飛雄にょた化!【ハイキュー(にょた影山総受け)】

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1:お香しゃちょー◆kk:2017/11/12(日) 22:54 ID:KMA

私が愛してやまないトビオをにょたさせて、みんなに愛してもらいます!!誤字脱字、さーせん!でも、一生懸命やるって自分決めたっス!うっす!!


影山飛緒

烏野高校男子バレー部のマネージャー

黒髪サラサラストレートショート

身長は172センチあたりで、バストはAよりのB

女バレでがんばってたけど、あの事件がね

中身はほぼ原作トビオ

国見と金田一とは仲がいいが、及川さんにはバレー以外でマジで興味ない

「コート上の女王様」


みたいな感じです!追加設定とかあったら、いろいろ書き足します!!“亀!更!新!”です!!ちなみに、名前が似ているにょた司さんもやってます。よろしく、ツッキー!(ツッキーごめんよ。ついノリで)

2:お香しゃちょー◆kk:2017/11/12(日) 23:13 ID:KMA

レシーブもトスもスパイクも、ぜんぶ俺一人がやればいい。

俺なら拾える

俺なら上げられる

俺なら打てる

もっと速く動け!もっと高く飛べ!!

もっと、もっと!!

そして

トスを上げた先

そこに誰も

いなかった

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「国見!!勉強教えてくれっ!」

「…なんで?勉強する必要なくない?推薦じゃないの?」

「…ごめん、それに関してはまだ言えねぇ」

申し訳なさそうに俯く影山に、国見は何も言えなくなった。

頭の悪さが口では言い表せないほどの彼女が、いきなり勉強を教えて欲しいと頼んできたのだ。きっと何かあるに違いない。

(それを言ってもらうのを待つのが、“友達”なんだろ…)

しばらく待っておこうと考えて、あまり考えないようにしていた。

のに、彼女はいつも斜め上のことをする。

「俺さ、推薦受けねぇんだ。烏野っつー高校に行く」

「…なるほどね。だから最近真剣に勉強してたんだ。」

「ああ。…言うの遅くなって悪かった。」

勉強を見てあげて2週間ほど経っただろうか。帰り道、影山が国見と金田一に打ち明けた。

「別に謝ることじゃないだろ。それに烏野行ってもバレー続けるんだろ?」

「…それなんだけどさ。俺、もうプレーしないって決めたんだ。」

「……は?」

「何だよそれ。なんで…」

そして彼女の打ち明けた内容もまた、斜め上を行く。

「…悪い。けど、もう決めたんだ。」

「もう、その意見曲げるつもりないの?」

「ああ」

「…そう。なら今更なに言っても無駄だな。」

「おい国見、なんでそんなアッサリして…!」

「影山が自分で決めたことだし、俺たちが口出しできることじゃない。…それに女子と男子じゃ立つコートが違う訳だし。」

「っ…。そりゃ、そうだけど…!」

「バレーで手助けはできなかったけど、他の部分でカバーすりゃ良いじゃん。」

「手助け…?」

「ちょ、おい国見!?」

「最近勉強頑張ってるけど、それでも一人じゃ限界あるじゃん。俺と金田一で良かったら勉強教えるよ。」

ニコリと小さく微笑みかけると、彼女は嬉しそうに、彼は呆れたように笑った。

その日から国見と金田一で、空いた時間に影山に勉強を教える日が増えた。

そして、努力の甲斐あって見事に影山は烏野高校に合格した。

3:お香しゃちょー◆kk:2017/11/12(日) 23:35 ID:KMA

俺は国見と金田一の協力のおかげで、無事に烏野高校へ入学できた。

でも烏野に入学してから、どこの部にも所属しないと決めていたため、HRが終了するといつも速攻で帰宅。

友達は欲しいがどう接したら良いのか分からず、学校ではつねに一人。それに、自分にも非があるとはいえ、あの試合が原因で女子と接するのが少し怖い。

そんなある日、校内探検と名付けて歩き回っていたら、第二体育館からボールの音が聞こえてきた。

興味をそそられ中を覗けば、一人で練習をしているやつがいた。

(あいつ…俺より背が低いくせに…すげぇ飛ぶじゃねぇか…!!)

ジャンプ力には感動したが、プレー自体は荒削りで、下手くそなことが見ていて丸分かりだった。

(バネも体力もやる気もあるのに何て宝の持ち腐れだ!俺の感動返せ!!)

いやでも、腹立つけどそれは勝手に腹を立てているだけであってたぶんアイツは悪くな…いや、やっぱアイツが悪ぃな。

そんな感じで腹を立てていた自分のところに、ボールが転がってきた。

それを追いかけてきたさっきの飛ぶやつと、拾い上げた俺の目が合った。

これが、日向翔陽との初めての出会いだった。

「あぁぁ!!ごめん!!」

キレイなオレンジ色の髪の毛が、眩しかった。でも、それ以上に

アイツの汗が眩しかった。

(でも、高い運動能力、反射、自分の身体を操るセンス…きっと他にも持ってんだろ…それらを持っていながら)

「お前は中学の3年間、何やってたんだ!?」

そう言うと、アイツはものすごくショックを受けたような顔をした。

いや、ショックを受けたのだろう。

渡したボールが、アイツの手から落ちた。

俺はそのまま体育館を後にした。

4:お香しゃちょー◆kk:2017/11/13(月) 00:11 ID:KMA

体育館を出た直後、第二体育館へ他の男子バレー部員が現れた。どうやら俺を知ってるようだ

『なんで影山がここに!?』

「女子バレーはこの体育館じゃないんだ」

俺は否定しようと口を開く。だがそれよりも早く口を挟んだのが、メガネ男だった

男子だけでなく、女子の大会決勝戦も見ていたそいつに、過去の俺のプレーを暴露される

何か言われても、何も反論できなかった

「俺は…俺は二度とプレーはしねぇ…!」

必死に声を出しても、それしか言えなかった

沈黙が訪れ、その場にいることが辛くなりそこを逃げ出した。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日学校へ行けば、昇降口に昨日の下手なやつがいた。素通りしようとすると、そいつに腕を掴まれた

「俺、日向翔陽!俺にバレーの技術教えてくれ!」

(まさかのお願いされるとは…!…つーか普通、昨日ショックを与えられた相手に頼むか?)

突然の出来事に固まっていれば続けざまに

「お前、バレー上手いんだろ!だから頼む!」

と再度懇願される

ひとまず昼休みに話を聞くからと一度解散し、それぞれの教室へ

昼休みになると約束通り日向がクラスまで訪れ、一緒に体育館へ向かい話を聞く

「なんで俺にバレー指導しろって言うんだ」

「え、だってお前バレーしてたんだろ?」

「お前じゃなくて、影山飛緒だ
…確かにしてたけど、別に俺じゃなくても問題ないだろ。男バレの先輩とかに聞けよ」

「いや、先輩達にもお願いしたいんだけどさ、その…」

「……」

「今度1年vs先輩でミニゲームすることになってさ。俺、中学時代まともに練習できてなかったから下手くそで…」

「確かに下手くそだったな」

「うっ…それで、一緒にチーム組むのが昨日いた月島と山口で…あ、月島ってのはメガネで、山口はその隣にいた奴な」

(あのメガネ、月島ってのか…)

「で、あいつらに比べて俺って明らかに下手だし、練習してても足引っ張っちまってさ…その度に月島に溜息吐かれながら嫌味言われるの悔しくて…
それで話聞いたら影山、バレースッゲー上手いんだろ!?俺、もっとちゃんと練習して上手くなりたいんだ!だから頼む!」

「…俺は二度とプレーしないって決めた。バレーに関わるのはもう嫌なんだ。」

すると、俯いて顔を隠した俺の肩を掴み、正面からその顔を見据える日向。

その真剣な表情に息を呑む。

「嫌だって言うなら、ちゃんとコッチ見て言えよ!バレーが嫌いだって、したくないって、はっきり言えよ!!」

「はっ…!?お前なに言って…!!」

「言えるのか、言えないのか、どっちだよ影山!!」

「お、俺は…バレーは、き、きら…ッ嫌いになんか、なれる訳ないだろ!?
できる事ならまたプレーしたい、コートに立ちたい…!っけど、同時にコートに戻るのが怖いんだよ…」

「影山…」

「…トスを上げた先に誰もいないのは怖い。俺はいらないんだって、あの試合ではっきりと言われた。そんな経験をもう、したくないんだよっ…!」

心情を吐き出したことで塞き止めていたものが溢れ出し、ボロボロと涙が流れる。

俺の思いをしっかり聞いていた日向は、肩を掴む手に力を込める

「…なあ影山。やっぱり俺にバレー教えてよ」

「っはあ!?おま、今の俺の話聞いて…!」

「だって影山は今でもバレーが好きなんだろ!?好きなのになんで我慢してんだよ!」

「だからっ、」

「誰かがお前にプレーするなって言ったのか!?コートに立つなって言ったのか!?言われてないじゃん!全部、お前が勝手に線引きして目ぇ逸らしてきただけじゃんか!!」

「ッッ!!」

「好きなら諦めるなよ!手放すなよ!!もう一度頑張ってみろよ!!!」

「……っ、」

「それでもコートに立つのが怖いなら、俺が代わりに影山を高い所に連れて行ってやる!レギュラーになってコートに入って、いっぱい試合に勝って!そんで!」

「…ひな…っ、」

「一緒に頂(てっぺん)に立つんだ!」

力強く、俺の目を見つめて宣言する日向。もう言葉も出てこず、涙を流す俺に慌ててティッシュが差し出される

「だからバレー、教えてくれ…」

…先ほどまでの勢いはなんだったのか。という程、再度弱々しく教えを請うてくる日向

その態度の変わりように涙は引っ込み、思わず吹き出した。

「手加減は一切しないから、覚悟しろよ」

5:お香しゃちょー◆kk:2017/11/13(月) 00:30 ID:KMA

一連の出来事からミニゲーム当日まで、宣言通り手加減なしで日向に練習を付け始めることになった。

バレーの説明に擬音ばかり付くため日向の頭の上に?が付くのは常で、加えて口が悪い俺にボロクソに言われるのですぐ口喧嘩に発展する。

「もっと速く動けよ!当たってねぇぞ!!」

「かすったね!今のは絶対かすった!!」

「当たったとかすったは違ぇんだよボゲェ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

そしてミニゲーム当日。どうしてもと言う日向の誘いを断れず、自分も結果が気になった為、体育館に足を運んだ。こっそりと盗み見る予定が日向にすぐ見付かってしまい、結局体育館内で試合を観戦。

最初の頃に比べて上達はしていたものの、やはり先輩の力には及ばず1年チームが敗北。

「まぁ勝敗はいいとして…日向、この数日の間で上達したな」

「たしかに。どうやって練習したんだよ」

これで俺に用はねぇだろ、と思い体育館を出ようとすると

「かっ、影山に特訓してもらいました!!」

という大声が聞こえた。どうやら問い詰められま日向が、特訓のことを暴露したようだ。

「おい日向ボゲェ!何暴露してんだぁ!!」

「ぎゃーー!!!影山っ!!」

慌てて中へ戻り、日向を追いかけまわす。先輩たちは、深刻そうな顔をしていた

(日向のせいでバレーやめるとか言ってたやつが何してんだよって思われたに違いない!)

「くっそ、待てや日向ボゲェェ!!!」

「ぎゃーー!!!」

すると、主将だと思われる人に肩を掴まれた。

「影山。男バレのマネージャーになってくれないか。」

「え、」

突然のことに驚いていると、次はセッターをしていた人に声をかけられる。

「俺たちの力になって欲しい」

今度は先輩たちに頭を下げられた。先輩の言うことは断れない。

「わ、分かりました…」

そして、正式に男バレマネージャーとして入部が決定した。

「影山!お前ホントにマネージャーやるのか!?」

「先輩にまで頭下げられたら断れねーよ。」

「そっか!」

「…まあ、それに…」

「へ?」

「…日向の傍にいねーと、一緒に頂(てっぺん)に立てないだろ?」

「っ!!おうっ!!!!」

6:お香しゃちょー◆kk:2017/11/13(月) 22:05 ID:KMA

「あ、の…1年3組の影山です!よろしくお願いします!!」

バレー部にマネージャーとして入部することになった。元からいる、3年生のマネージャーさんに挨拶をする。

「うん。3年の清水潔子です。よろしくね?」

(な、なんだこの人スゲー美人…!!)

「はっ、はい!!」

先輩はそれはもう、隣にいたら自分なんか見えないんじゃないかというぐらい美人だった。

「……影山」

「え、はい?」

「名前は?」

「え、」

「下の名前は?」

「えと…飛緒、ッス…」

「飛緒?」

「ッス。…男みたいな名前でしょう?」

潔子、なんて女の人らしい名前に比べて俺は飛緒。男みたいな名前に苦笑してしまう

「ううん、そんな事ない。可愛い。」

「へっ、」

「可愛い、飛緒ちゃん。」

「かっ、かわ…っ!?」

潔子さんに微笑まれて、俺の顔は真っ赤になっえいるだろう。

「き、潔子さんは俺が守ります!!」

「え、守る?」

「ッス!!」

(きっとこの人を狙う変なやつらは多いからな!そんなやつらからこの人を守らねぇと!)

静かに燃える俺だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「なんか、さぁ…」

「あぁ…」

「ウチのマネージャーは可愛いなぁ…」

7:お香しゃちょー◆kk:2017/11/14(火) 05:04 ID:KMA

「…影山は髪短いよな。伸ばさねぇの?」

「ちょっと日向、女王様のことだよ。邪魔だから伸ばさないとか分かりやすいこと言うって」

プスプスと笑う月島を睨む。…たしかにそうだけども、なんか悔しい

「別に伸ばしても似合わねぇし…」

「に、」

「それに、こいつの言った通り邪魔だ」

「……」

すると普段は腹立つほどうるさい日向が黙り込んだ。不気味に思った俺と伊月は、日向に声をかける。

「どうしたんだ日向?」

「日向?」

「………に、」

「「に?」」

「似合うよ!!絶対長いのも似合う!!だから伸ばせよ!」

やっと声を出した日向の言葉に、俺と伊月は呆れた。

「はあ?話聞けよお前。似合わねぇって自分で知ってんだよ。あと髪が邪魔なのは腹が立って仕方ない」

「だっ、でも!自分で似合わないとか思ってるだけじゃん!それと邪魔なら結べば良いよ!」

「…まあ、そうかもしれないけど…。つーか、なんでお前がそんな必死になってんだよ。」

こいつ、髪が長い女が好みなのか?

いや、こいつは女よりバレーの方が好きだからな。んなもんねぇか

「せっかくキレイな髪してるから長いのも見てみたいんだよ!!…あ、いや、だからって今のも似合わないって言う訳じゃないけど!でも長いのも見てみたい!だから俺としては伸ばして欲しいというか、なんていうか…。」

だんだん声が小さくなっていく日向に、伊月が吹き出す。

「……」

「そうだ!影山マネージャーになったんだから、俺たちが勝てるように願掛けで伸ばしたら良いじゃん!!」

「「はあ?」」

こいつは突拍子も無いことを言いやがるな…でも、邪魔なもんは邪魔なんだよなぁ

「…気が向いたらな」

「ッホントか!?」

「気が向いたらだからな!絶対じゃないぞ!」

8:お香しゃちょー◆kk:2017/11/14(火) 16:35 ID:KMA

≫7
月島が伊月になってました!!さーせん!

9:お香しゃちょー◆kk:2017/11/14(火) 17:43 ID:KMA

みんなの練習を見て思う。

やっぱりもう一度、コートに立ちたい。

「飛緒ちゃん、どうかした?」

「あっ、いや、なんでもないです!」

プレーすることから一度逃げたくせに、俺は何を言ってんだ。俺はコートからじゃなく、コートの外からみんなを支えるって決めただろ!

「日向ァ!」

菅原さんのトスをもらって、日向があのバネを使ってスパイクする。

スカッ

「あ」

だけど、空振りが多かった。

(俺のトスじゃ、どうなるんだろう…)

その好奇心がわかくのに、そう時間はかからなかった。

手が暴れそうになる。

あいつにトスを上げたい。

なんて考えていると、顧問の武田先生が体育館に汗だくで走り込んできた。

「組めたよっ!練習試合!!相手は県のベスト4!“青葉城西高校”!!」

青葉城西って確か、国見と金田一のところだよな?

あと

あの人がいるところだ

「ただ…条件があってね…」

先生が少し申し訳なさそうに頭をかく。条件ってなんだ?

「“影山くんを、セッターとしてフルで出すこと”」

「な!」

俺をセッターとして…?

「なんスかそれ、烏野自体に興味はないけど影山だけはとりあえず、警戒しときたいってことですか。なんスか、ナメてんスか。ペロペロっスか」

「い…いや、そういう嫌な感じじゃなくてね、えーと」

怖い顔をした田中さんが、武田先生に詰め寄る。確か、烏野(ウチ)の正セッターは…

「い…いいじゃないか。こんなチャンス、そうないだろ」

「いいんスかスガさん!烏野の正セッター、スガさんじゃないスか!」

副主将の、菅原さんだ。

「…俺は…」

マネージャーがでしゃばってセッターなんかしてみろ。菅原さんにはもちろん、他のみんなが築き上げた信頼が崩れるだろう。

俺のトスでは。(女王様のトスでは)

「俺は、影山のトスが4強相手にどのくらい通用するのか、見てみたい。」

「……先生、詳細お願いします」

先生から詳細を聞いてから、俺たちは解散になった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

体育館を出て菅原さんを追いかける。

「菅原さん!」

「!」

「今回は俺、マネージャーなのにスタメンだけど次はちゃんと、みんなを影から支えます!」

「えっ!?」

「えっ??」

菅原さんに驚かれて、むしろ逆に驚いてしまう

「あ、いや、影山は俺なんか眼中にないと思ってたから意外で…
女子なのに男子の練習に付いて来れるし、日向との連携も俺よりバッチリだし…」

「“経験”の差はそう簡単に埋まるもんじゃないです…」

確かに俺は、菅原さんよりも良いトスを上げられるかもしれない。でも、そのトスを上げるための“経験”が俺と菅原さんでは、比べものにはならないだろう。

「それと…」

「スガさーん!」

「スガ〜〜!!」

「菅原さーん!」

「ほ…他のメンバーからの…し…し…信頼、とか……」

俺にはないものを、菅原さんは持っているから。

だから俺は、あなたとちゃんとレギュラー争いをしたかった。

「俺、負けません!」

「…うん。俺も負けない。」

強く笑う菅原さんは、すごくカッコ良くて見惚れてしまった。

10:お香しゃちょー◆kk:2017/11/14(火) 21:40 ID:KMA

「でもさ影山。青葉城西って、北川第一の選手の大部分が進む高校だよな」

(影山の…友達が居る高校…!)

菅原さんと影山が何か話していたので、走って二人の元へ行く。

「ああ、まあそうっスね」

「いや、その〜かなりやり辛くないかなと思ってさ…友達もいると思うし…」

しかも今回、特別条件として女子でマネージャーである影山がフルで試合に出る。だけど影山は、けろっとしながら答えた。

「…同じチームだったら、考えるかもしれないけど…」

「……」

「戦うなら、ただ全力でやるだけです。」

「…そうか。そうだな。」

「オス。それに、友達だからって手ぇ抜いたらあいつらにシバかれるんで」

かっ、影山を…シバく…?そんなことができるやつがこの世に存在するのか…!?

「でも、良いんすかスガさん!俺は…俺は納得いかないっつうか!」

「…そりゃあ悔しいけど…でも…」

すると菅原さんは、影山の肩に手をバシッとおいた。

「影山が中学ん時と同じだと思ったら大間違いだって、見してやりたいじゃん!」

影山は人と関わることが苦手だ。俺との特訓も、最初はほんっとに大変だった。

「……そうだな」

なんて思い返していると、後ろから声がした。大地さんだった。お腹が限界だった俺は、大地さんが持っている肉まんに飛び付いた。

「怖いのは影山“単品”だけじゃないってとこ、見してやろう。なあ、日向!」

大地さんに声をかけられた時には、もう俺は肉まんを口の中に迎え入れていた。

「あっ、オふっ!」

「お前、何先に食ってんだよ!」

「フザけんな!!」

急いで返事をすると、田中さんと影山に胸ぐらを掴まれて、責められる。

「おいお前らバレー部だな!?店の前で騒ぐな!!」

「「……サーセェ〜ン」」

店の人に叱られて、二人の手がパッと離れた。でも、そんなことより俺はさっきの店の人の言葉が頭をリピートする。

…そうかバレー部か…

ここに居るみんな…

バレー部なんだ

同じ

同じ チームなんだ

(今俺がここにいられるのは、“小さな巨人”と…)

俺の目に、菅原さんから肉まんを受け取っている影山が映った。

(影山のおかげなんだな…)

影山がいなかったら、俺はこんなに笑顔でみんなといられなかった。

影山のトスがなかったら、気持ちいいスパイクは打てない。

「……?」

影山のことを考えたら、なんだか胸がポカポカして来た。

影山の手が、他の誰かと触れ合うだけで胸がギュッとなる。

(なんだろ…これ…)

とにかく今は、笑っていたいと思った。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「明日は4時からだ!」

「いや、3時だ」

「じゃあ学校に泊まろう!!」

「そうするか。田中さんもどうですか?」

「何言ってんの!?」

11:凛茉◆Kc:2017/11/14(火) 23:38 ID:Beo

あの、入ってもいいですか?
ハイキュー大好きです!!

特に、セッターズと無気力組が大好きです!!

12:お香しゃちょー◆kk:2017/11/15(水) 00:34 ID:KMA

全然おっけーです!!!
むしろ嬉しいです!感激です!!
私はかきくトリオとセッターズと変人コンビが好きです!あと、影山推しです!!

13:お香しゃちょー◆kk:2017/11/15(水) 17:22 ID:KMA

青葉城西…

(あの人たちも元気だろうか。いや、元気に決まってる。
じゃあ、あの人は?)

「影山ー?」

「…っ、」

キュッと自分の胸の下あたりを握る。

ここには、消したくても消せない傷痕があった。決して消せない、醜い痕

「影山、どうした?怖い顔だぞ!」

「っ、!ひ、日向ボゲェ!!」

「ああああああ!!!」

心配して自分の顔を覗き込む日向を投げ飛ばした。その様子はいつものことだったので、特に誰も気にしなかった。

(…影山?)

菅原以外。

「影山、それ食ったらちょっといい?」

「?オス」

しかし影山は澤村に呼ばれたため、何も聞くことができなかった。

(明らかに何かに怯えてる顔だった…影山が緊張か…?)

結局、友達との再会でしかも試合だから緊張している、という考えに落ち着いた。しかし、菅原はなぜかスッキリしていない。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、試合のポジションが澤村から伝えられた

WS 田中龍之介 MB 日向翔陽 WS 澤村大地
S 影山飛緒 MB 月島蛍 WS 縁下力

「潔子さん、すんません…俺、最近全然マネ業できてなくて…」

「大丈夫。飛緒ちゃん、練習がんばってるから。私も応援してる」

「っ、潔子さん…!」

というマネージャー二人のやり取りをそばに、澤村は説明をし始めた。

「影山と日向はセットで使いたい…月島は烏野(うち)では数少ない長身選手だ。青城相手にどのくらい戦えるか見たい」

すると、みんなが疑問に思っていたであろうことを代表して田中が澤村に問いかけた。

「ていうか、デカさが重要なポジションに日向スか!?」

「MBって…ノッポヤロー月島と同じポジション!?」

後に続いて、日向も自分のポジションに驚きの声を上げる。

「良いか、日向」

影山が日向に近づき、ビシーッと効果音が聞こえてきそうな勢いで日向を指差した。

「お前は、最強の“囮”だ!!!」

「おおお!?」

日向はその言葉に、少し興奮状態となる。しかし、すぐにその興奮はおさまった。

「なんかパッとしねぇ…」

「速攻でガンガン点を稼いで、敵ブロックの注意をお前に向けさせる!そうすれば他のスパイカーが活きてくる!」

「!」

「月島みたいなデカイ奴が、何人もお前の動きにアホみたいに引っかかったら、気持ちイイだろ!」

普段あまり笑わない影山が、不敵に笑った。

「うおおおっ!!ソレいい!」

「オイ!アホってツッキーのことじゃないだろうな!」

「黙れよ山口…」

「ゴメンツッキー!」

「…逆に…お前が機能しなきゃ、他の攻撃も総崩れになると思え」

その影山の言葉に日向は、感じたことのないようなプレッシャーを感じ、SO KUZUREとブツブツ呟いている。

「でも肝心のブロックはどうすんだよ!
いくら高く跳べても、元々デカイ奴と比べたら、ジャンプのMAXに到達するまでの時間がかかるだろ。その分、ブロックの完成が遅くなる」

「…ハイ。だから日向がブロックで重点を置くのは」

田中の質問に、影山が答える。

「相手の攻撃(スパイク)をたたき落とすよりも、“触る”こと」

しかし、様々な問題がまだ烏野にはある。

(お、おおお、俺がしっかりしないと…!)

そんな状況で、当日を迎えてしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「おえーーーーっぷ!!!」

「うわああああ!!止めて!!バス止めてえええ!!」

日向が緊張のあまり、バスの中で田中のジャージに吐いてしまった。

(あれ)

(なんか)

(予想以上に)

(((ヤバイ…!?)))

澤村と菅原と影山の気持ちが、一緒になった瞬間だった。

「女王様、なんで包帯してるの?…うわっ、巻くの下手すぎ。つーか巻けてないし」

「ケガか?影山〜」

「うるせぇよ月島!澤村さんも、大したことじゃないんで大丈夫です!」

影山は胸の下に包帯を巻いていた。巻くといっても、適当にぐるぐるとしておいただけなので、服から少し出ていた。

「私が巻き直そうか?」

「あ、いや、その、大丈夫です!本当に、気にしないでください!」

潔子の気遣いも断ってしまった。影山は仕方なく包帯を取る。

「なんでそんな簡単に包帯が取れるの?やっぱ巻けてないじゃん」

「ボケ月島ボゲェ!」

取っ組み合いの喧嘩を始めた二人を、それはそれは恐ろしい笑顔で澤村がとめたのは、言うまでもない。

14:お香しゃちょー◆kk:2017/11/16(木) 02:15 ID:KMA

いろいろあったものの、とりあえず青葉城西高校についた。すると、第三体育館の方から声が聞こえる。

「今日来る烏野ってさアレがいる高校だろ?」

「ハイ?」

「コート上の女王様。なんで及川さんもあんな女子に構うかなー…お前中学同じだろ?」

「…そうっスね」

明らかに影山の話をしている二人組に、田中が突っかかる。背後には月島や影山たちがいる。

「…烏野(うち)を…あんまナメてっと…」

カラスが鳴き出し、バサバサと舞い飛び、月島と影山の冷たい視線が二人組を捕らえた。

「喰い散らかすぞ。」

月島がにやっとしながら田中へ声をかける。

「そんな威嚇しちゃダメですよ〜田中さ〜ん」

その顔はまさに悪人ヅラとも呼べる顔だった。

「ほらぁ、“エリートの方々”がびっくりしちゃって、可哀想じゃないですかあ」

すると、澤村が回収しに来た。影山も三人の後を追う時、青城の二人組の一人金田一とすれ違った。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「影山」

「っお前…!」

金田一は照れくさそうに、影山は少し嬉しそうにお互い近付く。

「久しぶりじゃねーか、影山。元気そうだな」

「お前もな金田一。まさかこんなに早く再会しちまうとは…国見は?一緒じゃないのか?」

「国見はもう体育館の中だよ。…それより影山、なんでお前ここに来た」

金田一の言葉で空気が変わった。烏野のメンバーも、陰から話を聞いている。

「ここにはあの人もいる!お前、まだ傷痕消えてないんだろ!?」

「金田一…」

「俺たちはもう他校なんだ!前みたいなことがあったら…誰も…誰もお前を、」

「金田一!!」

影山の肩を掴んだ金田一に、影山が大声で名前を呼んでやる。

「大丈夫だから!俺、前とは違う!!傷痕も消えかかってるんだ!あの人も、一瞬の気の迷いだったと思うし…」

嘘だ。

傷痕なんか、消えていない。

「じゃあもう行くわ。じゃあな、金田一!」

「お、おい影山!!」

金田一の声を無視して、烏野のメンバーがいるところへ向かう。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「おい影山!傷痕ってなんだよ!」

「…日向、お前には関係ねーよ」

(あの人って…?)

清水も影山と金田一の言っていた“あの人”について考え始める。

「俺たちチームだろオボロェ!!」

「俺のことはいいからトイレに行って来い日向ボゲェ!!」

影山に言われて、慌てて日向はトイレへ向かった。

そして誰も、影山には何も聞けなかった。

15:お香しゃちょー◆kk:2017/11/16(木) 19:38 ID:KMA

「「あ」」

俺がトイレを出ると、影山と話してた青城のらっきょうみたいな奴に出会った。

「お前、烏野の一年?」

「そっそうだけど?」

でっかい…月島と同じくらいかな…

「へーっ!学校の影山ってどんな感じだよ!あいつ、すぐワガママ言って人のこと振り回すだろ?」

そう言うらっきょうヘッドは、嬉しそうだった。たぶんこいつ、影山と中学で仲良かったな

「そんなもんじゃねぇ!」

俺がそう言い返すと、らっきょうヘッドは驚いた

「“ワガママ”なんてもんじゃねぇんだよ!影山女王の独裁のもと俺という臣民は日々、苦渋を味わっている!ちょお〜っと上手いからって、調子に乗りやがって!」

らっきょうヘッドは呆れた様子で頭をかいた。

「ま、たしかにプレーは上手いわな。レシーブもサーブも全部」

「そうそう、腹立つ!」

「で」

「でも」

「トスが特にすげえ/トスだけは最悪」

気が合うと思ったのに、意見がすれ違い俺とらっきょうヘッドは顔を見合わせる。

俺以外が打てばそう思うのか?

「お前、あいつのトス打ったことねぇの?あいつはワガママだからな。セッターなのに、スパイカーに“打たせる”ってことができねぇ。」

「……」

「影山にとって必要なのは、自分の思い通りに動く“駒”自分が勝つために要らないモノはポイ。…だからあんなことが…」

「ふふふふふふ」

すると、いつのまにか俺とらっきょうヘッドの話を聞いていた田中さんが、不敵に笑った。

「影山が中学のままどうかは、試合で見ろよ!らっきょう君!」

「ハ!?」

「なあ、日向!?」

田中さんに声をかけられたけど、俺は返事をすることができなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

…自分が勝つために要らないモノはポイか…

基本的、影山は…

『俺の足を引っ張らない努力をしろ!』

『今のお前が勝ちに必要だとは思わない!』

こんなんだもんな…(日向ビジョン)

最近俺がちゃんと打てるのは、影山のトスのおかげで、俺が上達したワケじゃないし…

「おい日向!」

影山は主将にポジションの相談とかされてて、発言権もあるっぽい…

「おーーい!」

もし影山の前でヘマやらかしたら…

『引っ込め役立たず!』

「あっ、ちょ、お腹イタイッ」

なんてことを考えていたらお腹がまた痛くなった。急いでトイレへ駆け込む。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

みんなの元へ戻ると、主将に励まされた。

「緊張しなくて大丈夫だから、リラックス!」

「ハイッ!リラックス、がんばりますっ!!」

(リラックスってがんばってするモンだっけ?
アレ?リラックスってなんだっけ?)

すると、マネージャーの清水先輩に肩を叩かれた。そして

「期待してる」

と言われてしまった。こんな美人に言われてしまったら、緊張とかそんなのじゃなくて、もう頭の中が真っ白になって爆発した。

(トドメを刺してしまった…スマン日向)

「烏野高校対青葉城西高校
練習試合始めます!!」

『よろしくお願いしあーす!!』

16:凛茉◆Kc:2017/11/16(木) 22:55 ID:Beo

>>12
ありがとうございます!!!
タメOKですか?私は、OKですよ!!

かきくトリオ私も好きです!!
私は、研磨と国見ちゃん推しです!

17:お香しゃちょー◆kk:2017/11/16(木) 23:15 ID:KMA

>>16
もちOKだよ!じゃあさっそくタメで…笑
おいらのことはお香とでも、しゃちょーとでも気軽に呼んでくれたまえ!りんな、でいいかな?

研磨も好きだー!!でも研磨よりクロ派!!きゃーーー!!田中さんの姐さんも好きです笑

18:お香しゃちょー◆kk:2017/11/17(金) 00:03 ID:KMA

「…久しぶりだね、影山」

「国見!」

「そして相変わらずの絶壁」

「んだとゴラァ!!」

整列をしてから、自分の立ち位置に行く途中に国見と少しだけ話す。つーか絶壁じゃねぇし!

「女王様ってば絶壁って言われてんじゃん」

「うるせぇよ月島ボゲェ!!」

ニヤニヤ笑う月島に腹が立ったが、ホイッスルが鳴ったので仕方なく試合に集中することにした。…後で覚えてろよ、月島ボケ!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

試合が開始して、すぐにサーブを打たれる。それを澤村さんがレシーブで打ち返そうとすると、日向が飛んで来てコートの外へボールが出てしまった。

「バカか!どう見てもおめーのボールじゃねぇだろ!」

「ごめんなさい!!」

それからも、日向のミスは止まらなかった。

しかも、次はこっちがボールを落とせば向こうに点数が入り1セット取られるというのに、日向のサーブだ。

「影山!あいつ呼吸止まってねぇか、大丈夫か」

「俺に言われても、分かんないっスよ!」

田中さんの言う通り、日向はガチガチで呼吸がマジで止まってんじゃねぇか、と思う。

そして、日向がサーブを打った。

そのボールはキレイに

「ブッ!!」

俺の後頭部に入った。

そして、第1セットは青葉城西高校が取った。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ま、待て影山!気持ちは分かるが抑えるんだ!」

「ーー…まだ…何も言ってませんけど」

澤村さんにそう返すと、小さく「ひぃっ」と聞こえた。

「ぶォハーッ!!ぅオイ後頭部大丈夫か!?」

「ナイス後頭部!!」

「!!煽るのもダメだっつーの!」

「ヤメロお前ら!」

大爆笑する田中さんと月島の笑い声も、それを止める菅原さんと澤村さんの声も、今はどうでもいい。

俺はゆらりと日向の方へ向かう。

「…………………………お前さ」

「ッ…………ハイ」

日向へ近付いて声をかけると、小さく返事が返って来る。

「一体、何にビビってそんなに緊張してんの?相手がデカイこと…?初めての練習試合だから…?」

「……」

「俺の後頭部にサーブを打ち込む以上に怖いことって……」

スパァン!!と後頭部を叩くと、汗を大量にかいた日向がビクッと体を揺らす。

「なに?」

「…………とくにおもいあたりません」

「じゃあもう緊張する理由はないよなあ!もうやっちまったもんなあ!一番恐いこと!」

何度も後頭部をスパァン!と叩く。

これで、こいつの緊張も大丈夫だろ

「…………それじゃあ…」

「!?」

「とっとと通常運転に戻れバカヤローッ!!」

俺がコートの方を指差すと、ビクッと体を揺らしてマヌケな顔で日向がこっちを向く。

「…アレ?今のヘマはセーフ!?」

「は!?なんの話だ」

日向を置いて、俺はスタスタとコートへ戻った。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「…影山、大丈夫だった?」

「国見…」

「ホント、脂肪がない胸に当たらなくて良かったね」

「どういうことだ国見ボゲェ!!」

19:お香しゃちょー◆kk:2017/11/17(金) 00:45 ID:KMA

サーブを影山の後頭部に打ち込んでしまった。最初はどうなるかと思ったけど、特にポイされることも、コートから追い出されることもなかった

(今のがセーフなら何やらかしても大体大丈夫じゃねーか!あのらっきょヘッド、ビビらせやがってええええ!!)

らっきょヘッドを睨み付ける。

(うっ…でも…今、俺のせいで1セット目落としたんだった…影山が良くても…)

「おいコラ日向ァ!!」

田中さんに名前を呼ばれて、ビクッと体を揺らす。きっと怒られるんだ…影山よりは恐くありませんように!

「…オマエ」

「…ハイ」

田中さんの気迫に、思わず正座をしてしまう。

「他の奴みたいに上手にやんなきゃとか思ってんのか、イッチョ前に」

「…ちゃ…ちゃんとやんないと…交替させられるから…俺…最後まで試合…出たいから…」

「……オイ……」

ビクビクしながら田中さんの次の言葉を待つ

「ナメるなよ!お前が下手糞なことなんか、分かりきってることだ!」

バーンッと効果音が聞こえてきそうな勢いで言う田中さんに、ショックを受ける。

「分かってて入れてんだろ大地さんは!」

「??」

「交替させられた時のことはなあ…あー…うー…交替させられた時に考えろ!!」

「えっ!」

「いいから余計な心配すんじゃねぇ!頭の容量少ないくせに!!良いかァ、バレーボールっつーのはなあ!」

バッと手を上げて、俺に説明をする田中さん。

「ネットの“こっち側”にいるやつ全員!もれなく“味方”なんだよ!!」

顔を上げれば、田中さん以外のみんなも俺を見ていた。

「下手糞上等!!迷惑かけろ!足を引っ張れ!それを補ってやるための!!」

田中さんは最後はドヤ顔で、自分のことを親指で指差した。

「“チーム”であり、“センパイ”だ!!!」

その言葉に随分と心が軽くなるのを感じた。

「ホレ「田中先輩」と呼べ!」

「田中先輩!」

「わはは!もう一回!」

「田中先輩!!」

「わはは!!」

次はもう、ミスはしない。

そして、第2セットが始まった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

国見とか言う奴が縁下さんのサーブを打ち返す。それを月島がレシーブで押さえ込み、影山がカバーする。

俺は走り出した。

そして、影山からベストな場所にトスをもらって、打ち込む

(あれっ?)

はずだった。影山のボールは俺の手に当たることなく、床に落ちた。

「あれ…?」

疑問に思っていると、影山が近づいてきた。そして

「悪い、今のトス少し高かった」

と謝って来た。こいつも謝れるんだな!

「許してやらなくもない!」

「……」

「いだっ!いだだだっ!痛いっ!」

らっきょヘッドと国見が信じられないと言った様子で影山を見る。

そして、青城の奴がサーブを打つ。それを縁下先輩がレシーブで影山のところへボールを渡す

俺は一気に走って跳んだ。

(ーーー今!!
ココだろ!!)

そのトスは今度こそ俺のベストな場所にボールが飛んで来た。

それを俺は、力強く打ち込む。

「「ッしゃ!」」

「日向、影山」

澤村さんに呼ばれて、俺と影山が近付くと

「「せーの!」」

ほぼ巻き込まれる形で円を組んでみんなで一緒に喜んだ。

「……!…ち、チームっぽい…!」

「あ"ぁん?
“ぽい”じゃなくて、チームだろうが」

田中さんのその言葉に、俺は感動する。

(よし…ビビったか?ビビったな?存分に日向を警戒しろよ?)

ネットの向こう側の会話に聞き耳を立てながら、影山が少し距離をみんなと縮める。

「日向が動き出したところで…
反撃、行きましょう」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「そうだ日向ァ…」

「??なん、……ですかかげやまさん」

「帰ったら後頭部に気を付けろよ」

「ひぃっ!!」

20:お香しゃちょー◆kk:2017/11/17(金) 01:40 ID:KMA

適当に息抜き小説(やっちゃん、西谷、ヒゲちょこはまだ出ないです)
【プールに来ました、烏野バレー部】

今日は夏休みの部活の合間を縫って、烏野バレー部みんなでプールに来た。

田「潔子さんの水着姿が見られるなんて…!」

潔「おまたせ」

潔子の声に、みんなが一斉に振り返る。潔子は黒のビキニを着ていた。もちろん、パーカーを着ていたが田中は感動で泣き出した。

潔「飛緒ちゃんも、はやく」

影「…んぬん…」

潔子の後ろから出てきた影山は、潔子のビキニとは違い花柄のワンピースタイプの水着だった

日「かっ影山!!」

影「な、なんだよ日向コラ」

日向が影山に近付き、顔を真っ赤にしながら口をパクパクしていると、影山はくるりと後ろを向いた。

月「女王様、どうしたの」

影「パーカー忘れた!」

月「いや普通忘れなくない?」

更衣室へ戻ろうとする影山を、影山よりも少し背の低い菅原が腕を掴んだ。

影「菅原さん?」

菅「影山、俺のパーカー着とけ」

パーカーを渡され、今回は菅原に甘えることにした。

影「…あ」

菅「どうした?影山」

影「菅原さん家の柔軟剤、うちと一緒です」

ふにゃっと影山が笑うと菅原はもちろん、特に関係のない日向と月島も顔を赤らめた。

影「さ、泳ぎに行きましょう!」

end

21:凛茉◆Kc:2017/11/18(土) 19:00 ID:Beo

>>17
じゃあ、わいもタメで(笑)
OK!!じゃあ、しゃちょーで!!w
あ、りんまって呼ぶんだ〜
よく、間違えられるw

マジか!クロもいいよな。でも、私は研磨である。
冴子さんも好き!!

22:お香しゃちょー◆kk:2017/11/19(日) 04:13 ID:KMA

>>21
りんまね!おけ!!

冴子姐さん大好きだっ!!かっこいい!
潔子さんも好き!キレイ!私と正反対のタイプだから憧れる!私もメガネかけてるのに、なんであんなに差があるんだろう!?あれ?なんか目から水が…

そうだ!>>20みたいに息抜き小説とか書くから、書いて欲しいネタとかあったら遠慮なく言って欲しい!よろしくまるです!

23:お香しゃちょー◆kk:2017/11/19(日) 05:26 ID:KMA

鳥野:10 青葉城西:09

ボールが影山のところへ飛んで行く。日向はトスをもらうためにネットの方へ走り出だした。

「また速攻だろ!?」

すると、金田一が日向と影山の速攻をブロックをするために飛んだ。

「来るってわかってたら怖くねえんだよ!!」

「なんだとおらああああ!!」

日向が手を振りかざすと、影山のトスは日向の方ではなく田中の方へ行った

「待ってましたァァ!!」

田中は力いっぱいスパイクを打ち込む。

「ごっつぁん!!!」

金田一が悔しがりながら日向を見ていると、田中に声をかけられた。

「試合で見てみろって言ったろ!?」

田中は影山の袖を掴みながら、ビシッと金田一を指差す。金田一は鬱陶しそうに田中を見た。

「うわああーっ!俺打つ気満々で「なんだとおおお!」とか叫んじゃったよハズカシー!」

顔を赤らめる日向に、影山が声をかける。

「良いんだよ、ソレで。お前が本気で跳ぶから、相手(ブロック)もつられて跳ぶんだろ」

「そういうモン?」

「そういうモンだ」

悔しがる金田一に、岩泉がフォローの言葉をかけた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

日向の囮に付いて行けない青葉城西が、タイムアウトを取った。

「…………」

「どうした日向」

コートに立って自分の手を見つめる日向に、澤村が声をかけた。

「…俺…初めて試合に出た時、寄せ集めチームだったから「全部自分がやんなきゃ」って思ってて」

日向の視線は、自分の手から仲間(チーム)へと変わる。

「でも、今は俺よりずーっと上手い選手が周りにいるから、今の俺にできるのは信じて跳ぶことですよね」

そしてもう一度、ヒリヒリと痛む自分の手に視線を落とした。

「ごちゃごちゃ考えなくて、よかったんですね」

日向がみんなのところへ走り出す。

「その“信じて跳ぶ”が、とんでもない武器なんだけどなあ…」

澤村がそんなことを言っていたことは、日向はもちろん誰も知らない。

タイムアウトが終わり、3セット目が始まった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

月島が影山からトスを受け取り、スパイクを決める。

「お前のトス精密すぎて気持ち悪っ」

「ア"ァ"!?」

月島の言葉に、ぐりんっと首をまわす。

(言い方はアレだけど月島の言う事、少し分かるな…)

「てめーだけメガネ狙ってやろーか、あ!?」

「やってみなよ、また体育館出禁になるから」

(試合で影山のトス打つのは今日が初だけど、“ここに来ればいいな”って思ったところに“既に在る”感じなんだよな…球(ボール)が)

「バレない様にやってやんよ」

「できるワケないじゃん。バカなの?」

(全く、末恐ろしい…。…けど)

「試合中だしそこまでにしようか」

言い合いを続ける月島と影山の肩を、それはそれは恐ろしい笑顔で掴む澤村。ピタリと言い争いは止まった。

しかし、次は月島と影山がブロックだ。威圧的なオーラが醸し出されている。

「君はブロックも得意なんだっけ?でも、あんまり出しゃばんないでね」

「てめーこそ、フっ飛ばされんじゃねぇぞ」

ニヤニヤしながら影山を煽る月島を、影山が目付きの悪い目で睨みつける。

「敵はネットの向こうだっつーの!!おい、来るぞ!!」

腕で押し合いをする二人を、田中が怒鳴りつける。しかし、やはりと言ったところか、お互い高く跳んでばっちりスパイクを防ぐ。

「おしっ!」

「ちょっと。今止めたの僕なんだけど」

「あ"!?俺の手にも当たった!!」

「お前らいい加減にしろ!」

(どっちもザマァ。怒られてやんの)

またケンカを始めた月島と影山を怒鳴る澤村。そんな二人を見てプスプスと笑う日向。

「何ニヤニヤしてる!!」

「影山!!ヤメロ!!」

ニヤニヤしている日向に気が付いた影山が、胸ぐらを掴むと澤村がまた影山を怒る。

鳥野は、セットポイントだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「澤村さんって…なんか鳥野のお父さんみたいですね」

「俺もそう思うべ。そしたら影山は末の妹っぽいな」

「ツッキーは以外と次男かもしれませんね」

「試合の話しようよ!!」

「「あ」」

24:お香しゃちょー◆kk:2017/11/19(日) 07:52 ID:KMA

1セット目は取られたけど、2セット目はこっちが取った。

「…青城に…影山みたいなサーブ打つ奴いなくて助かったな…」

「…ああ…ウチはお世辞にもレシーブ言いとは言えないからな…」

菅原さんと澤村さんがそう言う隣で、日向と田中さんが勝利!!と叫んでいる。でも、

「油断だめです」

俺は知っている。

「多分…ですけど…向こうのセッター、正セッターじゃないです」

「「えっ?」」

正セッターの、あの人の、怖さが

第3セットが開始した。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

『及川さ〜〜〜ん!!』

いきなり、見に来ていた女子たちが騒ぎ出した

やっぱり、及川さんだ

「及川さん無理しないでくださ〜い!」

「影山さんあの優男誰ですかボクとても不愉快です」

女子たちに微笑みかけるだけできゃーきゃーと騒がれる及川さんに、敵意むき出しにする田中さん

「…“及川さん”…超攻撃的セッターで攻撃もチームメイトでトップクラスだと思います…」

(影山がここまで言う選手…)

「あと凄く性格が…悪い…」

「お前が言うほどに!?」

「月島以上かも」

「それはひどいな!」

そして、俺に傷痕を残した人

無意識に胸下を握ってしまう。それを月島に見られていたことは、知らない。

「お前の知り合いってことは、北川第一の奴かよ?」

「…ハイ。中学での先輩です」

すると、こっちに気付いたのか及川さんが俺たちにネットの向こう側から話しかけて来た

「やっほー、トビオちゃん久しぶり〜。育ったね〜」

「俺…サーブとブロックはあの人見て覚えました」

「元気に女王様やってる〜〜?」

「実力は相当です」

及川さんに岩泉さん、国見、金田一が少し近付く。

「まだ傷痕残ってるよね〜?だって、俺が付けたんだもん」

ビクッ

「ッ、」

身体が反応してしまった。無意識に傷痕のところを握ってしまう。

「今回トビオちゃんを指名したの、俺だよ」

恐怖で身体をカチコチにしていると、潔子さんが近付いて来た。

「飛緒ちゃん」

そして、頭に手が置かれる。

「大丈夫。安心して、みんながいる。」

「!!っ、はい!」

何かを悟られたのだろうか。潔子さんに励まされた。

大丈夫、俺は前みたいに弱くない。俺にはみんながいる。

「…よし、今は試合に集中しましょう。最終セット、絶対に獲りますよ」

『おう!!』

「田中さん威嚇やめて!!」

最終セットの、幕開けだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「身長は伸びたけど、胸は相変わらずだねゴフッ」

「殴りますよ」

「もう殴ってますけど…岩ちゃぁん」

「寄るなクソ川きもちわりぃ」

「そんなぁー!!」

25:お香しゃちょー◆kk:2017/11/19(日) 23:29 ID:KMA

鳥野:24 青葉城西:20

3セット目は、及川さんがウォーミングアップをしている間はうちが攻めていた。

「アララ〜、ピンチじゃないですか」

「………アップは?」

「バッチリです!」

だけど、及川さんがコートに立ってしまった。あの人は、きっとピンチサーバーだ

「いくら攻撃力が高くてもさ…
その“攻撃”まで繋げなきゃ意味ないんだよ?」

及川さんは月島を指差す。

及川さんが打ったボールは、ものすごい勢いで月島の方へ行く。さっき指差したのは、あの人の“宣言”だ

「うっ!」

月島の腕に当たったボールは、試合を見ている人たちの方へ飛んで行った

「…うん、やっぱり。途中見てたけど…6番(月島)の君と5番(日向)の君、レシーブ苦手でしょ?」

俺以上の威力とコントロール力

これが青城の主将…!!

「…じゃあ…もう一本ね」

あのサーブがまた、月島の方へ飛んで行く。

あと一点で、同点だ。

「おい!コラ!大王様!俺も狙えっ!取ってやるっ!!狙えよっ!!」

「みっともないから喚くなよ!」

「なんだとっ!?」

月島ばかり狙われるからか、喚き出した日向。及川さんは、大王様という呼び方にピンと来ていないようだ

「バレーボールはなあ!ネットの“こっちっ側”にいる全員!!もれなく「味方」なんだぞ!!」

手を広げて月島に力強く言う日向。…つーかお前それ、さっき田中さんが言ってたやつじゃねぇか。田中さんも嬉しそうだし

「…よし、全体的に後ろに下がれ。月島は少しサイドラインに寄れ」

「ハイ」

「…よし、来い!!」

レシーブが得意な澤村さんが守備範囲を広げた。でも、それだけではあの人は止まらないだろう

ーーーーーーーーーーーーーーーー

端っこにいる月島にピンポイントでサーブを及川さんが打つ。だけどコントロール重視の分、威力はさっきよりも弱い!!

「っ!!」

月島が踏ん張ったおかげで、ボールが上がった

「おっ、取ったね。えら〜い。ちょっと取り易すすぎたかな?でも、こっちのチャンスボールなんだよね」

「くそっ…!」

「ホラ、おいしいおいしいチャンスだボールだ。きっちり決めろよ」

及川さんのレシーブで、ボールはセッターに渡り、金田一がスパイクを打つため走り出す

うちのブロックは日向、澤村さん、縁下さんだ。俺も月島も田中さんも後衛…ブロックに一番高さがないローテーションだ

ボールが金田一に渡った。ブロックを振り切った金田一が飛ぶと、もうすでに手は目の前にあった。

日向だ

日向の手に当たったボールは、こっち側に落ちて来た。


そして、一瞬で日向は走り出す。

ボールが俺の元へ来る。

“一歩” “一瞬”…

ほんの少しでも遅れれば、もう日向(コイツ)に追いつけない

追いつけるのは、

ボールだけだ!!


日向の手に吸い込まれるように渡ったトスは、思い切り地面に叩きつけられた。

セットカウント 2−1

勝者ーーーー

鳥野高校

俺たちは整列をした。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「岩ちゃん!飛緒の胸が…胸が…!AからギリギリBに成長してたクブォッ!!」

「何言ってんだクソ川!!影山泣きかけてるじゃねぇか!!」

「日向も顔赤くしてんじゃねえ!!日向ボゲェ!!」

「理不尽っ!!」

26:お香しゃちょー◆kk:2017/11/20(月) 01:08 ID:KMA

急いで武田先生たちがいるところへ走る。

『お願いしアース!!』

「えーと…僕はまだバレーボールに関して素人だけど…
なにか、なにか凄いことが起こってるんだってことは、分かったよ。」

「「??」」

「…新年度になって…凄い1年生が入ってきて…でも一筋縄ではいかなくて…。」

武田先生の話は難しくて、よく分からない。

「バラバラだったらなんてことない一人と、一人が出会うことで、化学変化を起こす。」

でも、俺と日向のことを話してるってゆーのは分かった。

つーかバレーしたいな…これでコート立つの、本当に終わりだな。よしっ!マネージャーもやってやる!!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「金田一!国見!」

「「影山!」」

先生の話のあと、俺は金田一と国見の元へ向かった。国見が俺に抱き付いてくる

「久しぶり、影山」

「…お、おう」

耳元で囁かれた国見の低い声になぜか恥ずかしくなってしまった。金田一が国見をひっぺがして、俺の頭に手を置いた

「やっぱりバレー、続けたんだな」

「…おう」

「バレーやってるお前の顔、すっげー光ってたぜ!」

そうだ、こいつらには言ってないんだった…俺がバレー部のマネージャーやってるって…

「まぁでも、俺が試合出るのは今回だけだけどな。本当はマネージャーで、及川さんが指名したから仕方なく正セッターの先輩と変わっただけだ」

「え、お前知らないの?」

「なにをだよ」

国見の問いかけに、首をかしげる。

「まじかよ…俺たち、このこと知ってるからお前が試合出るの受けたのかと…」

金田一も呆れたように言う。俺はなんのことだか全く分からない。

「今年から、バレーの実力がある人は女子でも男子と公式戦で戦えるんだ。」

「…は?」

「だから、影山の強さなら今の仲間(チーム)と公式戦でも戦えるってこと。」

金田一の説明が理解できずに困っていると、国見が簡単に説明してくれた。信じられない、と言った顔をしているだろう俺は、何も言うことができなかった。

「フンフ〜ン!べんべんじょ!べーん!べんじょ!べーん!俺はっ!だぁれ〜、エースッになる男〜〜〜!!……あ"っ!!」

すると、日向が俺たちの方にマヌケな歌を歌いながらスキップで来た。修羅場、とか考えたのであろう日向は、すぐに物陰に隠れた。

「…………金田一、国見」

「「……」」

「次戦う時も、勝つのは俺達だ」

ニヤニヤと笑ってしまう。次ももしかしたら、みんなと戦えるかもしれない…!!

金田一と国見を見ると、嬉しそうに笑っていた

「じゃあな!またLINEくれ!!」

「おう!がんばれよ!!」

「またね、影山」

金田一と国見と別れると、日向が寄って来た

「泣いた?」

「泣くかバカ!早く便所行けよ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「……影山(あいつ)、“俺達”って言ったな。」

「いつも“俺は” “俺が”って、一人で戦ってるみたいな言い方してたくせにな」

「…くそ、なんか悔しいな」

「……」

「あだっ!?なんだよ!!」

27:お香しゃちょー◆kk:2017/11/20(月) 05:13 ID:KMA

なんか適当にこの小説の細かい設定(笑)飛ばしてもいいよ。私の確認用だから。これからもまとめたい時は書く



・トビオちゃん受け
・トビオちゃんはギリギリBのバストサイズ
・すごく気にしてて、国見や及川に絶壁とか言われてる
・サラサラストレートショートだけど、伸ばして欲しい
・鈍い、アホの子、俺っ子、中身原作トビオちゃん
・日向、国見に甘い
・両親は県外へ仕事に行っていて、実質一人暮らし
・家事はなんとかできる
・近所のおばちゃんにおすそわけをよく頂く
・170センチぐらい
・及川さんが過去に色々あって怖い
・胸の下に傷がある
・最近の悩みは、豆乳を飲んでも胸が大きくならないこと




・日向はラッキースケベ体質(書きたい)
・国見は好きだから主にバストでいじめちゃう(ツッキーか)
・金田一は別にトビオちゃんは恋愛対象として見てない
・岩泉さん、月島は気になる程度
・潔子さんはトビオをすごく可愛がってる
・スガさんはすごくトビオが可愛いけど、恋かはまだ分からない




トビオを恋愛対象として見てる人
・日向
・スガさん
・ツッキー(?)
・国見
・岩泉(?)
・なんか色々増えるよ




この世界は、ちゃんとした実力があれば男子と一緒に公式戦でも戦える。プロではさすがに無理だけど




















・及川さんは謎ポジ
・爽やかで行くか、ヤンデレで行くか
・ヤンデレからの爽やかか
・一回トビオを襲ってしまえばいい

28:お香しゃちょー◆kk:2017/11/21(火) 00:24 ID:KMA

俺には、少し…だいぶ変わってる友達が二人いる。もちろん、先輩もすごく変だ

一人は“コート上の女王様”。名前は影山飛緒。こいつは、男みたいな口調で、男みたいな性格のくせに、自分の絶壁級の胸を気にしてるという可愛い一面もある

もう一人はらっきょみたいならっきょ。名前は金田一勇太郎。背が高いというより、長い。そして、影山とは小学生の頃から友達だったと言う。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

中一の時、俺と影山と金田一はバレー部に入った。中一だけは男女混合でやるから、同じクラスだった影山と金田一とはよく一緒にいた

「国見ー!お前顔死んでるぞ!生きてるか?」

「失礼な。バッチリ生きてるよ」

「ちゃんと食ってんのか?もやしみてぇ」

「黙れらっきょ」

「らっきょ!?」

俺と影山と金田一もあまり身長は変わらなかった。

だけど影山は、今と比べて髪の毛がもっと長かった。たぶん、腰まであったんじゃないか

「及川さん!サーブ教えてください!!」

「やーだね!べえ〜っ!!」

「一年に絡むなクソ川ボゲェ!!」

当時、三年生で主将だった及川さんと、副主将の岩泉さんとは影山経由で絡むことが多かった

でも、事件は起きた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「「「影山!!!」」」

体育館の扉を開けると、影山を押し倒している及川さんがいた。

「クソ川テメェ!!」

岩泉さんが及川さんを殴った隙に、金田一と影山を助け出す。

「影山!大丈夫か!?」

「っ、ぅん…!」

影山は下着姿で、胸の下辺りから血が流れていた。かなり大きい傷だ

「とりあえず、手当しないと!!」

急いで保健室へ向かった。しかし、保健室の先生はいなかった。待っている間も影山の血は止まらない

「ッ影山、痛いよ!!」

仕方ない、と俺は影山の止血をする。ガーゼで傷を抑えていると、影山は声にならない叫びを上げた。

「っ、ーーーッ!、ッ」

ドクドクと流れる影山の血が少し収まった。俺は急いで金田一が探し出した包帯を巻く

「大丈夫?影山」

「っ、く、」

涙を流す影山に、ゆっくりと声をかける。

「くに、みぃ…き、だいち…」

「もう、大丈夫だから。何も恐くない。ここにはお前と俺と金田一しかいない。」

そう言ってやると、影山はこくんと頷いた。そして、さっきよりも激しく泣き出した。

俺はそっと、影山を抱きしめる。

いつもバレーの技術に目が行って気付かなかったけれど、細い腕に細い腰、遅い脚。

影山の身体って、力を入れたら崩れそうだな

ーーーーーーーーーーーーーーーー

それからだろうか。俺が影山を“女”として見始めたのは。

中3の夏頃、俺と影山は同じクラスになった。あの出来事以降、なぜか影山は俺に甘い気がする

「…影山」

「あ?」

彼女の髪はあの時と同じ、腰まで伸びていてキレイに整えられていた。

「髪、切ったりしないの?」

「…国見が切って欲しいなら、切ってやるよ」

「……じゃあ、ーーー」

次の日、影山の髪の毛は肩まで切られていた。

あの髪を見るたび、あの出来事を、影山の血を、及川さんを思い出してしまう。

「そっちの方が似合ってる」

「マジかよ。じゃあ俺、もう髪伸ばさねぇ!」

ニコニコと無意識に笑う彼女を抱き締めた。

「…カタイ」

「じゃあ離れろやコラ」

「…それはイヤだ」

そして、あの事件が起きてしまった。

女子とはつくづく面倒くさい。

安心して、影山。

俺はずっと、お前の味方だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「髪切ったら絶壁だから男に見えるな。付いてんのか?」

「付いてねぇよ!!」

「セクハラだよ、らっきょ」

「毎日人の胸のことばっか言ってるテメェにだけは誰も言われたくねぇだろうな」

29:お香しゃちょー◆kk:2017/11/21(火) 21:48 ID:KMA

【トビオちゃんの過去勝手に考えてます】

俺には、少し…だいぶ変わってる友達が二人いる。もちろん、先輩もすごく変だ

一人は“コート上の女王様”。名前は影山飛緒。こいつは、小学生の頃からの友達で、恥ずかしながら俺の初恋の相手だ。

もう一人は無気力野郎。名前は国見英。中1の頃に俺と影山と国見で同じクラスになってから、友達になった。あと部活が一緒だったな

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「金田一!バレーしようぜ!!」

「影山!お前居残りしろ!!授業中寝んな!」

「ゲェッ、先生だ!行くぞ金田一!!」

2年生からバレーをやっていた影山に、運動が得意だった俺が付き合うのはよくあることだった

後ろで怒鳴る先生を無視して俺の腕を掴んで廊下を走る影山に、何度隣に立ちたいと思っただろうか。

「影山ってバレーしてる時が1番いい顔してるよな!」

「はあ?何言ってんだコラ。」

「もっと女らしさがあればなぁ…」

「男がメソメソしてんじゃねぇよ」

それは中学に入っても同じだった。影山に誘われて入ったバレー部で、同じクラスの国見と仲良くなった。

影山はいつも天才扱いされていて、及川さんと衝突(一方的に及川さんが影山に突っかかてるだけ)することも多かった。

でも、事件は起きた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「「「影山!!!」」」

体育館の扉を開けると、影山を押し倒している及川さんがいた。

「クソ川テメェ!!」

岩泉さんが及川さんを殴った隙に、俺と国見で影山を助け出す。

「影山!大丈夫か!?」

「っ、ぅん…!」

影山は下着姿で、胸の下辺りから血が流れていた。何か鋭いもので刺されたあとのようだった

「とりあえず、手当しないと!!」

急いで保健室へ向かった。しかし、保健室の先生はいなかった。待っている間も影山の血は止まらない

「ッ影山、痛いよ!!」

すると国見が影山の止血をする。ガーゼで傷を抑えられると、影山は声にならない叫びを上げた。俺は慌てて包帯を探す

「っ、ーーーッ!、ッ」

ドクドクと流れる影山の血が少し収まった。国見が急いで俺が探し出した包帯を巻く

「大丈夫?影山」

「っ、く、」

涙を流す影山に、国見ゆっくりと声をかける。

「くに、みぃ…き、だいち…」

「もう、大丈夫だから。何も恐くない。ここにはお前と俺と金田一しかいない。」

影山はこくんと頷いた。そして、さっきよりも激しく泣き出した。

国見はそっと、影山を抱きしめた。

小学生の頃から知ってる細い腕に細い腰、細い脚。

この細くて小さな身体を、俺は守りたい

そう思いながら影山の頭に手を置いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

それからだろうか。国見が影山を“女”として見始めたのは。 だけど俺にとっては、妹みたいな存在に変わっていた

中2の春、影山のお父さんとお母さんが離婚した

「ごめんね飛緒。父さんと母さんは離れちゃうけど、あなたとは心が繋がってるから」

「愛してる、それだけは分かっていてくれ」

影山のお父さんの実家が大きい会社を経営していて、一般人であった影山の母親を親戚の一部が追い出したらしい。

「飛緒、今日からまた茨城を出なきゃいけなくなった。留守番頼む」

「……分かった」

頼りになる父親は県外へ出張。そういった環境の中で生活する影山の性格が、どんどんキツくなっていった

あの豪邸のような家に、影山は1人だった。

「飛緒。影山はいつも上に立たなきゃダメだ。常に勝利を掴み取れ」

「勝利?」

「お前は影山の家の娘だよ。勝てない者はいらないんだ。」

親戚にそう言われて育った影山は、勝利を求めるようになった。

自分の勝利のために不必要な駒は、ポイ

それでも、俺と国見が影山から離れることはなかった。でも、何もできなかった
ーーーーーーーーーーーーーーーー

「なんでお前がそんなに影山の家のこと知ってんの?」

「いや影山から全部聞いたし…」

「はあ!?俺知らなかったんだけど!あ、影山!」

(…悪ぃ影山)

30:凛茉◆Kc:2017/11/21(火) 22:44 ID:Beo

>>22
マネージャーの子は皆好き!!
美人で可愛い子多し!!

了解しやしたー!!
じゃあ、出来れば国影要素を増やして欲しいっす!!あ、かきくトリオでもいいからね!!

31:凛茉◆Kc:2017/11/21(火) 22:45 ID:Beo

後、時間があったらイメ画描いていいかな?

32:お香しゃちょー◆kk:2017/11/22(水) 00:48 ID:KMA

>>30
マネージャーかわいいよね!!ってか冴子姐さんがマネージャーやったらとかたまに考えたら、絶対そこのチームは男前なんだろうな…とか考えちまう(笑)

OK!任せてくれ!!国影ちゃんとかきくは私も好きだぜっ!

>>31
むしろ描いてくれるの!?すっごく嬉しい!私の絵、呪いの絵ってみんなに言われるくらいヤバイから(笑)
楽しみにしとくねー!

33:お香しゃちょー◆kk:2017/11/22(水) 23:32 ID:KMA

【中学時代の国影!!(一応本編にも関係あり)】


北川第一高校女子バレー部が、県大会決勝戦で敗北したという。

(影山がいるのに…負けた…?)

俺はそのことが信じられなかった。俺たち男子と同じレベル…それ以上の実力を持っている影山が負けるとは思えない

「金田一、なんか変じゃない?」

「何がだよ。影山のめちゃくちゃなトスに女バレがついて行けなかった、それだけだろ」

表向きはそうかもしれない。くそっ、ちゃんと試合を見に行っておけば…

廊下側の窓にもたれて金田一と話していた俺は、女バレの部員だと思われる二人組の会話が聞こえた。

「影山さんって本当に空気読めないよねー」

「ずーっと及川先輩ベタベタだったくせに、卒業した途端に国見くんでしょ?」

「マジ男好きじゃね?」

「キャハハ!アバズレー!」

へえ…何も知らない女子から見たら、影山が及川さんと俺とベタベタしてるように見えていたのか。つーか金田一は?

「でもあの試合でスッとしたよねー」

「たしかに。見た?あの影山さんのマヌケ顔」

“あの試合”…?

「お、おい国見!?」

気付いたら俺は、その二人組に声をかけていた。二人組は少し頬を赤らめ、嬉しそうだった

「ねえ、その影山の試合の話、もっと聞かせてよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「“女王様”」

「ッッ!!」

「って呼ばれてるんだっけ?」

部活が終わったあと、一人で居残り練習をする影山に“女王様”と声をかけると、ギロリと睨まらた

『だってあんなトス…私たちには無理なのに無理矢理打たせようとして…』

『だからあの試合で、ねぇ?』

あの二人組の会話が頭に浮かんで来た。そして、素直な疑問を影山にぶつける。

「ねえ、トス無視されるって、どんな気分?」

「…んで」

バチィン

俺の横を通過する、影山が投げた高速のボール

「なんでそんなこと聞くんだよっ!!お前には関係ねぇだろ!!大体そんなん…怖いに決まってんだろ国見ボゲェ…」

ポロポロと影山の目から涙が出てくる。

「ごめん影山。泣かせたいわけじゃなかったんだ。」

やっと、弱音を吐いてくれた。

『ねえ、それって理由本当にバレーだけ?』

『『え?』』

『及川さんとか、俺とか関係してないって言える?』

『そ、それは…』

『……』

『女子ってさあ、つくづく面倒でウザいよね』

この時、俺は笑っていたらしい。純粋にとかじゃなくて、まるで相手を追い込むように。

「影山、俺はお前のトス打ちたいと思うよ」

「……」

「お前が、スパイカーに見せたかった景色をいつか俺に見せてよ。」

俺は影山の顔を優しく肩に押し付けた。

「待ってるから。」

トスが上がる、その日まで。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「日向翔陽!!」

「うひぃっ!…ってお前、影山の元友達!」

「元じゃなくて、友達だから。むしろ親友ポジションだと思うね」

「で、なっなんの用だよコラァ」

「なんでビクビクしてんの?…お前、影山のトス打ってたよな。」

「!!おう!」

「お前は幸せだな。影山のトスのおかげで、頂(てっぺん)の景色が見える。」

俺がそう言うと、日向翔陽は真剣な表情で俺に言い返して来た。

「頂の景色は、影山が見せてるんじゃない!俺が影山に見せるんだ!!」

「……は?」

「約束したんだからな!俺が影山に初めてトス上げてもらう時、絶対に頂の景色を見せるって!」

今はまだ見せれてないけど…と日向翔陽がゴニョゴニョと言っているが、俺はそれよりも日向翔陽の“俺が影山に見せる”という言葉が引っかかった。

(俺は影山に見せてもらおうとした…お前から俺に打つのを待ってるって…でもコイツは…)

チラリと日向翔陽に目を向ける。

(自分から影山の世界に入って、壊して、トスも上げてもらった。…それを俺がーーー…)

「日向翔陽、呼び止めてごめん。もういいよ、ありがとう」

「??お、おう!」

影山、良かったな。

いい相棒が見つかって。

(ま、譲る気はないけど)

34:凛茉◆Kc:2017/11/23(木) 21:16 ID:Beo

>>32
の、呪いの絵!?
マジかwww

あ、でも私も絵上手くないからね!?
でも、この小説めっちゃ面白いからイメ画描きたい!!

35:お香しゃちょー◆kk:2017/11/23(木) 23:29 ID:KMA

>>34
マジだよ。それで職業体験で幼稚園行って鳥さん書いたら園児にブーイング受けたもんw

大丈夫!私よりうまいから!!
そんなこと言われると照れちまうだろ!!

36:お香しゃちょー◆kk:2017/11/24(金) 03:48 ID:KMA

俺たちが帰ろうと校門へ向かうと、及川さんがいた。

「小っちゃい君、最後のワンタッチと移動攻撃すごかったね!」

「え"っ!あっえっ、エヘヘ」

及川さんに褒められるとは思っていなかった日向が褒められて、嬉しそうにする。

「今日は最後の数点しか戦えなかったけど…次は最初から全開でやろうね。
あ、そうそう。サーブも磨いておくからね。」

今回の試合は、この人が最後の少ししか出なかったから勝てたようなもんだ。

「君らの攻撃は確かに凄かったけど、全ての始まりのレシーブがグズグズじゃあ、すぐ限界が来るんじゃない?」

この人に全開で来られたら、今の俺たちじゃひとたまりもないだろう。

「強烈なサーブ打ってくるやつは俺だけじゃないしね。インハイ予選はもうすぐだ。ちゃんと生き残ってよ?これはこのーー…」

及川さんが俺に近付いて、ビシッと指差した。

「クソ可愛い後輩を、公式戦で同じセッターとして正々堂々、叩き潰したいんだからサ」

クソ可愛い後輩?なに言ってんだこの人は。可愛がってくれたことなんか、一回もないくせに

すると及川さんは、さらに近付いて俺の耳元でささやいた。

「もう精神面では潰してるけど」

「ッ!!」

低くて、冷たい声。あの時と同じ…

「〜〜〜〜ッレッ、レシーブなら練習する!」

「おい放せ!」

日向が及川さんに向かって、反抗した。月島もジャージを掴まれて、巻き込まれている。

「レシーブは一朝一夕で上達するモンじゃないよ」

日向のおかげで、及川さんとの距離が空いた。

「主将君は分かってると思うけどね」

そう言いながら、及川さんは去って行った。澤村さんは、及川さんの言葉になにも言い返さなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

あの人が去ってから感じる、悪寒。俺はブルっと身震いをした。

「……飛緒ちゃん」

「ッス!!」

突然、潔子さんに声をかけられてビクッと驚きながら返事をする。

「傷痕のこと、教えて。」

「ッ、い、いやです」

どこで気付かれたのだろう。あ、金田一と話した時か。

チラッとみんなの方を見ると、みんなも知りたそうにして見ていた。

「話せるところだけでいいから、な?」

澤村さんにそう言われて、俺は自分の服に手をかけた。

「…絶対に…後悔しますよ…」

そして、バッと胸が見えないあたりまで服を捲り上げる。

『ッ!!?』

するとみんなは何故か顔を赤らめた。唯一赤くなっていない潔子さんが俺に近付く。

「傷痕って…これ?」

「…そう、っス」

ちょうど胸の下に残った、大きな傷痕。潔子さんはそれにゆっくりと触れた。

「っ、」

(この気持ち悪い傷痕に、この人はどう反応するんだろう。泣く?逃げる?叫ぶ?…どれも嫌だな…)

いたの間にか、顔を赤くしていたみんなも俺の傷痕をまじまじと見る。

「あの、「影山」

声を出そうとすると、菅原さんにさえぎられた。低い声で、ビクッと身体が揺れる。

「話したくないことは分かった。まず、こんな傷痕見ても影山を嫌いにはなんないべ!」

「え?」

思わず菅原さんの方を見る。菅原さんに続いて、みんなも俺に言葉をかける。

「その傷痕かっけーな!!」

「なんか歴戦の勇者みてぇ!」

「別に気にしないし…」

「うんうん!」

「離れたり、しないから」

最後の潔子さん言葉でついに、俺の涙は溢れ出した。泣きじゃくる俺を潔子さんが、優しく抱きしめてくれる。

日向、田中さん、月島、山口、潔子さんを見守るように一歩下がる先輩達。

「影山、俺達は傷痕だけで離れたりしないよ。話はお前が話したくなったら話せばいい。」

澤村さんのその言葉に、俺の涙は一気に大粒となった。

37:お香しゃちょー◆kk:2017/11/24(金) 16:47 ID:KMA

いつも、独りだった。

「なんで…なんで母さんと父さんを離したんですか。」

この人のせいで。

「おばあ様」

影山家の当主である、俺のばーちゃん。俺たちの両親を離婚に追い込んだ張本人だ。

自分の家族たちを道具としか思っていない節があって、影山家の血筋とプライドのためなら手段を選ばない冷酷で傲慢なババア

「あなたはまだ子供だから知らなくていいのよ。一つ知っておくならば…」

でかいソファに偉そうに座り込んでいるこのババアは、俺を冷たい目で見つめた。

「影山の家に相応しい相手と結婚しなさい。」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「そろそろ戻ってくるはずなんだ。」

「あっ!」

「何がっスか?」

澤村さんの言葉に、日向と田中さん反応する。田中さんは嬉しそうだった。

「烏野の“守護神”」

「しゅ…守護神!?」

守護神…どっかで…

「なんだ、他にも部員いるんですか!」

そう菅原さんに声をかけると、菅原さんは少し哀しそうに微笑んだ。

「………うん。いるよ。」

その顔の意味が理解できなくて、俺は首をかしげる。

「うお〜い!遅くなると教頭先生に怒られるから早く帰るよ〜!!」

どうしたんですか、と菅原さんに聞こうとすると武田先生の声にさえぎられた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

帰り道、田中さんと日向と並んで歩く。

「そういえば影山ってなんで鳥野にいるんだっけ?」

天才セッターなのに、と言う田中さんの顔はマヌケヅラだ。

「県内一の強豪っつったらやっぱ白鳥沢だろ」

「しらとり?」

「白鳥沢学園っつう県ではダントツ、全国でも必ずトップ8に食い込む強豪校があんだよ」

「ほーーっ!」

日向の奴…小さな巨人は知ってるくせに白鳥沢は知らねーのかよ。

「…落ちました。白鳥沢。」

「落ちた!?」

俺の言葉に、意外そうに驚く田中さん。そんなに驚くことか?

「白鳥沢から推薦来なかったし…つーか日向と会うまで高校でバレーはしないつもりだったんで。まぁ一応、一般で受けて落ちたんです。試験が意味不明でした。」

すると月島と山口に笑われて、俺が月島に突っかかっていると日向がキラキラした目で俺に聞いてきた。

「で、なんで鳥野!?まさかお前も“小さな巨人”に憧れて!?」

「…引退した“烏養監督”が戻った来るって聞いたから」

烏養監督を知らない日向に、田中さんが誇らしげに説明する。一度でいいから会って握手がしたかったんだ俺は!!

「ま、倒れて入院したらしいけどな。」

俺があと一年早く生まれていたら、バレーやってて烏養監督の指導も、握手もできていたかもしれねぇのに!!

「まぁ、俺たちにはまだ、いろいろ足りてなくて今日の試合もギリギリだった。」

澤村さんの言葉に、みんなが反応する。


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