三人に増えたよ!?
ご愁傷様・・・。

「斬ります」

笑顔が!
超!怖いよぉ・・・。 
                       

735:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/07(木) 21:06

「逃げた方が・・・」

私が、そっとささやくと。
この人、斬られて天国行っちゃうよ!?

「彰子さま〜」

ほひゃ!?
抱きついたら、逆効果だって!

「んもう!止めて」

それを言っても、やめてくれない。
仕方ない。
こういう時、時の権力者の名は役に立つ。

「父上に申しつけますよ」

道長さんの名前を使ったら、やっとその人は逃げていった。
ふうぅ・・・。

「夏音〜!!」

大魔王の顔を崩して、斎藤さんが抱きつく。
嬉しいよ。
しかもさ、可愛くて。
萌えちゃう!

「あれは、何だったんだ?」

土方さんの言うとおり。
何だったの、あれ。

「ともかく、“私の”夏音さんが無事で、良かったです」

さりげなく、問題発言をさらっと・・・。
案の定、斎藤さんと土方さんがかみつく。

「いつから、総司のだよ!」

「俺のだ」

えっと・・・??
別な意味で、修羅場かも・・・。                                         

736: アーヤ◆TQ 体調が悪かったコメ出来なく&:2017/12/08(金) 14:29

沖田さんに土方さんに斉藤さん達が魔王になったよ!
そして夏音が単純な性格だって分かったよ……、沖田さんの恐ろしさで避けたのはどこに飛んで行ったのやら❔

737: アーヤ◆TQ:2017/12/08(金) 14:30

あと、明日小説更新せれたらします

738:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/08(金) 17:20

>>736
お久しぶり!
体調、大丈夫!?
最近、風邪が流行ってきたよね・・・。
魔王化した三人を止めれるのは、夏音くらいかも(笑)
良くも悪くも、単純なんだよね(*^^*)
確かに。
どこへ飛んでいったんだろ?
宇宙の果てかな(笑)

>>737
楽しみにしてる!!
すごい気になるもん(*^▽^*)                 

739:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/08(金) 17:28

無意味な押し問答が続いてて。
その間、私は、どんな顔をしたら良いんだろう?

「私のです!」

「俺のだ!」

「違う!俺のだよ!」

あはは・・・。
苦笑するしかないね。

「だから!」

聞いてるうちに、すごいイライラが溜まってきた。
私が誰の物かって・・・。
私に、拒否権とかないのか!

「あのぅ・・・!」

とりあえず、此処で喧嘩するのはやめよっ。
貴族たちの視線が痛いから・・・!
喧嘩してる三人の背中を押して、彰子さんと紫式部さんのいる部屋へ戻ると。

「書けない!私、『源氏物語』書けないわ!」

ヒステリックな、紫式部さんの声が届いた。
何!?
私は、三人を押しのけて、入ると。
そこには・・・。                                               

740:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/08(金) 18:47

11,代筆!?

ペタンと座り込んでる紫式部さんが。
よよよと彰子さんに泣きついてる。
あれ、主従関係だよね・・・?

「紫が、『源氏物語』を書けないと・・・」

彰子さん、戸惑ってる。
当たり前だよね。
ようは、ネタが尽きたって事ね。

「夏音〜・・・。私の代わりに、代筆して〜・・・」

ええっ!?
ダメでしょ!?
あとさ、私、『源氏物語』読んだことがないしさぁ・・・。

「それでもいい!お願い」

ええっ!?
嘘でしょう!?

「無理でしょ!?紫式部さんが、考えたストーリー・・・話どおりにいくか、わかんないよ」

第一、道長さんをモデルにしてるんだったら、無理だよ。
道長さんの良いところばっかり、書けるわけない・・・。                                       

741:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/08(金) 21:28

12,反則笑顔

「って事で、無理です!頑張ってくださいね」

そうじゃないと、社会の教科書に載らないからね。
困っちゃうよ。

「お願い!」

だから。
それが無理なの!
押しが強すぎるな・・・。

「やってあげたらどうですか?」

ぐぬぬぬ・・・。
好きな人に、それを言われたら。
女子なら、反対できないよ!

「し、仕方ないですね!」

あっ。
私、ツンデレ化してしまった?
紫式部さんが、にっこり笑った。
さっきの泣きついてたのは、何なのよ!!

「よろしくね」

あぁぁ・・・。
断れない・・・。              
       

742:◆5YQ:2017/12/09(土) 09:57

3人には段々と呆れるぐらいに独占欲に1人占めがあって、夏音病にもなったね

743:◆0pk:2017/12/09(土) 09:59

上の私です
パソコンからです

744:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 13:25

>>742
ありがとう!
夏音病・・・(笑)
確かに、発症してるね(*^^*)
独占欲がスゴいよね(笑)

>>743
了解でっす!     

745:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 13:34

「何なのよ!」

私は、思い切りグチる。
誰だってそうでしょ。
嫌な、わかりもしない物語を代筆しろなんて言われたらさ。

「道長さまぁぁ!」

と、萌えてるのは紫式部さん。
ちょっとさ・・・!
私に押しつけといて、勝手に萌えるのはやめてよね!

「って言うか。恋愛でしょ、これ。私、光源氏みたいな人いないよ。付き合ったことすらないし」

12年間、彼氏いないし。
逆を言うと、お母さんのせいで彼氏を作れないんだけど。

「少しは、協力を・・・」

しかし、紫式部さんは聞く耳を持たず。
彰子さんに至っては、けらけら笑うばかりで。こんな中で、書けるかっての!!

「しますよ」

協力しますよ・・・?
沖田さん!?
嬉しいけど、心臓がうるさくなるよ。

「どういう事をすれば?」

いやいやいや。 
その笑顔、ヤバい!
反則笑顔だよ!!
・・・なーんて思う私は、恋の病にかかってるかも。                                                                       

746:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 15:05

13,私が遊女?

「そう思えばさぁ」

なぁに?
斎藤さん。
さっきの大魔王が消え去っていて、良かったよ。
子どもっぽいから。

「夏音って・・・」

何々?
ためないでよ。
ドキンッとするじゃんか。

「遊女に変装できそうじゃない?」

遊女!?
って。
そんなに、まじまじと見ないでよ。
恥ずかしい・・・。

「幼女趣味なら落ちるぜ」

ロリコンを落とせる!?
そんなの、確定しないでよ!
しっかし、なぜかみんながうなずいてる。

「監察方に加わってもらいましょう」

ひょえ!?
沖田さんまで?

「“野良猫”以上の仕事をしろ」

むうう。
しつこいなぁ、土方さん。
いつだったかの、からかいを蒸し返さないでよっ。

「あっち(幕末)に行ったときですよ」

マジでやりたくないけどさ。
鬼気迫ってる勢いを、斎藤さんから感じたから、くぎを差した。                                          

747:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 16:31

14,恋する乙女は強い

「道長さまぁぁ!お慕いしておりますうぅ♡」

あはっ。
そんなに、道長さんが好きなんだ。
オタク化してるよ・・・。

「父上を呼ぶわ」

彰子さん、ニヤッ。
途端に、紫式部さんが赤くなる。
代筆を頼んどいてえぇぇ!!
思いつかない物書きほど、怖い物はないよ。

「これだから、書けないんじゃ?」

我ながら、当たってるよね。
道長さんの一挙一動にキュンキュンしてるようじゃ、書き進まないよ。

「道長さまが、かっこいいからよ♡♡」

当たりだぁ!
恋する乙女は、強いと言うか。
物思いにふける事が多いし。

「清少納言さんに、負ける・・・」

言い掛けたら、強い殺気を感じる。
殺気を発してるのは、紫式部さん。

「清少納言・・・・・??!!」

あわわ。
マズいこと、言っちゃった・・・??                                                        

748:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 18:12

15,好きになってほしいから

でも、違った。
少し涙を浮かべた、紫式部さんが私に言う。

「・・・はは。皆、私より・・・。清少納言が好きなのね・・・。皆・・・」

えっと・・・??
どういうこと・・・。

「帝も・・・。清少納言の仕えた、定子さまが一番だと」

そんな。
垣間見えた、紫式部さんの闇。
宮廷に入ったとたん、言われたんだろうな。

『清少納言がいた頃が、懐かしい』

とか。
皆が知ってて、自分が知らない。
比べられているように、思えたのだろう。

「・・・だから。『源氏物語』も書けない」

っ!
それは、違うのに。
なのに、紫式部さんが吐き出す闇を否定できなかった。

「・・・里に下がらせていただきます」

「それは・・・!!」

彰子さんの瞳が、揺れる。
私は、もう黙っていられなかった。

「それで良いんですか。道長さんに、好きになってもらわなくて」

僅かに、瞳が揺れて。

「私も、好きになってほしいから、頑張ってますよ。私なりに、だけど」

空回りになったり、だけど。
にっこり、笑う。
それに、さ。
決めたじゃない。

「『恋する乙女同盟』、破棄するんですか?」

紫式部さんが、私に抱きつく。
おわっ!
ただでさえ、自分の十二単で重いのに、紫式部さんのもかかってきて。

「『恋する乙女同盟』って、何です?」

あわわっ!
沖田さん・・・。
それはですねぇっ・・・。
無理です!
言ったら、パーになっちゃうし。
第一、恥ずかしいですよぅ。                                                                                                    

749:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/09(土) 21:26

16,大好き

紫式部さんと、顔を見合わせて、笑いあう。
可笑しくって。

「代筆、しなくて良いわ。私、自分で書くから」

良かった!
紫式部さんが、自分で書くと決意したから。
歴史が変わることも、なくなるね。

「道長さまの事も、頑張ろうと思うわ」

うん!
私も、恋する乙女として、応援するから。
彰子さんが、

「着替えたらどうかしら〜」

のんびりと言う。
確かに。
いつまでも、十二単着てるの、辛いから。

「似合うと思うんですけどね」

ほひゃ!?
そ、そんな無邪気な笑顔で見られたら・・・。沖田さんへの恋心、当社比、一・五倍増したよ!

「き、着替えるんで、あっち向いててください!」

ちょっと照れたように、私は言った。
みんなあっちを向いたから、彰子さんと紫式部さんに手伝ってもらって、十二単を脱ぐ。
あぁ、軽くなった。
服に着替えて、みんなに戻って良いと声をかけた。
にしても・・・。

「さっきの・・・」

無邪気すぎて、胸がキュンキュンとしてしまうよ!
ヤバい!  
心臓、持たないよ〜・・・。
好きなんか通り越して。

「大好き・・・」

改めて口にすると、頬にじんわり熱を感じる。
本当に、大好きなんだよね・・・。
私は、沖田さんが好きで好きで・・・。

「仕方ないんだね」

出逢う前には、絶対なかった。
こんな、温かくて切ない感情。                                                                     
                    
    

750:アーヤ◆PY:2017/12/09(土) 22:42

時代が同じ時代だったら良かったのにね、本当に切なく想う

751:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/10(日) 08:29

>>750
ありがとう!
だよね・・・。
時代が時代なだけに、末路がわかってしまって、切ないんだよね(*_*)
       

752:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/10(日) 08:37

17,君がいて良かった ※沖田side

夏音さんが着替えてる間、少し俺は切なくなった。
菊乃のときから、ずっとそばにいたから。

「思えば、不思議だな」

一さんが、言う。

「俺らが夏音に出逢ったのって・・・」

確か。
夏音さんの母上の何かとかで。
突然、現れたっけ。
そして。
心引かれるのもあっという間で・・・。

「いろんな所に、行きましたね」

「そうだな」

今、振り返れば可笑しな話だ。
でも。
何度だって思う。
君がいて、良かった。

「こっち向いて、良いですよ〜」

振り向けば、明るい笑みをたたえた、夏音さんがいた。
この笑顔を、忘れることはないんだろうな。                                                   

753:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/10(日) 12:26

18,おんぶ!?

私は、自分の高鳴る心臓の鼓動を抑えながら、苦笑い。 
だってさ。
私が生きる『時代』と、新撰組の生きる『時代』は違うから。
どう足掻いても、それは超えられないんだよね。

「夏音」
 
紫式部さん?
どうしたの?
そんなに、思いつめた顔して。

「『源氏物語』、私が死んだあとも、読まれるのかしら?」

なんだぁ。
そんなこと。
私は、にっこり笑った。

「当たり前じゃないですか」

じゃないと、社会の教科書に載んないよ。  ホッと安堵したような、紫式部さんが御簾を開ける。
庭には、蹴鞠をしてる人たち。
と・・・。

ボカッ

ほひゃ!?
鞠が、私に向かって飛んできた。
勢いは止まらず・・・。

「いったぁ!」

足に、当たって止まる。
ちょっと痛いわ。

「ううう・・」

ヤバい。
私は、思わず屈む。
と。
ヒョイと抱え上げられた。
斎藤さんに。

「夏音〜」

わぁ。
おぶわれて、なんだか。
おんぶ!?
うわわぁ。
赤ちゃんのとき以来だよ。
おんぶなんて。                                                   
              

754:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/10(日) 18:03

19,監察方

恐らくにやけてるであろう、斎藤さんの背中にもたれながら、ぼんやり。
赤ちゃんのとき・・・・か・・・。

「お父さん・・・」

つぶやいた私に驚いたのか、斎藤さんが聞く。

「俺が、お父さん?」

あっ。
そう言う意味じゃあ・・・。

「おぶわれるのって、お父さんにされたのかなって。懐かしくなって」

記憶が、ないけどね。
斎藤さんが、

「そう言や、夏音の父上って・・・」

話してなかったっけ。
今でも、あのときの衝撃が忘れられない。

「事故で亡くなったの。私が生まれて、しばらくしてね」

声のトーンが低くならないよう、ちょっと笑った。                            
            
       

755:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/11(月) 21:25

って!
何々。
この、『いけないことを聞いちゃった・・・シーン』は!?
しんみりしなくて、良いのに。
同情なんかいらない。

「それより!私、紫式部さんの『源氏物語』絶対読みます!楽しみにしてますから」

うん、これは絶対。
紫式部さんが、微笑んだ。
何も言わなかったけど、私には汲み取れた。

「Hello☆夏音〜!」

しっかし・・・。
ヤツ(お母さん)は、殺意がわくほどののほほんとした顔でタイムスリップマシーンに乗って現れた。

「お楽しみのとこ、悪いけど♪次、行くよ〜っ!」

はぁ!?
私、唖然。
次って!?

「お楽しみの、幕末♪♪」

私の、握った拳を見て、彰子さんと紫式部さんがふるふるとふるえ出す。
私の目に、暗い光が宿っているだろう。

「・・・一発殴らせろ〜っ!」

「きゃは☆」

ヤツは、私の攻撃を避け、タイムスリップマシーンに。
つられて、乗り込む。
あっ、はめられた。
そう気づいたときには、新選組と私はタイムスリップしていた。                                                                                   

756:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/14(木) 21:35

お知らせ

明日、更新できないかも(*_*;
最近、更新できてないし・・・。
土日に乞うご期待←おい
来週からは、またいつもどおりできると思います。            

757:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/16(土) 09:17

はぁぁ。
相変わらずのハチャメチャなお母さんだわ・・・。
私に、この人の血が流れているとは到底思えず。

「やっぱさぁ〜、このドキドキ感が良いのよね♪」

あのねぇ・・・。
沖田さんはじめ、みんなから殺気がわいてるよ?

「お母さん・・・。斬られてあっさり逝くよ?いつか」

断定するように、言えばお母さんは二ヒヒと笑った。
不気味!

「私には、長州がついてるから♪」

だからそれがヤバいの!!
とまあ、賑やかに(?)屯所に着いた。
お母さんは、なぜだか沖田さんの部屋に居座るって。
良いなぁ!

「おい、今から夏音の仕事について、教えてやる。咲と山崎を呼んでこい」

久しぶりだな、咲さん。
土方さんの部屋に残って、咲さんを待っていると。

「副長〜・・・。夏音が監察方、できますか?」

ぬぬぬっ。
咲さんめぇ!
やっぱり腹黒いよぉ・・・。
私が、恋敵だから?
うーん。
それだけじゃないような・・・。
なんて、気のせいかな。                                                                            
  

758:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/16(土) 12:45

20,バレるのはこりごり

すすっと障子が開いて、咲さんと知らない人。
この人が、山崎さんかぁ。

「監察方の仕事について、説明する・・・」

土方さんが言うけど、あんまり聞いてない。
だってさ。
山崎さん、美丈夫だもん。
浮気する意味とかじゃなくて、普通に思っただけ。
目が澄んでいて、綺麗。

「・・・わかったか?」

はっ。
聞いてない・・・。
んん〜。
聞いてないのバレたら、切腹になりそうだし。

「あはっ。大丈夫ですよ〜」

土方さんが、怪訝そうに見る。
怪しまれてる!
咲さんが、

「俺が注意しときます、手取り足取り教えときますから」

と、ニヤリ。
怪しいや。
咲さんは腹黒いし・・・。           
                                

759: アーヤ◆TQ:2017/12/16(土) 13:25

なんだか行き先が危ういよ!

760:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/16(土) 18:07

>>759
ありがとう!
確かに、色々危なさそうだよね(*^o^*)    

761:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/16(土) 18:21

手取り足取りって・・・。
危ない気がするし。
山崎さんが、グイッと身を乗り出す。
美丈夫に見られたら、困るよ〜。

「・・・女々しい」

ありゃあ・・・。
やっぱり、女々しいよねぇ・・・。
斎藤さんのときと良い、私って女々しいんだね・・・。

「女装なら上手いんじゃないか?」

咲さん・・・。
知ってて言ってる感満載だよ。

「・・・女装は、頼む」

はぁ!?
断定されたよ!?
土方さんが、くつくつと笑った。
でも。
山崎さんにバレるのはこりごりだよ。                           
        

762: アーヤ◆TQ:2017/12/16(土) 18:56

バレるかは時間の問題

763:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 12:18

>>762
ありがとう!
時間の問題だよね(*´ω`*) 

764:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 12:22

21,終焉へのエピローグ

────和やかなままだと思ってた。

みんなの目が、“鬼”の凄絶な光を放つ、までは。
でも・・・。

しーちゃんのときのような、別れが密かに近づいていた。                  

765:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 12:27

あとがき

はいっ!
I完結で〜す!
今までこんなに続けられた作品は初めてなので、すごい嬉しいです。

今回は、前半平安時代にタイムスリップしました!
あの紫式部と夏音が対面!

後半は、いつもの(?)幕末へ。
最近、別ればかり書いてるような・・・(汗)
あの人との別れです。

新キャラも出てきましたね。
注目してみてくださいね(*´ω`*)

コメントくださった方々、ありがとうございます!
こんなに続けられたのは、みなさんのおかげです。

これからも頑張ろうと思います。

        リリカ                                  

766:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 14:02

『時を駆けて、初恋*します。』J

登場人物

城里 夏音
本作の主人公。 
明るい。
裁縫などのチマチマ作業が得意で、沖田さんに想いを寄せている。

沖田 総司
新撰組隊士。
優しく、剣の腕が立つ。
夏音と両想い。

土方 歳三
新撰組副長。
S気質。
夏音が好き。

近藤 勇
新撰組局長。
大柄。
大食漢。
 
永倉 新八
新撰組隊士。 
明るい。
チャラい。

藤堂 平助
新撰組隊士。
優しく思いやりがある。
苦労人。

原田 左之助
新撰組隊士。
大食らい。
明るい。

山南 敬助
新撰組隊士。
穏和。
知的で頼りにされている。

斎藤 一
新撰組隊士。
子どもっぽく純粋。
夏音が好き。

井上 源三郎
新撰組隊士。
穏和。
ある意味最強。

山崎 蒸
新撰組隊士。
監察方で夏音の先輩。
夏音が女だと気づいてる・・・?


新撰組隊士。
夏音と同じく女。
腹黒いが、沖田さんが好きで夏音の恋敵。

花(はる)
夏音に惚れた女の子。        
                        

    

767:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 14:07

1,お梅さんの悩み

ふあ〜・・・。
幕末にタイムスリップして1日めの夜。
眠い〜・・・。
布団に潜り込んで、はたと気づく。
前の時、土方さんの布団に入っちゃったよね!うわぁ・・・。
今、同室の土方さんはいないけど、ドキドキする・・・。
なんて思うのは、私だけ?

「あっ。前の、あの気になってた物・・・」

白い帳面みたいだったよね。
気になるから、探そうっと。

「よぅし・・・」

二ヒヒと笑って、文机に近づく。
秘密、見つけちゃうぜ〜・・・!!                                

768: アーヤ◆TQ:2017/12/17(日) 15:00

土方さんの布団にデシャウで潜ったね、あとまた目的の土方さん宛てのラブレター諦めてなかったんだ

769:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 16:02

>>768
ありがとう!
夏音、諦めない質だからね(笑)  

770:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 16:06

しっかし!!
タイミング悪かった・・・。
文机の持ち主=同室の方がギラギラした目で、私を見下ろしていた。

「・・・何をしていた?」

地の底から響いてくるような、低い声。
ゾワワッと背中の毛が、逆立つ。

「あはは。別に・・・」

愛想笑いして、そうっと布団に潜り込もうとしたら。
首根っこを掴まれた。
笑い事じゃない〜!!

「・・・全部吐け。拷問するぞ?」

いやだぁぁ!!
私、今日が命日かも・・・。                                   

771: アーヤ◆TQ:2017/12/17(日) 17:45

土方さんに見つかるとは運が悪いね夏音……
でも吐かなかったら強引にでも攻めて来そうだから、早くも言ったら夏音命拾いするからね。

772:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 17:59

>>771
ありがとう!
いろんな意味で、吐かないと危ないね(笑)
不運なのも夏音の特徴だよね(笑)     

773:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 18:06

「・・・すいません、ラブレターが気になって・・・」

人間、素直が一番よね。
私が言うのも、何だけど。
土方さんが、首を傾げる。

「らぶれたー?」

ああっ。
この時代、ラブレターなんて言葉ないか。
 
「恋文ってことです。で、誰宛なんですか?」

謝るのは後でね。
気になることを、聞いとこう。
土方さんが、不思議そうに、

「恋文・・・?そんなの送らないが」

はい!?
じゃ、あれは・・・。
何なの!?
ところが、土方さんが怒ったように(完全に怒ってる)、

「人の文机を、荒らすな・・・」

ひぃぃ!!
ごめんなさい〜!!                                

774:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/17(日) 21:25

うわぁ・・・。
お怒りになってる・・・!!
ヘルプミー!
沖田さんでも、誰でも良いから!
しかし・・・。
祈りむなしく、襲いかかられる。
ギャーーッ!

「お邪魔するね」

と、障子が開く。
障子の向こうから、山南さんの仏のような後光が眩しい笑顔が覗く。
助かった・・・?
ところが、山南さんは襲っている土方さんと、襲われている私を一瞥して、

「・・・邪魔してすまないね」

相変わらずの笑顔で、するするっと障子を閉めた。
あぁ!
神様〜!!
なんで唯一の神様が去っていったのよぅ!                                       

775: アーヤ◆TQ:2017/12/18(月) 18:31

勘違い夏音と冷静土方さん最高に面白可笑しく夫婦関係に見えるよ(*ノ▽ノ)

776: アーヤ◆TQ:2017/12/18(月) 18:33

やっぱり山南さんグッとタイミングってえっ👀⁉
何故か閉めた?

777:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/19(火) 17:00

>>775
ありがとう!
夫婦漫才みたいな(笑)
コンビ組んでも良いかもね(笑)

>>776
そりゃ・・・。
大人だし、察したんだよ(笑)   

778:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/19(火) 17:03

私は、障子にすがりつく。
ガバッと開けて、

「助けて!」

誰かに抱きついた。
だってさ、後ろに危ないヤツがいるもん・・・。

「夏音?」

斎藤さん!
助かった〜・・・!!     

779:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/20(水) 18:40

斎藤さんが、なぜか目をそらす。
はて?

「・・・目のやり場に困る」

んっ?
そうっと、視線を下げると。
わぁ!
着物が、はだけてて。
私の頬が、熱くなる。

「すいません!」

斎藤さんが、耳まで真っ赤にさせて、

「そう言や、お梅さんが悩んでる風情だったぞ」

お梅さんが??
何を、悩んでるのかな。

「ありがとうございます」

お礼を言って、八木邸に向かおうと後ろを向くと、斎藤さんが声をかける。

「着物、正せよ〜。平山さんに叱られるぞ」

平山さんに会ったことはないけど、口うるさそうな人なんだな〜。                           

780:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/21(木) 14:25

八木邸に着いて、戸をガラッと開け放つ。

「こんにちは〜!お梅さん〜?」

そう言いながら、入っていく。
珍しく、芹沢さんの声が聞こえない。
前だったら、大声が響いてたのに。

「・・・あぁ、夏音・・・」

お梅さん!?
現れたお梅さんの髪も、着物も乱れていた。
泣きじゃくったのか、頬に涙の後。

「・・・聞いちゃったの」

ほへ?   
何を?
まさかの芹沢さんが別の女の人を、妾にしようとか?
土方さんじゃあるまいし。

「・・・旦那様の、暗.殺計画を・・・」

芹沢さんの!?
どこで!?
それとなく、なんだかみんなが隠れて何かしてるな、とは感じてたけど。

「・・・夏音・・・。どう、すれば・・・」

良いの、という声は、掠れていた。
お梅さんの悩みと言うより、悲しみは深い。
私は、ただお梅さんの肩を抱いていることしかできなかった・・・。                            
                            

781:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/21(木) 14:32

2,為くん

「────お姉ちゃん!遊んでよ」 

為くんの声に、私はハッとした。
お梅さんの聞いた、あのことが気になって仕方なくて。
私は、笑って、

「わかったよ。他の子は、呼ばなくて良いの?」

為くんはにっこり笑った。
おおっ!
天使の微笑み〜。
癒される〜。

「もう呼んでるよ。お姉ちゃん、しっかりしてよ」

あはは。
ホントだ。
私が、物思いにふけってて、見てなかったけど近所の子が来ていた。

「じゃ、遊ぼっか」

為くんが、またまたにっこり。

「うん!」

鬼ごっこや、かくれんぼをしてしばらく遊んでいた。
和やかな、ひととき。
少しの間だけでも、芹沢さんの話を忘れることができて、良かった。                                             

782:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/21(木) 14:40

3,怪しい人影 

「ありがとう、お姉ちゃん!」

為くんが、近所の子たちと、にっこり笑って礼をした。
えへへ。
お礼言われるまでの事、ないけどな〜。

「お姉ちゃん」

為くんがいきなり、思い出したかのように真面目な顔に。
したがって、私も真面目に。

「今日、お姉ちゃんがぼんやりしてたときに」

ぼんやりしてたのか、私は。
ちょっとショック。

「変な男の人がね、見てたの」

誰を?
為くんを?
それか、近所の子たち?

「お姉ちゃんを」

えっ、私を!?
為くんが、真剣な面持ちで、

「じいっと見てて、僕たちが『お姉ちゃんに用事?』って、聞いたらね」

そこで、別の近所の女の子が、口を挟む。

「逃げてったよ。刀を持ってたから、お侍さんだよ」

逃げてったの?? 
そう言えば、ちょっと怪しい視線を感じた気が、したけど・・・。

「ありがとう、為くん。暗くならないうちに、帰ってね」

怪しい人が、為くんたちに手を出す確率も、高いしさ。
私は、為くんたちに手を振って、屯所に戻った。                                                                  

783:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/21(木) 16:24

4,「守れなくて、ごめんね」

その夜の事、だった・・・。

「夏音!」

斎藤さん?
どうしたの?
私は、お風呂から上がって、髪を少しだけ布で拭いていると。
斎藤さんと、沖田さんが部屋に入ってきた。

「この子たちが・・・」

二人の後ろからは、近所の子たち。
泣いてる?

「為くんが、いないの・・・」

はぁ!?
いない!?
もしかして・・・。
私は、考えるより先に飛び出す。
夜の風が、冷たい。

「来たか」

ゾッとするほど冷たい、声。
振り向けば、切れ上がった目の男の人が為くんの背に刀の刃を当てていた。

「為くんを返して」

「新撰組の情報を流してくれたらな」

えっ・・・。
それは・・・。
無理だよ・・・。
でも。

「わかった」

私は、わかっていた。
この人は、為くんも斬って私も斬るつもりだって。
為くんがこっちに、走ってくる。
それと同時に、白刃が閃く。

「守れなくて、ごめんね」

私は、そうっと為くんを抱きしめた。
刀が一閃。
熱い。
そう思った時、視界に沖田さんが駆け寄ってきたのが見えた。
私の意識が、闇に消えた。                 
              
                           

784:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/21(木) 16:34

5,お父さん

濃い霧が、私の周りを包んでいた。
此処は・・・?
私、斬られたハズだよね・・・?
私は、知らない間に歩いていた。
花が咲き乱れる、不思議な野原に来ていた。

「夏音」

ほえ?
誰?
濃い霧の合間を縫うように、誰かが来た。
ふっくらした、顔にどこか鋭さを秘めたような切れ長の目。
私と、そっくりで───────・・・。

「お父さん・・・?」

その人は、やんわり微笑んだ。
信じられない・・・。
涙が、流れる。
だって───────────・・・。

「ホントなの・・・?」

私が、小さい頃に死んじゃったから・・・。
でも、幻には見えなくて。
恐る恐る伸ばした手に、触れた温度。
温かい・・・。

「お父さん・・・!!」

見間違うことない。
写真で見ている、私のお父さん・・・。

「お父さん・・・。お父さん・・・!!」

抱きついて、泣いた。
今まで、お母さんが教えてくれた話でしか、わからなかったのに。
目の前にいるなんて───────・・・。                           
    

785:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/22(金) 14:28

ふと見れば、小川が流れている。

「夏音、行こっか」

お父さんが、ニコッと笑う。
えくぼができて、愛嬌がさらに溢れる。

「うんっ!」

しばらく戻りたくない。
これが夢ならば。
いっそ、覚めてほしくない。

「おいで」

お父さんが、先に向こう岸に行く。
私も、小川に足を突っ込んで、岸に上がろうとすると。
向こうの霧が深いところから、ぬうっと誰か現れた。

「お父さん・・・!?」

現れたのは、お父さんで。
お父さんが二人!?
でも、向こう岸から現れたお父さんは、厳しい顔。

「戻れ」

えっ!?
どういう・・・。
すると、優しい顔だったお父さんの顔が、般若のように歪んだ。

「邪魔するな!」

発せられた声は、さっきとは打って変わって地獄のそこから聞こえてきそうな声。
厳しい顔のお父さんが、般若顔のお父さんを止める。

「夏音!戻るんだ!」

ひょえ?
私は、止めているお父さんの言う通りに、来た道を戻る。
般若顔が、鬼の姿に変わって。

「振り返らずに戻るんだ!」

お父さんの声。
私は、必死に顔を覆って走る。
絶叫が聞こえた気がしたけど、振り返らずに走った。                  
                               

786:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/22(金) 14:38

6,あの世?

うっ・・・。
私は、恐る恐る開けた目に、眩しさを感じてゆっくり目を開ける。
お父さんは・・・?
般若顔、否、鬼は・・・?
どうなってるの・・・?

「夏音が目を覚ましたぞ!」

斎藤さんの声が、遠く聞こえる。
私・・・。
着られたんじゃ・・・?
生きてるの・・・?
ゆっくりと、目の前に手を動かす。
生きてる・・・。

「私、・・・生きてる・・・!」

背中に、ピリッとした痛みを感じる。
でも、それが生きてる証で。
そっと傷口が開かないよう、座る。

「夏音!」

「意識戻ったんですか!?」

ドタドタと音が聞こえる。
心配性(?)だなぁ。
クスッと笑っていると。
ガラッと戸があいて、沖田さんと土方さんが駆け込んできた。

「あはは。元気ですよ〜」

ちょっと心配かけたくないから、嘘言っちゃった。                                       
      

787:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/22(金) 19:55

そうだ。
お父さんの事も、言っとこう。

「実は、夢なんですかね?どこかの花が咲き乱れていた野原に私、いたんです。そしたら、お父さんに会っちゃったんですよ!でね・・・」

と、さっき見た出来事を言うと。
沖田さんが、ニコニコと、

「あの世に渡りかけたのでは?」

と、土方さんを見やる。
当の土方さんはどうともしてない感じ、だけど。
額から汗が流れたのを、私は見逃さなかった。

「あれぇ?怖がりなんですかぁ?」

「なっ!んなわけねぇ!」

じゃ、なんで焦ってるの?
私と、沖田さんと斎藤さんはニヤニヤ笑った。
からかえるし!

「そーだ!今度、お化けが出ないか、確かめてみません?」

いっそ、みんなで。
そしたら、誰が一番ビビってるかも、よぅくわかるし。
って言っても、ビビってる人、もうわかっちゃった。

「そう言や、傷口、お医者さんに・・・」

見せたのかな。
斎藤さんが、

「ああ。咲が、サラシを巻かせてな」

そう言う事ね。
女だとバレたらアレだし。
咲さんに見られたくらいなら、大した問題ないや。

「咲が名乗り出なかったら、俺がやるつもりだったけどな」

土方さんが、ぼそりと聞き捨てならない事を言う。
ダメだろ、それ!
現代だったら、犯.罪だぞ!?

「さすが、女には手が早いですねぇ〜」

「女に好かれるからな、副長は」

あはは。
確かに、二枚目だし手も早そう。
そう言えば、前、好きな人がいるって言ってたよね。

「前に、好きな人がいるって言ってましたよね。その人と、どうなったんですか?」

もう恋仲に?
ちなみに、その人は誰なんだ?                                      
                                                                 

788:リリカ@恋歌<偽者>JA:2017/12/22(金) 20:31

その相手は…ノンスタイル井上だった。

789:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/22(金) 21:24

>>788
止めてくれますか?
一応、削除依頼出しました。
これ以上するようでしたら、アク禁出しますので。    

790:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/22(金) 21:32

7,肝試し

ん?
私、可笑しな事言ったか?
土方さん、真っ赤。

「・・・それは・・・」

無理には聞かないけどね。
私が、そう言うと、がっくりと肩が垂れた。
ありゃ?
悪いこと、言っちゃった?

「それよか、肝試ししません?二人一組になって」

途端、沖田さんの目が輝く。
子供みたい。
ふふっ、可愛い〜。

「どうやって決めますか?」

妥当な、じゃんけんとか。
じゃんけんの仕方を教えて、やってみる。

「最初はグー・・・じゃんけんぽい!」

私・・・パー。
沖田さん・・・チョキ。
土方さん・・・パー。
斎藤さん・・・チョキ。

「見事に分かれましたし、これでやりましょ!」

心中、ビビる土方さんを見たくてうずうず。
・・・なんて、私はSかも。                                    

791:アーヤ◆PY:2017/12/22(金) 21:59

夏音と土方さんのハプニングお化け屋敷見てみたい

792:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 08:18

>>791
ありがとう!
いろんな意味でのハプニング、ありそうだよね(*^▽^*)

793:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 08:33

8,お墓

「って事で、近くのお墓に、おぼん借りてきたので、これを取りに行ってもらいま〜す!」

私は、ジャンッとおぼんを見せる。
用意周到なのだ!
おぼん借りる際、近藤さんたちも参加したいって言ってたし、OKした。
人数が一気に増えたけど、なおさら楽しそう!

「じゃあ、沖田さんたちから!」

「行ってきます」

にっこり笑って、沖田さんたちが出発。

「楽しみですね〜!お化け、出たら良いなあ〜」

スリルとか出そうじゃん!
反対に、土方さんは真っ青。
あはっ!
鬼がお化けを怖がってる!
面白すぎる!

「ギャーー!」 

ありゃ?
斎藤さんの悲鳴だ。
お化けが出たとかっ!?
しかし、ウキウキする私と反対に、顔を白くする土方さん。
これが、演技だったら、相当な役者だよ〜。                                                             

794:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 10:34

9,女の子

しばらくして。

「こぇぇ〜!」

「そうでしたか?」

ちょっと青い顔になった、斎藤さんと飄々としている沖田さんが戻ってきた。
演技じゃなかったんだ。
さっきの悲鳴。

「何か、出たんですか?」

ワクワク。
出たんなら、さらにビビる土方さんを見れるし。

「いやいや、雰囲気が怖くてな・・・」

斎藤さん、ブルブル震えた。
それを聞いたら、一気に土方さんが青ざめる。
私は、にっこり笑って腕をとる。

「行きますよ〜」

「行かねえぇぇ!」

絶叫する土方さん。
山南さんが、仏の笑顔でその肩を叩く。

「土方くん、人間、諦めが肝心だよ」

そうそう!
私は、にっこり笑う。

「行って来まーす!!」                                          

795:アーヤ◆We.:2017/12/23(土) 11:34

完全なる夏音がドSになっているけれども、土方さん以上じゃあなくって安心だよ。
相当なハプニングでキスをしたりとか?
夏音の胸を触ってとかのハラハラドキドキのハプニングが好きです

796:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 12:48

>>795
ありがとう!
ハプニング、楽しみだな〜←他人事
書いてても、ハラハラする(*´ω`*)  

797:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 12:59

私は、さっき沖田さんから聞いておいた話を思い出す。
ふふっ、どんな反応するかなぁ?

「そう言えば、昔、ここらへんで家族が斬られたって事件があったらしいですねぇ。女の子の幽霊でも出るんですかね」

思い切りニヤニヤ言うと。
おおっ、怖い!
睨まれたよ。
怖くなっての、逆ギレ!?

「その子、絶対土方さんに惚れますって、沖田さんが言ってました〜」

私も、そう思う。
あわわ。
土方さんからピリピリした殺気を感じるよ。

「総司、絶対斬る!」

うわーん、怖いよ。
・・・なぁんて茶番は止めて、真面目に歩こ。

「・・・お姉ちゃん、亜依のお母さん、知らない?」

ひょえ?
いきなり、背後から声をかけられる。
振り向くと、黒髪を結った、女の子が立っていた。
為くんの友達かなぁ?

「見てないよ。じゃ、一緒に探してあげる」

女の子────話からして、亜依ちゃん───は、ニコッと笑った。
かく言う事で、肝試ししながらの亜依ちゃんのお母さんを探していると。

「亜依!」

綺麗な女の人が、現れた。
髪には薄紅色の簪が。

「お母さん!」

良かったね、亜依ちゃん。
亜依ちゃんは笑って、

「ありがとう、お姉ちゃん!」

ふふっ、良かったぁ!
土方さんを見やれば、プルプル震えている。
どうしたの?
亜依ちゃんが、お母さんと手を取って歩き出す。
いたって、いい光景じゃん。                                                          
                              

798:&◆Sg:2017/12/23(土) 14:01

バカな光景じゃ。

799:アーヤ◆We.:2017/12/23(土) 14:47

まさかの幽霊だからか2人して何かが起こりそう

800:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 14:50

>>798
あのう…。
批判、誹謗中傷はやめてください。

>>799
ありがとう!
ありそうだよね( ̄ー ̄)ニヤリ

800行くよ〜!
応援してくれて、ありがとうございます!(*^-^*)  
   

801:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 14:57

土方さんが、震えながら、

「あの薄紅色の簪・・・。総司の言ってた事件のとき、親子の母親が付けていたそうだ・・・」

ひぃ!?
まさか・・・。

「亜依ちゃんが、幽霊・・・!?」

さっきまでのルンルン気分はどこへやら。
私も、すうっと血の気が失せる。
振り返れば、もう亜依ちゃん親子の姿は見えず。

「ギャーー!」

悲鳴をあげたのは、私。
まさかの亜依ちゃんが幽霊だったなんて・・・。

「怖いです!はやくおぼん取って、帰りましょ!」

焦った私は、そのままずっこける。
足元が暗くて見えない!

「焦るんじゃねぇ!」

そう言う土方さんこそ、めちゃくちゃ焦ってるじゃないか。
私は、急いでおぼんを取って、土方さんと屯所へ駆け戻る。
着物の前がはだけるのにもかまわず。                                                   

802:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 15:11

10,ハプニングハプニング!?

ふうっ・・・。
やっとついたぁ!
気付けば、全身びっしょり。
汗か、これは。

「夏音!幽霊は、出なかったか〜・・・。・・・どうした、その格好!?」

へ?
格好??
着物と袴だけど・・・。
タイミング良く(?)土方さん到着。
着物、乱れて・・・。
って、私もじゃん!

「手が早い人は、さすがですねぇ・・・」

「許さないぜ、俺の夏音に手を出しやがって!」

あれ?
なんか、勘違いしてない?
私は、慌てて否定しようと、

「違いますって!」

と、三人の間に割り込む。
途端に、と言うか、偶然に、土方さんが斎藤さんの胸ぐらを掴もうとし、間に私が割り込んだもんだから、従って私の鎖骨あたりを掴んでしまい。
指が、下に動こうと・・・。

「・・・ギャーー!」

私の悲鳴があがった。                                                        

803:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 16:31

頬に熱を感じる。
いやいやいや・・・!
ハプニングとは言え、超恥ずかしい。
騒ぎを聞きつけてか、咲さんが来た。

「何々?夏音、どうした?」

同じ女とは言え、今は・・・。
ハプニングで、胸に・・・。
いやだぁ!
すごい照れるし、恥ずかしいし!

「・・・一さん、斬りましょう」

「だな!副長、覚悟。あんまし痛くないように、一発で斬るからな」

うぅぅ!
もう、土方さんが斬られようが煮られようが知らない!
偶然とは言え、自業自得だからね!
私は、熱を持った頬を押さえるようにして、屯所の中に戻った。                                  

804:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 16:40

11,ギスギス

うぅうぅ・・・。
気まずいよぉ。
ハプニングの元凶(?)と同室だなんて。

「おおおお、おやすみなさいっ!」

やたらに“お”が多かったけど、なんとか就寝の挨拶。
向こうの顔を見ずに、布団にくるまる。
あーあ。
咲さんと寝た方がまだマシだよ〜・・・。

「悪かったな」

突然、そんなことを言われる。
なんて顔をすれば・・・?
って、布団にくるまってるから、わかんないか。

「良いですよ、別に。ハプニング・・・偶然だったですし・・・」

確信犯なら、話は別だけどっ!
文机をあさりだい!
けど・・・。
こんな、ギスギスしてるときなんて、もってのほかだよね・・・。

「明日、何か予定ありますか?」

聞いて後悔。
副長だもの、仕事よね。

「いや、明日は、清算するだけだ」

何を?
しかし、土方さんは寝たみたい。
スースー寝息が聞こえる。

「ふわぁ・・・」

私も、欠伸。
寝とかないと明日、困るもんね。                                                  

805:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 18:22

12,恋人役

ふわぁ〜・・・。
相変わらず、眩しい朝だな。
眠い目を擦りつつ、布団から立ち上がる。

「ん〜っ!」

思いっきり伸びをして、寝間着を着替えようと帯に手をかける。
あっ!
はたと土方さんの存在に気付き、見ると。

「良かった、寝てた」

そりゃもう、可愛い寝顔でね。
スースー寝てて、S心がわく。
イタズラ・・・する暇もないな。
急いで、着物と袴に着替える。

「夏音〜。朝食食べようぜ〜」

斎藤さんが、声をかける。
でも、土方さん起こさないと。
そっと鼻を掴んで、ひたすらに待つだけ。

「・・・〜っ!っが!」

息苦しそうに土方さん、起床。
しばらく苦しそうにしてから、土方さんは私を睨む。

「やめろ!」

はいはい。
ごめんなさい。                                             

806:匿名:2017/12/23(土) 18:47

許さない。

807:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 20:54

>>806
他のスレでも荒らさないでください。
不快です。  

808:リリカ@恋歌◆JA:2017/12/23(土) 20:57

にしても。
箸を動かしながら、考える。
清算って、何を?

「夏音。今日、暇か」

えっ?
暇、だけど。

「都に用があるからな」

ん??
どんな用なんだ?
若干ドキドキしながら、朝食を終えた。        

809:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/23(土) 21:29

だって!
デートとかだったら・・・。
なぁんて期待する私、乙女みたい。

「簪・・・」

しーちゃんがくれた物しかないや。
でも、とっておきの宝物。
お梅さんに髪を結ってもらおっと。             

810:匿名:2017/12/24(日) 11:45

自分で髪結えないの!?クズじゃんw

811:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/24(日) 13:26

>>810
時代なので…。
仕方ないです。
ですので、クズwは、ちょっと。  

812:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/24(日) 13:28

髪が結えないのは、この時代の髪型は難しいから。
なんて。
お梅さんに習っとかないと。

「お梅さん、今度、結い方を教えてくれませんか?」

お梅さんはにっこり。

「良いわよ」

良かった。
お梅さんが優しい人で。          

813:匿名:2017/12/24(日) 16:22

あなたの小説誰も見てないよ?悲しいね〜w

814:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/24(日) 18:07

>>813
そうですか。

815:ゆかこ (ノ>_<)ノ ≡dice5:2017/12/24(日) 18:15

リリカさん私は見てますよ!!めちゃくちゃ面白いです。荒しの言葉真に受けないでください!!私リリカさんの小説大好きですよ?
あ、更新毎日楽しみに待ってます!頑張って下さいね〜!

816:匿名:2017/12/24(日) 19:37

↑だったらコメしろよまぎらわしーんだよ。あと、顔文字って古いから。

817:ゆかこ (=゚ω゚)ノ ―===≡≡≡ dice2:2017/12/24(日) 19:51

あ、はいそうですか。
いや古いもなにも私の自由じゃないですか?なんであなたに言われなきゃなんですか?
これ以上はリリカさんの迷惑になるのでもうコメントしません。匿名さんも止めてください。
匿名さん荒い言葉使いでごめんなさい

818:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/24(日) 21:02

>>815
ありがとうございます!
はい、気にしません。
気にするだけムダですよね。
頑張ります!
  

819:匿名:2017/12/25(月) 12:44

黙れよ二次元オタクw

820:リリカ@恋歌◆Wg hoge:2017/12/26(火) 21:12

>>812

結い方がわからないと困る。
万が一───そう、万が一、お梅さんがいなくなったら。
そんなことないと、思うけど。

「頼りきりは、だめだよね・・・」

じゃないと!
馬鹿にされるもの。        

821:薫+*Mio+*◆v. 久しぶり!:2017/12/27(水) 07:52

リリカ!久しぶり!
葉っぱに来れなくなった薫です!
今はいろいろあって、書き込みできてるの。
多分、次来れるのは何ヵ月も先だけど……。
小説も、応援してる!
解フル☆もね、パワーアップさせるから!(葉っぱ来れなくなってから、手書きで別の物語書いてたんだ)
じゃ、またね!(よいお年を!)

822:リリカ@恋歌◆Wg hoge:2017/12/27(水) 11:07

>>821
薫!
おひさ〜(≧▽≦)
何ヶ月でも待ってます(*^▽^*)
解フル☆超楽しみだよ〜(*^o^*)
よいお年を〜(*´ω`*)  

823:リリカ@恋歌◆Wg hoge:2017/12/27(水) 11:14

恥ずかしながら、私、いろんな意味ですごい人との知り合いだもの。
恥かかせたくない。

「夏音、行くぞ」

はいはーい。
都に出ると、着飾った綺麗な芸子さんたちがちらほら。

「今から、人に会う。おまえは、俺の恋人役な」

はぁ!?
恋人役〜!
待ち合わせ場所(?)に着いて、少し待つと。

「歳さま、今日は何のご用で?」

はんなりとした、綺麗な女の人が現れる。
化粧もしているから、恐らく恋人。
土方さんの恋人が、私を見て固まる。

「・・・どなた?この小娘は」

ひぇ!?
いきなりドスが利いてるよ!                                   

824:リリカ@恋歌◆Wg hoge:2017/12/27(水) 18:33

土方さん、下手なこと言わないで。
この人、ヤバい目をしてるもん!

「俺の恋人だ」

「こんな、小娘が?」

ひょえ!
”小娘“のところで、憎悪が見えたような。

「悪いが、これで終わりだ」

はんなり美人、土方さんにすがろうとするけど、スルリと逃げられた。
そしたら。

「泥棒猫!人のモノを、盗らないで!!」

パシンッ。
へっ・・・。
何を、されたの・・・??                 

825:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/29(金) 10:26

ジンジンと頬が熱くなる。
やっと、気がついた。
叩かれたの〜!?
女の人は、ちょっと泣きながら、

「小娘のくせに・・・。私の、歳さまを奪うから・・・」

あはは。
痛いけど、苦笑い。
そんなに好かれてんだね。
土方さんって。

「帰るぞ」

ちょっ!?
泣いてる人が、可哀想だよ!

「先、帰っててください!私、この人送ってくるんで!!」

ハッとしたように、女の人が顔を上げる。
私は、女の人の手を取って歩き出す。
いくら何でも、放っとくのはひどいもん。                       

826:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/30(土) 08:02

13,花ちゃんに惚れられる!?

「あの、名前は?」

一応というか、聞いてみると。
女の人は、頬を染めた。
うっわぁ・・・。
かわいい!
モテるよ、この人!

「花ですっ。数えで、12」

ってことは、同い年!?
さり気なく、土方さん、ロリコン・・・。

「ろり・・・?私が、歳を偽ったから・・」

何で?
偽る必要性が?

「だって。12じゃ、相手されないもの。これも、化粧してて誤魔化してるだけ」

化粧とったら、美人だと思うのに〜。
花ちゃんが、私を見て頬を赤らめる。

「良かったら、名前を・・・」

そう言や、名乗ってなかったね。                         

827:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/30(土) 17:31

「城里夏音ですっ。よろしくお願いしますね」

ぽおっと、花ちゃんの顔が、一層赤くなる。

「夏音・・・。良かったら、お茶しない?」

振り絞るように、花ちゃんが聞く。
この後かぁ・・・。
土方さんに、先帰っててもらったからなぁ・・・。

「良いですよ、行きましょう」

花ちゃんの顔が、パアッと明るくなった。

「うれしい!私、夏音に惚れたかも・・・」

ええっ!?
それは、冗談で言ったら、だめだよ?
私、そっち系じゃないからね?                        

828:アーヤ◆We.:2017/12/31(日) 09:33

やっぱりお化け屋敷で、幽霊に会ったんだね…

それにしても2人の服がはだけたのは意外と驚いた!!!
土方さんってマジでロリコンじゃあないんだよね?
ロリコンだったらショックだよ

829:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/31(日) 10:28

>>828
ありがとう!
うん、意外な形で幽霊と遭遇した(笑)
ロリコンではないよ!
たまたま、好きになった(好かれた?)子が、年下過ぎただけ(笑)      
      

830:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/31(日) 10:38

14,バレる?

花ちゃんとお茶して、屯所に帰る。
帰路につきながら、お団子美味しかったな〜と、思い出す。
今度、沖田さんと行きたいな〜。

「帰りました〜」

声をかけると、奥から、

「城里ってさ、女みたいじゃねぇ?」

と、ドキリとする声が聞こえた。
嘘でしょ?!
耳を澄ませば、

「だよなぁ!」

「今度、こっそり風呂を・・・」

ヘンな事を考えているのが、聞こえる。
誰だ?
こんな、噂をたててるのは?

「夏音・・・?」

ひょあっ!?
誰!?
振り向くと、小首を傾げた咲さん。

「あのっ。噂をたててるのは、誰ですか!?」

聞くと、咲さんは奥に行って、戻ってきた。

「暇な隊士たちだ。何なら、一緒に風呂行くか?今日から」

神様仏様、咲様!
助かるよ〜!
バレるなんてことは、もうイヤだし。
何より、迷惑がかかるから。                                                     

831:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/31(日) 15:54

15,双子の弟と妹!?

と。

「夏音!」

お母さん?
振り向くと、ニヤニヤ笑ってるお母さんと、緊張したような桂さん。
暇な隊士たちが、飛び出してくる。

「桂ーー!」

お母さんが、きょるーんと色目を使って、

「今日だけ、桂さんを捕まえないで」

バカな隊士たちは、あっさりノックアウト。
で?
知らせって?
そう言えば、ちょっとお腹、膨らんでない?
食べ過ぎ?
ダイエットしないとね。

「違うわ。なぁんとね!」

何?
ヘンな予感。

「あなたに、双子の弟と妹ができたのよ!」

・・・・・そのときの心情は、書ききれないくらい。
五秒くらいして。

「はぁぁぁぁ!?」

私の、絶叫と言うか悲鳴が、屯所に響いた。                           

832:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/31(日) 18:13

「名前は、雪哉と、香里ね」

はぁぁぁぁ!?
現実味がないと思ってたけど!
名前まで!
お母さんは、愛おしそうな、慈しんでる目で、お腹を撫でる。

「雪哉、香里。元気に、生まれてきてね」

ズキッ。
変なの・・・。
私に、そんな目を向けてないのに。

「でもさ、私と父親が違うよ?私・・・」

うまく接することができるか、わかんないのに。
って、言いたかった。

「大丈夫よ?そんなこと気にしなくて良いわ」

カッチーン。
そんなこと・・・!?
お父さんが違う、重大な問題だと思うのに。

「・・・あっそう。私、その子たちに会いたくない。頑張ってね」

他人事のように。
淡々と言い放てば、お母さんたちが固まった。
私は、くるりと踵をかえして、土方さんの部屋に向かった。                               
              

833:リリカ@恋歌◆Wg:2017/12/31(日) 18:21

16,喜べない理由

そっと部屋の戸を開ければ、土方さんは留守だった。
良かった。
居たら、困る。

「はぁ・・・。変なの・・・」

お母さんと桂さんに子供ができると言うのに。素直に喜べない。
喜べない理由、か・・・。

「お父さんの事、なのかな」

私にとったら、雪哉と香里は、異母兄弟になる。
私が、居たたまれなくなりそうで・・・。

「・・・喜べないよ・・・」

ちょっと涙が、盛り上がってきた。
世界がゆがんで見える。

「夏音さん?帰ったんですか〜?」

わっ、沖田さん。
そう言や、顔を見てなかった。
目尻の涙を拭って、部屋を出た。                               

834:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/01(月) 11:07

こんなこと見せちゃいけない。
私は、ニコッと笑った。

「ただいま、沖田さん」

沖田さんが、不思議そうに見る。
ドキイッ!
泣いてたの、バレた?

「そこで、夏音さんの母上と会ったんですが。どうしたんですか?」

はぁ・・・。
お母さんの名前を聞いたら、またじわっと涙が盛り上がってきた。

「夏音さん?聞きますから、部屋に入りましょう」

ぐすっと涙を拭いて、沖田さんの部屋に入った。
私は、雪哉と香里の事、父親が違うことを話した。
話してるうちに、また悲しくなってきた。

「どう、せ。私だけ、お父さんが違う。結局、雪哉と香里も大きくなったら、わかるよ。そしたら、私は・・・一人」

あんな目を私に、向けたことなんてないのに。
もう涙すら出なくなった。                                                   

835:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/01(月) 12:51

今更ですが、新年明けましておめでとうございます。
今年も、こんな駄作に目をかけてくださるとうれしいです!
よろしくお願いします!

         ☆

やっかんでるし、そんな自分が嫌だ。

「どうぞ嫌いになってください。私、生まれてくる妹たちが嫌いな、心が狭い女ですよ」

いっそ、大嫌いと言っても良いかもしれない。
そんなことを求めるのも心が狭いからかもしれなくて。

「嫌いになんて、なれないですよ。好きな女の子を、嫌いになんてならないです」

ありゃ、ちょっと怒ってる?
と・・・。

「総司、時間だ」

戸があいて、土方さんが顔を覗かす。
私がいるのに驚いたのか、眉をはね上げる。

「夏音は、部屋に戻るか平助といろ」

ええっ!?
どこか、出かけるの?

「はいはーい。やりたくないですよ・・・」

沖田さんが、愚痴をこぼす。
ん?
何を、しに行くんだろ?       
                                            

836: アーヤ◆TQ:2018/01/01(月) 15:14

またやらかしたけど、どうなる?

夏音を一番大切にしてあげてまだ小さいけど中身はちょっとだけ大人なだけで本当は寂しいってこと気付いてあげて産まれるこにもだけどもね……

837:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/01(月) 17:09

>>836
ありがとう!
お母さんちょっと鈍感だからね。 
夏音も大人びているせいだからかね?
本当は寂しがりだしね…。      

838:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/01(月) 17:18

17,悪い予感

仕方なく、部屋を出て、藤堂さんの部屋に。

「藤堂さん〜?」

ガラッと開ければ、藤堂さんの他に、永倉さんと原田さんがいた。

「どうした?夏音」

あっ!
お菓子食べてる!
ズルい。

「暇です!それと、夕食前はお菓子食べないでくださーい。私が、もらいます」

「あっ!とるな!それ・・・」

言いかける前に、私はお菓子を取り上げる。
ん〜っ!
美味しい〜!

「近藤さんのだぞ」

げっ!
近藤さんの!?
勝手に!? 
食べてるの!?                                 

839: アーヤ◆TQ:2018/01/02(火) 08:46

夏音の行動が少しだけなんだけど、やっぱり何か仕出かす夏音って感じだね……😅
さすがあの自己中の親の娘だね……😅

840:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/02(火) 10:26

>>839
ありがとう!
うん、なんか仕出かすよ‥(苦笑)
さすがと言うか、親がアレだしね…(*_*;     

841:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/02(火) 10:37

原田さんが、

「ちょっと用があるから、行くな」

と、部屋を出る。
用?
うーん。
沖田さんと、どっかに行くのかな。

「いーなー、遊郭かよぅ。行きたいな〜」

藤堂さん、永倉さん・・・。
女好きだねぇ・・・。
ってか、風呂入ろうかな。
咲さん、いるかなぁ・・・?

「ちょっと、お梅さん、探して来ますね」

八木邸に向かって、外へ出る。
寒い・・・。
でも、悪い予感がする・・・。
なぁんて思うのは、沖田さんたちが居ないからかな・・・。  
    
                 

842: アーヤ◆TQ:2018/01/02(火) 10:47

その悪い予感が悲しい結末じゃあない方向になら良いって思う。

もう少しで切ない方向に行くっていう感じだから800いっているからね😣

843:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/02(火) 12:06

>>842
ありがとう!
ちょっと悲しい結末かな…。
800内で、主な事件を書ききれると良いな←書ききらないとダメだな。          

844:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/02(火) 12:19

18,終焉

あれ?
八木邸の戸を開けて、不審に思う。
いつもなら、何かしら声がするのに。

「お梅さん・・・?」

用事かな?
一室の扉を開けると。

「ぁ・・・キャーーーー!」

目の前に広がっていたのは。
血の赤。
いや、赤黒い血が、そこら中に飛び散っていた。
そして、部屋の中に横たわっていたのは・・・。

「お梅さん・・・芹沢さん・・・!?」

血まみれの芹沢さんと、首の皮一枚で繋がっている、お梅さん・・・。
嫌だ嫌だ、こんな変わり果てたお梅さんの姿なんて!

「いやーーーーーーーーー!」

でも、もっと衝撃的だったのは。

「ぁ・・・あっ・・・なんで・・・」

返り血を浴びたのか、真っ赤に染まった沖田さんたち─────────。                                
         

845: アーヤ◆TQ:2018/01/02(火) 14:38

新撰組も浴びたの!!?

846: くろーばー ◆Ms:2018/01/02(火) 14:51


 ……やっぱ、すごい……リリィ凄いよ!!これからもq(*・ω・*)pファイト!


847: アーヤ◆TQ:2018/01/02(火) 17:05

真っ赤に染まった沖田さん達ってことは、土方さんに斉藤さんだね

848:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/03(水) 07:49

>>845
ありがとう!
実行犯(?)みたいなモンだし……。

>>846
ありがとう!
むぅも頑張ってね!
小説応援してますp(^-^)q

>>847
斎藤さんは……どうかな? 
いたりいなかったり(←どっちだ)だし。             

849:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/03(水) 08:00

私も、みんなも何も言わない。
いや、言えない。

「・・・・何で、ここにいる?」

土方さんが聞く。

「お風呂、お梅さんと入ろうかなって・・・」

あぁ、また泣いちゃう。
お梅さんを思い出して。
それと同時に、ムラムラとした怒りがこみ上げてきた。

「あなたたちは・・・鬼なんですか?・・そりゃ、芹沢さんも悪いところはありましたよ、でも・・・」

暴力(?)で片付けるのはひどい。
そして、何よりも。

「関係ないお梅さんを、巻き込まないで・・・ほしかった」

色んな感情が、はじけてきている。
雪哉と香里の事、今のお梅さんの事────。
お梅さんの体を触っても、ひんやりと冷たくて。
その顔も、白く生きている感じではなかった。

「今回の事は─────」

誰かが、口を開く。
途端、私の中でプツンと何かが切れた。

「人の命をないがしろにした、あなたたち、鬼の仕業でしょう!?」

そして、私は外に飛び出した。
もう、どこに行って誰を頼れば良いのか、わからない。
そこから先の記憶は、途切れてしまった。                                 
                                           

850: アーヤ◆TQ:2018/01/03(水) 09:43

確かに度が過ぎている感じだね……😅

夏音はもう沖田さんと、土方さん達にはどう接して良いのかもわからないままなのかな本当に怖いね二人はね……・゜・(つД`)・゜・

851:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/03(水) 10:35

>>850
ありがとう!
今、すごい困惑してるし、接し方も変わるかな…?
いろんな意味で怖いよね(*_*;     

852:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/03(水) 10:48

19,価値観の違い

記憶が戻ってきたのは、約二日後。
気付けば、布団の中にいて。

「・・・・あ。私、どこに行ってたの・・」

ふと、視線に気がつく。
振り向けば、困ったように笑っている、斎藤さん。

「夏音、雨の中、長州藩邸まで行ってたらしいぞ。最終的には、総司が見つけたが」

「は、い・・・」

結構遠くまで、走ってたのか。
どうりで風邪っぽい。
未だに頭に残ってるのは、お梅さんの悲しい姿。
価値観の違いが、なんとなくわかってしまった。
みんなにとったら、命なんて終わってしまえばそれだけ。
でも、私は・・・。
命が大切だと、学校で教わったから。
今も、泣いてしまうのだろう。

「少し、寝ますね。あと、良かったら部屋を変えたいです」

それだけ言って、私は寝返りを打って斎藤さんに背を向けた。
──────今は、鬼の姿すら見たくなくて。                                                           

853: アーヤ◆TQ:2018/01/03(水) 14:39

本当に変わっている感じが,見えるよ

沖田さんsideと土方さんsideの二人を見てみたいです。

854:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/03(水) 16:16

>>853 
ありがとう!
ちょっと悲しいよね……。
沖田さんside書くね。    

855:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/03(水) 16:24

20,鬼 ※沖田side

「ぁ・・・あっ・・・なんで・・・」

耳慣れた声が、聞こえる。
今、一番聞きたくなかった声なのに。

「何で、ここにいる?」

土方さんが聞く。
聞けば、お梅さんと風呂に入ろうか決めかねていたと言う。 
鬼、か・・・。
畏怖を抱かれても、仕方ない。

「人の命をないがしろにした、あなたたち、鬼の仕業でしょう!?」

言われた。
途端に、夏音さんが飛び出した。
考える前に、体が動いていた。
夏音さんの手を捕まえる。

「離して!」

拒絶されて、仕方ない。                         

856:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/03(水) 21:13

スルリと、白い手が離れる。

「駄目だ。此処から逃げたら、夏音さんは切腹しないといけない」

それを言ったら、やっと夏音さんが落ち着いた。
と、思ったら。

「いやーーーー!」

逃げられた。
見ず知らずの京だと言うのに、夏音さんは走っている。
長州藩邸近くにつき。

「離してよっ!あんなの、ひどいよ・・・」

微かな吐息とともに、そんな言葉が漏れた。
それには、答えられなかった。

「ぅっ・・・あっ・・」

必死に、言葉を紡ごうとしている夏音さんの目尻には、涙が浮かんでいた。
そんな姿が、愛しく思えて。
ぎゅっと、抱きしめた。
腕の中で、震える夏音さんの温もりを、感じながら。                                             

857:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/04(木) 13:49

21,それでも好きだから

んっ・・・。
眠りから目覚め、体を起こす。
ちょっとさっぱりできたかも。

「あっ、夏音!」

斎藤さん・・・。
私は、明るく笑って、

「ありがとうございます。よく、寝れました」

斎藤さんが耳まで真っ赤になった。
ふふふ。
可愛い・・・。

「お茶、汲んでくるからな」

はーい。
少し待つと、斎藤さんがお茶を持ってきた。
あったかい・・・。

「斎藤!城里は、目覚めたか?」

あっ・・・。
聞こえてきたのは、土方さんの声で。
斎藤さんが、機転を利かせて、

「いや、熱っぽいんでまだ寝てます」

と、答える。
ナイス、斎藤さん!

「・・・そうか」

あれ?
なんか、がっかりしてない?
でも、今だけでも土方さんと沖田さんには会いたくない。                                      

858:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/04(木) 17:08

「・・・答えにくいかも、しれないけどさ。夏音は、総司が嫌いに、なったか?」

ん〜・・・。
的確に、答えられない質問だね。

「・・・どうでしょうね。怖かっただけ、で。完全に、嫌いにはなれません」

事実だった。
恋愛って、先に好きになった方の負けだと思う。
だって、嫌いになれないもの。

「・・・また、こんなことがあっても、か?」

うーん。
でも・・・。

「それでも好きだと思います。・・・初恋の人ですから」

うわっ、思い切り恥ずかしいことを口走っちゃった!
だけど、言ったとおりだ。

私は、どんなことがあっても沖田さんが好きだから────────。                                        

859:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/05(金) 08:34

22,剣術の稽古と師匠?

ちょっとセンチメンタルな気分だったけど、それはすぐに消えた。
だって、私も剣術の稽古をする事になったから。

「師匠は、今の俺らは忙しいからさ。京都見廻り組の佐々木さんが受けるってさ」

へぇー。
斎藤さん、不機嫌そうだね。

「当たり前だろっ。どこの馬の骨に夏音を奪われるかひやひやするだろ!」

えっと・・・?
まあ、そんなことはないと思う。
とか言い合いながら、稽古場についた。
練習している人たちに迷惑をかけないよう、かいくぐりながら、佐々木さん(らしき居心地悪そうな人)のもとに。                                             

860:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/05(金) 10:32

「弟子(?)になる城里夏音です!」

ペコンッと礼をすると、佐々木さんが照れたように顔を背ける。
そして、私を二度見する。
なぜ!?
変なもの、ついてた!?

「・・・可愛い」

はぁ!?
可愛い!?
・・・って、それよりも。

「さっそくお願いします!」

「ああ」

ってなことで、木刀を持ってみたけど・・・。重い!
何コレ!?

「素振りを100回」

ええっ!?
素振りを100回!?
無理だよ〜!                   

861:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/05(金) 14:37

「99・・・100!」

あーっ!
やっと、100回!
疲れたぁ・・・。

「次。切りかかってみろ」

はぁ!?
佐々木さん、あなたは鬼ですか・・・?
こぉんなに疲れてるのに・・・。
ん、でも。
やってやる!

「たぁっ!」

恐る恐る、佐々木さんに切りかかるけど、あっという間にかわされて、気付けば倒れていた。

「腰が引けている。立て」

ひゃあ!?
んんん・・・。
佐々木さんが、私の後ろにまわって、木刀を持つ。

「こうやって、やれ」

うんっ!
わかったけど、汗臭い〜・・・。
その日の練習は、夜遅くまで続いた。                     
    

862:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/06(土) 08:44

23,藤子おばあちゃんが来る!?

疲れたぁ・・・。
お風呂もあがって、ふとそんなことを思う。
慣れてきたけどね、幕末(ここ)での暮らし。

「たいへーん!夏音〜」

うぁ!?
お母さん!?
どうしたの、そんなに慌てて。

「お義母さまが来るって、手紙が届いてたのよぅ!」

ええっ!?
藤子おばあちゃんが!?
おばあちゃん、メールじゃなくて手紙をしたためる、古風な人なんだよね〜。

「って事で、いっぺん現代に戻るわよ!」

うんっ!
じゃないと、

『あら、茜さん。もしかして、手紙を見ていない?ごめんなさいねぇ。メールじゃなくて』

とか、皮肉る。
絶対!
まぁ、嫁姑だからね?
そんなバトルがあるのは、知ってたけど。

「めんどくさいから、一斉に行くわよ!」

はい!?
一斉に行く!?
どういうことなの!?

「いつものメンバーとよ!」

あぁ・・・。
なら、問題じゃないか。
ピカッとあたりに光が差して、強い風に煽られる。
そして、沖田さんと土方さんと仲直りできないまま、現代に。                                                
           

863:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/06(土) 08:55

あとがき

はい!
J完結です。
あっという間に終わった気が・・・毎回ですけどね。

新キャラ登場!
にしても、すごい鬼だなぁ〜・・・。

そして!
お梅さんと芹沢さんとの別れ。
作者的には、ちょっと悲しいですけど、物語としてやっとここまで来れたような気がしてます。

史実では、9月の16日あたりですね(粛正が)。
物語では、そこらへんやんわり通り過ぎてるので、気になった方はぜひ調べてみてください。

では、Kの詳しい情報を。←

舞台は現代。
藤子おばあちゃんによって、夏音の婚約者(?)が判明?
嫁姑バトルあり?
そして、仲直りとついに沖田さんと恋人に!?
(?多いな)

とまあ、楽しみにしていてください!
では、Kで会いましょう!

        リリカ      
                                    

864:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/06(土) 13:39

『時を駆けて、初恋*します。』K

登場人物(今回主要な人物だけに絞ります。)

城里 夏音
主人公。
明るく優しい。
沖田さんに恋してるが、婚約者がいるらしい?

沖田 総司
新撰組隊士。
優しく剣術以外では穏やか。
剣術に関すると変わる。
夏音が好き。

土方 歳三
新撰組副長。
ドS。
夏音が好き。

斎藤 一
新撰組隊士。
明るい。
夏音が好きで、よく相談に乗ったりする。

城里 茜
夏音の母。
お茶目でよく、タイムスリップする。
破天荒。

城里 藤子
夏音の祖母。
茜の義母。
茜と悠(夏音の父、茜の夫)の結婚を未だに認めていない。
城里本家の長。

倉知 琥珀
藤子公認の、夏音の婚約者(?)。
まっすぐな性格。
悠の昔の研究仲間。                  
     
                                          

865:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/06(土) 13:47

1,藤子おばあちゃん 

わあっ。
懐かしいな、現代。
相変わらずソファには鈴ちゃん。
あきないねぇ〜。

「夏音!何か、変なところない?」

お母さんが珍しく、着る物にこだわる。
斎藤さんが、不思議そうに、

「どうしたんだ?」

と、聞く。
それで、藤子おばあちゃんが来る事を言うと、

「そんなに怖いのか?」

うんっ!
そりゃ、もう。
年がら年中和服だし。
スマホとか、そう言う俗っぽい(おばあちゃん曰わく)モノは持たない主義らしいし。

「前なんか、いとこの夏帆ちゃんが礼儀よくなかったから、叱りつけてたし・・・」

厳密に言えば、夏帆ちゃんが悪いんだけどね。
まあ、人一倍作法に厳しいわけで。

ピーンポーン

うわっ!
おばあちゃんが来たよ!
私が、玄関のドアを開けると。

「こんにちは、夏音ちゃん」

あっ。
倉知さん。
倉知さんの後ろには、銀縁の眼鏡(老眼鏡?)の髪をお団子にまとめて髪を一房だけ藤色に染めたおばあちゃんがいた。                                                           

866: アーヤ◆TQ:2018/01/06(土) 15:14

沖田さんが拒絶されてショック受けたの、たぶんこれで二回だよね……
そして沖田さんと土方さんが喧嘩って想像すると何とも言えない恐ろしく怖いよ😣

867:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/06(土) 17:51

>>866
ありがとう!
たぶんね。
まあ・・・結果を考えたら・・ねぇ?
ちょっと怖いよね(笑)   

868:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/06(土) 18:07

おばあちゃんは、藤色の和服を着こなしている。
白髪と似合ってるって言うか・・・。

「夏音、茜さん。お邪魔しますわね」

おばあちゃんと倉知さんは、ちょっと礼をして上がる。

「それでね、茜さん」

話し方は柔らかくて優しいけど、目つきが鋭い。
怖い。
嫁姑バトル始まる!?

「話というのは、城里本家の後継ぎについての事です」

「はっ、はあ」

お母さんとおばあちゃんの間の、緊張感が、増す。
ここでといっては何だけど、沖田さんたちには、私の部屋にいてもらっている。
おばあちゃんは、私が淹れた紅茶を飲む。
すごい優雅〜。

「・・・悠が生きていたなら、話すこともなかったでしょうね。・・・以前から、進めていたでしょう?倉知さんと夏音の婚約話」

私も、有り得ないって思ってた。
フツウの女の子で、好きな人と結婚できるって。
でも、いろんな偶然が重なって、婚約者ができて。

「・・・付け足しがあるの。夏音と倉知さんの正式な婚約は、16と決めていたでしょう?」

まさか、縮むとか?

「18に決めたの」

なぁんだ。
延びたんだ。
それだけ?

「そして、これは関係ないわ。私、健一郎さんと喧嘩したの。しばらく、お世話になるわ」

ええっ!?
家に住むの!?

「ちょっと待って!おばあちゃん。家に、もう一団体住んでる人たちがいるの!」

おばあちゃんの目が、キラリと光った。                                                                                           

869: アーヤ◆TQ:2018/01/06(土) 18:17

もしかして夏音ってお嬢様育ち?
婚約って大きく行ったね……

870:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/06(土) 21:15

>>869
ありがとう!
お嬢様っていうか・・・華道の家元だったりするからね(笑)
ストーリー展開が難しくなるね←無責任な       

871: アーヤ◆TQ:2018/01/06(土) 21:20

私も更新しました

872:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/06(土) 21:25

2,私の彼氏審査!? 

「夏音、この人たちで全員ね?」

おばあちゃん・・・。
厳格かと思ってたけど、案外男好き?
だって、こぉんなに目をキラキラさせてるの初めて見たし・・・。

「では、夏音の彼氏審査を始めます」

ええっ!?
彼氏審査・・・!?
何それ!?
ってか、倉知さんの立場ないよ!?

「いいよいいよ、夏音ちゃん。僕は、待ってるから」

いや、そーいう問題じゃ・・・。
そんなんだったら、婚約者いらないよね!?

「いるわ。結婚を確実にするために」

確実にするために・・・?
それって・・・。
おばあちゃんが、

「茜さんじゃあるまいし。男っ気ないから。ちゃんと結婚できるかわからないじゃない」

ほほぅ。
って、さらっと皮肉ってるね〜・・・。
お母さんしょぼーん。

「とにかく。始めるわ」

いやいや!
とにかくじゃなーい!
おばあちゃん、ちょっと楽しんでない?
口元が笑ってるし。
ん・・・。
まぁ、イケメン見てニヤニヤしない方が珍しいし・・・。

「でも、おばあちゃん。何も、私にこだわらなくても。お母さんのお腹に、雪哉と香里って、弟と妹がいるのに」

あっ、やっちゃった。
爆弾発言。
その瞬間、ただでさえ冷え切っていた空気が、さらにピキンと凍った。                                                                       

873:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/06(土) 21:25

>>871
楽しみだよ! 

874:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/07(日) 11:06

3,恋人になりたい

お母さんとおばあちゃんのバトルを横目に見つつ、ぼうっと考える。
彼氏=恋人かぁ・・・。
そんなこと、考えたことなかったなぁ。
でも、私と沖田さんって両想いだよね!?

『両想い=恋人だよっ!』

って、優衣香ちゃんいつか、言ってたし。
だけど、変だよね?
恋人らしいこと、してないし・・・。
よし。
優衣香ちゃんに電話して、聞こう。

プルルル・・・プルルル・・・

何コール目かに、ガチャッと音がして。

「はーい。坂下です」

優衣香ちゃんだ!

「こんにちは、城里です!」

途端、優衣香ちゃんの声が明るくなった。

「なぁんだ。夏音ちゃんか。で、何か用?恋のお話なら、私が聞くよ」

ほっ。
優衣香ちゃん、聞く気満々だ。
そして、私の両想いだけど恋人じゃないはどういうことなのか、聞くと。

「うーん・・・。優衣香にも、わかんないし、あんまりいい答えとは言えないけど」

と、優衣香ちゃんは断ってから、

「夏音ちゃんから切り出せば?両想いなんだし、おかしくないよ」

ほえっ!?
私から・・・。
恥ずかしくないっ!?

「大丈夫!あっ、優衣香、これから兄貴の試合見に行かないとだから、とりあえずガンバ!」

ええっ!?
無責任な!
私は、優衣香ちゃんに礼を言い、電話を切った。                                                                                               

875:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/07(日) 13:48

無理でしょ〜!

『私の、恋人になってください♡』

で、上手くいったら良いけど・・・。
もしも・・・。

『無理です』

なんて言われたら!
大ショックなんてモンじゃない!
私、生きてけるかわかんない。

「優衣香ちゃん・・・。無理無理!沖田さんに恋人になってほしいなんて、言えるわけないよ〜・・・」

あっ、声に出しちゃった・・・。
みんなが、こっちをみるのがわかる。
私は、恥ずかしくなった。
うわぁん!
これぞ、顔から火が出るよ〜。
でも・・・。
言うにしたって、仲直りしてなくない!?

「ん〜・・・。どうしよう・・・」

私は、悪くない・・・よね?
お梅さんたちを斬ったのは、向こうなんだし。ちょっと釈然としない。
ん。
よしっ!
私から、声をかけよう。
そしたら、どうにかなるでしょ。                                                

876:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/07(日) 19:49

4,仲直り

・・・とか、思ったものの!
どう、切り出せば・・・?

「あのっ。ちょっと、話したいことが・・」

よしっ!
まずまずの切り出し方じゃない?

「・・・はい、良いですけど」

あれ?
間があったよね。
もしやの・・・!?
嫌われちゃった、とか!?
ええっ!?
そんなのだったら・・・。
ううん、妄想しない!
ポジティブに考えよっ。

「あのですね・・・。こないだの、お梅さんのことで・・」

ビリッと空気が震えた気がした。                     

877:萌恵◆1w:2018/01/07(日) 21:23

面白い(^o^)/~~~
頑張ってください!

878:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/07(日) 21:27

>>877
ありがとうございます!
萌恵さんも頑張ってください!
(萌恵さんの小説、毎回チェックしてるなんて言えない…)     

879:萌恵◆1w:2018/01/07(日) 21:37

>>878聞こえてるぞっw(▼∀▼)
今からかくんで、何十分後かには出します(^o^)/~~~

880:アーヤ◆PY:2018/01/08(月) 09:15

早く沖田さんと土方さんとも仲直りして欲しいけど、どうなるのかが心配です。

881:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/08(月) 10:46

>>879
バレたかw
楽しみで〜す!

>>880
ありがとう!
なんか別の意味で、バトル勃発するかもしれないし(苦笑)      

882:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/08(月) 10:53

ああ・・・。
言いにくい・・・。
土方さんも呼んだら、なおさら!
言いにくい!
あぁ、もう。
ツンデレで行くっきゃない。

「・・・許してあげても良いですよ・・」

我ながら悲しい〜。
超!
上から目線だしっ。
嫌われても、仕方ないよね〜・・・。
半分自分に呆れ、半分悲しくなりながら、うつむくと。

「良かった」

えっ・・・?
最初、聞き間違いかと思った。
恐る恐る見上げると、笑ってる二人の顔。

「清々しいな」

ええっ!?
あんな、超!上から目線で!?

「嫌われたかと思いましたし」

ええっ!?
私と、同じこと!?
驚愕すること約2分。

「クスッ・・・」

私が吹き出したのをきっかけに、三人で笑った。
仲直り完了!
気分がすっきり。
これから、いつも通りに話せるよね。                                                 

883: アーヤ◆TQ:2018/01/08(月) 11:06

良かった,良かった三人が仲直りしていつもの関係が戻って良かったよ。
でも沖田さんsideも仲直りする直前前から仲直りしたあとを見てみたいかな!

884:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/08(月) 14:34

>>883
ありがとう!
やっと、仲直り完了!
沖田さんsideは番外編で書くね〜!     

885:アーヤ◆PY:2018/01/08(月) 14:41

私も二作品の小説書けました。

「思春期シンデレラ」は時折更新しているけど、「物知り」が曖昧に更新しているのを今日やっと更新しましたのでみてね

886:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/08(月) 14:50

5,何気ない幸せ

はぁ・・・。
すごい、嬉しい。

「だからやはり!私が夏音を引き取ります!」

「お義母さまと言えど、譲れません!」

お母さんとおばあちゃんのバトルも、耳に入らない。
仲直りできた〜!
その感慨に、ふけっている。

「怖いな、夏音のおばあさまは・・・」

「夏音と似ていてな」

はっ!?
今、失礼なことを言ってない?!
私は、原田さんを睨んだ。

「おばあちゃんと似てないわよ!」

ひいっと原田さんが悲鳴。
んー、気性が激しいって、言いたかったの?
・・・どっちにしろ失礼には違いない!

「夕食抜き!決定!」

反論が飛ぶけど、笑って無視。
自業自得じゃない?
何気ない幸せだって、思う。
仲直りしてなくても、楽しいとは思えるだろうけど、心からは笑えてないと思う。

「すいませんでした!」

土下座された。
さすがに、考えないといけない。

「よろしい!夕食抜きはなし!」

歓喜の声が、原田さんからあがった。
こんな時間が、続けば良いのにな・・・。                                    
  
   
                  

887:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/08(月) 14:51

>>885
うん!
すごい楽しみ!
掛け持ち、これからも頑張ってね!    

888:アーヤ◆PY:2018/01/08(月) 15:08

似ているってまあね

889:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/08(月) 16:45

>>888
ありがとう!
まあ、祖母だから、似てるっちゃ似てるかな?
気性が激しいところとか(しっかり者とか)?        

890:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/08(月) 16:52

6,久しぶりの学校

翌日。
わぁ、明るい。
日の光が差して、綺麗。
朝ご飯の用意と、学校の準備をした。

「はぁ。久しぶりの学校かぁ〜・・・。この間の学祭以来で、懐かしいな」

女装コンテストの結果と、女装した土方さんを思い出して、ニヤニヤ笑ってしまう。
ぐうぐう眠ってる遅起きのみんなを見ながら、
朝ご飯を食べた。
幕末(あっち)での日頃の疲れとか、あるのかも。

「可愛いなぁ・・・」

寝顔が。 
癒される。
微笑ましく思いながら、

「行ってきまーす」

と、小声で、言って、学校へと向かった。               
                           

891:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/08(月) 17:02

もう10月か。
学祭で忙しかったけど、この時期、桜星学園のメイン(?)イベント、桜星集会がある。
学年でわかれて、それぞれ劇や、コントをして競い合う。
奇数学年と、偶数学年にわかれてね。

「今年は、6年としてふさわしい、日本の古典をもとにした、劇または、コントをしようと思います」

おおっ。
桜木先生の言葉に、さっそくみんながわいた。ちなみに、今は学年集会中。

「何か、良い意見はありますか?」

「ハーイ!」

ええっ!?
もう意見が?
陽菜子ちゃんが、ニコニコと、

「『かぐや姫』をテーマに、アナザー『かぐや姫』をしたいと思います」

アナザー『かぐや姫』ね。
良いね。
その後、大した意見もなく。

「では、今年は、アナザー『かぐや姫』に決定します。シナリオは、陽菜子さんお願いします。かぐや姫役は、推薦などでも良いです。もちろん、やりたい人も、応募してくださいね」

桜木先生の言葉で、学年集会は締めくくられた。                                                                                   

892:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/08(月) 18:43

7,アナザー『かぐや姫』に立候補!?

「一応、ミュージカル風にしたいんだよね」

休み時間。
陽菜子ちゃんの席に集まって、話す。
シナリオ作るのも、大変だろうね〜。

「アナザーだから、男女逆転とかは?」

珠希ちゃんが、案を立てる。
男女逆転?
面白いかもっ!

「つまり、求婚するのが女子で、『かぐや姫』が男子ってこと?面白い!もらったわ!」

だよね〜。
かぐや“姫”にはならないけどね。                              

893:萌恵:2018/01/08(月) 19:10

おー、お疲れ様です!

次がきになる(^o^)

894:アーヤ◆PY:2018/01/08(月) 21:39

新たなる物語の展開に入ったよ‼️

895:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/09(火) 18:19

>>893
ありがとう!
萌恵さんも頑張ってくださいね!

>>894
ありがとう!
新展開になったかも!
頑張るね!  

896:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/09(火) 18:25

昼休み。
『かぐや姫』のオーディションがあるらしい。
私は、立候補するつもりは・・・。
桜木先生が、ニコニコと笑んだ。

「あら。城里さん。オーディション、行きましょう」

ええっ!?
私、立候補してないのに!?
と・こ・ろ・が!

「あらぁ?推薦されてるわ」

ええっ!?
誰が・・・。
思い当たる人物が4、5人ほど。
あいつらめ!

「オーディション、一緒に行きましょう?」

ううう・・・。
先生も陽菜子ちゃんたちも意地悪!      
     
                 

897:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/09(火) 20:02

8,かぐや姫(皇子?)は誰?

「城里です。精一杯頑張ります、望む役は、求婚者5です」

私が言うと、まばらにパチパチと拍手。
女子は少ないな〜。
審査員は、皮肉なことに陽菜子ちゃん。

「ハーイ、夏音ちゃん決定、次・・・。蓮井くん」

あっさり!?
求婚者5、かぐや姫の望むプレゼントをゲットできず、怪我で亡くなった、唯一かぐや姫の心動かした人物だ。

「蓮井です。望む役はかぐや姫です、頑張ります」

廉!?
まさかの、かぐや姫!?
んん〜。
悪くはないよね、美形だし。

「イケる!蓮井くん決定!じゃ、台本作り次第渡すね」

陽菜子ちゃん・・・。
超!ウキウキしてるね・・・。
まあ、私も楽しみだし!
今年最後の桜星集会、頑張るぞ〜っ!                                                    

898:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/09(火) 21:19

9,私は天然?

ふぅ・・・。
1日の授業が終わって。
ひとつ溜め息。

「疲れた・・・」

気のせいか、寒い。
悪寒?
まだ冬じゃないのに。

「じゃあね、夏音!」

あっ、莉子ちゃん。

「goodbye、夏音」

ノンネちゃん。
みんな、元気だね・・・。
ちょっとフラフラしながら、なんとか帰宅。

「ただいま〜・・・」

頭痛い。
お薬飲まないと。
ん?
なんか、騒いでない?

「好きな女の好み、変わってるよな〜。副長は」

はいっ?
なぜに、土方さんの好みが疑われてるんだ?
んー、気になるけど入らないと。                                 

899:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/10(水) 17:43

あわゎ・・・。
世界がぐるりと回って見える。 

「た、ただいま〜・・・。ごめんなさい、ちょっと寝ます・・・」
 
倒れ込むように、ソファに寝転がる。
熱い。

『夏音さん・・・』

あれ?
沖田さん?
もしやの、もしかして!

「私、大好きです!恋人になってください!」

待ちきれないもん。
ところが、耳に入ってきたのは。

「・・・斬ります!」

地の底から聞こえてきそうな、怒声。
ええっ!?
そんなに、気に入られてないの?
重い瞼を必死に持ち上げると。

「相手、間違えてるな〜」

「寄りによって副長かよ」

ええっ!?
私・・・。
間違えた?!
寝言なのに!? 
                             
       

900:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/10(水) 21:21

しっかり見ると、私は驚いてしまった。 
だって・・・。
私、抱きついてたもん。 
思い切り、土方さんに。

「夏音さぁ、天然?」

イヤーッ!
そんなの、断定しないでよ!

「すいません。・・・あっ、ご飯」

作れるかな?
だるいし。
頭痛も激しくなってくる。

「ごめ、なさい・・・」

微かに、言えた。
私は、重い瞼を閉じた。
はやく、元気になってご飯作らないと、と思いながら。

───────────────────
はい。
リリカです。
あっという間に900!
終わるかな?
終わる気がしな((殴
はい、これからもよろしくお願いします。
頑張ります(*´ω`*)                                  

901:萌恵:2018/01/10(水) 22:01

頑張れー!
自分のやつも、ちゃんとやらないと…。

902:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/11(木) 17:13

>>901
ありがとう!
萌恵さんも頑張ってね! 

903:萌恵◆1w 色々大変。:2018/01/11(木) 17:31

ん、今からかいてみようかな(*ゝω・*)ノ

↑調子に乗る

904:瑞◆MIZU/j3v.s:2018/01/11(木) 17:34

リリカ久しぶり!ルナだよ〜!
一番進んでるのはリリカの小説だな!
9月から始まったのにもう!?って思ったな!リリカにはたくさんのファンがいて良いね!私なんかネタ切れで終わりだからね……(笑)
新作楽しみにしてます!

905:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/11(木) 19:59

>>903
頑張って!
ファイトp(^-^)q

>>904
ありがとう!
だよね、4ヶ月、弱?ぐらいだよね。
あっという間過ぎて感覚なしっ!(キリッ)
いやいやいや!
瑞の小説もファン多いから!
絶対に多いよっ!
ネタ切れ、よくある〜。
ありがとう!
新作も、頑張るね。
瑞も頑張ってね!
応援してます!                  

906:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/11(木) 20:07

10,来世の記憶?

『・・・巡り逢えた』

誰?
この、優しい声は。
沖田さんなの?
でも、私は夢を見てるハズ。

『やっと・・・。もう、離れない』

ふぁ?
やっぱり、沖田さんだよね?
離れないって・・・。
私たち、離れるの?
いつか?

『前世に、あなたと逢えた』

前世?
どういうこと・・・?

『200年の時を超えて・・・』

200年?
って、ことは。
恐らく、これは来世?の記憶?
おかしな話。
普通、見るとしたら前世でしょう?

『大好き』

また、ふわあっと白い霧がかかって。
姿すら見えなかった。
私たち、離れ離れに・・・?
そんなことない。
それだけを祈って、目を開けた。                                             

907:アーヤ◆PY:2018/01/11(木) 21:53

ちょっとちょっと、リリカさんどうやって夏音が土方さんに間違い告白してからの―
沖田さんとの来世って何!!??

908:匿名:2018/01/13(土) 10:30

今日思ったんだけど、もしかしたら夏音って前世の記憶もあったりするの?

909:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 12:20

>>907
ありがとう!
ある種の伏線だよ( ̄ー ̄)ニヤリ
クライマックスに向けて(まだクライマックスじゃないよ)、解き明かして(?)いくかも。

>>908
うーん。
あるってわけじゃなくて・・・ひょんな事から、ですね。
            
   

910:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 12:33

11,仲間として“好き”

騒がしい。
耳元で騒がれたら。

「今からご飯作りますからっ!静かにしてください」

立ち上がりながら、言うと。
むくれたように斎藤さんが、

「さっきの副長への想いを教えてくれたら、な」

さっきの?
告白紛い(?)の!?
深い意味はないけど・・・。
って言うか、寝言ですって。
でも、みんなから食い入るように見られる。
言わないと、ダメなの?

「寝言ですっ!」

「それだけじゃないでしょう?」

ひぇ!?
ドスが利いた沖田さんの声!
怖い!

「・・・仲間として好きですよ?嫌いじゃないです」

はぁ。
何、これ。
寝言からいきなり本音を言わないといけなくなるなんて。

「良かった!」

斎藤さん・・・。
声に出さないで。
私だって、恥ずかしいんだからね!?

「それだけのワケないと思います」

ひぃ!
沖田さん・・・。
止めてぇ・・・。
もうヤケになった。
なるようになれ!

「頼りになるカッコイい人だと思いますよ!?土方さんのこと!」

途端に、空気が変わった。
何・・・?

「良かったな、歳。報われるな」

はぁ?
近藤さん、嬉し泣き?
当の土方さんは、顔を赤くする。
へっ?

「・・・カッコイい?」

「斬ろうぜ・・・」

うぁ・・・。
怖いよ・・・。
沖田さんと斎藤さんからスッゴい殺気を感じるけど・・・。                                  
                                                            

911: アーヤ◆TQ:2018/01/13(土) 12:58

もう夏音止めてあげてよ!
これだから天然は何を言うかが怖いよなぁ😓
それにしても沖田さんが可哀想だ、有る意味で怖いから孤独感があるからね沖田さんはね、だからってえっ沖田さんが好きだったけれども,土方さんのことが好きになったのを自覚したの異性としてなのかな?

土方さんが真っ赤になったあとの恨みの二人が凄く怖いけども近藤さん応援していたっけ?
からかう感じだった様に応援していたけどまあいまのところは上昇なのかな?


私の小説も更新したよ

912:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 14:07

>>911
ありがとう!
天然の爆弾発言はねぇ…(笑)
異性と言うか、人としてかな?
局長として、だよ。

応援してます!p(^-^)qファイト☆   
       

 

913:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 14:25

12,世界で一番好きな人

ここで斬り合うのはね、いただけない。
 
「ダメですよ!これ以上やるんだったら、夕食抜きで」

途端に、静まる。
ふぅ。
と・・・。

「なんで副長が“カッコイい”んだ?」

へっ?
斎藤さん?
すごいまじめな顔。
マジの話?

「・・ん〜。前の、あのヘンな三人組が屯所を襲って、私をさらおうとしたとき、とか。デート・・・じゃない、逢い引きのときの話がすごい・・・」

なんて言うか。

「強い信念があって、男前でカッコ良かったと思いましたから」

人として、ね・・・。
決意があって。
信念を貫き通す、すごい人だと思った。
あれ?
また空気変わった・・・?
注釈しよう。

「でも、私には他に世界で一番好きな人がいますよ?だから、斬るとかそんな危ない話は・・・」

「誰だ、そいつ!?」

はっ?
誰って?
私の、世界で一番好きな人?
決まってる。

「言えませんよ」

「ええっ!?」

驚いてる斎藤さん。
でも、ごめんなさい。
私が好きな人は、沖田さんだもん。
ちょっと沖田さんを見やれば、浮かない顔をしていた。
ドキッ
すごく、切なさそうな顔。
以前も、土方さんがそんな顔してたよね・・。

「よぅし。今日の夕食は、パスタ!」

わざと明るく言った。
その場の雰囲気を変えるように。                                                                                                     

914: アーヤ◆TQ:2018/01/13(土) 14:58

土方さんと全く一緒の表情するとは,切ないね……
でも斉藤さんの斬るの発言には焦ったけど,好きな人がいると話したら誰だって叫んだのは男らしさがあるよ!
前よりもイケるよ斉藤さん格好いいよ😉👍

915:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 15:44

>>914
ありがとう!
斎藤さんのはただの嫉妬な気が((殴
男気はあるよね(*´ω`*)       

916:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 15:56

13,変わらないキモチ

はぁ・・・。
吐き出した溜め息。
ずうっとあんな感じだし、沖田さん。

「なんだ、この麺?」

原田さん。
いかにも興味津々と言った感じで。

「これは、パスタって言って、スッゴく美味しいですよ」

「美味そう!」

純真だなぁ・・・。
はやく食べたくて仕方ないらしく、原田さんが藤堂さんにからむ。

「平助、作れよう!あっちでも!」

「ええっ!?こんなの、ないし、ムリですって」

もっともな正論。 
作りながら、私は耳を澄ます。

「それをするのが平助だっ!」

ありゃ・・・。
ムチャクチャ言ってるよ・・・。

「皿、洗います」

ええっ!?
藤堂さん、良いの??
って、指が綺麗。

「指、綺麗ですね」

良いなぁ・・・。
まじまじと指を見ていたら。

「あの・・・。そんなに見られると・・・」

あっ!
ごめんなさい。                                          
                

917: アーヤ◆TQ:2018/01/13(土) 16:17

食い意地が久々にやって来たよ、あの時代はさすがに無いからねって言っている間にも沖田さんのテンションっていうよりも切なさ度が上昇してない!!?
悲しさにちゃんと素直に言わないとあれだよ夏音と沖田さん。

まあ沖田さんsideも見てみたい、あの切なさが…ちょっとね……

918:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 17:12

>>917
ありがとう!
原田さんの食い意地は、ヤバいからね(笑)
切なさは結構増えたし(*_*;
向き合わないと解決しない(キリッ)
では、書きま〜す!       

919:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 17:20

「藤堂さん、初ちゃんと会いたいですか?」

ちょっといじりたくなって。
だって、あれっきり会ってないし。
藤堂さんの顔が、複雑そうな表情になった。

「・・・叶わないですよ。今では、そう思ってます」

そうなんだ・・・。
胸が、キュッと締め付けられた。

「それより。夏音も、総司と向き合ってくださいよ。あんなにしょぼくれたの見たことありませんよっ!」

話をそらされた。
でも、一理ある。
実際、沖田さんの周りがどよーんと沈んでいる。

「“カッコイい”発言の後からですよ。ほら。はやく」

ええっ!?
藤堂さんに急かされ、料理を作っている最中ながら、沖田さんのところへ。

「さっ、頑張ってください」

そんな無責任な!
発言の謝罪をしよう、取りあえず。
そっから先は、謝ってから考えよう。                                                  
       

920: アーヤ◆TQ:2018/01/13(土) 17:29

藤堂さんそれ良い安だったよ、沖田さんの周りがどんより空気ってことは土方さんと斉藤さんがな
やっぱりこの二人も落ち込んでいたり(^^)

921:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 18:37

>>920
ありがとう!
たぶんね(笑)
果たして、どうなるのやら←おい     

922:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 18:49

「・・えっと・・・あの。さっきの、“カッコイい”発言なんですけど・・・」

言い掛けると、やっと顔が上がった。
すごく沈んでる。
それは、一目瞭然だった。

「すみま・・・」

「平助でしょう?」

ええっ!?
藤堂さんの案だって、わかったの?
エスパー?
ちょっと半笑いで沖田さんは、

「さっきの『世界で一番好きな人』の事です」

あぁ・・・。
じゃない!
私が好きな人が、藤堂さん!?
全然違う。

「わかります。あの、雰囲気で」

でも。
雰囲気でしょ?
私は、口を開いた。
勘違いを止めないと。

「だからっ・・・」

「間違いない、でしょう?」

私の言葉に被せるように、そんな言葉がもれた。
私の話、聞いてほしいのにっ・・・。
大声で、

「だからっ・・・私の大好きな人は、沖田さんですっ!変わらないキモチです!」

あれ?
キモチは変わらないだっけ?
ところが、リビング中が静まり返った。
へっ?
じんわり頬が熱くなる。
公開告白だ・・・。
黙ってちゃダメだ。
耐えきれない。

「っ!いっ、今は返事しなくて良いですよ?」

わざとらしく忙しいとつぶやきながら、台所に立った。                                   
                                                   

923: アーヤ◆TQ:2018/01/13(土) 19:13

夏音って何勝負なの?

直球勝負なのか変化球勝負どっち!!
実って欲しいよ😉

924:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/13(土) 21:17

>>923
ありがとう!
直球勝負かな?
いや、変化球かも。←どっちだ
やっと実るかも(*^-^*)  

925:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/14(日) 08:10

14,鈴ちゃんに見られる

あぅ・・・。
めっちゃ気まずい。
斎藤さんとしゃべってるけど、キモチが入ってこない。

「どう思う?夏音は」

へっ?
ん〜・・・?

「私は、粒あんです」

答えたら、困ったように斎藤さんが、のぞき込む。

「大丈夫か?」

はっ?
返答を間違えた?
そしてなぜか急に、あたりが(と言うか全員)静まる。

「お風呂、沸かしますね」

なんとかそれを言って、立ち上がる。
絶対、さっきの公開告白のせいだよね・・・。はあ・・・。

「食べ終わったら、流し台に入れといてください」

それを言って、お風呂に入る準備を始めた。                                          

926:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/14(日) 10:33

「はあ・・・」

頭と体を洗い、ゆっくり湯船に浸かる。
一気に疲れがとれそう・・・。

「私ったら・・・」

よりによって公開告白なんか・・・。
そりゃあ、マンガとかだったら、多少憧れるけど。
現実だと・・・。

「言いにくいよ〜・・」

『返事は?』ってさ。
もうイヤだよ・・・。
あぅ・・・。
のぼせたかも・・・。

「上がろう」

上がって、体を拭く。
パジャマに着替えて。
お風呂場を出て、すぐ。

「わっ・・・?沖田さん?!」

マジメな顔をした、沖田さんが。
私、上がるの遅かった?

「あぁ、ごめんなさい。遅くて。すぐ代わります・・・」

ドンッ
へっ?
あの・・・。
壁ドン!
前のは怖かったけど、今のはドキドキしてたまらない。

「さっきの返事ですけど・・・」

心臓がバクバク。
断られるの・・・!?                                            
       

927:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/14(日) 18:48

ギュッと目をつぶる。

「好きです」

ええっ!?
まさかの、OK??
私は、また熱を帯びてきた頬を触りながら、そっと見上げる。

「その・・・恋人になってくれませんか?」

もちろん、答えは!

「はいっ・・・!」

夢みたい。
いつもなら誰かが邪魔したりするのに。
今日は、誰も邪魔しなくて。
最高だ。
だから、沖田さんの顔が近付いてきても、拒まなかった。
キス・・・。

「・・・わっ・・・」

ん?
今、私たち以外の声が聞こえた。
あたりを見回すと。

「す、鈴ちゃん!?」

真っ赤な顔で、こっちを凝視している鈴ちゃんを発見。
視線に耐えきれないのか、鈴ちゃんが慌てて、

「わざとじゃないの・・・。夏音、上がったかな〜って思って・・・」

途端に私たちは、赤くなる。
鈴ちゃんは、くるっと後ろを向く。
あっ・・・。
嫌な予感・・・。

「夏音がぁ〜!」

わぎゃっ!
そんな事、大声で叫ばないでっ!   
                                                          

928:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/14(日) 21:22

15,“大切な人”と“好きな人”の違い

あぅぅ・・・。
何なの、この状況・・・。
私と沖田さんは、二人して神妙な顔をして、正座。

「確かだな、鈴ちゃん」

「うん!私、見たもの」

ひぁ・・・。
ひどい、鈴ちゃん。
寝返るなんて。
私たち、尋問されるかな?
だって、今の斎藤さんと土方さんの様子だと、そんな感じがするもの。

「・・・で、接吻しそうだったのよう。ドキドキした」

私は、素直に吐いてる鈴ちゃんをギンッと睨み付ける。
要らないことを・・・!

「別に、良いじゃないですか!恋人になったんですから!」

全くもう。
当たり前のことなのに。
鈴ちゃんのせいで、余計な事件に発展したし。

「良くない!」

あれ?
何で、斎藤さんと土方さんの声がハモるの?                                                     

929:萌恵:2018/01/14(日) 21:26

すっごくいつもキュンキュンする☆〜(ゝ。∂)
私の方の小説再開しました!←宣伝野郎


てへ!頑張れー

930:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/15(月) 18:09

>>929
ありがとう!
キュンキュンする?文才ないけどw
宣伝じゃんじゃんしちゃってw←おい
萌恵(タメOK?)さんも頑張ってね!           

931:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/15(月) 18:19

「俺らは、どうなんだよ?」

へっ?
斎藤さん?
『どうなんだよ?』って?
何?

「相手として不足か?」

うぁ・・・。
土方さん、マジのドスを利かせた声はやめて・・・。
不足って・・・。
違うけど・・・。

「“大切な人”ですよ!」

って、前もこんなくだり、なかった?
斎藤さんが、聞く。

「じゃあ、“大切な人”と“好きな人”の違いは?」

ええっ!?
難しいな〜・・・。
でも、私なりに答えはあるんだよね。

「愛しいって言うか・・・。特別なキモチなんです」

ホントだ。
大切な人、だったらそれだけの一括りだけどなぁ・・・。
ん〜。
難しい。

「まあ、恋人って認めてくれますよね・・?」

ちょっと上目遣いで。
途端、斎藤さんと土方さん、真っ赤に。
そして。

「認めん!」

ええっ!?
認められないの?!
そりゃないよ・・・。   
                                     
             

932:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/15(月) 21:19

16,手を繋ぐT

えっと・・・?
私は、そぉっと手をみる。
だって、今、温かいモノを感じたから。
そして、モノの正体を知り、赤くなった。

「・・・ん?おいっ」

ええっ!?
バレたよね・・・。
私と、沖田さんが手を繋いでるところ・・・。

「阿呆かっ」

ひぇ?!
そんな、怒らないでよ、土方さん。

「器、ちっさ・・・」

確かに。
私は、つぶやいた沖田さんと顔を見合わせた。こんなのモテる人が妬く、ところじゃないよね。

「あぁん?」

わぎゃっ!
そんなに睨まないで・・・。
怖いよぉ・・・。
ん〜。
解決策は・・・?
ハッ。
めっちゃ簡単な、解決策があるじゃん!
私は、ニコッと笑いかけた。                                    

933:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/15(月) 21:27

17,手を繋ぐU

私は、笑顔のままで、優しく土方さんの手を繋ぐ。
めっちゃ驚いてる顔だね。

「ほら、これなら。妬かなくて良いでしょう?」

二人分(三人分だっけ?)の温もり。
温かい・・・。
もちろん、斎藤さんが黙ってる訳なく。

「俺も!」

へへ。
めっちゃ温かいね・・・。
次々と、

「俺も」

「私も」

とかで、あっと言う間に全員で温まる。
温もりが通っていて、お梅さん事件の怖いみんなが、優しくなって戻ってきた気がした。

「・・・ふわぁ」

誰かのあくびをきっかけに、あたりは猛烈な眠気に包まれた。                                        

934:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/16(火) 17:52

18,やっとの初キス

白い靄みたいなモノが、ふわんと揺れ。
また、あのときみたいな、あの世に渡りそうなの?
でも、今は斬られてないし・・・。

『夏音』

ええっ!?
靄みたいなモノが色を宿す。
現れたのは、画像(動画?)。
そこに、若いお母さん。
腕の中には、赤ちゃんの私。

『悠・・・見てる?夏音、大切に育てるから』

お父さんの名前?
ってことは、お父さんはもう亡くなってる・・・。

『元気になってね。・・・しがないお母さんだけどね。必ず、幸せになってもらうから』

キュッと胸が締め付けられた。
普段、お母さんは破天荒でよくわかんないけど、ホントは・・・。
なぜかわからないけど、私にはこういう夢を見るときがある。

「ありがとう、お母さん」

それをつぶやくと、白い靄みたいなモノがあっと言う間に遠ざかる。                  
                                        

935:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/16(火) 21:25

ふぁっ!
眠ってた・・・。
あたりでは、みんなが手を繋いで寝てる。

「フフッ・・・可愛い光景」

和むよ。
いっそ、このままで。
争いとかそう言ったモノとかけ離れていてほしい。
・・・って、ぼんやりしてるヒマはないよ。
洗濯物干さないと。

「はぁ・・・」

ちょっと嘆息し、立ち上がる。
迷ってから、みんなに毛布をかけた。
立ち上がるだけで寒い。

「はやく終わろっ・・・ひぁ!?」

つぶやきかけてヘンな声が出た。
なぜか?
だって・・・後ろから抱き締められた。
誰か?
振り向かなくてもわかった。

「・・・やっと、二人きりになれた」

沖田さん・・・。
耳元に感じる、吐息。
ヤバい、この状況は・・・。
こんな時、寝静まってるみんなが羨ましいような、気がする。

「恋人ですから・・・」

あぅぅ!
ヤバい・・・。
心臓がもたない・・・。
私の手から、洗濯物が落ちた。                                                            

936:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/17(水) 17:50

19,綺麗な光景 ※鈴side

ふわぁ・・・。
目が、覚めちゃった。
まだはやいよね・・・。
夏音にイタズラしようかな・・・。
あれ?
私は、首を傾げた。
夏音が眠っていたところは、もぬけのから。

「夏音・・・どこ・・!?」

探して私は、驚きの光景を目にする。
夏音が、沖田(とやら)と接吻をしていた。

「・・・ん。あ、のっ・・」

夏音が、唇を離して何か、言ってる。
気になる。
でも、ついさっきからかってしまったし。
これは、内緒にしよう。
私は、心に決めてもう一度眠りについた。                                         

937:アーヤ◆PY:2018/01/17(水) 21:33

キスだよ、kiss
妬いてた二人も可愛いよ

938:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/18(木) 17:24

>>937
ありがとう!
やっとだけどね(^^;)
やきもちも(嫉妬中)も案外萌える・・・(*´ω`*)      

939:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/18(木) 17:28

20,演技の指導

朝。
うわ・・・。
私は、目をバチバチする。
だって、昨日のキスから眠れなかったから。
目がギンギンしちゃって。

「おはよー、夏音」

鈴ちゃん。
あれ?
何か、顔が赤くない?
・・・って、そんな事より。
今日は、アナザー『かぐや姫』の演技指導があるんだった。

「ごめん。ご飯、パパっと作るから」

はやく行かないと。
私は、眠りこけてるみんなを横目で見ながら、台所に立った。                                  

940:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/18(木) 21:16

「行ってきまーす」

鈴ちゃんに言って、学校へ。
着いてすぐ、多目的ホールに。
そこには、廉をはじめ、いろんな人がいた。

「夏音。遅かったな」

廉に、言っちゃおうか。
ちょっと寝過ごしたこと。
ん〜。
やっぱり、止めよ。
恥ずかしくなるし・・・・。

「では、演技指導と台本を渡します。自主練しといてくださいね」

桜木先生が、優しく微笑む。
隣で、陽菜子ちゃんニンマリ。
ちょっと不安・・・。
だけど、頑張らないと。

「最後の桜星会だもん。頑張ろ、廉」

笑いかけると、廉は顔を背けた。                                   

941:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/19(金) 18:15

21,放課後のヒミツレッスン

「夏音ちゃーん。もうちょっと、演技頑張れない?なんて言うか・・・棒読みみたいに思うし」

陽菜子ちゃん・・・。
私、慣れてないよ、演技なんて。

「夏音」

ええっ!?
廉、どうしたの・・・?
めちゃめちゃマジな顔。

「放課後、多目的ホールな」

ひぇ?!
なんか、勝手に決められたよ!
ん・・・。
帰るの、遅くなりそうだけど・・・。

「わかった!」

みんなに、恥をかかせたくないものっ!                         

942:アーヤ◆PY:2018/01/19(金) 20:10

鈴の無愛想だつたイメージがグッと変わったね、照れているところ可愛いよね😆

943:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/19(金) 21:14

>>942
ありがとう!
鈴ちゃん意外と優しい←
案外可愛いよね←    

944:リリカ@恋歌◆Wg 浅黄に恋する   :2018/01/19(金) 21:24

「ですから、私は結婚などしません!」

廉かぐや姫、かっわいい〜。
でも、私もセリフは忘れたらダメだよね。

「そこを、なんとか・・・」

廉が、考え込む仕草をする。
演技力、ヤバい・・・。
・・・と、話が進んでいき。

「あぁ・・・かぐや姫・・・」

と、求婚者(私)が命果てる。
珍しく廉が、

「上手かったな、夏音」

と、褒めてくれる。
わぁい!
・・・って、私は幼稚園児か。
レッスンも終わりにかかった頃。

「・・・入れろ!俺らは、夏音の保護者だ!」

・・・ん?
斎藤さんの声か?
多目的ホールは一階で、玄関にわりと近い。
私は、恐る恐る近付く。

「あれ?斎藤さん・・・と、みんな??」

インターホンに苦戦してる。
斎藤さんと沖田さん、土方さんがまなじりを吊り上げる。

「帰りますよ!」

いやに不機嫌だね・・・。
ちょっと不審に思いながら、廉の方に向かい合う。

「明日も、よろしくね」

「お、おう」

ぎこちない廉の返事を聞いて、私たちは外に出た。                                                                               

945:アーヤ◆PY:2018/01/19(金) 21:37

兼がかぐや姫でその相手役が夏音だつたんだね、それにしても斎藤さんが夏音の保護者って初耳だったんだけど(^人^)
まあ、今では新撰組の皆が夏音の家族って感じで保護者っというより「家族」だよ😆

946:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 06:32

>>945
ありがとう!
幼なじみのくくり以上の想いがあるからね、廉は(^^;)
まあ自称.保護者なワケで(*^-^*) 
他人だけど、今は家族みたいで温かいよね(*´ω`*)               

947:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 06:43

22,幼なじみの関係性&嫉妬のワケ

歩きながら、私は、沖田さんに聞く。

「なんで不機嫌そうなんですか??」

沖田さんが、額に皺を寄せる。
まさかの怒らせちゃった・・・?

「だってさ、さっきのアイツと行き過ぎてねぇ?しかもアイツ、さり気なく夏音の手を触ってたぜ」

ええっ!?
触ってたっけ?
まあ、あったかもしれない。
でも、沖田さんの代わりに斎藤さんが答えたけど、めっちゃ不機嫌。

「廉(れん)は、ただの幼なじみですよ」

答えれば、斎藤さんが噛みつくように、

「それが問題だっ!絶対、夏音を好いてるぜ・・・」

私は、思わず笑ってしまった。
廉が私を好いてる?
嘘みたい。
・・・って、嘘だよね。
爆笑する私を見、土方さんが、ボソリ。

「阿呆か」

私は、阿呆じゃない!                                                     
                  

948:アーヤ◆PY:2018/01/20(土) 07:15

やっぱり夏音って自分の恋には疎いんだね…
まあ沖田さんと付き合ってる事を言ったら、すぐにも解決だけどね😅

949:さくら:2018/01/20(土) 07:58

おはようございます("⌒∇⌒")
もしよかったら見てもらえたらうれしいです
ご本尊さまと題目がすごいから、ご本尊さまに題目するといっぱい叶ったり治ったり一番よい方向に進みます
ご本尊さまと題目と創価学会のみんなと池田先生がすごいです
「必ず治る」と思って「前 南無妙法蓮華経 全力」って唱えるとどんどん治る方向に進みます
きいてくれてほんとうにありがとうございます

950:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 09:40

>>948
ありがとう!
意外と疎いし天然だよね(^^;)
廉が失恋でね(笑)

>>949
チェンメはお控えください。      

951:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 09:49

「仕方ないですね。今度、廉に言ってやりますよ!」

とっておきの切り札を。
不思議そうな顔をしたみんなに、私はにっこり微笑む。

「私が沖田さんと付き合ってる事ですよ。そしたら、諦めるでしょう?」

途端に、雰囲気が悪化。
私は、慌てて二人の顔(土方さんと斎藤さん)を振り仰ぐ。
一層不機嫌ですけど!?

「・・・って、嘘ですよ?」

慌てて打ち消すと、一気に空気が緩んだ。
と・・・。

「夏音!幕末(あっち)行くよ!さぁ、乗って!」

お母さん!?
なんで慌ててるの??
しかも、タイムスリップマシーンで来たし。

「良いのよ、取り敢えず!」

なんか怪しい。
でも、みんなが乗っていったので、仕方なく私も乗り込んだ。                                                        

952:アーヤ◆PY:2018/01/20(土) 10:47

まだタイムマシンに乗るってことは、もしかしたらこれがラストってこと?
だって最後辺りだよね!?

あと半分頑張って下さい🙇

953:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 14:23

>>952
ありがとう!
うん、最後のタイムスリップだと。
でも、大きな事件があったり・・・(*^-^*)
頑張ります!(書ききれるか不安)         

954:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 14:27

23,Kのエピローグ

神様─────。
私、離れたくないの────。

私と、沖田さんを──────。
ねぇ、ちゃんと結ばれたいの。
愛しさも、恋も、全部知ったのに。

時の流れは、残酷に。
私たちを引き離す─────────。               

955:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 14:37

あとがき

さてさて。
K完結です!
いろいろ伏線を張ってみました!

次作に繋げたいな〜とか、思いましたが、やめました。

やっと!
夏音の初恋が実りました!
作者としてもホッとしてます(笑)
嫉妬中の二人も可愛かったですよね〜。

さて、Lで今作は完結する予定ですが、いろいろ詰め込むかと。
場合により、詳しく触れられない事件等が、あるかもしれません。

Lのストーリーは!
激闘の有名な事件、二人の恋、そして最愛の人との別れ、咲さんとも別れる!?
仲間との永遠の別れ、等。

比較的悲しい話ばかりかもしれません。
Lで終わらなければ、Mへ。
(レスがあるかな・・・)

最後になりました、応援してくださった、アーヤさん。
いつも励みになります!
ありがとうございます!
そして、最後まで読んでくれたら嬉しいです。

では、Lで。

         リリカ                                                                  

956:瑞◆MIZU/j3v.s:2018/01/20(土) 14:42

リリカ〜!もうすぐだね!最近見れなくてごめんね!(´・ω・)
リリカのこの小説が終わったらゆっくり読ませて貰うね!
私は下手だけど頑張ってリリカみたいな小説を書けるように頑張る!
一生応援します!

by 瑞

957:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 14:43

『時を駆けて、初恋*します。』L

登場人物(Kと同じく、主要な人だけに限ります、新撰組は変わらずあのメンバーです)

城里 夏音
本作の主人公。
優しく、明るい。
沖田の恋人。

沖田 総司
新撰組の天才剣士。
優しいが、病気がちで・・・。
夏音の恋人。

土方 歳三
新撰組副長。
一見、意地悪だが根は、優しい。
夏音に想いを寄せる。


新撰組隊士。
女だが、男装。
剣の腕が立ち、沖田に想いを寄せる。
ライバルだが、夏音と仲がよい(?)。                                                

958:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 14:45

>>956
ありがとう!
瑞も頑張って〜←気楽な
・・・じゃなくて、いえいえ、ヒマなときでも(*´ω`*)
私、文才ないよ?
私こそ、瑞みたいな小説書きたいし!
ってことで、お互い頑張ろ〜←どういう事だ                

959:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 14:50

1,私だって!

こんにちは(?)、城里夏音です!
私は、ただいま幕末におります。
新撰組の屯所にいるのだけど─────。

「私だって!役に立ちますよ!」

ただいま、鬼の副長こと、土方さんとバトルをしてる!
なぜか?
理由は簡単!

「んなあぶねぇとこに、女を行かせるかっ!」

倒幕を考える、浪士と戦うらしいけど・・・。役に立ちたいのが本心だ!

「私だけ、へなちょこなんだ・・・。へなちょこだから、出て行きます〜」

ちょっと嘘泣きをすれば、慌てたように土方さんが、

「わかった!考えておく」

と、言った。
ふんっ!
確定じゃないんだっ!                                         

960:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/20(土) 17:05

2,女だから!?

プンプン。
何よ、『考えておく』って。
私は、不機嫌にそっぽを向いた。

「・・・なんで、私は役に立っちゃいけないんですか??」

私だって、佐々木さんから教えてもらった、剣術がある。
多少────咲さんには劣るけど、役に立つのに。

「おまえ、女だろ」

憐れむように、土方さんが言う。
女だから!?
何それ!
差別だよ!

「女だから!?酷いです!」

思い切り非難すると、土方さんは溜め息を吐いた。
何?

「軟弱だろ、人を斬るんだぞ、俺らは」

そっかぁ・・・。
私は、ちょっと顔をうつむかせた。
でも、諦めてはないからね!                                              

961:アーヤ◆PY:2018/01/21(日) 07:00

私もリリカさんの言葉が励みになります🙇
だけどこれからという切ない別れがやって来るのか悲しいって感じですね

962:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/21(日) 07:05

>>961
ありがとう!
励みになっていたらすごい嬉しいです(*´ω`*)
めっちゃ切なくなる。゚(゚´ω`゚)゚。
いろんな人たちと別れるからね(T_T)     

963:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/21(日) 07:20

3,守られるだけじゃない

まだ諦めきってない、私を見て、土方さんはマジな顔になった。
 
「・・・斬るのと、稽古は違う」

そんなの。

「わかってますよ」

感覚とか、だいぶ違うだろうし。
また、土方さんは深い溜め息を吐いた。

「おまえ・・・血に染まったあとの、気持ちはわかるか?・・・決して楽しいとか、嬉しいとかの気持ちではないぞ」

そこだけ、悲しみが垣間見えた。
うろたえる私を見、土方さんは続ける。

「いつだったか、言ったよな。『人斬り』だと。・・・俺には、おまえが斬りたがってるように思える」

私・・・・斬りたがってるの・・・?
私も、役に立ちたいと願ったのに。
表向きは、『役に立ちたい』で、裏は、もしかしたら───────。
話を聞いていた、沖田さんが、

「斬られたら、それでお終いです。そんな残忍なこと、できますか?」

と、聞く。
ムリだ。
人の命を奪う、残酷なこと。
私は、しぶしぶ認めなければいけなかった。

「・・・ムリを言って、すいません。私、『みんなに守られるだけじゃない』って、認められたかったと思います・・・」

言ってるうちに、情けなくなった。
お梅さんのときには、みんなを避けたくせに。今になって、そんなことを言い出すとは。

「私、屯所を守ります。だから・・・」

私は、ちょっと微笑みながら、祈った。
どうか─────。

「みなさん、無事に戻ってくると約束して、戦ってくださいね」

私が一番、不安で仕方ない。
決行の日は、もうすぐだ。

「約束する」

「約束します」

沖田さんと、土方さんの声が重なった。                                                                                                                         

964:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/21(日) 11:18

4,花ちゃんとお団子

決行の日まで、あと1日。
・・・にもかかわらず、私はのんびり。
散歩がてらに外を出ると、花ちゃんが。

「ん?どうした?」

花ちゃんは、こないだ土方さんに振られた女の子だ。
このあいだみたいな、ケバケバした化粧はしていない。
年相応で可愛らしい。

「あの・・・。あなたは?」

あぁ。
あのときは、女の子の姿をしてたからね。
名字で良いか。

「城里です」

花ちゃんが、ポオッと頬を染める。
熱かな?

「城里さん・・・。ちょ、ちょっと私とお団子食べに行きませんか?!」

花ちゃんが、言う。
お団子・・・久しぶりだなぁ・・・。
私は、にっこり微笑む。

「行く!あっ、私がおごるから」

途端、花ちゃんが照れたようにうつむく。
お団子、美味しいよね〜。                                 
                      

965:アーヤ◆PY:2018/01/21(日) 18:07

戦いで何か起こちゃうの!!??

966:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/21(日) 18:10

「お団子くださーい」

「あいよう」

ふぅ・・・。
お団子、楽しみ〜。
のどかな時間だな。

「花ちゃん、美味しいね〜」

ところが、花ちゃんはポオッと、

「・・・名前、教えましたっけ・・・?」

と、ちょっと不安な面もち。
そう言や、あのときは女の子姿だったっけ。

「い、いや。可愛いと有名だから」

花ちゃんは、赤くなってうつむいた。
おや・・・?
お団子、美味しいな〜。

「花ちゃんと食べてたら、さらに美味しいよ」

我ながらチャラい。
と、お団子を食べて、花ちゃんとまったりして、その日は終わった。                                           

967:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/21(日) 18:11

>>965
ありがとう!
けっこう危ない事件が起こるかも(*_*;   

968:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/21(日) 18:22

5,池田屋事件@

そして。
ついに、決行の日。
しっかりと鎖帷子に身を固めた、みんなを見ていた。

「ご武運を・・・」

密かにかけた願い。
緊張気味の私を見て、土方さんがニヤリと笑う。

「“野良猫”に負けないようにな」

むっかあ!
イライラ!
私は、思わず食ってかかる。

「何ですか!そんな言い方・・・」

と、いきなり土方さんに髪をクシャリとされた。
あぁっ、髪型が〜。
でも、安心させてるのがわかったから、にっこり笑った。

「わかりました!ですから、“野良猫”に負けない仕事ぶりをお願いします!」

ピクッと、土方さんの顔がひきつる。
ニヒヒ。
姿が見えない、沖田さんを心配したけど、私は信じて、みんなを見送った。                                                        

969:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/21(日) 21:18

屯所に戻り、ちょっと暇を持て余す。
でも、みんなは真面目だし・・・。
私は、今朝もらった、浅葱色の隊服に身を包む。

「なかなか、似合うんじゃない〜?」

姿見がないのが、残念だけど。
私は、腰に刀を差す。
いっちょ前なサムライに見えるよね?

「むふふ。私も、手伝いたいなぁ・・・」

活躍を見たい。
そおっと屯所を抜け出そうと・・・。

「城里!どこ、行くんだ?」

げええっ! 
まずい、よりによって面倒くさい隊士にバレるとは・・・。

「ど、どこも・・・」

隊士は、ニカッと笑った。

「茶を、飲もうぜ」

ふぅ・・・。
案外単純な奴で、助かった・・・。
私は、今度こそ屯所を抜け出して、京の町を走る。                                                   

970:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/22(月) 17:41

6,池田屋事件A

はぁっ・・・はぁっ・・・。
めっちゃ走った。
息が上がって、苦しい。
なのに、みんなの姿が見えない。

「どこなの・・・??」

仕方ない。
至る所をすべて捜さないと。
ちょっと溜め息を吐いて、また走り出す。
と・・・。

「クソッ」

悪態をつきながら、走ってきた侍がいた。
抜刀していた。
血走った目が、私を見つける。

「・・・新撰組の仲間かぁ!」

えっ!?
私が、この隊服を着てるせい?
私は、迫ってくる男の間をすり抜け、男が走ってきた方へと駆け出した。                                        

971:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/23(火) 18:32

人をかき分け、辿り着いた先には・・・。
『池田屋』という、旅館(旅籠)。
キーンッと金属が交わる音。

「やーーーっ!」

叫んで、中に入り込む。
血の臭い。
私は、戦ってるみんなに迷惑をかけないように、二階へと向かう。

ビシャッ

頬に、垂れてきた血が、まとわりつく。
味方の血なのか、はたまた敵の血か。
もしくは、沖田さんのモノか・・・。

「やーーーっ!」

叫び、抜刀する。
今まで助けられてきた。
今は、今こそは、私も力になりたい────。

「夏音さん!?」

敵と向かい合っている、沖田さんが振り向く。私は、返事の代わりに、ズザッと斬り込む。
敵が倒れた。
それと同じく、私は敵に押され、階段から転がり落ちた。

「・・・っ!夏音さんっ・・・」

沖田さんの声が聞こえ、私は意識を失った。                                                                  

972:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/24(水) 19:38

7,池田屋事件B

再び目を開けると、荒い息遣いが聞こえる。
見上げれば、敵に押し倒されていた。
そして、敵の刀が光った・・・みたいに思えたけど。
実際、その刀の刃が、首に当てられていた。

「何・・・?!」

聞けば、名も知らぬ浪士がニヤリと笑った。
ゾッとする笑みだった。

「首を掻ききってやる・・・土産にな」

ええっ!?
と、驚く間もない。
ジワリと、血が出た気がする。
あぁっ、私は、ここで死んじゃうの────?                          

973:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/25(木) 21:14

でも、私の中の、“ナニカ”が目覚めた。
怒りとか、そう言ったモノ・・・。
だから、土方さんの隊が、来たことも知らずに刀をヒュイッと敵に回す。

「・・・アンタなんかに、負けない」

自分でも、ゾッとする声色だった。
すうっと刀の刃を、敵の首へと当てる。
私の刀の刃を当てられた恐怖も、こいつはすぐ感じたみたい。

「お、おい・・・」

焦ったような、敵の声。
だんだん、身体が汗ばんできた。
でも、ここで情けなんかかけられない───。

「夏音さん!?」

沖田さんの驚いた声。
私は、ちょっと刀から力を抜いた。                                     

974:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/26(金) 17:30

「冥土の土産になるのは、そっちだから」

冷酷に言い放ち、刀をしまう。
敵は、青ざめて背中を向け、走り出した。
後ろを、斎藤さんが追う。

「大丈夫でしたか!?」

沖田さん・・・。
ん、なんとかね。
池田屋を出、あたりを見回して、愕然とした。

「これって・・・」

血だらけで、真っ赤。
そして、真っ赤に染まったみんなが戦っていた。

「おい、夏音。おまえは、先に戻れ」

いつの間にやら来た、土方さんに声をかけられた。

「わかりました」

今は、従った方が良さそうだ。                                  

975:アーヤ◆PY:2018/01/26(金) 20:02

夏音って沖田さんと一緒ぐらいに、敵に回したら怖いってことだけだよ…

976:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/26(金) 21:13

>>975
ありがとう!
怒ったらヤバいからね(*_*;
敵に回したら、もうそこでアウト(笑)     

977:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/26(金) 21:18

8,組み紐と多色な布

ふうぁ・・・。
池田屋事件後の、昼。
そろそろ戻ってくるかな・・・。

「あの、布と組み紐を買いに行ってきて良いですか?」

私は、良いことを思いついて、山南さんに聞く。

「なぜ?」

んー。
山南さんになら、教えても良いかな。
私は、山南さんの耳元に口を寄せる。
伝えると、山南さんが微笑んだ。

「尚更、みんなが帰ってくるのを待ちましょう」

うん!
だって、今、不安だもの。
いつまで一緒にいられるのか。
それだったら、せめてみんなの想いを繋ぎ合わせたいの。                                   

978:リリカ@恋歌◆Wg 短編小説板も見てください☆:2018/01/27(土) 11:30

みんなが戻ってきたのは、昼の遅く。
血を浴びた、無敵のカッコイいみんなが。

「お帰りなさい!」

急いで、みんなのもとへ。
斎藤さんが、嬉しそうな顔でニコニコ。

「ただいま、夏音〜」

あっ、出迎えに気をよくしたの?
・・・それよりも!
私は、

「あの、ちょっとみんなで行きたいところがあるんです!今じゃなくて良いから、暇なとき、一緒に来てくれませんか??」

みんなと言っても、幹部だけど。
みんなは、にっこり笑った。
良かった〜。
そして、沖田さんを探す。

「顔色、大丈夫ですか!?」

だって、沖田さんの顔は真っ青だったの。
でも、沖田さんは凛々しく、

「大丈夫です」

と、答えた。
そして、私に聞いた。

「さっきの、提案って・・・?」

私は、笑って、

「みんなの想いを、多色な布と組み紐で結びあわせるんです」

沖田さんは、不可解そうに首を傾げた。
だよね。
でも、きっとその繋ぎ合わせて作った、鉢巻きは一生の宝物になると思う。                                                                    

979:アーヤ◆We.:2018/01/27(土) 18:30

もうクライマックスが迫っているね

980:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/28(日) 06:22

>>979
ありがとう!
ほんと、クライマックスだよ(*^^*)
(そしてマジメに終わるか心配←)
コメント、いつもありがとう!
『思春期シンデレラ』頑張って(≧▽≦)
応援してます!           

981:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/28(日) 06:40

そして!
ついにその、暇なときが来た!
みんなで、布を買いに行く。

「ひとり一色選んでくださいね」

呼びかけて、咲さんに肩を叩かれる。
何?

「夏音は、この色だろ?」

手には、なぜか黒色!
ええっ!?

「咲さんらしく、ないですよっ!」

言い返すと、咲さんが驚いた。
そして、しぶしぶ布を変える。
よしよし。
私は、その間に組み紐を選ぶ。

「みんな、買えたみたいですよ」

沖田さんに言われ、私はまた、声をかける。

「じゃ、ちょっと私に貸してください」

みんなに、手渡された布の色をチェック。
紺色、藍色、山吹色、真紅に桜色。
同じ色が何色かあったけど、私的には満足だ。屯所に戻り、私は、裁縫道具を貸してもらう。 
「何をするんだ?」

土方さんが聞くけど、私は笑って答えない。
部屋に行き、縫い合わせる。
針が、チクッと指に刺さった。

「いたっ」

あぁあ、舐めたら治るかな?
この時代に、絆創膏なんてないし。
代わりに、土方さんが水で冷やしてくれた。

「ありがとうございます!」

マジで喜んだら、土方さんがぶわっと赤くなった。
そして、ちまちま作業が続き、深夜。

「できたっ!」

ついに!
多色な布で、ちょっと長い鉢巻きができた。
ホントは、この時代でのみんなの優しさを信じようと作ったけどね。
宝物には変わりない。
喜んで、小躍りしてたら、

「・・・夜中に躍るヤツがいるか!」

と、眠りを妨げられ、不機嫌な土方さんに怒鳴られた。
仕方ないじゃん、嬉しかったもん。

────私は、ずうっと信じていた。
こんな和やかな、新選組を・・・。
悲しみと裏切りに包まれるまでは─────。                                                                                                              
               

982:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/28(日) 06:53

9,山南さん切腹

その日の、その朝。
屯所がうるさかった。
昼近くでも。
何でも、山南さんが脱走したらしい。

「ええっ!?そんなこと・・・!?」

あり得ない。
池田屋事件後に、鉢巻きのことについて話してたのに。

「俺もだ」

苦虫を200匹ぐらい噛み潰したような、渋い顔をした、土方さん。
信じてたのに・・・。
このままでいくと、切腹だ。
隊を脱走したら切腹が、ひとつの決まりだ。

「私、京に残っていないか、探してきます!」

ところが、土方さんは冷たく言い放った。

「おまえは、明里に話してこい」

明里さん??
誰だ、その人?
あっ、わかった。

「土方さんの好きな・・・イテッ!」

言い掛けて、頭を小突かれた。
痛い。

「バカか。山南さんの恋人だ」

へえっ!? 
山南さん、恋人いたんだ!
びっくり。

「カッコイいし、優しいですもんね〜」

なんか納得。
土方さんに明里さんの居場所を聞き、支度をすると。

「山南さん・・・」

放心状態の沖田さんがいた。
何か言ってあげなきゃ、と思ったけど、土方さんの怒鳴り声が耳に飛び込んできた。

「はやく行け!!」

ひぃぃ!
私は、仕方なく屯所を飛び出したのだった。                                                                        

983:アーヤ◆PY:2018/01/28(日) 12:17

切腹って山南さん斬られるの⁉️

984:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/28(日) 13:48

>>983
ありがとう!
うん、切腹という形でね…。   

985:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/28(日) 13:58

明里さんは、綺麗な女の人だった。
仕草とか優美で、美しい。
こりゃあ、山南さんが好きになるよね。
女の私でも、惚れ惚れしちゃうもの。
でも、私は山南さんが切腹すると、伝えないといけないんだ・・・。

「明里さん、ですね。俺、新選組隊士、城里です。実は・・・」

明里さんが、美しい仕草で、じいっと聞き入る。
私が、山南さんが脱走したこと、切腹しなくちゃいけないことを伝えると。

「あぁ・・・ぅっ、・・・嫌!!」

明里さんが、倒れ込む。
私は、とっさに明里さんを抱え込む。
泣き崩れた明里さんを、抱えて家まで送っていった。

「ありがとうございます・・・」

目が真っ赤になった、明里さんに見送られ、私は屯所に戻る。
暗い気持ちだった。
山南さんが、切腹しなくちゃなんて・・・。
いつだったか、土方さんに教えてもらった。

『切腹のときには、介錯をするヤツがいる』

介錯と言うのは、切腹した人が苦しまないように、首を斬り.落とす役目の人だ。

「ただいま・・・」

私は、暗い面もちで、帰った。
沖田さんに、なんか声をかけようかな。
しかし、沖田さんの姿が見えない。
斎藤さんに、聞くと。

「山南さんを、追って出掛けた」

とのこと。
山南さんが抵抗することは、ないと思うけど、無事に帰って来れますように。
どうか、山南さんが切腹しなくてすみますように。
私は、祈りながら部屋に戻った。                  
                                                                 
           

986:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/28(日) 19:53

そんな祈りも虚しく。
ついに、山南さん切腹の日が、きてしまった。
あぁ・・・。
私は、涙をこらえてその光景を見ることとなった。
戒めるためだ。
脱走したら、どうなるか。
それを見せつけるため──────・・・。

「ひっく・・・」

まだ切腹してないのに、私は泣きじゃくってしまった。
皮肉にも、山南さんの介錯は沖田さんだ。

「夏音・・・」

斎藤さんが、私を抱きしめた。
それと同じくして、ジャッという、肉を切り裂く鈍い音と、何かが落ちた音がした。

「斎藤さんっっ・・・山南さんが・・・」

言葉にならないくらいの、悲しみが押し寄せてきた。
一番苦しいのは、他でもない。
沖田さんだ。

「・・・っ、ひっく・・・」

泣いていても生き返らないのに。 
私は、悲しむのはこの事件だけで充分だと思っていた。

しかし、まだ裏切りと悲しみは終わってくれなかった。                                                            

987:アーヤ◆PY:2018/01/28(日) 21:43

誰か斬ったのか気になるけど、新撰組の皆じゃあないことを祈ります。
夏音は心が強くなって尊敬するよ、悲しいことなのにね…
頑張ってね

988:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/29(月) 19:46

>>987
ありがとう!
ホントに、新選組と出会う前より、強くなったよね(*^^*)
アーヤも頑張ってね!!    

989:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/29(月) 19:53

10,藤堂さん討ち取られる

私は、山南さんがいなくなってしばらく、泣いて過ごしていた。
でも、思えば明里さんの苦しいハズだ。

「泣いてたらダメだ」

この先、誰かが死なないとも限らない。
ずうっと泣いてても埒があかない。

「よしっ、気分変えて沖田さんとデートでも!」

息巻いて、屯所を探すと。
えっと・・・。
沖田さんと、咲さんが向き合っていた。
いつになく、咲さんの顔が真面目だ。
ちょっと訝しげに見てると・・・。

「夏音、伊東さんの話、聞きませんか?」

藤堂さんに話しかけられた。
伊東さん・・・?
イマイチわかんない。

「ごめんなさい」

断って、私は食い入るように沖田さんと咲さんを見る。                                        

990:アーヤ◆PY:2018/01/29(月) 21:22

だんだん気になってくるよクライマックス終盤が。

991:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/30(火) 17:56

>>990
ありがとう!
ホント、終盤だしね…。
スレで間に合わなくなったら、二弾としてスレ立てるね。

          ☆

どうやら、咲さんが告白してるみたい。
うん、邪魔しちゃ悪いよね。

「ごめんなさい」

沖田さんが、断った。
ホッとして、胸をなで下ろす。
それ以外、大したことは何ヶ月かなかった。

けれど────────・・・。

伊東さん率いるグループが、独立し、近藤さんを暗殺しようとしているらしい。
藤堂さんがそんなこと考えるわけない!

「絶対、違いますよ!」 

私が、ずうっと否定していても、最後まで聞き入れられなかった。
そして・・・。

油小路で、伊東さんグループの藤堂さんが、討ち取られた。

「嘘だ!」

私は、グッと唇を噛んだ。
血が出るくらい。
そうしないと、泣いてしまうから・・・。

「どうか、もうみんなが死なないでほしい・・」

祈っても、無駄で。
ある人との、別れが刻一刻と近付いてきた。                                         

992:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/30(火) 18:08

11,さようなら咲さん

鳥羽・伏見の戦いで、新選組が駆り出された。
そんなにみんなを死なせたい幕府なら、滅びてしまえば良いのに・・・。

「行ってくるな、夏音」

咲さんが、男装して刀を持った。
なんだか、咲さんが帰って来ないような───・・・。

そして、私は沖田さんから重要な話を持ち掛けられた。

「これからは、土方さんについて行ってください」

それは、病気のせいなの?
それとも、私が嫌いなの・・・?
沖田さんが、顔を強ばらせた。

「私たちは、出逢ってはいけなかった。もとの世に戻れ」

えっ・・・。
沖田さんは、続ける。

「はやく。もう、二度と逢えるか不安ですけど・・・」

良かった。
私は、嫌われてなかった。

その夜。

訃報が入った。
ひとつは、原田さんが戦死したこと。
もうひとつは、咲さんも戦死したこと。

「これが、夏音宛てに・・・」

私は、届けられた手紙を開く。
達筆に、

『今までありがとう。会津に行くとしたら、私の妹、お雪に「生きて」と伝えてくれないか?それだけで良い。どうか、総司と幸せに。 咲』

と、書かれていた。
さようなら、咲さん─────。
まだ泣いちゃいけない。

私は、零れる涙を拭った。                                                                                 

993:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/31(水) 18:51

12,別れと二つの死

しばらくして、私は蝦夷地に行くことになった。
もちろん、土方さんについて行ってね。

「寒そうですね!」

こんな場合だけど、私はニコッと笑った。
じゃないと、今までの悲しみが零れてしまうから・・・。
 
「だな、防寒をしろ」

だよね、防寒対策しないと!
私は、いつの日も一日一日を大切に、沖田さんと話していた。
手をつないだり、慈しみながら。

別れの日。
私は、少し泣いてしまった。

なぜか、もう二度と会えないような、戻って来れない気がするの・・・。

「大好きです」

二人して視線を絡ませて、キスして。
私は、泣く泣く沖田さんと別れ、蝦夷地へと向かった。                                             

994:アーヤ◆PY:2018/01/31(水) 20:26

また二人戦死してしまったね…
沖田さんとの別れが辛いね。

あと少し頑張って下さい🙇

995:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/31(水) 21:13

>>994
ありがとう!
ついに別れがね…。゚(゚´ω`゚)゚。
はいっ、頑張りま〜す!   

996:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/31(水) 21:23

はぁ・・・。
私は、蝦夷地に着いてから何度目かの溜め息を吐いた。

「安心しろ。便りも届いてる、だろう」

土方さんの言うとおりだけどさ・・・。
と・・・。

「副長!局長が!」

兵士が、ある手紙を渡した。
それに目を通した、土方さんが石化した。

「あぁ・・・」

私は、その手紙を奪い取って見た。
そこには、局長が処されたと・・・。
私は、目の前が暗くなるのがわかった。

その後。

慟哭する土方さんをなだめすかすのがひどく難しかった。
ひと月経った、頃か。
私に、最悪の悲報が入った。

「嘘でしょう・・・!?」

沖田さんが、亡くなった、と。
今度は私が泣きわめき、しばらく誰も手を着けられなかった。
心の一部が欠けたような気がして、ずうっとずうっと泣いた。

「俺は、戦う」

土方さんの決意を聞いて、私は心を決めた。
私だって、戦ってやる。

もう二度と、誰も死なないように───・・。                                                            

997:アーヤ◆PY オンディーヌ(初音)said:2018/01/31(水) 21:52

もう夏音と土方さんだけが残ったの?
斎藤さんはどうなったのか心配だね…

私も更新しました。

998:リリカ@恋歌◆Wg >>999はレス禁!:2018/02/01(木) 19:35

>>997
ありがとう!
斎藤さんは、生きてるよ(*^^*)
頑張ってね!!

※長レスかも 
         ☆
13,戦死と気付いたキモチ 

私は、鉢巻きを巻いて、刀を抜く。
艶やかに濡れたように光った、美しい刀身をスッと前に出す。
よしっ!
シミュレーションはばっちり。

「行ってきます!」

開戦とともに、私は走って敵を斬りつける。
飛び散る血飛沫に知らんぷりして、次の敵へとかかる。
ゾクゾクする喜びに、胸をおどらせてる自分に戸惑いながら。
何時間経ったのか。
私に、不幸の報せが入ってきた。

「嘘だっ!」

私は、なりふり構わず駆け出した。
着いた先に、斎藤さんの姿が見えた。
顔を綻ばせる暇なく、私は横たわってる土方さんに寄る。

「土方さんっっ!死なないでくださいよっ!」

青白い顔が、いや、そのまぶたが震えた。
僅かに目が開いた。

「・・・すまない・・・」

今は、謝る場合じゃないよ! 
私は、必死に止血する。
もう間に合わないと知っていても。
土方さんが、私に向けて、

「・・・俺は、・・・夏音が・・・好きだ・・・」

ああっ!
そんな言葉は、生き抜いてから言ってよ!
私は、涙がこぼれるのも構わず、体を揺する。

「・・・生きろ」

それだけ聞こえて、今度こそ土方さんはまぶたを開けなくなった。
次第に、息すらしなくなって────・・・。

「ああっ!・・・嘘よ!!」

みんな、死んじゃった。
私は、慟哭した。

そして、やっと気付いた。
私、たぶん心のどこかで恋愛感情に似た、感情で土方さんが好きだったんだね・・・。
もう、このキモチは伝えられない。

私は、むせび泣いた。

14,時空のはざまで愛を囁いて

ふいっと、誰かが私の前にたつ。
水干姿の、黒髪の男の子。

「君のお母さんが作った、マシーンは壊れたよ。だから、君も帰るんだ」

帰るの・・・?
その子は、ニコリと笑った。

「最後に、時空を結んであげる。沖田総司に挨拶しにいきなよ」

私の視界が揺らいで、目の前に、沖田さんが!恐らく、元気な頃の。

「約150年後に、また逢いましょうよ、沖田さん!」

声がかれても良い。
私は、離れ離れになるのを覚悟し、叫ぶ。
沖田さんが、ふわっと微笑んだ。

「約束ですね。愛してます」

そして、私たちは時空のはざまで愛を囁いた。                                                                                                                                                   

999:リリカ@恋歌◆Wg >>999はレス禁!:2018/02/01(木) 19:55

15,約束とエピローグ

私は、家の中にいた。
お母さんがいて、いつものように実験室から叫んだり。
そんな、日常の切れ端が見える。

「お母さん・・・マシーンは?」

お母さんは、笑った。
そのお腹は、少し膨らんでる。

「壊れた。直るまで、数年かかるわね」

私は、泣きたいようなそれでいて、笑いたいようなキモチになった。
ちゃんと、約束したよね。
未来(イマ)でまた巡り逢うって・・・。

私は、確かに時を駆けて、初恋*した。
ううん、初恋*したんだよ、絶対に。

時を駆けて、初恋*します。

永遠に、あなたと巡り逢うそのときまで、そのときから───────・・・。

私が再び、沖田さんと巡り逢うのは二年後・・・。

『時を駆けて、初恋*します。』end


あとがき

はいっ!
リリカです。

なんと!
祝!『時を駆けて、初恋*します。』が完結しました!

始まってから約5ヵ月。

いろんな方からの、コメントでここまで来れました。

最後のほう、めちゃくちゃかもしれません、自分で書いといてですね!

私的に、すごくうれしいです!
実は、この後の話を、短編小説板で書こうかと考えてます。
良ければ、そちらも(*^^*)

*thanks*

アーヤ
(いろいろコメントくれてありがとね!励みになったよ(*´ω`*))

ろぉ様
(的確なコメントありがとうございます!また、新選組トークしてみたいです(´V`)♪)


(コメントありがとう!瑞の小説、大好きだよ〜!)

梨子
(コメントありがとね!私も、梨子の文章に憧れてるよ(*^o^*))

むぅ
(コメントありがとね!むぅ、これからも仲良くしようね(´V`)♪)

他にも、読んでくださった方々、ありがとうございました!
>>1000は、感想などで埋めてくださって結構です。
※荒らし厳禁!!!

では、新作で会いましょう。                                                                                                                          

1000:MIA:2018/02/01(木) 21:02

皆さんすごいですね!

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