初めて小説書きます!薫(かおる)です。
地道に更新していきます!
文章もかなりゴタゴタで読みにくいと思いますが、よろしくお願いします!
また、読んだ感想、アドバイスもお願いします!辛口OKです(荒らしは止めてください)
それでは、『解決事務所 パワフル☆ピース』(略して解フル☆)はじまります!
4.無かったことにはさせない
それからも考えていたルートを走ったけれど、わたしはどこか上の空だった。
まだ明るい時間帯だったので、その足で事務所へ向かう。
ミオウは……「平気そうな顔」をした。
あのことが、無かったかのように。
そんな顔をさせてしまうほど、わたしは、信頼も信用もされていなかった……?
その事実が悲しくて、悔しくて。
認めたくなくて、受け入れたくなくて……。
苦しかった。
ギュッと潰れそうな胸をギュッと押さえて、プラタナスの木の幹にキービー玉をセット。
「こんにちは…」
つい、声が小さくなってしまう。
「こんにちは、トウナ。元気ないわね」
ララさんの目が、鋭くなった。
やっぱり、気付かれてしまう。
わたしが、信頼も信用もされていなかったということに……。
「ララさ…」
「何があったの」
「え…」
急に強い口調で、わたしの言葉を遮って。
ララさんは言った。
「ミオウは、どんな態度だったの?」
「えっと…」
いつになく厳しいララさんに戸惑いつつ、わたしは覚えている限り正確に、語彙力の乏しい頭をフル回転させて……ミオウの様子を伝えた。
「だからわたし、信頼も信用もされていなかったんだなって……」
そこまで一気に話し、下唇を噛んだ。
そこで口を開いたのは、ソウマ。
「お前は、信用も信頼もされてるぞ」
え………。なら、何で……。
「ええ。これは、ミオウ自身の問題ね。トウナがどう思われているかは、関係ない」
それって……。
「無かったことにはさせないわよ」
5.ミオウと話そう!
家に帰って、ひたすら考えて。
ミオウに連絡しようって決めた。
今までは、そっとしておこうと思って連絡は一切していなかったけど……。
勉強の邪魔かもしれない。
でも、そこは許してもらう!
そして、スマホに電話してみるものの…ミオウは徹底していた。
スマホの電源が切ってある。
勉強に集中するためか、それとも……逃げているのか。
電話しても、繋がらないのだ。
家の固定電話に電話しても良いかもだけど…それはやめておいた。
ミオウの迷惑になるのではないかと思うと、どうしても………。
ララさん達に相談しようかな。
そんな考えが頭に浮かんで…首をブンブンと横に振った。
これは自分で決断しよう!
ということで…電源を入れたら見てもらえるように、今日はメールだけを入れておいた。
6.季節外れの転校生
1時間目から体育。しかも持久走。
そのためテンションMAX!
のわたしは、体操服姿で立ったり座ったりを繰り返していた。
もうひとつ、楽しみなことがある。
それは……転校生が来ること!
「おはようございま〜す!」
松茸先生だ!
ウキウキしながら、
「先生っ!転校生は…」
と手を挙げて立ち上がりつつ言うと、
「あ、今から迎えに行くの〜。ちょっと待ってね」
ズコッ。先生が来たから、廊下で待ってたりするのかなぁ、って思って。
物語でよくある、廊下で待ってて、入ってきて、黒板にチョークで名前を書いて……っていうのは見たことない。
せっかく転校生が来たんだもん。
やってほしいなぁ、なんて思ってる。
すると……
「みんな改めておはよう〜!転校生の長田くんです」
と、松茸先生が再び入ってきた。
……転校生が廊下で待っていることはないらしい。
後ろから男子が入ってきた。
「自己紹介、よろしく」
そしてこちらを向いた男子は……
うーん……。
軽そう。チャラい雰囲気がする。そんで、冷たそう。
これが、パッと見の第一印象。
でも、それなりに整った顔立ちで、背は中くらい。
大地が爽やかイケメンだとしたら、少し冷たい感じのする、クールなイケメンだ。
……そしてチャラそう。
「長田隼人。(おさだ はやと)関東から越して来た。よろしく」
………やっぱり冷たそうでチャラそうだ。
「はい、ありがとう。では転校生も来たので、席替えしようと思います。今回はくじにするけど、ちゃんと出来なかったら先生が決めるからね〜」
おっ、席替え!
誰の隣になるのかな〜!!
隼人の隣だったりして、もしかしてのもしかするとだけど…
276:薫+*Mio+*◆xs alternative drive=代替駆動:2018/04/02(月) 20:24 >>275
そこは、お約束的にね……。
言わないでいてくれると助かる
7.席替え!
みんながくじを引いて、机を移動させて……。
全員が黒板の見える席になるように、微調整。
わたしは……1番前のど真ん中になってしまいましたっ‼
チビだから、後ろの方だと黒板が見えないから、まあいいんだけど。
1番前だと集中できるしね!
モナミやユイカとも離れちゃったよ〜
………とは、あんまり思わない。
離れたのは事実だけど…そこまでベッタリじゃないんだよね。
そして、わたしの隣は……!
まさかの転校生、長田隼人くん!
なんだろう、この緊張感。
一応、
「よ、よろしく…」
と挨拶をしてみたものの!
切れ長の冷たい目で、ジロジロ見てくるばかり。
話しづらい……
「ええっと!わたし、トウナ。うるさくてバカで、えっと…あ、チア得意!習ってるの。そんでね、えと…」
何か話題はないものかと、自己紹介してみた。
なにか!なにか話題プリーズ!
わたしがあわあわしていると、隼人くんは、ニヤッと笑って衝撃の一言。
「トウナ。お前、気に入った」
こんな人よくいるよね、面白いから気に入ったって言う人。
ギャップとかあるの隼人って?
>>278
隼人ねえ…どうかな?
面白いから気に入ったのか……?
アハハ、そのうち分かるよ!
ところで(関係なくてゴメンだけど)アーヤって何年生?(許可なく呼び捨てしてゴメン)
えっ、と……。
気に入った、というのは……?
ものすごくリアクションに困る。
「え、あ、あっと、えっと、ありがとう。よ、よろしく…」
なんだかとっつきにくい人だ。
でも、仲良くなれたら良いな!
隼人ってSとか入ってるの?
隼人の性格が気になってます
>>281
う〜ん…どうかな?
私も良く分からない←
8.突っ掛かるのは何のため?
そしてそして、給食の時間。
班ごとに机を合わせて食べるので、当然隼人くんも一緒。
「いただきま〜す」
みんなで挨拶をして、食べ始める。
ちなみに、今のわたしたち3班のメンバーは…
わたし、隼人くん、未乃莉ちゃん、李奈ちゃん、大星。
まあ、名前だけ言っても分からないよね。
とにかく、この5人が今の班員だ。
みのりちゃんはカレーライスを頬張りながら、りなちゃん――りぃちゃんは牛乳を飲みながら。
隼人くんのことを見ている。
この班は、何かありそうな恋模様がプンプン匂う❗
286:薫@ゆず◆xs RustyHonesty:2018/04/15(日) 17:37 >>285
恋かぁ……。
私、本題をぼかさずにそういう要素入れるの苦手だからなぁ…。
しばらくは出てこないと思う。(ごめんね)
転校生だもん。興味あるよね。
「ねえ、隼人くんはどこから来たの?」
わたしが訊いてみると、こちらを少し睨んで、一言。
「隼人」
……?
わたしが意味を図りかねていると、もう一度
「隼人だっつーの。名前。俺、隼人くんって名前じゃねーし」
えっと…
「ああ〜。隼人って呼べってことでしょ。全く〜。素直じゃないなぁ〜」
語尾を伸ばしながら、なんだか間抜けな口調で、大星。
というか…会って間もない人をイジれるなんて、逆にすごい。
「じゃあ…隼人は前どこの学校だったの?」
改めて問うと、隼人は
「お前はどこに住んでんの?」
訊き返してきた!
なんか、やりにくいな…。
でも、仲良くなれたら嬉しいよね♪
隼人ってツンデレなんだね、素直じゃあないのと微妙にやりづらいやり取りをしてるの面白い
289:薫@ゆず◆xs:2018/04/23(月) 18:19 ツンデレなのかな?
素直じゃない…かもね。
私自身もよく分かってなくて←駄作者
9.謎の笑み
そんな1日は穏やかに終わり、放課後がやって来た。
今日も早めに事務所に行く予定。
…ミオウ、来てるかな?
そんな、淡い期待を胸に。
急いで教室を出ようとすると、
「おい」
と呼び止められた。
誰だろう?と思って振り替えると…
それは隼人だった。
「なっ、何?」
給食中の微妙な雰囲気があったから、どう反応すれば良いのか、いちいち考えてしまう。
「急いで、どこへ行くんだよ?」
「え、えと…」
不意にそんなことを訊かれて、モゴモゴとお茶を濁すわたし。
どうしよう…!
また機嫌を悪くさせちゃったかな…なんて思ってたら、そうでもないみたい。
なぜかニヤッと笑って、
「じゃあな」
と教室を出ていった。
なんで笑われたの…??
?マークを沢山頭に浮かばせながら、わたしも慌てて教室を出た。
10.ララさんご乱心
持久走の練習ついでに、走って家に帰り。
またまた走って事務所へ。
キービー玉をセットして、プラタナスの木の中…事務所内へ入る。
「やっほぉ!今日…も…」
ミオウは、いないね。
少し気分が沈むものも、笑顔を作って…。
ミオウがいないのが当たり前になりつつある、悲しい風景。
ポジティブが取り柄のわたしでも、心がズンと重くなる。
「ね、あのさ!少しずつだけど、ミオウに連絡取ってるの。だから…みんなも、電話とかできるよね?留守電とか、入れない?」
わたしがスマホを見せると、場の雰囲気が少し柔らかくなった。
……いや、頑張って柔らかくしたのだ。無理矢理。
「……そうね。話してみようかしら」
ララさんの、いつもより冷たく淡々とした声音。
ソウマも、
「ああ」
といつもより低めの声で答える。
わたしは、電話は繋がらなかったからメールを入れたことを手短に伝えると、恐る恐る発信ボタンを押した。
謎の笑みが気になるo(^Д^)o
隼人も解決事務所に入るの,分からん謎過ぎて?
>>292
事務所員には、新年度に先代からスカウトされないとなれないんだよね〜
相談は…どうか分からないけど。
プルルル、プルルル…
出ない、出ない…
スマホをギュッと握りしめていると…。
ピッ。
急にコール音が消えた。
つまり……繋がった!
みんなに目で合図する。
ミオウが出てくれたよ!
でも…
『……』
ミオウは無言のまま。
もしもし、とも、久しぶり、とも言わない。
「あ、ミオウ。えっとね…」
こちらから、話を切り出そうと口を開くと。
「ミオウ!」
ララさんがそれを遮った。
その迫力に、わたしもソウマも少し身を縮こませる。
「ララさん…?」
わたしが口を開くと、ソウマが目で語りかけてくる。
口を開くな、止めるな、と。
「ミオウ」
厳しい口調。
何を言うのかな…?
と、気になってしまう。
ララさんが声をあらげることなど、滅多にないから。
だからこそ…ミオウがララさんをそうさせていることに、驚いてしまうんだ。
「ミオウ…」
少し落ち着いて。
ララさんはもう一度名前を呼ぶ。
「……変わろうとしなさい」
その一言。一言だけ。
たった一言を、さっきよりも優しく、落ち着いて。
語りかける。
変わろうとしなさい――わたしの心にも、きっとソウマの心にも。
みんなに届く言葉だったと思う。
ミオウに何かあったのかが,もう一度確認して置こうと思っているけどどこからだったかな?
297:薫@ゆず◆xs:2018/04/29(日) 09:30 実は私もこんがらがってたんだ…(駄作者)
>>252の内容かな。
菅名さんの相談に乗りたくない〜ってやつ。
11.ララさんメッチャご乱心
ミオウが息を吐く音が、電話越しに聴こえる。
お互いに何を話すのか、切っても良いのかを探る時間が流れ…。
「……ミオウ。わたしに話してよ」
ポロッと言葉を漏らしてしまった。
全てとは言わないし、言えない。
でも……少しでも良い。
わたしに本心を見せてほしいんだ。
複雑な胸を押さえ込んで、
「また…」
挨拶をして、電話を切ろうとすると…
「……またね」
ミオウの声。初めて話してくれた。
少し冷たい…何かを押さえ込んでいるような声音で。
――またね、か。
待ってるよ、ミオウ。
言ってくれると良いね……
心を閉ざしたら、すぐには開かないからね。
時間が経つのを、待っているぐらいだもんね!
そうだね〜
ミオウも良い子なんだけどね。
少し素直じゃないから…
電話を切ったあとは、クラスに転校生が来た話をした。
「長田隼人って名前の男子で、少し取っ付きにくい感じもするけど、悪い子じゃないと思うよ。隣の席になったんだ」
わたしが給食中の会話について説明をしていると…ララさんが、不意に目を見開いた。
「ララさん…どうしっ…」
たの…。言おうとしたけれど、言えなかった。
カッ…と音がしそうなほどに鋭く大きく見開かれた瞳は……いつもとは違い、真っ赤に染まっていたから。
えっ…??
わたしが混乱しているとララさんは、
「どうかしたの?」
と涼しげな表情…元に戻っていた。
今のは、一体……??
気のせいだったのかもね。
混乱しつつも、わたしはそう結論付けると、また口を開く。
「でね、隼…」
「トウナ」
「はっ、はいっ!?」
反射的に返事をしてしまった。
ララさん…いつもと違う。
「その子のこと、詳しく教えて」
ララは隼人のことを知りたいっていうのは、知り合いだから?
303:薫@ゆず◆xs:2018/04/29(日) 20:20 ら、ララさんを呼び捨てにしたのアーヤが初めてかも…。
どうだろうね?そこは何とも言えないなぁ。。。
えっ、呼び捨てしたのって私が初めて!?
305:まつり@ゆず◆Go ハンネ、トリップ変えました!:2018/05/12(土) 18:03うん、アーヤが初めてだよ〜!
306:まつり@ゆず◆xs ハンネ、トリップ変えました!証拠に前のトリップです。:2018/05/12(土) 18:12 幕間劇.ミオウの話
眠い目を擦って、教科書の文字を視界に入れる。
教科書は一番の参考書。市販の問題集も悪くはないけれど、塾のテキストと教科書が一番分かりやすい。
「あーあ」
脳が文字を拒否しているようだ。
思い切りのびをして、姿勢を正す。
寝る間も惜しんで勉強をしている。
それなのに、上手く行かないのは何故だろう。
……そんなの知っている。
――逃げているからだ。
逃げてばかりの自分が嫌で、それを認めたくなくて、そんなこと思うひねくれた自分が嫌で嫌で嫌で……!
向き合わないと。変わろうとしないと。
そう思いつつ行動ができない私は、すごく卑怯なんだ。
12.次の相談者はミオウです
家に帰ってわたしは、布団にくるまりながら考えた。
この先、どうしたら良いのか…。
菅名さんの相談には、やっぱり一人で乗った方が良いのかな。
でも、ミオウのことも考えると……!
どうも決断ができないし、良い解決案が思い浮かばない。
今日、少し前進したのかな?
変わらずに現状維持?
前進したと思いたい。
ツインテールをほどいた髪に触れながら、頭をまわす。
「ミオウに、正直になってもらうには…相談してもらうには…」
わたしに、汚い部分も見せてほしい。
改めてそう感じたとき、わたしの頭に光がふってきた!
「ララさ〜〜〜ん!!わたし、良いこと思い付いちゃったっ!!」
翌日。事務所の扉を派手に開け放ち、わたしは叫んでいた。
だってだってっ、浄坂桃奈の今までの人生で、最高に良いことを思い付いちゃったんだから!
「次の相談者はミオウ!決まりっ!!」
わたしのハイテンションボイス&満面の笑みに、ララさんとソウマは二つ返事。
「分かった。相談者として来れるようにしておくわね」
「おー、頑張れよ」
……良かった。ちゃんと協力してくれる。
当たり前なのに…そんな些細なことにもありがたみを感じるようになった。
悪いことではないよね…?
これはきっと、今回の件で新たに学んだことだろうから。
「ありがとう!わたし、頑張りますっ!」
――そう。だからわたしは、それを全力で伝えるよ。
幕間劇U.ミオウの話
学校から帰宅する途中。
ミサンガの近くで、道を見付けた。
いつも通っている…いや、通っていた道。
いいや、違う……もう一度通ることとなる道である。
私、呼ばれているみたい。
初めて通るこの道は、とても不思議な空間だった。
13.緊張の……
……と、実行に移したのは良いものの…。
わたし、ちゃんと話せるかな!?
だってだって、ミオウが相手とか緊張するしっ、これでも喧嘩してる(?)っぽくなってるし!!
ああ…ヤバいよヤバいよ……。
ララさんやソウマは、そんなわたしを黙って見てるのみ。
わたし自身の問題だから、当たり前なんだけど…
「ううっ、緊張で口から心臓が飛び出しそう……」
今までにないくらい緊張している事実。
どうにか頑張ろう、うん。
でも…普段に増して落ち着きのないわたしは、あっちこっちをうろうろ。
「ヤバい、ヤバい…」
なんて、ブツクサ言いながら。
自分で言うのもだけど、わたしらしくない。
しっかりしないと!!
と渇を入れるため、ほっぺたをペシペシ。思いきり叩く。
「あーあー、あー」
謎の発声練習も。
なんでこんなに緊張してるのかなぁ…?
「おい、トウナ。トーウーナ」
小声でソウマに呼ばれて振り返る。
「なっ、なにっ!?」
空気を読めないわたしは、当然いつも通りの声量(要するに大声)で聞き返す。
するとソウマは、小さくドアの方を指差し。
「ミオウ来てるぞ。なにやってんだよ」
……小声でわたしに言ってのけた。
14.やらかした…?
「えっ、あっ、わあっ、ごめん!!」
無表情で立っているミオウに初めて気がついて、テンパる。
……やっちゃった。
「ええっと、すわっ、てっ!ください!!」
そして謎の敬語。おまけにカミカミ。
仕事だから、頑張らないとなのに…!
改めてミオウを見ると。
「……」
無言、だったけど…。
なんだろう。さっきよりも口角が上がっている気がする。
それに気付いた瞬間、肩の力が抜けた。
すごくリラックスできる。緊張が薄れて。
自然と微笑むことができたんだ。
「ミオウ、久しぶり。えっと…元気だった?」
不自然でない笑顔で話し始めることができて、安堵する。
ただ……ミオウの心境は、どうなのだろうか。
わたしは笑っていて大丈夫かな?
……多分、大丈夫。
笑うことしかできない。笑うことができる。
わたしらしく話を聴くのが、わたしの仕事だろう。
「……元気、だよ。多分…」
意外にもあっさりと答えが返ってきて、少し驚く。
それが顔にも出てしまったのだろうか。
「ずっと、逃げてた……なのに、ここに来ると正直になれる。不思議ね」
さらに付け足してくれた。
……微笑んで。
「相談者の気持ち、分かった気がするな」
「ミオウ、今は相談者だからね!」
なんだろう。少し、少しだけ……いつものノリに戻れた気がする。
それに対する違和感があまりにも少なくて。
逆に違和感を覚えてしまうような、そんな雰囲気。
15.向き合うこと
「……向き合うことってさ。難しいよね」
不意に。聞こえた言葉が自分の声だと気付いた。
わたしが、無意識に発した言葉。
それは、ミオウも同じで…。
「そう、だよね」
噛み締めるようにポツンと言ってから。
「ごめんね。私、あんなこと…本当は、あんなこと思っていないんだ」
その口調があまりにも静かすぎて…。
「……知ってた。知ってたよ、わたし……っ」
噛み締めるように、わたしも声を発した。
「ごめんね、トウナ。本当にごめん」
ミオウの声は、あくまで静かだ。
こんなに、あっさりも謝ってくれて。
「私……逃げたかったの。現実から、逃げたかったの…!」
何かを押し殺しているような。
伏せた目も、何かをこらえていて。
「…………向き合う、から」
わたしも。
このセリフは、どちらのものだったっけ。