時を駆けて、初恋*します。

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1:リリカ@恋歌◆JA:2017/09/03(日) 16:18


*プロローグ*

出逢えたら良かった。
でも。

「私たちは出逢ったらいけなかった。すぐに、もとの世に戻れ」

私たちは逢ったらダメだった。
彼は、そう言った。

984:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/28(日) 13:48

>>983
ありがとう!
うん、切腹という形でね…。   

985:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/28(日) 13:58

明里さんは、綺麗な女の人だった。
仕草とか優美で、美しい。
こりゃあ、山南さんが好きになるよね。
女の私でも、惚れ惚れしちゃうもの。
でも、私は山南さんが切腹すると、伝えないといけないんだ・・・。

「明里さん、ですね。俺、新選組隊士、城里です。実は・・・」

明里さんが、美しい仕草で、じいっと聞き入る。
私が、山南さんが脱走したこと、切腹しなくちゃいけないことを伝えると。

「あぁ・・・ぅっ、・・・嫌!!」

明里さんが、倒れ込む。
私は、とっさに明里さんを抱え込む。
泣き崩れた明里さんを、抱えて家まで送っていった。

「ありがとうございます・・・」

目が真っ赤になった、明里さんに見送られ、私は屯所に戻る。
暗い気持ちだった。
山南さんが、切腹しなくちゃなんて・・・。
いつだったか、土方さんに教えてもらった。

『切腹のときには、介錯をするヤツがいる』

介錯と言うのは、切腹した人が苦しまないように、首を斬り.落とす役目の人だ。

「ただいま・・・」

私は、暗い面もちで、帰った。
沖田さんに、なんか声をかけようかな。
しかし、沖田さんの姿が見えない。
斎藤さんに、聞くと。

「山南さんを、追って出掛けた」

とのこと。
山南さんが抵抗することは、ないと思うけど、無事に帰って来れますように。
どうか、山南さんが切腹しなくてすみますように。
私は、祈りながら部屋に戻った。                  
                                                                 
           

986:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/28(日) 19:53

そんな祈りも虚しく。
ついに、山南さん切腹の日が、きてしまった。
あぁ・・・。
私は、涙をこらえてその光景を見ることとなった。
戒めるためだ。
脱走したら、どうなるか。
それを見せつけるため──────・・・。

「ひっく・・・」

まだ切腹してないのに、私は泣きじゃくってしまった。
皮肉にも、山南さんの介錯は沖田さんだ。

「夏音・・・」

斎藤さんが、私を抱きしめた。
それと同じくして、ジャッという、肉を切り裂く鈍い音と、何かが落ちた音がした。

「斎藤さんっっ・・・山南さんが・・・」

言葉にならないくらいの、悲しみが押し寄せてきた。
一番苦しいのは、他でもない。
沖田さんだ。

「・・・っ、ひっく・・・」

泣いていても生き返らないのに。 
私は、悲しむのはこの事件だけで充分だと思っていた。

しかし、まだ裏切りと悲しみは終わってくれなかった。                                                            

987:アーヤ◆PY:2018/01/28(日) 21:43

誰か斬ったのか気になるけど、新撰組の皆じゃあないことを祈ります。
夏音は心が強くなって尊敬するよ、悲しいことなのにね…
頑張ってね

988:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/29(月) 19:46

>>987
ありがとう!
ホントに、新選組と出会う前より、強くなったよね(*^^*)
アーヤも頑張ってね!!    

989:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/29(月) 19:53

10,藤堂さん討ち取られる

私は、山南さんがいなくなってしばらく、泣いて過ごしていた。
でも、思えば明里さんの苦しいハズだ。

「泣いてたらダメだ」

この先、誰かが死なないとも限らない。
ずうっと泣いてても埒があかない。

「よしっ、気分変えて沖田さんとデートでも!」

息巻いて、屯所を探すと。
えっと・・・。
沖田さんと、咲さんが向き合っていた。
いつになく、咲さんの顔が真面目だ。
ちょっと訝しげに見てると・・・。

「夏音、伊東さんの話、聞きませんか?」

藤堂さんに話しかけられた。
伊東さん・・・?
イマイチわかんない。

「ごめんなさい」

断って、私は食い入るように沖田さんと咲さんを見る。                                        

990:アーヤ◆PY:2018/01/29(月) 21:22

だんだん気になってくるよクライマックス終盤が。

991:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/30(火) 17:56

>>990
ありがとう!
ホント、終盤だしね…。
スレで間に合わなくなったら、二弾としてスレ立てるね。

          ☆

どうやら、咲さんが告白してるみたい。
うん、邪魔しちゃ悪いよね。

「ごめんなさい」

沖田さんが、断った。
ホッとして、胸をなで下ろす。
それ以外、大したことは何ヶ月かなかった。

けれど────────・・・。

伊東さん率いるグループが、独立し、近藤さんを暗殺しようとしているらしい。
藤堂さんがそんなこと考えるわけない!

「絶対、違いますよ!」 

私が、ずうっと否定していても、最後まで聞き入れられなかった。
そして・・・。

油小路で、伊東さんグループの藤堂さんが、討ち取られた。

「嘘だ!」

私は、グッと唇を噛んだ。
血が出るくらい。
そうしないと、泣いてしまうから・・・。

「どうか、もうみんなが死なないでほしい・・」

祈っても、無駄で。
ある人との、別れが刻一刻と近付いてきた。                                         

992:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/30(火) 18:08

11,さようなら咲さん

鳥羽・伏見の戦いで、新選組が駆り出された。
そんなにみんなを死なせたい幕府なら、滅びてしまえば良いのに・・・。

「行ってくるな、夏音」

咲さんが、男装して刀を持った。
なんだか、咲さんが帰って来ないような───・・・。

そして、私は沖田さんから重要な話を持ち掛けられた。

「これからは、土方さんについて行ってください」

それは、病気のせいなの?
それとも、私が嫌いなの・・・?
沖田さんが、顔を強ばらせた。

「私たちは、出逢ってはいけなかった。もとの世に戻れ」

えっ・・・。
沖田さんは、続ける。

「はやく。もう、二度と逢えるか不安ですけど・・・」

良かった。
私は、嫌われてなかった。

その夜。

訃報が入った。
ひとつは、原田さんが戦死したこと。
もうひとつは、咲さんも戦死したこと。

「これが、夏音宛てに・・・」

私は、届けられた手紙を開く。
達筆に、

『今までありがとう。会津に行くとしたら、私の妹、お雪に「生きて」と伝えてくれないか?それだけで良い。どうか、総司と幸せに。 咲』

と、書かれていた。
さようなら、咲さん─────。
まだ泣いちゃいけない。

私は、零れる涙を拭った。                                                                                 

993:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/31(水) 18:51

12,別れと二つの死

しばらくして、私は蝦夷地に行くことになった。
もちろん、土方さんについて行ってね。

「寒そうですね!」

こんな場合だけど、私はニコッと笑った。
じゃないと、今までの悲しみが零れてしまうから・・・。
 
「だな、防寒をしろ」

だよね、防寒対策しないと!
私は、いつの日も一日一日を大切に、沖田さんと話していた。
手をつないだり、慈しみながら。

別れの日。
私は、少し泣いてしまった。

なぜか、もう二度と会えないような、戻って来れない気がするの・・・。

「大好きです」

二人して視線を絡ませて、キスして。
私は、泣く泣く沖田さんと別れ、蝦夷地へと向かった。                                             

994:アーヤ◆PY:2018/01/31(水) 20:26

また二人戦死してしまったね…
沖田さんとの別れが辛いね。

あと少し頑張って下さい🙇

995:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/31(水) 21:13

>>994
ありがとう!
ついに別れがね…。゚(゚´ω`゚)゚。
はいっ、頑張りま〜す!   

996:リリカ@恋歌◆Wg:2018/01/31(水) 21:23

はぁ・・・。
私は、蝦夷地に着いてから何度目かの溜め息を吐いた。

「安心しろ。便りも届いてる、だろう」

土方さんの言うとおりだけどさ・・・。
と・・・。

「副長!局長が!」

兵士が、ある手紙を渡した。
それに目を通した、土方さんが石化した。

「あぁ・・・」

私は、その手紙を奪い取って見た。
そこには、局長が処されたと・・・。
私は、目の前が暗くなるのがわかった。

その後。

慟哭する土方さんをなだめすかすのがひどく難しかった。
ひと月経った、頃か。
私に、最悪の悲報が入った。

「嘘でしょう・・・!?」

沖田さんが、亡くなった、と。
今度は私が泣きわめき、しばらく誰も手を着けられなかった。
心の一部が欠けたような気がして、ずうっとずうっと泣いた。

「俺は、戦う」

土方さんの決意を聞いて、私は心を決めた。
私だって、戦ってやる。

もう二度と、誰も死なないように───・・。                                                            

997:アーヤ◆PY オンディーヌ(初音)said:2018/01/31(水) 21:52

もう夏音と土方さんだけが残ったの?
斎藤さんはどうなったのか心配だね…

私も更新しました。

998:リリカ@恋歌◆Wg >>999はレス禁!:2018/02/01(木) 19:35

>>997
ありがとう!
斎藤さんは、生きてるよ(*^^*)
頑張ってね!!

※長レスかも 
         ☆
13,戦死と気付いたキモチ 

私は、鉢巻きを巻いて、刀を抜く。
艶やかに濡れたように光った、美しい刀身をスッと前に出す。
よしっ!
シミュレーションはばっちり。

「行ってきます!」

開戦とともに、私は走って敵を斬りつける。
飛び散る血飛沫に知らんぷりして、次の敵へとかかる。
ゾクゾクする喜びに、胸をおどらせてる自分に戸惑いながら。
何時間経ったのか。
私に、不幸の報せが入ってきた。

「嘘だっ!」

私は、なりふり構わず駆け出した。
着いた先に、斎藤さんの姿が見えた。
顔を綻ばせる暇なく、私は横たわってる土方さんに寄る。

「土方さんっっ!死なないでくださいよっ!」

青白い顔が、いや、そのまぶたが震えた。
僅かに目が開いた。

「・・・すまない・・・」

今は、謝る場合じゃないよ! 
私は、必死に止血する。
もう間に合わないと知っていても。
土方さんが、私に向けて、

「・・・俺は、・・・夏音が・・・好きだ・・・」

ああっ!
そんな言葉は、生き抜いてから言ってよ!
私は、涙がこぼれるのも構わず、体を揺する。

「・・・生きろ」

それだけ聞こえて、今度こそ土方さんはまぶたを開けなくなった。
次第に、息すらしなくなって────・・・。

「ああっ!・・・嘘よ!!」

みんな、死んじゃった。
私は、慟哭した。

そして、やっと気付いた。
私、たぶん心のどこかで恋愛感情に似た、感情で土方さんが好きだったんだね・・・。
もう、このキモチは伝えられない。

私は、むせび泣いた。

14,時空のはざまで愛を囁いて

ふいっと、誰かが私の前にたつ。
水干姿の、黒髪の男の子。

「君のお母さんが作った、マシーンは壊れたよ。だから、君も帰るんだ」

帰るの・・・?
その子は、ニコリと笑った。

「最後に、時空を結んであげる。沖田総司に挨拶しにいきなよ」

私の視界が揺らいで、目の前に、沖田さんが!恐らく、元気な頃の。

「約150年後に、また逢いましょうよ、沖田さん!」

声がかれても良い。
私は、離れ離れになるのを覚悟し、叫ぶ。
沖田さんが、ふわっと微笑んだ。

「約束ですね。愛してます」

そして、私たちは時空のはざまで愛を囁いた。                                                                                                                                                   

999:リリカ@恋歌◆Wg >>999はレス禁!:2018/02/01(木) 19:55

15,約束とエピローグ

私は、家の中にいた。
お母さんがいて、いつものように実験室から叫んだり。
そんな、日常の切れ端が見える。

「お母さん・・・マシーンは?」

お母さんは、笑った。
そのお腹は、少し膨らんでる。

「壊れた。直るまで、数年かかるわね」

私は、泣きたいようなそれでいて、笑いたいようなキモチになった。
ちゃんと、約束したよね。
未来(イマ)でまた巡り逢うって・・・。

私は、確かに時を駆けて、初恋*した。
ううん、初恋*したんだよ、絶対に。

時を駆けて、初恋*します。

永遠に、あなたと巡り逢うそのときまで、そのときから───────・・・。

私が再び、沖田さんと巡り逢うのは二年後・・・。

『時を駆けて、初恋*します。』end


あとがき

はいっ!
リリカです。

なんと!
祝!『時を駆けて、初恋*します。』が完結しました!

始まってから約5ヵ月。

いろんな方からの、コメントでここまで来れました。

最後のほう、めちゃくちゃかもしれません、自分で書いといてですね!

私的に、すごくうれしいです!
実は、この後の話を、短編小説板で書こうかと考えてます。
良ければ、そちらも(*^^*)

*thanks*

アーヤ
(いろいろコメントくれてありがとね!励みになったよ(*´ω`*))

ろぉ様
(的確なコメントありがとうございます!また、新選組トークしてみたいです(´V`)♪)


(コメントありがとう!瑞の小説、大好きだよ〜!)

梨子
(コメントありがとね!私も、梨子の文章に憧れてるよ(*^o^*))

むぅ
(コメントありがとね!むぅ、これからも仲良くしようね(´V`)♪)

他にも、読んでくださった方々、ありがとうございました!
>>1000は、感想などで埋めてくださって結構です。
※荒らし厳禁!!!

では、新作で会いましょう。                                                                                                                          

1000:MIA:2018/02/01(木) 21:02

皆さんすごいですね!

1001:1001:Over 1000 Thread

このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててください。


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